オーストラリアで学ぶスポーツサイエンス



目次
部活や日々の筋力トレーニングとしてスポーツに励んでいる方、さらには趣味の域を超えて人生を豊かにする「ライフワーク」として長年スポーツに情熱を注いで取り組んでいる方も多いでしょう。そして、そのスポーツを始めたきっかけとして「スポーツ選手やアスリートに憧れて」という方も少なくないはず。

スポーツが好きだからと言って必ずしもその競技のプロにはなれませんが、私たちの胸を熱くさせてくれるアスリートを様々な形で支え、スポーツ業界全体、さらに周辺市場の活性化に貢献できるのが「スポーツ科学」です。

そのキャリアは、野球、サッカー、ラグビー、テニスなど日本国内での注目度が高くテレビでのライブ中継も多い人気の「花形スポーツ」から、陸上競技、水泳、自転車、武道・格闘技、バレー、ラクロス、ゴルフ、クリケット、卓球、バトミントン、スキー、スノーボード・・・など、スポーツの種類だけ活躍の舞台も多岐に渡ります。

スポーツ好きはもちろん、運動は苦手でも「将来スポーツに携わる仕事がしたい」という目標を持つ方にお勧めの学問です。

スポーツの経済効果 1 〜プレーヤー〜


ユニフォーム、シューズ、ラケット、ボール、グローブ・・・などスポーツに必要な器具を買い揃える際、「憧れのスター選手と同じもの」を選ぶ方も多いのではないでしょうか。

スター選手が出てくるとそのスポーツの知名度が上がり、競技人口が増え、その選手が使っているブランドの器具が売れ、出場する大会の観戦視聴率が上がるなど、様々な経済効果を創出します。

例えばテニスの大阪なおみ選手が全豪オープンで着用していたのと同じモデルのウェア(アディダス)は2019年の優勝直後に完売、また、使用していたラケット(YONEX)や身につけていた腕時計にも問い合わせが殺到するなど、その影響力は絶大です。

写真はYONEX公式HPより

スポーツの経済効果 2 〜観戦者・サポーター〜


また、プレーする側だけでなく、試合を観るのが好き!という方も多いでしょう。スポーツは、「プレーする」だけでなく「観るだけ」でも大きな経済効果を創出しています。

例えばスポーツ観戦には、チケットやグッズ販売などの大会の興行収入、大会視聴費(通信費)、広告料などの直接的な収益に加え、スポーツの観戦に訪れるサポーターの移動費や宿泊費、会場での飲食店や小売店、会場設置のための建設事業、イベント運営、消費される電力や出版物、そしてこれら全てを遂行するための労働力(雇用)など、スポーツ以外の周辺市場にも間接的に莫大な経済効果を生み出しています。

オリンピックなど国際的な大規模イベントともなれば、これに加えインフラ整備や運輸にまで経済効果が波及します。

このように巨額の収益に繋がるポテンシャルを持つスポーツ産業には国を上げて活性化に取り組んでおり、スポーツ庁は、2025年までにスポーツ産業の市場規模を15兆円に拡大するという目標を定めました。

心身共にアスリートを支える「スポーツ科学」


上述の通りアスリートが活躍することでその競技人口やファンが増えて大きな経済効果が生まれますが、そのパフォーマンスを最大に引き出すには、まず良いプレー環境を整えることが不可欠です。その環境づくりには次の3つが挙げられます。
1. 心理的サポート(メンタルトレーニング)
2. 身体的サポート(フィジカルトレーニング)
3. 経営学的サポート(スポーツマネジメント)
このうち心理的サポート身体的サポートの2つを担い、アスリート個人を身体的・精神的に支えるのが「スポーツ科学」です。

人体(筋肉)の発達を熟知し、エクササイズメニューやトレーニングプログラムの開発、モニタリング(経過観察)、コーチング(指導)、筋力の強化、怪我のリスク軽減、さらに栄養学と食事管理、スポーツ心理学も併せて学ぶことで心身ともにアスリートのコンディションを整えてパフォーマンスを最大限に引き出す重要な役割を担っています。

チームドクターのサポート、コーチ、ビデオ解析などのデータ分析による戦略立案、栄養士、マッサージや整体師、メディカルスタッフとしてアスリートを支えるお仕事です。

続けることでその競技が上達し、モチベーションや喜びとなることで今まで支えられてきたスポーツを、今度は自分が支える立場になることで、仕事としての大きなやりがいに繋がるでしょう。

また、スポーツ科学は、プロのアスリートだけのものではありません。最近は広いスペースや器具も不要、スポーツ未経験の女性でも自宅で簡単に無料で始められるヨガや筋トレなどの「宅トレ」メニューもオンラインで豊富に紹介されるようになり、生活の一部として浸透するようになってきました。スポーツ科学は、このようなダイエットや筋力トレーニングなど健康意識の高い一般の人々への指導にも有用です。

特に少子高齢化の進む日本では健康に長生きする「健康寿命」を延ばすことがテーマとなっており、高齢者向けのトレーニングメニューの開発や食事指導など、より健康な社会づくりのためにもスポーツ科学の需要は年々高まってきています。

経営学的サポート(スポーツマネジメント)とは?
アスリート個人に寄り添って二人三脚で心身ともにサポートしていくのが「スポーツ科学」である一方、チーム全体、スポーツ業界全体をビジネス面でサポートするのが「経営学的サポート(スポーツマネジメント)」です。スポーツチームの運営や広報、イベントの運営と集客、出場試合スケジュールの調整、スポンサー契約(資金源の確保)、PR活動などの業務を担います。詳しく知りたい方はグリフィス大学でスポーツマネジメントを学ぶをご参考ください。

世界大学ランキングTOP5に豪2大学

CEOWORLD magazine社による世界大学ランキングのスポーツ科学部門では、トップ5にオーストラリアの2大学、ディーキン大学(2018年世界1位、2019年世界3位)とクイーンズランド大学(2018年世界3位、2019年世界5位)がランクインしています。

このように、欧米にはスポーツを学問として専門的に学べる大学が多く存在しており、スポーツ科学の深い知識とスキルを習得した経験豊富なエキスパートたち(コーチやトレーナー、サポートスタッフなど)によるアスリートのサポート体制がしっかり整っています。

一方、日本は早稲田大学が65位、筑波大学が103位と欧米から大きく遅れをとっており、日本国内におけるスポーツ科学分野での人材不足は、国際的に活躍する日本人アスリートの海外進出にも繋がっています。

オーストラリアの大学で学ぶスポーツ科学(学士課程)

オーストラリアでスポーツ科学を学ぶなら第1にディーキン大学とクイーンズランド大学が挙げられますが、他にも全豪わずか約40大学のうち、なんと9つもの大学が世界トップ50にランクインしています。このことからもオーストラリアのスポーツ・エクササイズ教育の水準の高さがお分かり頂けるでしょう。

こちら9大学のうち、メルボルン大学を除く残り8大学はすべてESSA(Exercise & Sports Science Australia)認定コースとなっており、コース修了後にESSA認定のAES(Accredited Exercise Scientist)として登録を申請することが出来ます(2020年7月現在)。そして、8大学のコースすべてESSA認定条件の1つである140時間以上の現場実習が含まれています。

※AESとしてESSAに登録を申請する際には規定の英語力をクリアすることも条件となります。詳しくはESSAの公式HPをご覧ください。

ディーキン大学

スポーツ科学の分野で世界NO.3、豪NO.1 を誇るディーキン大学。エクササイズ&スポーツ科学における人体の生物学的、社会学的、行動学的ベースに焦点を置いて、アスリート、チーム、個人のパフォーマンス向上にむけた知識をスキルを学習します(220時間の実習を含む)。
必修科目の例
・人体の成長、発達と老化
・解剖学と生理学
・健康増進のためのフィジカルアクティビティとエクササイズ
・エクササイズの指導とコーチング
・測定データの分析と統計(妥当性と信頼性)
・エクササイズプログラムの立案
・バイオメカニクス(生体力学)
・臨床・スポーツバイオメカニクス
・心理的、行動的、認知的要素が個人やチームのパフォーマンスに与える影響/スポーツ&エクササイズが心理学的行動学的要素に与える影響
更に、下記から専攻を選ぶことが出来ます
・Exercise Physiology(エクササイズ生理学)
・Applied Sport Science(応用スポーツ科学)
・Physical Activity and Health(運動と健康)
・Sports Nutrition(スポーツ栄養学)
・Sport Coaching(スポーツコーチング)
・Strength and Conditioning(筋機能の向上と身体的コンディションの調整)
・Psychology(心理学)
・Nutrition(栄養学)
・Health Promotion(健康増進)
・Family, Society and Health(家庭状況と健康な人体の発育の関係)
・Disability and Inclusion(障がいとインクルーシブ教育)
※選べる専攻は条件と開講状況によって異なります。

入学要項
大学ディーキン大学
コースBachelor of Exercise and Sport Science
期間3年
入学3月、7月
学費年間39,200ドル×3年間=117,600ドル(約1090万円)(2022年度)
条件学力
日本で高卒の場合、付属のディーキンカレッジ(FoundationコースまたはDiplomaコース)を経由して、本科へ進学できます

英語力
IELTS 6.5以上(各6.0以上)

IB Diploma取得者
IBスコア25以上

クイーンズランド大学

最終学年のHonours課程(研究課程)を含む4年コース。エリート アスリート教育やスポーツコンディショニングとパフォーマンスの向上、臨床測定、怪我のリハビリと健康回復、地域社会に暮らす人々の健康増進などの分野に焦点を置いたスポーツ科学を学習します。

生体力学、モーターコントロール、エクササイズ生理学、ストレングス&コンディショニング(筋機能の向上と身体的コンディションの調整)の実験・測定では最新の高機能機器を使用して実践的に学び、理解を深めていきます。

コースでは全豪で最も長い500時間ものPractical Placement(実習)を行います。実習先はスポーツ教育の学校やトレーニング施設のほか、Brisbane Broncos(ブリスベンに拠点を置くプロのラグビーリーグフットボールクラブ)、Queensland Firebirds(ネットボールチーム)、Brisbane Roar(サッカーチーム)などプロのスポーツチーム、さらにクリニックや地方自治体など多岐に渡ります。
必修科目の例
・解剖学
・バイオメカニクス
・生物物理学的発達と、測定・データ分析
・人体の動きにおける生物学と栄養学
・健康、フィットネス、ダイエット、エクササイズ
・スポーツコーチング
・筋骨格の働きにおける解剖学
・エクササイズの指導とプログラム
・エクササイズメニューの立案
・ダイエットによる健康増進
・モーターコントロール(運動制御)(運動機能を調整する能力)
・エクササイズ生理学
・スポーツ
・エクササイズ心理学
・知覚障がい者への身体的アクティビティ
・地域社会におけるスポーツと健康
・スポーツ医学

入学要項
大学クイーンズランド大学
コースBachelor of Exercise and Sport Sciences(Honours)
期間4年
入学2月
学費年間40,320ドル×4年間=161,280ドル(約1,500万円)(2022年度)
条件学力
日本で高卒の場合、付属のUQ College(Foundationコース)を経由して、本科へ進学できます

英語力
IELTS 7.0以上(各7.0以上)

IB Diploma取得者
IBスコア28以上

世界TOP50にランクする他6大学(全豪NO.3〜NO.8)
大学エディスコーワン大学
コースBachelor of Science – Exercise and Sports Science
期間3年
入学2月、7月
学費年間35,900ドル×3年間=107,700ドル(約1000万円)(2022年度)
条件学力
日本で高卒の場合、高校の成績3.6以上(5教科重視)あれば直接本科に入学可能

※高校の成績が足りない方は付属のEdith Cowan カレッジ(FoundationコースまたはDiplomaコース)を経由して、本科へ進学できます

英語力
IELTS 6.0以上(各6.0以上)

IB Diploma取得者
IBスコア24以上

大学西オーストラリア大学
コースBachelor of Science – Sport Science または Sport Science, Exercise and Health(Double Major)
期間3年
入学2月、7月
学費年間40,100ドル×3年間=120,300ドル(約1,118万円)(2022年度)
条件学力
日本で高卒の場合、UWA提携のテイラーズ・カレッジ(Foundationコース)を経由して、本科へ進学できます

英語力
IELTS 6.5以上(各6.0以上)

IB Diploma取得者
IBスコア27以上

大学ビクトリア大学
コースBachelor of Sport Science
期間3年
入学2月、4月、8月、10月
学費年間29,200ドル×3年間=87,600ドル(約814万円)(2022年度)
条件学力
日本で高卒の場合、高校の成績3.0以上あれば直接本科に入学可能

※高校の成績が足りない方はFoundationコースまたはDiplomaコースを経由して、本科へ進学できます

英語力
IELTS 6.0以上(各6.0以上)

IB Diploma取得者
IBスコア24以上

大学ニューカッスル大学
コースBachelor of Exercise and Sport Science
期間3年
入学2月
学費年間35,790ドル×3年間=107,370ドル(約998万円)(2022年度)

大学クイーンズランド工科大学
コースBachelor of Sport and Exercise Science
期間3年
入学2月
学費未定(2023年度)
条件学力
日本で高卒の場合、付属のQUT International College(Foundationコース)を経由して、本科へ進学できます

英語力
IELTS 6.5以上(各6.0以上)

IB Diploma取得者
IBスコア28以上

大学オーストラリアン・カソリック大学
コースBachelor of Sport Science
期間3年
入学2月、7月
学費年間23,624ドル×3年間=70,872ドル(約532万円)(2022年度)
条件学力
日本で高卒の場合、高校の成績3.0以上あれば直接本科に入学可能

※高校の成績が足りない方はFoundationコースまたはDiplomaコースを経由して、本科へ進学できます

英語力
IELTS 6.5以上(各6.0以上)

IB Diploma取得者
IBスコア24以上

上記の他、ESSA認定のスポーツ科学コースを開講している大学は次のとおりです(2022年7月現在)
シドニー
シドニー工科大学、ウーロンゴン大学、西シドニー大学
メルボルン
ラトローブ大学、RMIT大学
パース
マードック大学、カーティン大学
アデレード
南オーストラリア大学
ゴールドコースト
グリフィス大学、サザンクロス大学
サンシャインコースト
サンシャインコースト大学
タウンズビル
ジェームスクック大学
タスマニア
タスマニア大学

出願に向けての準備


1. まずは英語試験を受けましょう
まずはIELTS(アイエルツ)試験を受験しましょう。日本では下記3つの機関がIELTS試験を開催しています。
日本英語検定協会
http://www.eiken.or.jp/ielts/
JSAF
http://www.jsaf-ieltsjapan.com/?p=431
IDP Education
https://ieltsjp.com/
IELTSスコアは足りなくても出願可能です。その場合はQUT付属語学学校とセットでのお申込みとなります。
2. 出願に必要な書類4点を準備しましょう
出願には下記4点の書類が必要となります。IELTSの受験が終わったらこちらの4点を揃えて担当カウンセラーにご提出ください。

  • 高校の卒業証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
  • 高校の成績証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
  • IELTS(Academic)またはTOEFLスコア結果
  • パスポートコピー
3. 出願手続きスタート
最後に、オンライン申込みフォームを送信してください。その後、正式に出願手続きへ進みましょう。

留学相談&お問い合わせ


当社オーストラリア留学センターは全豪29大学の公式出願窓口となっており、ご相談から出願手続き、更に現地サポートまで全て無料で提供しております。
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※備考※
・本記事は2020年7月現在の情報に基づいており、コース概要や入学基準は変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2020-2021年度学費をご案内しております。
・学費の日本円額は、現在のレート1豪ドル=75円換算しておりますが、実際にはお支払い時のレートが適用されます。
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号M144)
大学在学中に留学を経験し、新卒で楽天株式会社に入社。ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オーストラリアに飛び回る。仕事を通して自身の留学が人生や将来の仕事を考える大きなきっかけになったことを再認識し、「より多くの人が、留学を通して英語力を磨き、視野を広げ、豊かな人生を送れるようサポートしたい」という思いから、留学業界への転職を決意、オーストラリア留学センターと出会い現職。 このカウンセラーに質問する

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