オーストラリアのSTEM教育


Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字をとって、将来、科学技術の発展に貢献できる理工系人材を育成する教育をSTEM(ステム)教育と言います。

スマホやPC、オンラインゲーム、ドローン、自動運転、VR、AI、IoT・・・など私達の生活を便利にしてくれている機器もすべて科学技術の発展によるものであり、私達は日々これらの恩恵を受けて暮らしています。

更に、まさに今、世界で激化している新型コロナウイルスのワクチン開発競争も含め、新薬や医療機器の開発もSTEMの分野であり、「生活を便利にする」だけでなく、私達の健康のためにもこの分野の発展は不可欠なのです。

しかし、科学技術の発展より破壊されたのが、自然環境です。私達が暮らすこの地球そのものは私達の手によって壊され、異常気象や生態系の乱れが顕著にあわられています。これを、人と自然がサステナブルに共存できる環境に戻すのもまた科学技術なのです。

科学技術の発展に伴い、これからの社会に必要な資質や能力を持つSTEM人材の育成は必須であり、世界中でSTEM教育を推進する国が増えています。

STEM分野の職業


STEM分野の職業はコンピューティングやプログラミング、イノベーション等が思い浮かびますが、それだけでなく、製造業から食品加工、医療、エレクトロニクス、分析思考、テクノロジー設計まで非常に多岐に渡り、クリエイティブに未来を創造するとても重要な職業です。

あくまで一例ですが、世界的に需要が高まっている科学技術分野における将来のキャリアとして、このような職業が挙げられます。
STEM分野の職業(一例)
・メカニカルエンジニア(機械工学士)
・ケミカルエンジニア
・Appソフトウエア開発者
・農業エンジニア
・鉱山エンジニア
・数学者(研究者/教員)
・エレクトリカルエンジニア(電気工学士)
・コンピュータ数値制御工作機械プログラマー
・生化学者・生物物理学者
・オペレーションリサーチアナリスト(データを分析して企業者組織の問題解決に導く数学的専門家)
・石油エンジニア
・環境エンジニア
・物理学者(研究者、教員)
・土木エンジニア
・システム開発者・ソフトウェア開発者
・建築家
・測量技師
・ウェブ開発者
・商品開発者(インダストリアルエンジニア)
・統計学者
・コンピューター・情報システム管理者
・自然環境学者(大気、地球、天文、海洋、水質、地質)(研究者/教員)
2020年の今、「第4次産業革命」に突入しており、今後更にSTEM人材によって開発された科学技術が社会と教育を大きく変えていきます。一般企業や家庭レベルにおいてもAIやIoTが浸透し、デジタル化・コンピュータ化が進んでいくでしょう。

STEM卒業生の今

オーストラリアでSTEM分野に強い大学の1つ、ブリスベンにあるQueensland University of Technology(クイーンズランド工科大学)でSTEM分野を学んだ学生たち。卒業して彼らが今どんな職業に就いているのかQUTのYoutubeチャンネル「Ready STEM Go」で見てみましょう。

海外でも注目のSTEM教育


人口の多さとも比例し、大学でSTEMを学ぶ学生の最も多い国としては中国、インド、アメリカ・・・が挙げられ、海外ではSTEM人材の育成は国の経済成長に欠かせない国家戦略として取り組む国が増えています。

例えばアメリカはSTEM教育に巨額の予算を投じ2012〜2022年の10年間でSTEM分野の大学卒業生を100万人増加させる等の目標を掲げています。

更にEUでは科学技術でより住み良い社会をつくるためにはSTEMだけでなく社会学と組み合わせて学ぶことが重要とされており、大学ではSTEM科目(理工学系)とHumanities and Social Sciences科目(人文社会学系)を組み合わせたコースを新設し両分野をバランス良く学べるカリキュラムの開発が進んでいます。

家族で楽しめる幼少期のSTEM教育


レゴなどのブロック遊びは誰でも一度はハマったことがあるはず!まずは何をつくるのかアイデアを考え、その完成形を想像し、1つ1つレゴを組み立てていく作業はまるで自分で街や家を設計しているかのような感覚になれます。

手持ちのピース(レゴ)の数、色や形を把握し、それらを適切な場所に適切な数割り当てていくのは、遊びとは言え、ここで養われる想像力や論理的思考力はSTEMスキルの基本となります。

更に近年STEM教育で話題になったのが、Microsoft社のMinecraftです(2016年発表)。

マインクラフト、通称「マイクラ」はご存じの方も多いと思いますが、何にも無いところから世界を構築していくゲームです。木を切って木材を調達したり、石を採取して斧やシャベルなど工具を作り、空間を立体的に捉えて畑や家や街を作り上げていきます。砂漠やジャングルや海もあり色々なモードで楽しめます。

更にマイクラの世界でプログラミングの基礎を学ぶことも出来、論理的思考力、問題解決能力、豊かな発想力を楽しく習得できるように作られています。世界中で授業にこのソフトを導入する学校も増えており、STEM教育の注目の高さが伺えます。

日本はSTEM教育後進国

科学技術の開発に不可欠な分野であり国際競争が激化する一方、日本のSTEM教育は世界に遅れを取っており最先端分野における人材不足が深刻になっています。

日本ではようやく2020年から小学校でのプログラミングの授業が始まりましたが、特に公立校では生徒数に対して十分なパソコンやインターネット環境などが整備されていないなど、STEM教育を提供するうえで不可欠なIT環境が整っていないのが課題です。

更に、STEM教育は高い専門性を必要とするため、指導できるレベルの人材(教員)が足りていないのも現状です。

将来STEM分野でのキャリアを目指すなら、まだSTEM教育が始まったばかりの日本よりも、既にスキルと能力、指導のノウハウを持った国で学ぶのが効率的と言えるでしょう。

オーストラリアのSTEM教育


オーストラリアのSTEM教育の歴史は長く、STEM産業と教育現場が「産学連携」を築き、社会のニーズに迅速に対応したプラクティカルな教育を提供しています。特に大学のSTEMコースには国内外から優秀な学生が集まります。

今現在もオーストラリア政府は2020〜2021年度の巨額の予算を投じ、STEM教育を更に推進しています。

1. reSolve: Maths by Inquiry
教師向けのリソースを含む、生徒の数学学習をサポート
投資額 960万ドル

2. Early Learning STEM Australia
Foundation(小学校入学の1年前)〜Year2(小学2年生)へ幼児STEM学習を拡張
投資額 570万ドル

3. STEM Professionals in Schools program
STEM産業で働くプロフェッショナルと学校の間にパートナーシップを組みSTEM教員の教育実習やトレーニングの強化
投資額 480万ドル

4. Let’s Count program
障がいを持つ子供に対し計算能力を育てるプログラム
投資額 440万ドル

5. Little Scientists program
生徒(幼児〜小学生)にSTEM能力と自信を身につけるためのプログラム
投資額 280万ドル

※参照:Australian Government – Department of Education, Skills and Employment

オーストラリアの大学で学ぶSTEMコース


全豪ほとんどの大学が総合大学であり、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)分野のコースは多くの大学で提供されています。こちらはあくまで一例ですが、このようにSTEMコースの種類と専攻は多岐に渡ります。
工学
土木工学
材料工学
メカトロニクスエンジニアリング
IT・デジタル・テクノロジー
IT
プログラミング
ソフトウェア開発
モバイルアプリケーション開発
サイバーセキュリティ
ネットワーク
コンピュータ・サイエンス
AR/VR
人工知能(AI)
UXデザイン
都市開発デザイン
ゲーム制作
商品デザイン
インテリアデザイン
サイエンス
ビジネス・アナリティクス
データ分析(Data Analytics)
応用データ分析(Applied Data Analytics)
地理情報システム
デジタルフォレンジック(デジタル鑑識)
農学
自然環境学
海洋学
自然環境学
森林学
再生可能エネルギー
水資源管理
健康・医療
薬学
公衆衛生学
プライマリヘルスケアと開発学
心理学
スポーツサイエンス
獣医療
獣医学
獣医療技術者
世界的に需要が高く高給を見込めるSTEM職業。大学で何を勉強するか悩んでいる方、1つでも興味のある分野があればSTEMの道を目指してみてはいかがですか?

STEM先進国オーストラリアの大学で学んでみたい方は、お問い合わせください
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号H318)
13歳でのメルボルン短期留学をきっかけに「英語」と「海外」に目覚め、その後カナダ(語学留学)とアメリカ(大学留学)にも留学。卒業後、ワーキングホリデーでオーストラリアへ再渡豪し、オーストラリア留学センターでワーペリ。帰国と同時にオーストラリア留学センター日本窓口が開設され現職へ。留学生を現地オーストラリアで「迎え入れる立場」と日本から「送り出す立場」、両側での勤務経験を通して、双方の視点からアドバイスすることを心がけています。 このカウンセラーに質問する

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