シドニー工科大学(UTS)で学ぶ – 未来の食をデザインする食品科学


「食を通じて、社会や地球が抱える問題の解決に貢献したい」
私たちの食卓は、食品ロス、気候変動による生産への影響、そして健康への意識の高まりなど、数多くの課題と向き合っています。これらの複雑な問題に、科学の力で具体的な解決策を見出す学問があります。それが、食品科学(Food Science)です。
食品科学とは、食材の生産から加工、流通、消費、そして栄養や安全性に至るまで、「食」の全領域を科学的に探求し、持続可能でより良い未来を創造するための知識と技術を学ぶ分野です。

この記事では、実践重視の大学、シドニー工科大学(UTS: University of Technology Sydney)で提供されるBachelor of Food Science and Technology(食品科学技術学士課程)をご紹介します。

なぜ今、食品科学が重要なのか? – 私たちが直面する「食」の課題

私たちの食生活は豊かになりましたが、その一方で、世界は食に関する様々な課題に直面しています。

  • 食品ロス問題:


    世界では生産された食料の約3分の1、日本では年間約*472万トン(うち家庭系約236万トン、事業系約236万トン)が廃棄されています。これは資源の無駄遣いであり、環境負荷も増大させます。
    (*出典:農林水産省・環境省「食品ロスの発生量の推計値 令和4年度」)


  • 食の安全・安心への高まる関心:


    食品添加物、食品偽装や残留農薬、アレルギー対応など、消費者の食の安全に対する意識はますます高まり、科学的根拠に基づく対応が不可欠です。


  • 持続可能な食料生産システムへの転換:


    地球温暖化や人口増加に伴い、環境負荷を低減し、持続可能な方法で食料を生産・供給するシステムへの転換が急務です。


  • 健康志向と新しい食のニーズ:


    健康寿命の延伸や生活習慣病予防のため、機能性食品、プラントベースフード、代替プロテインなど、新たな食の選択肢への関心が高まっています。



食品科学の未来 – 「食×テクノロジー」「食×サステナビリティ」

食品科学は、これらの課題解決に向けて、日々進化を続けているダイナミックな分野です。特に「サステナビリティ(持続可能性)」と「フードテック(FoodTech)」は、今後の食品科学における最も重要なキーワードと言えるでしょう。

      
  • サステナブルな食料供給の実現:

    • 植物由来の代替肉や培養肉といった新しいタンパク質源の開発。
    • 未利用資源(例:野菜の皮や魚の骨など)を活用するアップサイクル食品の創出。
    • 微生物の力を利用した精密発酵技術による有用成分の生産。

  • フードテックの進展:

    • AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった先端技術を活用し、農業の効率化や食品の品質管理、安全性を向上させる取り組み。
    • 3Dフードプリンターなどを用いて、個々のニーズに合わせた食品を製造する技術。(例えば、噛む力が弱い方向けの柔らかい食事などを作ることができます。)
    • ドローンやロボット技術を導入し、省力化や環境負荷低減を目指すスマート農業・漁業。

  • 環境負荷の低減への貢献:

    • 生分解性プラスチックなど、革新的な食品包装の開発。
    • エネルギー効率の高い食品製造プロセスの最適化。

日本国内だけでなく、世界中の多くの企業や研究機関が、こうした革新的な技術開発や持続可能な取り組みに積極的に投資しています。UTSでは、これらの最先端分野に触れ、貢献できる知識とスキルを身につけることができます。

オーストラリア・シドニー工科大学(UTS)で学ぶ理由

オーストラリアは、広大な自然に恵まれ、多様な農産物を産出する食料大国です。農業・食品産業が国の基幹産業の一つであり、革新的な食品企業や世界レベルの研究機関が集まっています。また、国際的に高く評価される厳格な食品安全基準と品質管理システムは、世界市場で信頼される「安全な食」の供給国としての評価を得ています。
このような環境は、最先端の食品科学を学び、実践する上で大きなアドバンテージとなるでしょう。さらに、多文化社会であるオーストラリアでは、多様な食文化やニーズに日々触れることができ、グローバルな視点での商品開発や市場理解を深める貴重な機会に恵まれています。

世界的に評価される革新的な大学

UTSは、QS世界大学ランキング(2025年版)で世界88位にランクインしている大学です。

「実践重視」のカリキュラム – 産業界との強いつながり

実際の企業の課題に取り組むプロジェクトやインターンシップの機会が豊富に用意され、実社会で通用するスキルを磨きます。

最先端の研究施設と学習環境 – Tech Labの活用

食品分析ラボ、食品加工パイロットプラント、官能評価室に加え、大規模研究施設Tech Labも利用可能で、食品科学の枠を超えた新しいアイデアや技術に触れる機会があります。

イノベーションと起業家精神の育成 – UTS Startupsコミュニティ

オーストラリア最大級の大学発スタートアップコミュニティUTS Startupsが、学生の新しいアイデアや起業をサポートします。

サステナビリティへの強いコミットメント

大学全体でSDGs(持続可能な開発目標)達成を掲げ、キャンパス内での食品ロス削減活動や再生可能エネルギー導入など、学生がサステナビリティを身近に感じられる環境です。

グローバル都市シドニーという立地

オーストラリア最大の都市であり、経済・文化の中心地。多様な食文化に加え、インターンシップや就職の機会に恵まれている点も魅力です。

どんな専門知識が身につく?Food Science and Technologyの注目科目


UTSのBachelor of Food Science and Technologyでは、3年間の学びを通して、食品科学の専門家として必要な知識とスキルを段階的に習得していきます。ここでは、各段階でどのような能力が養われるのか、代表的な科目群とともにご紹介します。

Year1:食の「なぜ?」を探る 科学の土台

1年次では、食品科学の基礎を築くとともに、私たちの食が直面する地球規模の課題について学び、科学的思考の土台を固めます。

91251 Foundations of Food Science (食品科学の基礎):
食品科学の基本的な概念、食品産業の概要、そして食品の安全性、品質、栄養といった主要なテーマに触れます。食品を科学的に理解し、この分野でのキャリアを考える上での導入となる重要な科目です。
65111 Chemistry 1 (化学1) / 65212 Chemistry 2 (化学2):
物質の構造、性質、反応といった化学の基本原理を体系的に学びます。これらの知識は、後に学ぶ食品の化学的側面を深く理解するための必須の土台となります。
91161 Cell Biology and Genetics (細胞生物学と遺伝学) / 91132 Molecular Biology (分子生物学):
生命の基本単位である細胞の構造と機能、遺伝のメカニズム、そして分子レベルでの生命現象を学びます。食品の原料となる動植物の理解や、微生物の活用、食品の安全性評価などに繋がる基礎知識です。

Year2:食品科学の核心へ – 安全・品質・栄養・加工技術の専門性を磨く

2年次では、食品化学、微生物学、栄養学、加工技術といった専門分野の知識を深め、安全で高品質な食品を供給するための科学的アプローチを学びます。

91255 Chemistry and Physics of Food (食品の化学と物理):
食品を構成する主要成分の化学的・物理的性質や、加工・貯蔵中に起こる変化を専門的に学び、食品の品質コントロールに必要な知識を習得します。
91314 General Microbiology (一般微生物学) / 91254 Food Safety and Quality (食品安全と品質):
食品に関連する微生物の制御、HACCP(ハサップ:食品衛生管理システムの一つ)などの食品安全管理システム、品質保証の原則について学びます。
91252 Food Processing (食品加工):
様々な食品加工技術の原理と、それらが食品の品質、栄養価、保存性に与える影響を学びます。UTSの食品加工パイロットプラントでの実践的な学習も期待できます。
91256 Food and Nutrition (食品と栄養):
主要栄養素の機能や代謝、健康維持における食事の役割を学び、栄養学的観点から食品を評価する能力を養います。
91320 Metabolic Biochemistry (代謝生化学):
生体内での栄養素の代謝経路やエネルギー産生のメカニズムを深く理解します。

Year3:即戦力となる専門性を完成 – 食品業界のリーダーを目指して

最終学年では、これまでの学びを統合し、新製品開発やビジネスの視点を取り入れながら、社会に貢献できる実践力を磨きます。選択科目を通じて、自身の興味関心をさらに深めることも可能です。

91253 Food Product Development (食品開発):
消費者ニーズの分析からアイデア創出、試作、官能評価、マーケティング戦略まで、新しい食品を開発する一連のプロセスをチームで実践的に学びます。
91369 Biobusiness (バイオビジネス):
食品科学技術をビジネスとして展開するための知識(市場分析、資金調達、知的財産など)を学び、イノベーションを社会実装する力を養います。サステナブルなビジネスモデルの構築にも繋がります。
91368 Bioreactors and Bioprocessing (バイオリアクターと生物プロセス):
微生物や酵素を利用した有用物質生産(発酵食品、機能性成分など)の原理と技術を学び、バイオテクノロジーの食品への応用を探求します。
91178 Applications of Molecular Biology (分子生物学の応用):
分子生物学の知識を、食品の品質改良、検査技術、遺伝子組換え技術の理解など、具体的な応用例を通じて深めます。
選択科目:
自身の興味やキャリア目標に合わせて、食品科学のより専門的な分野、関連する他分野(例:環境科学、ビジネス、データサイエンスなど)、あるいは学際的なプロジェクト科目を選択し、学びをカスタマイズできます。これにより、持続可能な食料生産システムといった特定のテーマを深掘りしたり、産業界との連携プロジェクトに参加したりする機会も得られるでしょう。

Bachelor of Food Science and Technology 入学要項


コース名Bachelor of Food Science and Technology
期間3年間
入学2月、7月
学費A$48,290/年間(約459万円)※2025年度
英語 ・IELTS Academic overall 6.5(ライティングセクション 6.0)/TOELFibt 79−93(ライティング21)
または
・UTSカレッジの進学準備英語コースAE5を規定レベルで卒業すること
出願条件 ・日本の大学1年次修了または日本の高校卒業資格+大学入学共通テスト試験結果(7科目)

シドニー工科大学(UTS)の奨学金
シドニー工科大学(UTS)では現在、2026年度にコースを開始する留学生を対象とした奨学金を提供しています。授業料が30%オフなる奨学金、授業料が15%オフなる奨学金の2つがあります。詳しくは[2025〜2026年]UTSカレッジ、シドニー工科大学(UTS)の奨学金ページをご覧ください。

出願に向けての準備



1. まずは英語試験を受けましょう

まずはIELTS(アイエルツ)試験を受験しましょう。日本では下記3つの機関がIELTS試験を開催しています。

日本英語検定協会

http://www.eiken.or.jp/ielts/
JSAF

http://www.jsaf-ieltsjapan.com/?p=431
IDP Education

https://ieltsjp.com/
2. 出願に必要な書類を準備しましょう

出願には下記4点の書類が必要となります。IELTSの受験が終わったらこちらの4点を揃えて担当カウンセラーにご提出ください。

  • 最終学歴の卒業証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
  • 最終学歴の成績証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
  • 職務経歴書(英文) ※職歴をお持ちの方
  • 在職証明書(英文) ※職歴をお持ちの方
  • IELTS(Academic)またはTOEFLスコア結果
  • パスポートコピー
3. 出願手続きスタート

最後に、オンライン申込みフォームを送信してください。その後、正式にシドニー工科大学(UTS)への出願手続きをスタートします。

留学相談&お問い合わせ先


当社オーストラリア留学センターはシドニー工科大学を含め全豪29大学の公式出願窓口となっており、ご相談から出願手続き、更に現地サポートまで全て無料で提供しております。


お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください
※備考※
・本記事は2025年5月現在の情報に基づいており、コース概要や入学基準は変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2025年度学費をご案内しております。
・日本円は弊社が取得できる最新の送金レート(A$1=99円) で換算しており、実際はお支払い時にご利用の金融機関の為替レートが適用されます。





CRICOS Provider No: 00099F

豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号G175)
シドニー滞在歴15年を経て、現在東京オフィスで留学コンサルタントとして 皆さんのオーストラリア留学実現へ向けてサポートしています! 現地での滞在・進学経験を踏まえて、皆さんのご留学へむけての不安を解消して安心して出発の日を迎えられるよう、アドバイスしています。 まずはお気軽にご相談下さい! このカウンセラーに質問する

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