州立専門学校TAFEで会計学(Accounting)を学ぶ

2024年8月12日

オーストラリアの職業訓練専門学校であるTAFEは、実践的な専門スキルの習得に重点が置かれ、卒業後の仕事に直結する技術の習得、即戦力として働ける人材育成を目的としており、会計学(Accouting)関連のコースも開講されています。

現在、中小零細企業から大企業まで、海外に子会社などの拠点を持っているまたは直接・間接的に海外企業と取引をしている日本企業は全体の約3割と言われています。例えば、国内にしかない飲食チェーンでも一部の食材や備品を海外から輸入している場合、海外への支払が発生することがあります。そんな時、英語の会計用語を知っているだけでも請求書の読み取り、支払い条件の確認などスムーズに進められます。

また、日本とオーストラリアの会計法の違いによる細かい差異はありますが、簿記や会計業務の流れなど基本的な仕組みを知ることは、日本で会計事務を行う上でも役に立つでしょう。

コースで学ぶ内容

会計学(Accounting)には数字を処理する簿記から財務分析までの「数字を正しく理解する」という側面と、会計法や倫理など「法律上正しい判断ができるか」という側面があります。TAFE (Certificate III~Diploma)で学ぶのは、この内、簿記から財務諸表の作成及び簡単な報告書の作成です。

大学 (Bachelor以上)では、数字を正しく処理するだけではなく、そこから情報を読み取る知識やスキル、読み取った情報を使ってお客様がビジネスや資産を向上させていけるよう、また、法律などと照らし合わせ「正しいか/正しくないか」「できるか/できないか」を判断しアドバイスするための知識やスキルを学びます。

※Bachelorコースを開講しているTAFEもあります。

Certificate III in Accounting

社会人経験がない方向けで、Accountingだけでなく、Spreadsheetの作成や職場でのコニュニケーションの仕方についての科目を含みます。Accouting科目においては、仕訳や支払・入金など簡単な会計処理について学びます。また、シンプルで最も多くの企業で利用されているXeroまたはMYOBという会計ソフトを使い元帳や補助勘定などへの入力スキルを身につけます。

Certificate IV in Accounting and Bookkeeping

Cerificate III in Accountingの内容に加え、コスト計算や財務諸表の作成、給与にかかる様々な計算、BAS (Business Activity Statement)など公的書類の作成などより実務的な内容を学びます。また、会計ソフトXeroまたはMYOBを使い、そのセットアップから使い方など一連の業務をひとりで行えるスキルを身につけます。

Diploma of Accounting

より高度なSpreadsheetの作成や、社外向けの財務諸表の作成、社内の意思決定に必要なコスト計算や今後の見通の管理などについて学びます。また、個人のタックス・リターンのための書類作成についての科目も含まれます。

卒業後のキャリア

一企業内で働く場合は、会計業務に公認会計士等の資格は不要です。ただ、Certificate IVやDiplomaを卒業しても、ビザなどの制約もあり現地での就労は非常に厳しいため、日本人留学生の場合は、ご帰国後、日本での就職を視野に入れる方が良いでしょう。

卒業生ビザ(Post-Vocational Education Work stream)の取得を検討する場合は、業界団体のSkill Assessmentが取得できるかがポイントになりますので、事前にSkill Assessmentの条件とコース内容など、申請が可能かどうか確認しておきましょう。

なお、オーストラリアの求人においては、学歴や資格が条件になっていることが多いです。より高い学位であればそれだけ機会も広がるため、現地就職を目指す場合は、大学進学（ Bachelorコース以上）を検討することをおすすめします。

会計学(Accounting)の分野で大学進学を目指す方はこちらを御覧ください。

こんな方におすすめ

社会人経験がなく、簿記などを学んだことがないが、会計業務に興味がある方

Certificate IIIは、社会人経験がない方向けで、Spreadsheetの作成や職場でのコミュニケーションの仕方などがコースに含まれます。簿記や会計システムの使い方も簡単なところからステップアップしていくカリキュラムになっています。また、TAFEでは大学よりも少人数で学べる場合が多く、課題についてもほぼ一発勝負の大学に比べ、やり直しができるなど丁寧に学ぶことができます。期間も半年と短いので、会計業務に興味がある大学生は休学留学の候補として検討してはいかがでしょうか。

Bachelor of Accountingなどへの進学を検討しているが、簿記などを学んだことがなくPathwayとして検討している方

Bachelor of AccountingやMaster of Professional Accountingでも簿記などの基礎を学ぶ科目はあり、問題なく習得できたという学生も多いですが、まったく触れたことがない人にとってはやはり難しいかもしれません。TAFEでは大学よりも少人数で学べる場合が多く、課題についてもほぼ一発勝負の大学に比べ、やり直しができるため、丁寧に学ぶことができます。また、大学進学後に会計事務所等でのアルバイトやインターンを検討する際、TAFEで取得した学位を強みにすることができます。

ただし、TAFEからの大学進学を検討している場合、どのコースがどの大学のどのコースに編入可能かを事前に調べておくことがキーポイントになります。また、パッケージできるのか、編入になるのかの確認も必要です。

• パッケージルート：TAFEのコースと、そのコースから編入できる大学のコースをあらかじめ一緒に手続きできることを指します。
• 編入ルート：TAFEのコース終了後に、大学にて「TAFEで学んだ履修科目が認定されるか」「どのくらい単位が移行できるか」審査されることになります。一部のTAFEにおいては、事前に大学と編入する場合の単位認定などについて契約を結んでいる場合があります。その場合、ある程度明確なプランを立てることができますが、TAFEと大学の規定の見直しや契約改定により編入ができない、または2年編入だったものが1年の後期から編入等、進学ルートが変わるケースがあることを理解しておく必要があります。

TAFE経由で大学進学を目指す場合のコースの組み立てについては別途ご相談ください。

会計ポジションへのキャリアチェンジを考えており、簿記など会計学の知識はあるが、実務経験がない方

多くの場合、転職において問われるのが即戦力であること。会計ポジションにおいては、少なくとも月締めレベルの業務は自分ひとりで行えることが求められます。会計ポジションへのキャリアチェンジを考えている方は、US CPAや商業簿記2級以上など独学で知識をつけられていることが多いですが、実務経験を得ることは難しく、求人条件を満たせないことがネックになっている方もいます。

TAFEでは、一部の科目においてオセアニアや欧米諸国などで広く使われている会計ソフトXeroまたはMYOBを実際に扱いながら学びます。日本で使われている会計ソフトではありませんが、外資系や日本企業の海外子会社で使用されているケースもあり、志望先によってはプラスになる可能性があります。

ただし、会計学 (Accounting)の受講実績がない場合は、Certificate IIIもしくはCertificate IVからの受講となります。コース内容をみてもわかるように、社会人経験がない方向けになるため、物足りないと感じる方もいるようです。ですから、目的がはっきりしている方、XeroまたはMYOBなどの習得についてさらに自分で学習を進められる方におすすめのコースとなります。

TAFEの会計学 (Accounting)コースリスト

2024年8月現在開講中で留学生が受講できるコースのリストです。TAFEで開講されていても留学生は受講できないコースもありますので、各TAFEの公式サイトでコースを検索する場合は「Internationalの専用ページ」や「検索条件がInternational Student」になっていることを確認しましょう。

TAFE NSW @シドニー

コース名	Certificate IV in Accounting and Bookkeeping
入学	年2回（2月／7月）
期間	0.5年間
学費	2025年度 A$9,070（約88万円）
入学条件	高校卒業程度
英語	IELTS 6.0以上 (全スキル 5.5以上) / TOFEL iBT 64 以上 (全スキル16以上) など 英語力条件に満たない場合は、TAFE NSW付属英語学校のGeneral English Program にて規定のクラスレベルを修了すれば追加の英語テスト免除で進学可能

コース名	Diploma of Applied Commerce
入学	年2回（2月／7月）
期間	1年間
学費	2025年度 A$21,560（約209万円）
入学条件	高校卒業程度 ※入学条件及び英語力条件を満たした出願者に対し、キャリアプランやコース選択の適正などを確認するインタビューが課される場合があります。
英語	IELTS 6.0以上 (全スキル 5.5以上) / TOFEL iBT 64 以上 (全スキル16以上) など 英語力条件に満たない場合は、TAFE NSW付属英語学校のGeneral English Program にて規定のクラスレベルを修了すれば追加の英語テスト免除で進学可能

※TAFE NSWでは、この他Bachelor Degreeも開講しています。興味のある方はお問い合わせください。

※Diploma of Applied Commerceでは、Marketing、Management、Economics、Math and Statisticsなどビジネス学の基礎を学ぶ授業の一科目としてAccountingが含まれます。会計システムを扱うような実務的な内容とは異なりますのでご注意ください。

TAFE Queensland @ブリスベンなど

コース名	Certificate III in Accounts Administration
入学	年2回（1月／7月）
期間	0.5年間
学費	2025年度 A$5,700（約55万円）
入学条件	高校卒業程度
英語	IELTS 6.0以上 (全スキル 5.5以上) / TOFEL iBT 64 以上 (R13 / L12/ S18 / W 21 以上) など 英語力条件に満たない場合は、TAFE QLD付属英語学校のPre-Advanced Level (IELTS 2)を規定のレベルで修了すれば追加の英語テスト免除で進学可能

コース名	Certificate III in Accounts Administration / Certificate IV in Accounting and Bookkeeping / Diploma of Accounting
入学	年2回（1月／7月）
期間	1.5年間
学費	2025年度 A$24,600（約239万円）
入学条件	高校卒業程度
英語	IELTS 6.0以上 (全スキル 5.5以上) / TOFEL iBT 64 以上 (R13 / L12/ S18 / W 21 以上) など 英語力条件に満たない場合は、TAFE QLD付属英語学校のPre-Advanced Level (IELTS 2)を規定のレベルで修了すれば追加の英語テスト免除で進学可能

※Certificate IV in Accounting and Bookkeeping及びDiploma of Accounting単独のコースは留学生向けには開講されていません。

Melbourne Polytechnic @メルボルン

コース名	Certificate IV in Accounting and Bookkeeping
入学	年2回（2月／7月）
期間	0.5年間
学費	2025年度 A$7,800（約76万円）
入学条件	高校卒業程度
英語	IELTS 5.5以上 (全スキル 5.0以上) / TOFEL iBT 46 以上 (R10 / L9/ S16 / W 19 以上) など 専門コースに直接入学する場合、学生ビザ(Subclass 500)申請時にIELTS Academic 6.0または同等レベルの英語力証明が必要です。

※Melborune Polytechnicでは、この他、Bachelor Degree及びMaster Degreeも開講しています。興味のある方はお問い合わせください。

※Diplomaコースは留学生向けには開講されていません。

Holmesglen Institute of TAFE @メルボルン

コース名	Certificate IV in Accounting and Bookkeeping
入学	年2回（2月／7月）
期間	0.5年間
学費	2025年度 A$8,100（約79万円）
入学条件	高校卒業程度 ※入学条件及び英語力条件を満たした出願者に対し、識字能力と基本的計算力のテストが課される場合場あります。
英語	IELTS 6.0以上 (全スキル 6.0以上) など

コース名	Diploma of Accounting
入学	年2回（2月／7月）
期間	0.5年間
学費	2025年度 A$8,100（約79万円）
入学条件	Certificate IV in Accounting and Bookkeepingまたは同等のコースを修了していること
英語	IELTS 6.0以上 (全スキル 6.0以上) など

※Holmesglen Institute of TAFEでは、この他、Bachelor Degreeも開講しています。興味のある方はお問い合わせください。

TAFE WA @パース

コース名	Certificate VI in Accounting and Bookkeeping
入学	年2回（2月／7月）
期間	0.5年間
学費	2025年度 A$6,240（約61万円）
入学条件	高校卒業程度
英語	IELTS 6.0以上 (全スキル 5.0以上)など

コース名	Diploma of Accounting
入学	年2回（2月／7月）
期間	0.5年間
学費	2025年度 A$6,240（約61万円）
入学条件	Certificate IV in Accounting and Bookkeepingを修了していること
英語	IELTS 6.0以上 (全スキル 5.0以上)など

Canberra Institute of Technology @キャンベラ

コース名	Certificate III in Accounts Administration / Certificate IV in Accounting and Bookkeeping / Diploma of Accounting / Advanced Diploma of Accounting
入学	年2回（2月／7月）
期間	2年間
学費	2024年度 A$29,640（約288万円）
入学条件	高校卒業程度
英語	IELTS 6.0以上 (全スキル 5.0以上)など

※Advanced Diplomaには75～127.50時間のWork Placementが含まれます。

※各レベル単独のコースは留学生向けには開講されていません。

留学相談＆お問い合わせ先

当社オーストラリア留学センターはこのページに記載のある州立専門学校TAFEの公式出願窓口となっており、ご相談から出願手続き、更に現地サポートまで全て無料で提供しております。
※備考※
・本記事は学生ビザで就学予定の方向けです。その他のビザでの就学についてはお手伝いできかねますので、直接学校へお問い合わせください。
・付属英語学校からの進学の場合も、学生ビザで求められている英語力条件を満たす必要があります。詳しくはご相談ください。
・本記事は2024年8月現在の情報に基づいており、コースの内容や入学基準などは変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2024年度もしくは2025年度の学費（コースの総学費）をご案内しております。
・学費の日本円額は、現在のレート1豪ドル＝97円換算しておりますが、実際にはお支払い時のレートが適用されます。