オーストラリアで学ぶ国際援助・開発学

4人に1人が海外生まれという多民族国家オーストラリアは、世界の様々なバックグラウンドを持つ人々が生活する世界の縮図ともいえる様相を呈しています。
そんな多民族国家・多文化社会であるオーストラリアで「国際学」を学ぶ意義は大きくその教育と研究が盛んに行われています。将来、安全保障、外交政策、発展途上国の開発と教育支援・・・などのキャリアを目指す方にお勧めの学問です。
オーストラリアの大学で学べる「国際学」コースは、は主に3つの学問分野(専攻)に分けられます。
国際関係学とは? International Relations | 国と国との関係や安全保障問題、外交政策の意思決定等、政治学を中心とした学問分野 →詳しくはコチラ |
開発学とは? Development Studies | 発展途上国の社会開発をメインとした分野で、貧困問題や格差の解決を目指す学問分野 |
平和学とは? Peace/Conflict Studies | 紛争が起こる背景や原因を学び、社会的・政治的な課題を検証しながら武力に頼らない紛争回避と平和維持の重要性を学ぶ学問分野 |
本記事では、3分野の中からオーストラリアの大学で学ぶ
開発学について詳しくご紹介します。
オーストラリアの大学で学ぶ国際援助・開発学
オーストラリアは、その地理の関係上、アジア太平洋地域を中心に活発に国際援助を行っている国です。
2014年には、激しく変化する発展途上国の現状を踏まえ、「Promoting Prosperity」「Increasing Stability」「Reducing Poverty」の3つの政策を掲げ、オーストラリアの援助がより効果的に貧困削減につながるように動き始めました。また、オーストラリアの大学もアジア太平洋地域の人たちへの奨学金を数多く設定しており、官学あげての支援を行っています。
また、コロナ禍を経て「Partnerships for Recovery」として、近隣諸国の持続可能な形でのコロナからの回復を掲げ、特にヘルスセキュリティ、安定性と経済回復の分野をサポートをすることを発表しています。
オーストラリアの開発学コース、特に大学院では、開発学について全般的に学べるコースもあれば、テーマごとに重点を置いている大学もあります。
例えば、こちらのような専門が開講されています。
・パブリックヘルス
・サスティナビリティ
・リーダーシップ
・コミュニティ開発
・ジェンダー
・政策・ポリシー・ガバナンス
・自然災害
・紛争・内戦
・開発経済学 等々
オーストラリアで開発学を学べるオーストラリアの大学(学士)・大学院(修士)をご紹介いたします。
オーストラリア国立大学 Australian National University
オーストラリア国立大学は、オーストラリアの開発学のトップを走る大学であり、特に修士課程では多様な開発学コースを開講しています。
学士課程ではアジア学や太平洋地域の開発、開発学にプラスしてより幅広く勉強をしたい場合は人文社会学のBachelor of Artsの専攻として学ぶことができます。
修士課程は開発経済学、太平洋地域の開発、文化人類学と参加型開発、公共政策分野での開発ポリシーのコースが開講されており、専門分野に応じて選ぶことができます。
オーストラリア国立大学で開発学を学べる修士号の詳細は「
オーストラリア国立大学大学院で学ぶ開発学」をご覧ください。
Bachelor of Asian Studies
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$45,060(約442万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT80(RW20, SL18以上) |
入学条件 |
ファウンデーションコースから進学 or IB Diploma:29 |
Bachelor of Pacific Studies
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$45,060(約442万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT80(RW20, SL18以上) |
入学条件 |
ファウンデーションコースから進学 or IB Diploma:29 |
Bachelor of Arts – Development Studies
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$44,578(約439万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT80(RW20, SL18以上) |
入学条件 |
ファウンデーションコースから進学 or IB Diploma:29 |
Master of International and Development Economics
期間 |
バックグラウンドによって1年, 1.5年, 2年 |
学費 |
年間A$48,035(約472万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT80(RW20, SL18以上) |
入学条件 |
・学士号をGPA5.0/7.0以上の成績で終了 or
・学士号をGAP4.0/7.0以上の成績で修了+3年以上の関連した分野での職務経験 or
・10年以上の関連した分野での職務経験 等 |
Master of Environmental Management and Development
期間 |
バックグラウンドによって1年, 1.5年, 2年 |
学費 |
年間A$50,760(約497万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT80(RW20, SL18以上) |
入学条件 |
・学士号をGPA5.0/7.0以上の成績で終了 or
・学士号をGAP4.0/7.0以上の成績で修了+3年以上の関連した分野での職務経験 or
・10年以上の関連した分野での職務経験 等 |
Master of Pacific Development
期間 |
1年 |
学費 |
年間A$50,760(約497万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT80(RW20, SL18以上) |
入学条件 |
関連した学士号をGPA5.0/7.0で修了 or 学士号をGPA4.0/7.0で修了+5年以上の関連分野での職歴 or 10年以上の関連分野での職歴。 |
Master of Applied Anthropology and Development
期間 |
1年 |
学費 |
年間A$48,035(約471万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT80(RW20, SL18以上) |
入学条件 |
関連した学士号をGPA5.0/7.0で修了。 |
Master of Public Policy in Development Policy
期間 |
2年 |
学費 |
年間A$50,760(約497万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT80(RW20, SL18以上) |
入学条件 |
学士号の修了+関連分野での3年以上の職歴。 |
メルボルン大学 University of Melbourne

オーストラリアのトップ大学の1つ、
メルボルン大学。開発学を含む人文社会学の分野でも評価が高い大学です。
開発学では、政治・経済・文化・環境・ヘルスケア等、幅広い分野からご自身のご興味分野に応じて専門を絞り、科目を選ぶことができます。特にジェンダーに関する専門があり、開発・貧困とジェンダーの役割について専門性を高めることができます。
また、メルボルン大学は、UNIVERSITAS 21と呼ばれる国を超えた学術リサーチネットワークを持っており、UNIVERSITAS 21のインターンシッププログラムや開発分野におけるリーダーシップイベント等に参加をするチャンスもあります。
詳しくは
メルボルン大学大学院で学ぶ開発学をご覧下さい。
なお、学士号では人文社会学系の
Bachelor of Artsの副専攻として開発学を学ぶことができます。
Master of Development Studies
期間 |
バックグラウンドによって1年, 1.5年, 2年 |
学費 |
年間A$42,528(約417万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT79(W21, S18, RL13以上) |
入学条件 |
[2年]分野を問わず学士号を70%以上の成績で修了。
[1.5年]関連分野の学士号を70%以上の成績で修了 or 学士号を70%以上の成績で修了+1年以上の関連分野での職歴。
[1年]関連分野の学士号を70%以上の成績で修了+2年以上の関連分野での職歴。 |
クイーンズランド大学 University of Queensland
クイーンズランド大学は、オーストラリアのトップ8大学の1つ、世界大学ランキングでもトップ50位以内にランクされる大学です。
学士コースでは、「Social Science(社会科学)」と、交換留学がカリキュラムに含まれる「International Studies(国際学)」のコースの専攻として、開発学を学ぶことができます。特にコミュニティ開発等に興味がある場合は、Social Scienceがおススメです。
Bachelor of Social Science – Development
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$33,888(約332万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT87(LRS19, W21以上) |
入学条件 |
ファウンデーションコースから進学 or IB Diploma:27 |
Bachelor of International Studies – International Inequality and Development
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$41,120(約403万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT87(LRS19, W21以上) |
入学条件 |
ファウンデーションコースから進学 or IB Diploma:30 |
※International Studiesは2月入学のみです。
Master of Development Practice→2024年は開講されません
西オーストラリア大学 University of Western Australia

パースにあるトップ8大学の1つ、
西オーストラリア大学では、複雑に絡み合う開発援助問題に対して、多角的アプローチを取ることができる開発学コースを開講しています。
詳しくは、
多角的アプローチで学ぶ開発学 西オーストラリア大学大学院もご覧下さい。
Master of International Development
期間 |
バックグラウンドによって1.5年, 2年 |
学費 |
年間A$39,700(約389万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT82(W20, R18, SL20以上) |
入学条件 |
分野を問わず学士号を50%以上の成績で修了。関連した分野の学士号を修了の場合、最大24単位(4科目)の単位免除の可能性もあります。
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アデレード大学 University of Adelaide

アデレードにキャンパスを持つトップ大学の1つ、
アデレード大学は、学士号では、インドネシアやベトナムへのスタディツアーの科目が設定されていたり、実際のデータを使って問題解決のための開発プログラムの策定等、実践的なカリキュラムとなっています。
学士号コースでは、人文社会学系のBachelor of Artsの専攻として開講されていることも多いのですが、アデレード大学では専攻ではなくコースとして開発学を設定おり、同分野には力を入れています。
Bachelor of International Development
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$40,500(約397万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT79(RL13, S18, W21以上) |
入学条件 |
ファウンデーションコースから進学 or IB Diploma:25 |
Master of International Trade and Development→2024年以降開講しません
近い分野を学びたい場合は、Master of Economics and Resource Policy – specialisation International Tradeが候補となります。
ジェームスクック大学 James Cook University
ジェームスクック大学(JCU)では修士号で開発学コースが開講されており、ケアンズキャンパスで学びます。
JCUは、国連の17の持続可能な開発目標を定めたSustainable Development Goals (UN SDGs)への取り組みで、806のパートナー機関の中で1位の評価*を受けており、ご興味に応じてフォーカスする分野を選ぶことができます。
また、特に、アジア太平洋・熱帯地域との結びつきが強く、関連機関へのインターンシップの科目も開講されています。
*The Times Higher Education Ranking 2020より
Master of Global Development
専門 |
– Disaster resilience and natural resource management
– Public health
– Sustainable development planning and policy
– Indigenous futures
– Governance and social change
– Leadership and management for development
– The development researcher |
期間 |
バックグラウンドによって1年, 1.5年, 2年 |
学費 |
年間A$32,960ドル(約323万円) |
英語 |
IELTS6.0(各セクション6.0以上), TOEFL iBT74(各セクション18以上) |
入学条件 |
[2年]分野を問わず学士号の修了。
[1.5年]関連分野の学士号の修了。
[1年]関連分野のHonoursもしくはGraduate Diplomaの修了。 |
詳しくは「
ジェームズクック大学で国際開発学を学ぶ(修士課程)」をご覧下さい。
グリフィス大学 Griffith University
グリフィス大学のNathan Campus(ネイサンキャンパス)で開講されている開発学コースは、国連のSustainable Development Goalsに対応する形で発展しました。
特にグリフィス大学では、経済発展、人権、環境と災害、ヘルス、法と政策についての専門を開講しています。
Master of Global Development
専門 |
– Development Economics
– Human Rights and Development
– Climate Change and Disaster Management
– Health and Development
– Law, Politics and Planning |
期間 |
バックグラウンドによって1年, 1.5年, 2年 |
学費 |
年間A$35,000(約343万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT79(各セクション19以上) |
入学条件 |
[2年]分野を問わず学士号をGPA4.0/7.0以上の成績で修了。
[1.5年]関連分野の学士号を修了。
[1年]関連分野のHonoursまたはGraduate Diplomaを修了。 |
サンシャインコースト大学 University of the Sunshine Coast
現在入学受付を停止しています。
サンシャインコースト大学の開発学コースの特徴は、開発分野に関する実際のプロジェクトやリサーチに関わることができ、学問的な知識と実際の場での経験を身につけることができます。
また、平和、人権、ガバナンス、経済発展、教育等の開発援助の重要ポイントを学ぶと同時に、マネジメントや組織論、プロジェクトマネジメント等を選択科目で勉強することがき、開発分野でのリーダーシップスキルも学べます。
学士号ではBachelor of Artsの副専攻として、開発学を学ぶことができます。
Master of International Development
ラ・トローブ大学 La Trobe University

メルボルンの
ラ・トローブ大学の開発学では、オックスファムや赤十字、WHO、国連等で経験を持つ講師陣をそろえており、学問的な内容はもちろん、開発分野での実際についても学ぶことができます。
学士号ではBachelor of Artsの専攻として、「International Studies」や「Sustainability and Development」で開発学を学ぶことができます。
修士号では「Australian Internships and Placements」や「International Internship and Study Abroad」といった、インターンシップ系の科目も開講されています。
Bachelor of Arts – International Studies, Sustainability and Development
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$32,600(約319万円) |
英語 |
IELTS6.0(各セクション6.0以上), TOEFL iBT64(R13, L12, S18, W21以上) |
入学条件 |
高校の成績によっては大学直接入学が可能 or
ファウンデーションまたはDiplomaからの進学 or
IB Diploma:24 |
Master of International Development
専門 |
– Advanced Research
– Community Inclusion and Public Health
– Economic Management
– Leadership and Practice
– Security and Governance
|
期間 |
2年 |
学費 |
年間A$36,800(約351万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT79(R13, L12, S18, W21以上) |
入学条件 |
分野を問わず学士号の修了。関連分野の学歴や職歴に応じて1年・1.5年に期間短縮の可能性もあります。 |
RMIT大学 Royal Melbourne Institute of Technology
RMIT大学では、学士号と修士号で開発学を開講しています。
学士号では理論と実践経験を重視して将来的なキャリアにつなげるために、グローバルキャリア教育やインターンシップ等の科目も開講されています。
修士号では4つの専門が開講されており、産業界とのコネクションを活かしてリサーチプロジェクトやインターンシップ等の機会も提供しています。
Bachelor of International Studies – Development
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$33,600(約329万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT79(R13, L12, S18, W21以上) |
入学条件 |
高校の成績によっては大学直接入学が可能 or
ファウンデーションからの進学 or
IB Diploma:25 |
Master of Global Studies
専門 |
– Development
– Urban Sustainability
– Security
– Crisis Management and Disaster Response
|
期間 |
2年 |
学費 |
年間A$36,480(約358万円) |
英語 |
IELTS6.5(各セクション6.0以上), TOEFL iBT79(R13, L12, S18, W21以上) |
入学条件 |
分野を問わず学士号の修了。 |
ディーキン大学 Deakin University
ディーキン大学では、学士と修士で開発学系のコースが開講されています。
学士号はinternational experienceとして、交換留学、海外でのインターンシップ、豪内の国際機関でのインターンシップ等、いずれかの参加が必須科目として提供されています。
Bachelor of International Studies
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$33,000(約323万円) |
英語 |
IELTS6.0(各セクション6.0以上), TOEFL iBT69 |
入学条件 |
ファウンデーションからの進学 or
IB Diploma:25 |
マードック大学 Murdoch University

パースの
マードック大学は、国際系分野の研究を活発に行っている大学です。また、オーストラリアで一番の敷地面積を誇る大学で、自然豊かな環境で勉強をすることができます。
学士号の開発学コース詳細は、「
マードック大学で学ぶ国際援助・開発学」をご参照ください。
修士号では、非営利団体の運営やリーダーシップ、政策的視点から学べる科目等も開講されており、個人のご興味に応じてアプローチを決めることができます。
Bachelor of Arts – International Aid and Development
期間 |
3年 |
学費 |
年間A$$28,680(約281万円) |
英語 |
IELTS6.0(各セクション6.0以上), TOEFL iBT73(各セクション18以上) |
入学条件 |
高校の成績によっては大学直接入学が可能 or
ファウンデーションからの進学 or
IB Diploma:24 |
Master of Development Studies
期間 |
学歴や職歴に応じて1~2年 |
学費 |
年間A$30,840(約302万円) |
英語 |
IELTS6.0(各セクション6.0以上), TOEFL iBT73(各セクション18以上) |
入学条件 |
分野を問わず学士号を修了していること。 |
お問い合わせはこちら
将来、国際NGOや国際機関等で開発分野に携わるキャリアをお考えの方は、オーストラリアの大学・大学院で学んでみませんか?
上記大学以外にも開発学を学べる大学はあり、学力、英語力、希望内容、ご予算など詳しくお伺いしたうえで、皆様のご希望に合う大学をご紹介しております。オーストラリアの開発学コースへの進学にご興味のある方は、お気軽に
お問い合わせ下さい。
お問い合わせ時にこちら情報をお伝えいただけますと、より具体的にご相談いただけます。
[学歴]高校生・高卒の方は高校の成績、大学・大学院を卒業されている、もしくは卒業予定の方は大学・大学院での専門、成績、卒業(予定)年月
[職歴]お持ちの場合は在職期間(年月~年月)と主な職務内容
[英語力]IELTS(アカデミック)やTOEFL iBT等お持ちの場合は合計得点と各セクション(RWSL)の得点
ご注意点
※ご参考の日本円は1ドル=98円換算としております。
※上記は2023年9月21日現在、各大学から発表されている情報となっており、今後予告なく変更されることもございます。
※授業料は科目の取り方によって変わりますので、ご参考費用としてご覧ください。