オーストラリアで仕事、アルバイトをする際、Australian Business Number – ABN(事業者登録)が必要になることがあります。
2025年2月現在、ABNの取得申請はインターネットでのオンライン申請となっています。以下のATO(Australian Taxation Office: 国税局)のウェブサイトから申請できます。
Apply for ABN
ABNは、申請すると2週間~1ヶ月程で番号が送付されます。なかなか届かない場合は問合せが必要となりますので、Application No.は忘れずに控えておきましょう。
なお、ABNはTFN(タックス・ファイル・ナンバー)と異なり、必要がなくなったらキャンセルすることができます。
ABN申請が必要な人
主に下記のような場合にはABNの取得が必要になります。
就労上の契約で面接の際などに求められた場合
ネイリスト、ビューティー・セラピストなどの求人に応募して面接に赴くと、「ABNナンバーをとってもらいますけど、いいですか?」と聞かれることがあります。これは「社員として採用するというわけではなく、勤務先のお店の場所を借りて、“個人事業主”として営業しませんか?」という契約内容を指しています。ビューティー関連のすべてのお店がそうだというわけではないのですが、よくある就労上の契約関係です。なお、年間売上A$75,000以上の場合にはGST登録も必要となります。
よくある業種としては、ネイリストやビューティーセラピストの他、クリーナーなどが挙げられます。
就労上の契約で求められなくても下記に該当する場合
Ride-SourcingといわれるUberなどのタクシーサービスは、ABNのほか、売上金額に関係なくGST登録が必要です。Uber Eats・Deliverooなどのフード・デリバリーサービスもABNを取得するよう各ウェブサイトにも記載されています。なお、フード・デリバリーは年間売上$75,000以上の場合にはGST登録も必要となります。
ATO:Ride-sourcing
ABN取得のメリット・デメリット
ABN取得のメリット
- 個人事業主のため、業種によっては働く時間を自由に選べます。近年、留学生のアルバイトとしてメジャーになっているフード・デリバリーはまさにこの業態です。
- ABNを持たずに、上記のような就労契約を結んだ場合、支払い先に最高税率である45%の源泉徴収が義務付けられています。例えば、ネイルサロンで働いた場合で、ネイルサロンのオーナーが、100ドルを支払うとすると、そこから45%(45ドル)を差し引いた55ドルしか受け取ることができない、ということになります。
ABN取得のデメリット
ABNの取得が必要な就労上の契約を結んで仕事をする場合、社員ではなく個人事業主という扱いになるため、
- 必ず仕事がある保証はありませんし、出勤すればお給料が貰えるというわけでもありません。
- Superannuationの積立もありません。
- 就業中の事故・損害についても自己責任になります(そのため、フードデリバリー事業などでは損害保険に入っていることが条件になっている会社もあります)。
- 収入がなくても必ずタックス・リターンをしなければなりません。
- 税金をタックス・リターンの際にまとめて支払わなければならないため、自分で収入を管理し、税金分を貯蓄しておく必要があります。
- 特に学生ビザの場合には、2週間で48時間以内(※1)の規定をオーバーしないよう自分でしっかり勤務時間を管理する必要があります。
※1:学生ビザの正式なルールは「2週間48時間以内」ですが、「1週目+2週目≦48時間 / 2週目+3週目≦48時間」である必要があります。ですから、週24時間以内と考えておく方が安心です。「1週目+2週目≦48時間 /3週目+4週目≦48時間」ではありませんのでご注意ください。
なお、ワーキングホリデービザの人が、ABNナンバーを取得して個人事業主として活動をする場合に、「同一雇用主のもとでの6ヶ月までの就労」の規定に触れるかどうかは、移民局に問い合わせる必要があるでしょう。
また、ABNを持っている限り、必ずタックス・リターン手続きが必要です。ワーキングホリデーや就学を終えて帰国する場合、ABNが不要になった場合は最後のタックス・リターン後速やかにキャンセルしましょう。