オーストラリアで学ぶ地理情報システム
地理情報システムについて皆さんご存知でしょうか?英語で言うと、Geographic Information Systems (略:GIS)と呼ばれています。
GISは、一般的には「位置情報付き地図」と思われがちですが、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)は、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術のことをさします。
ベースとなる地図情報に様々なレイヤーを組み合わせて価値ある空間分析情報にする技術ですね。
日常生活でたくさん使われている技術!
このGISは様々な分野で応用され現代の人々にとって、日常の生活の中で欠かせない技術になっています。
いくつか例をあげてご紹介します。
Google MapやYahoo!地図などのWEB地図サービス
皆さんのスマートフォンに入っているアプリ Google MapもこのGIS(Web GIS)を利用しています。GPS(位置情報)から、目的地までの距離の算出、交通機関を利用した際のルートや所要時間、目的地や出発地点など表示している地点に応じて地図の精度(縮尺)が変わったりと、かなりの便利機能ですよね。この数年でもう日常に欠かせないツールの立ち位置ではないでしょうか。
カーナビゲーション
スマートフォンの地図アプリ+携帯のGPS機能をあわせた元祖GIS がカーナビです。昨今のスマートフォンの地図アプリと電話自体の高性能化によって、カーナビを使う人が減っていると言われていますが、GPSとの連動で現在位置を把握、さらに交通情報、店情報、ガソリンスタンド位置情報、スピードカメラの位置情報なども含めて、最短時間で目的地に到達できるよう計算して表示・案内してくれるカーナビは、一般の日常の中ではもっとも利用されている代表例と言っていいでしょう。
携帯の地図アプリも含め、GPSで計測した数値を地図や3D情報で可視化するには、GISが最もフィットする技術ですね。
ハザードマップ
自然災害による被害の予測、その被害範囲を地図化したものがハザードマップと呼ばれます。予測される災害の発生地点、被害の拡大範囲や被害程度、さらには近年では、避難経路、避難場所情報が既存の地図上に図示されるようになっています。
このハザードマップを利用することにより、災害発生時に住民などは迅速・的確に避難を行うことができますし、二次災害発生の予想箇所を避けることができるため、被害の低減に非常に有効と言われているため、主に、国、各自治体などでの利用が注目されています。
オーストラリアだとサイクロン災害時の停電や洪水などの水害、ブッシュファイヤーなどの森林火災にハザードマップが利用されています。
都市計画
都市計画の分野では,都市計画図や土地利用現況図などの地図の整備など、効率的な利用が不可欠な分野ですから、近年多くの国、市町村、自治体が GIS を導入しています。
人口分析
これまでデータ量が膨大で処理できなかった人口移動データを GISを用いて分析し地図化することが出来ます。空中写真や衛星画像などのリモートセンシングデータの取り込みで、建築物やそれらの土地利用を詳しく識別できるため,センサスが整備されていない地域でも人口分析に有用されています。
ビジネスマーケティング
GIS の活用の中にビジネスマーケティングがあります。
個々の店舗が消費者に商品を提供する商圏内の特性把握が非常に重要であることは周知の事実で、小売店であれば、商圏の 世帯数,競合店数,道路交通量,最寄り駅の乗降客数,各家庭の消費支出などを適切に把握することから始まります。
自社拠点や他社拠点,施設などからなる「ポイントデータ」、交通網や道路などからなる「地図データ」,人口や消費支出などからなる「統計データ」,各企業内の取引数や売上データから「インナーデータ」などを.GIS ソフトウエア上でオーバーレイすることで,マーケティング戦略のための空間分析に利用されています。マクドナルドではいち早く同技術を導入して売上を伸ばしたのは有名なお話です。
医療サービス
患者が必要としているサービスを特定するためや、地域のヘルスアセスメントの実現にもGISは利用されています。医療・介護施設にとっての最適な立地点を特定、さらにGISを病院内に取り入れると、施設管理の能率化、患者の追跡調査、病床数の管理、感染症のリスク軽減などにも応用されています。
地理的犯罪分析
地図上の犯罪発生地域に、建築物や、人口統計を重ねあわせるなどにより、犯罪発生の根本的な原因を理解するのにGISは利用されています。昨今では、犯罪予測や地理プロファイリングなども合わせて治安における人的・金銭的資源分配についての作成などにも活用されています。
などなど、上記以外にも様々な形、各消費者の生活の中で浸透しているスマートフォンアプリや、行政、民間企業など、GISは他方面で利用されています。
オーストラリアの大学で学ぶ GIS(学士課程)
オーストラリアで、Geographic Information Systems を学べるオススメの大学を下記にご紹介します。
1. フリンダース大学
2. カーティン大学
大学名 Curtin University
都市 パース
コース名 Bachelor of Science (Geographic Information Science)
コース期間 3年間
入学時期 2月、7月
授業料(年間) 30,800ドル(2019年度)
英語条件 IELTS Academic Overall 6.5 (各バンド 6.0)以上
3. クイーンズランド大学
オーストラリアの大学で学ぶ GIS(修士課程)
日本の大学をご卒業の方(地理情報システムに関連しない学部)は、修士課程から学ぶことができます。
大学名 Curtin University
コース名 Graduate Certificate in Geographic Information Science
コース期間 6ヶ月
入学時期 2月
授業料(年間) 18,600ドル(2019年度)
英語条件 IELTS Academic Overall 6.5 (各バンド 6.0)以上
学力条件 学士(学部不問)課程修了
コース名 Graduate Diploma in Geographic Information Science
コース期間 1年
入学時期 2月
授業料(年間) 37,200ドル(2019年度)
英語条件 IELTS Academic Overall 6.5 (各バンド 6.0)以上
学力条件 学士(学部不問)課程修了
コース名 Master of Science (Geospatial Science)
コース期間 2年
入学時期 2月
授業料(年間) 37,200ドル(2019年度)
英語条件 IELTS Academic Overall 6.5 (各バンド 6.0)以上
学力条件 学士(学部不問)課程修了
コース名 Master of Geographic Information Science
コース期間 1.5年
入学時期 2月
授業料(年間) 41,040ドル(2020年度)
英語条件 IELTS Academic Overall 6.5 (各バンド 6.0)以上
学力条件 学士課程で 物理学、コンピュータサイエンス、環境科学、環境管理学、地理学、地質学、測量学、幾何学、工学のいずれかを修了、且つ、GPA 4.5/7 ポイント以上。
Geographic Information Systems の将来
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GIS は、近年になり IoT(Internet of Things)の発展における連携と常時接続、ビッグデータの利用などにより、ますます活用の場が広がり、様々な分野の プラットフォームとして大きな発展途中の分野です。より効果的に、幅広く活用することで、今後の需要が見込まれる Geographic Information Systems を学び、地図情報技術者になってみませんか?