オーストラリアで薬剤師

薬剤師(Pharmacist)とは


薬剤師は、医調剤、医薬品の供給、医薬事衛生の管理、公衆衛生の向上、国民の健康な生活の確保に貢献する重要な役割を担っている薬品の専門家です。
ここオーストラリアでは、たいへん人気の職種で、人気の理由は「安定した仕事(需要)」と「平均よりも高い給与」 などがあげられます。

目次

薬剤師(Pharmacist)になるために

オーストラリアで薬剤師(Pharmacist)としての資格を取得する場合、オーストラリアの大学・大学院にて薬学コースを修了するのが第1歩になります。

ただし、どの大学の薬学コースを受講しても良いわけではありません。オーストラリア薬学評議会であるAPC(Australian Pharmacy Council)によって認定された大学のコースを修了する必要があります。

なお、薬剤師の職業評価は他の職種よりも厳しく、Pharmacy Board Australia(薬剤師資格登録機関)の査定は下記のような形で進みます。

STEP 1
オーストラリアでAustralian Pharmacy Council 認可済みのコース(学士号または修士号)を修了
STEP 2 (以下3つを全て)
Provisional Registration(暫定登録の申請) インターン先の指導薬剤師(プリセプター)と施設の承認申請 Internship Training Program へ申請申込み
STEP 3
指導薬剤師の監督(Supervised)のもとインターンシップ(1,575時間以上)
STEP 4
口頭と筆記による Pharmacy Board of Australia’s registration exam (登録試験)を受験
STEP 5
試験に合格後、オーストラリアの薬剤師登録

上記のように、コース終了後に 1年間のインターン経験を積む必要があります。
インターン先はどこでも良いわけではありません。プリセプターと呼ばれる指導薬剤師と施設の承認をAPCから得る必要があります。
同時に、Internship Training Program(ITP)と呼ばれるトレーニングプログラムの受講も必要になります。

資格取得後の薬剤師(Pharmacist)は医療関連の職場に就くことが一般的で、現在、最も就職率が高い(受け入れ数が多い)のは州立病院であり、次に個人開業医、民間医療センター、私立病院、教育機関、政府関連機関、介護関連企業が続きます。

永住権やビジネスビザについては弊社でアドバイスすることはできかねるため、必要な方はビザエージェントにご相談ください。

薬学(Pharmacist)コースに進むための英語力(入学資格)

Bachelor(学士)で、IELTS Academic Overall 6.5(各6.0)以上、Master(修士)で IELTS Academic Overall 7.0ポイントが必要となります。
大学/大学院へ進学するための英語力はもちろんですが、Pharmacy Board of Australia の査定合格条件としてIELTS All 7.0ポイント(各セクション7.0)以上が必要なため、英語力はあればあるだけ良いということになります。

指導薬剤師の監督下の インターンシップ/実務研修(1,575時間以上)


コース終了後は、指導薬剤師の監督下でインターンシップの実務研修が必要です。
後述する ITP がコース期間に含まれる大学(シドニー大学、南オーストラリア大学、モナッシュ大学)以外の学生は、まずは インターン先を探すことから始まります。
大学のキャリアセンターで相談するのが一般的ですが 早めに動いて インターン先(指導薬剤師と施設の承認)を探すのが大事なポイントです。学生によっては、コース履修中の実習先でお願いする人もいますし、各求人サイト(Pharmacy Internship Jobなどで検索)から応募など様々です。Australasian College of Pharmacy(オーストラリア・ニュージーランド薬学会)のウェブサイトには 各州の Intern Positions なども検索できます。

Intern Training Program(ITP)

コース終了後は、指導薬剤師の監督下でインターンシップの実務研修が必要ですが、それとは別に Intern Training Program(ITP)を受ける必要があります。この Intern Training Program(ITP)は、通常1年間が受講期間になり、最終試験(筆記試験と口頭試験)への合格に向けての 準備やサポートを受けることができます。

現在、APCが認可している Intern Training Program(ITP)を受講できる機関は下記の「6つ」のみになります。

・The University of Sydney(シドニー大学)
・University of South Australia(南オーストラリア大学)
・The University of Queensland (クイーンズランド大学)
・Monash University(モナッシュ大学)
・Pharmaceutical Society of Australia(オーストラリア製薬協会)
・Australasian College of Pharmacy(オーストラリア・ニュージーランド薬学会)

シドニー大学、南オーストラリア大学、クイーンズランド大学、モナッシュ大学以外の大学で薬学コースを修了した方は、オーストラリア製薬協会やオーストラリア・ニュージーランド薬学会が主催する Intern Training Program(ITP)を受講することになります。

一般的には、学士号や修士号が修了後に、このITPを受講しますが、コース期間に 指導薬剤師によるインターン実習 + Intern Training Program(ITP)が含まれている大学もあります。

インターン実習 と ITP がコース内に含まれている大学

オーストラリアで 3つの大学(シドニー大学、南オーストラリア大学、モナッシュ大学)が、ITP を含んだコースを提供しています。

これらの大学は、上記の APC(Australian Pharmacy Council)より Internship Training Program を提供している大学として認可を得ているので、コースと並行してITP受講が可能になっています。コースは、5年間で 学士号(4年)+修士号(1年)です。 修士号で、指導薬剤師によるインターン実習とITPを並行して1年間の受講が含まれています。

ただ、これらの大学の Combined Degree は、出願競争率がたいへん「高い」コースなので、早めの出願が大事なポイントになります。

シドニー大学
Bachelor of Pharmacy (Honours) / Master of Pharmacy Practice (Combined Degree)
[入学] 2月のみ
[期間] 5年間
[学費] 2025年 年間 A$ 57,700 (日本円で約571万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 7.0)
[都市] シドニー
[条件] 以下のいずれか
・IB Diploma 31 以上
・シドニー大学の Foundation コースを規定成績で修了
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です
[特記] 同コースは、指導薬剤師の監督によるインターン実習 + Internship Training Program が含まれています。
詳細:https://www.sydney.edu.au/medicine-health/study-medicine-and-health/study-areas/pharmacy/combined-pharmacy-degrees.html



南オーストラリア大学
Bachelor of Pharmacy (Honours) / Master of Pharmacy(Combined Degree)
[入学] 2月、7月*
[期間] 5年間
[学費] 2025年 年間 A$ 46,200(日本円で約457万円)
[英語] IELTS Academic Overall 6.5(各スキル 6.5)
[都市] アデレード
[条件] 以下のいずれか
・IB Diploma 29 以上
・附属カレッジ SAIBT Diploma of Health を修了(1年次後期に編入可)
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です
[特記] 同コースは、指導薬剤師の監督によるインターン実習 + Internship Training Program が含まれています。


モナッシュ大学でもAPCのITP認可コースを開講していますが弊社では契約がないためご案内できません。あらかじめご承知ください。

ITP を提供している大学

クイーンズランド大学もAPCの認定する Pharmacy Intern Training Program (ITP) に指定されています(QLD州で唯一です)。
ただし、クイーンズランド大学では、インターン実習 と ITP を含んだ Combined Degree コースは開講していませんので コース就学中にITPを受けるということができません。この場合、他の大学と同様 Bachelor コースを終了後、卒業生ビザにてインターン実習 と ITP の受講という流れになります。

薬学を学べる 大学・大学院(Pharmacy Board Australia 認可)

オーストラリア薬学評議会であるAPC(Australian Pharmacy Council)によって認定された大学のコースは多くはありません。

以下は、全て APC(Australian Pharmacy Council)認可済みの大学となります。

学士号

薬学の学士号 Bachelor of Pharmacy(Honous)で4年間です。
日本の高校卒業の場合、基本的には Foundation または Diploma などのコースを経由して、大学1年次へ進学しますので 4.5〜5年の就学期間になります。
なお、高校が理系、優秀な成績(履修科目で数学、化学など必須)なら、ダイレクトに入学できる可能性のある大学もあります。

カーティン大学
Bachelor of Pharmacy (Honours)
[入学] 2月
[期間] 4年間
[学費] 2025年 年間 A$ 40,054(日本円で約397万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 7.0)
[都市] パース
[条件] 下記のいずれか
・IB Diploma 29 以上
・日本の大学1年次修了以上
・附属 Curtin College Diploma of Health Sciences を修了(1年次後期に編入可)
[出願] 年4回の出願ラウンド(6月、8月、10月、12月)にて査定

グリフィス大学
Bachelor of Pharmacy / Bachelor of Pharmacy(Honours)
[入学] 2月
[期間] 4年間
[学費] 2025年 年間 A$ 41,500(日本円で約411万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 6.5)
[都市] ゴールドコースト
[条件] 下記のいずれか
・IB Diploma 28 以上
・日本の高校3年をGPA 4.6/5.0以上で修了(数学を履修済みを推奨)
・附属 Griffith College Diploma of Health Sciences を修了(1年次後期に編入可)
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

ジェームズクック大学
Bachelor of Pharmacy(Honours)
[入学] 2月
[期間] 4年間(3年間のFast Trackあり:学費は4年分)
[学費] 2025年 年間 A$ 41,240(日本円で約408万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 6.5)
[都市] ケアンズ、タウンズビル
[条件] 下記のいずれか
・IB Diploma 32 以上
・附属 JCU Diploma of Higher Education を修了
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

クイーンズランド工科大学
Bachelor of Pharmacy(Honours)
[入学] 2月
[期間] 4年間
[学費] 2025年 年間 A$ 42,700(日本円で約423万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 6.5)
[都市] ブリスベン
[条件] 下記のいずれか
・IB Diploma 30 以上
・日本の高校3年を修了 + SATスコア 1240以上
・附属 QUT College の Foundation Program を修了
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

クイーンズランド大学
Bachelor of Pharmacy(Honours)
[入学] 2月、7月
[期間] 4年間
[学費] 2025年 年間 A$ 53,760(日本円で約532万円)
[英語] IELTS Academic Overall 6.5(各スキル 6.0)
[都市] ブリスベン
[条件] 下記のいずれか
・IB Diploma 28.75 以上
・附属 UQ College の Foundation Program を修了
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

ラトローブ大学
Bachelor of Pharmacy(Honours)
[入学] 3月
[期間] 4年間
[学費] 2025年 年間 A$ 47 400(日本円で約469万円)
[英語] IELTS Academic Overall 6.5(各スキル 6.5)
[都市] メルボルン
[条件] 下記のいずれか
・IB Diploma 28 以上
・日本の高校3年を GPA 4.5/5.0 以上修了
・附属 La Trobe College の Foundation Studies を修了
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

RMIT大学
Bachelor of Pharmacy(Honours)
[入学] 2月, 7月
[期間] 4年間
[学費] 2025年 年間 A$ 46,080(日本円で約456万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 6.5)
[都市] メルボルン
[条件] 下記のいずれか
・IB Diploma 25 以上
・日本の高校3年を GPA 3.0/5.0 以上修了
・RMIT Associate Degree in Applied Science を修了
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

タスマニア大学
Bachelor of Pharmacy(Honours)
[入学] 2月
[期間] 4年間(3年間のAccelerated あり:学費は4年分)
[学費] 2025年 年間 A$ 40,450(日本円で約400万円)
[英語] IELTS Academic Overall 6.5(各スキル 6.0)
[都市] ホバート、ロンセストン
[条件] 下記のいずれか
・IB Diploma 25 以上
・日本の高校3年を GPA 3.0/5.0 以上修了
・附属 International Pathway College の Foundation Studies を修了
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

南オーストラリア大学
Bachelor of Pharmacy (Honours)
[入学] 2月、7月*
[期間] 4年間
[学費] 2025年 年間 A$ 46,200(日本円で約457万円)
[英語] IELTS Academic Overall 6.5(各スキル 6.5)
[都市] アデレード
[条件] 以下のいずれか
・IB Diploma 29 以上
・附属カレッジ SAIBT Diploma of Health を修了(1年次後期に編入可)
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

シドニー大学
Bachelor of Pharmacy (Honours)
[入学] 2月のみ
[期間] 4年間
[学費] 2025年 年間 A$ 57,700 (日本円で約571万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 7.0)
[都市] シドニー
[条件] 以下のいずれか
・IB Diploma 31 以上
・シドニー大学の Foundation コースを規定成績で修了
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

修士号

APCより認可を受けている 修士号は以下の大学院になります。
全ての大学にて 学士号での履修分野(履修科目)の前提条件があります。また大学によってはインタビュー(面接)、Statement of Purpose(志望理由書)の提出も求められます。

シドニー工科大学
Master of Pharmacy
[入学] 2月のみ
[期間] 2年間
[学費] 2025年 年間 A$ 63,720 (日本円で約631万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 7.0)
[都市] シドニー
[条件] [条件] 以下の項目全て
・日本の大学にて学士号を修了
以下の科目を履修(10年以内)しており、シラバス(英語版)を提出すること。
pharmacology 1科目
chemistry 2科目
biochemistry 1科目
human physiology 1科目
mathematics または statistics 1科目
・Statement of Purpose(志望理由書)の提出
・必要に応じてインタビュー有り
[出願] 定員になり次第、締切の「先着順」です

グリフィス大学
Master of Pharmacy
[入学] 2月、7月
[期間] 2年間
[学費] 2025年 年間 A$ 40,000(日本円で約396万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 6.5)
[都市] ゴールドコースト
[条件] 以下の項目全て
・日本の大学にて関連する学士号(Science or Health Science)を GPA 5.0/7.0 以上で修了(過去10年以内)
以下の科目を履修しており、シラバス(英語版)を提出すること。
Chemistry: 2学期以上の期間
Biochemistry: 1学期以上の期間
Pharmacology: 1学期以上の期間
Physiology: 1学期以上の期間
Statistics or Maths: 1学期以上の期間
[出願] 10月31日締め切り

チャールズダーウィン大学
Master of Pharmacy
[入学] 2月
[期間] 2年間
[学費] 2025年 年間 A$ 46,044(日本円で約456万円)
[英語] IELTS Academic Overall 6.5(各スキル 6.0)
[都市] ダーウィン
[条件] 以下の項目全て
・日本の大学にて学士号(学部不問)を GPA 5.0/7.0 以上で修了(過去10年以内)
以下の科目を履修しており、シラバス(英語版)を提出すること。
Organic chemistry
Inorganic chemistry
Mathematics or statistics
[出願] 10月31日締め切り

西オーストラリア大学
Master of Pharmacy
[入学] 1月
[期間] 2年間
[学費] 2025年 年間 A$ 48,600(日本円で約481万円)
[英語] IELTS Academic Overall 7.0(各スキル 7.0)
[都市] パース
[条件] 以下の項目全て
・日本の大学にて学士号(学部不問)を WAM 65% 以上で修了(過去10年以内)
以下の科目を履修しており、シラバス(英語版)を提出すること。
Chemistry
Mathematics OR Statistics
Microbiology
Pharmacology
[出願] 3月1日受付開始〜8月31日締め切り

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・本記事は2024年10月現在の情報に基づいており、入学条件基準、学費、などは変更されることもございますのでご留意ください。
・Pharmacy Board of Australia の登録査定、及び Australian Pharmacy Councilの認定大学コースも随時見直しが行われますのでご留意ください。

豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号I009)
オーストラリア歴は24年目になりました。QLD州、NSW州、SA州の主要都市で仕事と生活していましたので、都市の違いから皆さまの目的に沿ったベストなアドバイスを心がけています。 このカウンセラーに質問する

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