オーストラリアで会計士を目指す
世界中で常に需要の高い職業「会計士(Accountant)」。オーストラリアでも人気の高い職業の1つで、ほとんどの大学で会計学を学ぶことができます。また、オーストラリアでCertified Practicing Accountant (CPA)などの「公認会計士(Certified Accountant)」の資格を取得すれば、ニュージーランドやシンガポールなどオーストラリア以外の国で、公認会計士として働くチャンスもあります。
会計士(Accountant)とは?
オーストラリアの大学・大学院進学を目指している方の中には、コースを選ぶ際に、将来どんな仕事につけるのかを重視する人も多いと思います。会計学を学んだ人が就く職業といえば、会計士(Accountant)ですが、大きく分けて2つの職業を含みます。
1つは「
公認会計士(Certified Accountant)」。日本語の「会計士」は、こちらを指すのが一般的です。働く国の法律に沿った資格を保有し、会計法の専門家として、法人・個人を含む様々な人を顧客に簿記や税務関係のアドバイス、タックスリターン、法理、企業監査、決算手続き、ビジネスコンサルティング、M&Aなどの様々なサービスを提供します。
もう1つは「
企業内の会計担当」。従業員として一つの会社の会計専門部署などで働くことです。資格職ではないため、大学卒業後すぐに就ける職業です。
昨今、AIに代替される職業として名前が挙がることもある「会計士(Accountant)」。確かに帳簿管理などの経理事務は定型業務が多くAIに代替されやすい職業と言えますが、専門的な知識やスキルを身につけることで提供できる複合的で多角的な視点を持った会計サービスは、AIに代替されにくい仕事と言えます。
このページでは、オーストラリアの公認会計士(Certified Accountant)になるステップを中心にご紹介します。
※卒業後の進路については
こちらもご参照ください。
会計学を学ぶために必要なスキルとは?
大学・大学院進学のカウンセリングの中で、「会計学に興味があるけど、自分は数学が苦手だから会計学を専攻するのは不安です」という相談を受けることがあります。確かに会計学を学ぶ上で、計算が全くできないとなると問題です。簿記などの内容を理解する上で数式などの知識は必要ですが、実際の計算はほとんど会計ソフトを使って行うため、実際に計算することは少なくなっています。では、計算以外にどのようなスキルが求められるのでしょう?
会計学には数字を処理する簿記から財務分析までの「数字を正しく理解する」という側面と、会計法や倫理など「法律上正しい判断ができるか」という側面があります。つまり、「数字を処理して終わり」ではなく、そこから情報を読み取る知識やスキル、読み取った情報を使ってお客様がビジネスや資産を向上させていけるよう、また、法律などと照らし合わせ「正しいか/正しくないか」「できるか/できないか」を判断しアドバイスするための知識やスキルを学ぶのが会計学です。
オーストラリアで公認会計士になるためには?
オーストラリアで公認会計士になるため(会計士資格を取得するため)には、具体的にどのような手順が必要になるのでしょう?
オーストラリアで公認会計士として認められるためには、オーストラリアの公認会計士団体による、査定に合格する必要があります。オーストラリアの公認会計士団体としては、*1
CPA、*2
ICAA、*3
IPAなどがありますが、CPA会員(公認会計士)を目指す方が多いです。会社法に基づく法定監査などはCA(勅許会計士)のみとなるため、オーストラリアのBig4(4大会計事務所)に就職し監査などに従事したい方は、ICAAの査定によるCA(勅許会計士)取得を目指すことになります。
査定の方法は各公認会計士団体によって若干の違いがありますので、ここでは、多くの留学生が目指す
CPA 会員(公認会計士)になるためのステップをご紹介します。
ステップ1:準会員(Associate Member)になる
準会員になるには2つの方法があります。
①認定コースで会計学の学士号以上を取得する。
✔日本の四年制大学を卒業していない場合
⇒オーストラリアの会計学士コース(CPA認定)を修了(2~3年間で卒業)
※職歴などによって会計学修士コースまたは準修士コースに進学できる場合があります。
✔日本の四年制大学を卒業している場合
⇒オーストラリアの会計学士コース(CPA認定)に編入(約2年間で卒業)
⇒オーストラリアの会計修士コースまたは準修士コースを修了(1~2年間で卒業)
②Foundation Exam 6科目に合格する。
*CPA会員登録時には認定教育機関の学士以上の資格を有していることが求められます。
ステップ2:CPA Programを受講し、各科目の試験に合格する。
準会員になってから6年以内に必修科目4科目と選択科目2科目の合計6科目を受講し、それぞれ試験に合格する必要があります。1科目半年のプログラムで3年ほどかかります。複数科目を同時に受講し短い期間で終わらせることもできますが、仕事や実務経験のタスクも合わせて行う事が多いので、時間的に難しく、合格率も下がることから英語のネイティブスピーカーでも2科目以上受講する人は多くありません。
*Associate Member登録費用 年間A$341 (約3万円)、CPA Program費用 1科目あたりA$1,505 (約15万円)などがかかります。詳しくは
CPA Australiaのサイトにてご確認ください。
***Combined Postgraduate Degreeについて***
通常、CPA Programは大学卒業後に履修科目の査定を受け、準会員として登録してからオンラインで受講しますが、下記の認定コースを受講する場合は、大学院入学時もしくは所定の科目修了後に準会員として登録し、大学院でCPA Programの受講することができます。
大学名 |
コース名 |
カーティン大学 |
Master of Accounting / Master of Professional Accounting (CPA Australia Major)
①CPA Australiaの準会員として登録する。
②大学院の科目の一部としてそれぞれのCPA Programの科目を受講する。
③大学院やCPA Australiaの教材を使って学習する。
④CPA Program試験の申し込み手続きをする。
⑤各科目について、学期末にCPA Program及び大学院それぞれの試験を受ける。
⑥CPA Programの座学についてすべてのコンポーネントを修了し、修士号を得る。
|
マッコーリー大学 |
Master of Profissional Accounting (Specialisation in CPA Studies)
①CPA Australiaの準会員として登録する。
②大学院の科目の一部としてそれぞれのCPA Programの科目を受講する。
③大学院やCPA Australiaの教材を使って学習する。
④CPA Program試験の申し込み手続きをする。
⑤各科目について、学期末にCPA Program及び大学院それぞれの試験を受ける。
⑥CPA Programの座学についてすべてのコンポーネントを修了し、修士号を得る。
|
ニューサウスウェールズ大学 |
Master of Professional Accounting (Extention) / Graduate Diploma of Professional Accounting
※こちらの学校については、弊社ではご案内できません。ご希望の場合は、直接学校までご相談ください。
|
※CPA Australiaのリストにはタスマニア大学のMaster of Professional Accounting (Specialisation)が記載されていますが、2023年度以降の募集はありません。
※CPA AustraliaのリストにはRMIT大学のMaster of Professional Accountingが記載されていますが、2023年12月27日現在CPA Programは実施されておりません。
※オーストラリア国外にも同コースを実施している大学が4校ありますが、弊社ではご案内できません。ご希望の場合は、直接大学までご相談ください。
ステップ3:Mentor(CPA会員)の元で3年間の実務経験を積む
Mentor (CPA会員)の元で3年間実務経験を積み、この間に課される少なくとも10個のスキルをクリアします。MentorはCPA Australiaの会員であれば社外の方でも問題ありません(詳細は
CPA Australiaのウェブサイトをご確認ください)。つまり、オーストラリア国外でも実務経験を積むことは可能ですが、課されるスキルに対応する業務等を考えると、オーストラリア国内での実務経験を検討した方が現実的かもしれません。
※オーストラリアの大学(2年以上のコース)を卒業すると2年間、大学院(2年以上のコース)を卒業すると3年間の卒業生ビザを申請することができます。また、指定地方都市の学校を卒業し、そのエリアに卒業生ビザの期間中居住するなどの条件を満たせば、更にセカンド卒業生ビザ(1~2年)を申請することができ、この期間はフルタイムの仕事をすることが可能です。(2011年以前に学生ビザを取得したことがある方は条件が異なります。また、2023年7月1日より特定職種については卒業生ビザの期間が+2年となりますが、現時点でAccountantは特定職種に該当しません。申請の可否など詳細は
移民局ウェブサイトをご確認ください。)。
ステップ4:CPA会員(CPA Member)として登録する
CPA Program 6科目の試験にすべて合格し、3年間の実務経験を完了すると、晴れてCPA会員として公認会計士の資格を得ることができます。資格取得後はCPA会員として会費を払うことで資格は継続されます。
なお、オーストラリアでの現地就職を視野に入れた場合、就労ビザの取得についても考えておく必要がありますが、公認会計士資格の取得と就労ビザの取得は別のプロセスとして考える必要があります。ビザについては弊社でアドバイスすることができかねます。必要な方はビザエージェントにご相談ください。
***USCPAを取得済の方***
AICPA(American Institute of Certified Public Accountants)登録のいわゆるUSCPAなど、GAA(Global Accounting Alliance)の公認会計士資格を有する方はCAとの間で相互承認協定がありますので、条件を満たせばオーストラリアで会計士として働くことができます。また、
CPA AustraliaもAICPA(USCPA)の間で相互承認協定を結んでいますので、こちらも条件を満たせばオーストラリアで会計士として働くことができます。
条件など詳細は弊社ではお答えしかねます。
*1CPA、*2
ICAAのウェブサイトをご確認ください。
***日本で公認会計士を取得済の方***
残念ながら日本の公認会計士資格はCPA、CA、IPAともに互換性がありません。オーストラリアで会計士になるためには、「準会員になる」ところから始める必要があります。
資格取得や承認を受ける条件などについては弊社でアドバイスすることはできかねます。詳細は各公認会計士団体(*1CPA、*2ICAA、*3IPA)のウェブサイトをご確認ください。
オーストラリア以外の国で公認会計士として働く
オーストラリアの会計は国際会計基準に準拠しているため、各国の会計士団体が指定する教育機関で会社法・税法などの科目を受講し、単位を取得することで会計士として働けるチャンスがある国もあります。
CPA Australiaは、下記の国の公認会計士団体と資格の互換、もしくは公認会計士として働くための条件について合意を結んでいます。
- 資格の互換性がある国…南アフリカ、カナダ、USA(NASBA)、ニュージーランド、シンガポール、アイルランド、UK
- 条件を満たせば公認会計士として働ける国…ケニア、ナイジェリア、USA(AICPA)、バングディッシュ、香港、インド、インドネシア、マレーシア、ネパール、パキスタン、フィリピン、スリランカ、台湾、アイルランド、UK
※複数の公認会計士団体を有する国については、各団体によって資格の互換性の有無などが異なります。
※各公認会計士団体の詳細・条件については
CPA Australiaのウェブサイトにてご確認ください。
特に問い合わせが多いAICPA(いわゆるUSCPA)については相互承認協定が締結されており、条件を満たせば米国でも会計士として働くことができます。ただし、資格を書き換えるのではなく、あくまでCPA Australiaの資格を米国でも使えるというものであり、CPA Australiaの資格を維持することが必要です。なお、条件には「オーストラリア・ニュージーランドの市民権またはオーストラリアに合法的に居住するビザを有していること」などが含まれています。
条件など詳細は
*1CPAのウェブサイトにてご確認ください。
CA(勅許会計士)については、ニュージーランドでも有効です。また、下記の国の公認会計士資格と相互承認制度がありますので、各国の公認会計士団体の条件を満たせば公認会計士として働くこともできます。
- American Institute of Certified Public Accountants (AICPA) 米国公認会計士協会 *いわゆるUSCPA
- Chartered Accountants Ireland (CAI) アイルランド勅許会計士協会
- Chartered Professional Accountants Canada (CPAC) – Reciprocity only applies to CA members of CPAC カナダ勅許会計士協会
- Hong Kong Institute of Certified Public Accountants (HKICPA) 香港公認会計士協会
- Institute of Chartered Accountants Scotland (ICAS) スコットランド勅許会計士協会
- Institute of Chartered Accountants England and Wales (ICAEW) イングランド・ウェールズ勅許会計士協会
- South African Institute of Chartered Accountants (SAICA) 南アフリカ勅許会計士協会 他
なお、公認会計士として働くにあたっては就業ビザが必要になるため、就職活動ではそこも含めて話を進める必要があります。
資格取得や承認を受ける条件などについては弊社でアドバイスすることはできかねます。詳細は各公認会計士団体(*1CPA、*2ICAA、*3IPA)のウェブサイトをご確認ください。
日本で公認会計士として働く
残念ながら、CPA、CA、IPAともに日本の公認会計士資格とは互換性がありません。また、日本の会計法とオーストラリアの会計法は基準となる考え方が大きく異なります。ですから、日本で公認会計士として働きたい方は日本で国家試験にチャレンジすることをおすすめします。
では、オーストラリアで会計学を学ぶことは全く役に立たないのでしょうか?
そんなことはありません。ビジネスのグローバル化により大企業・中小企業を問わず、海外に子会社を持っている企業や海外に取引先がある企業はたくさんあります。グループ企業内での売買、連結決算などでの子会社とやり取り、海外取引先への支払い条件の確認などのため英語ができる会計担当者の必要性は年々増加しています。経理職といえば、営業職などと比べると海外出張などは少ないですが、中には子会社の業績把握や決算のため海外を飛び回っている方もいます。
また、オーストラリアを含め多くの国は国際会計基準で会計法を整備し、財務諸表についても国際財務報告基準を採用しています。一方、日本は長年の米国経済との関係から米国基準を会計法や会計規則のベースとしています。しかし、グローバル化により海外子会社との連結決算などにおいて不便が生じることなどから、日本でも2016年3月期決算より国際財務報告基準による会計処理ができるようになりました。この国際会計基準を理解している人は日本にはまだ少なく、「英語ができて国際会計基準がわかる会計担当者」の需要増加が見込まれています。
会計学コースに進むための条件(英語力・最終学歴)
オーストラリアの公認会計士を目指すためには、多くの方は学士以上のコースに進むことになります(例えば、CPA会員登録時に認定教育機関の学士号以上の資格を有することが条件になっています)。オーストラリアの大学・大学院には入試が無く「
それまでの最終学歴の学業成績」と「
英語力」で合否が判定されます。
英語力については、学士コースであればIELTS6.0~6.5、修士コースであればIELTS6.0~7.0相当の英語力が必要になります。英語力が足りない場合は、英語コースやDiplomaコースからのパスウェイで進学・編入できる大学もありますが、大学の授業についていくためにはやはり上記レベルの英語力は必要です。
学業成績については、各大学で基準が異なりますので、詳細はお問い合わせください。
その他、修士コースについては、ビジネス・会計の学士号以外の学士号取得者の入学を認めている大学も多くありますが、数年間の社会人経験などを条件としている大学もありますので、詳細はお問い合わせください。
オーストラリアの会計学コース
会計学コースはオーストラリア国内のどの大学にもあります。学歴、卒業後のキャリア(オーストラリアでの長期就職を目指す / 日本に帰って就職する / 公認会計士資格の取得の有無 など)、予算、就学期間、英語力など長期的なご自身のプランに合わせて選択可能です。
ただし、オーストラリアで公認会計士になるための最初のステップ”準会員(Associate Member)”になるためには、それぞれの公認会計士団体の認定コースを受講する必要があります。Degree名に”Accounting”と入っていても認定に必要な単位を網羅していないコースや留学生は受講できないコースもあります。また、Bachelor of Business・Bachelor of Commerceなどの認定コースもありますが、認定に必要な単位を取得できるよう履修科目の選択には注意が必要です。
なお、日本の大学の単位移行や一部の修士・準修士コース受講などにより1~1.5年でコースを修了し、準会員の資格を得ることも可能ですが、CPA 会員になるためにはCPA 会員の下で3年間の実務経験が必要となります。在学中からMentorをつけてトレーニングしたとしても3年の要件を満たすためには卒業後にオーストラリアで働けるビザを取得することを考えておかなくれはなりません。卒業生ビザは2年以上のコースを卒業する必要があるので注意が必要です
(移民局ウェブサイト参照)。
オーストラリアの会計学学士・修士コース概要
Undergraduate(学士)コース |
開講している大学 |
オーストラリア国内のどの大学でも開講しています。 |
コース名 |
Bachelor of Accounting, Bachelor of Commerce, Bachelor of Businessなどがありますが、会計士になるための業界団体認定コースかどうかについては確認が必要です。 |
入学時期 |
多くの大学はセメスター制をとっており、入学時期はセメスター1(2月~3月開始)とセメスター2(7月開始)の年2回です。ただし、トライメスター制を採用している大学では9月~11月の入学が可能な場合もあります。 |
期間 |
3年
*ボンド大学は2年(通常二学期X3年間で履修する内容を三学期X2年間で修了するため) |
英語力 |
Group of EightではIELTS6.5 – 7.0、その他の大学でもIELTS6.0 – 6.5が必要です。英語力が足りない場合は、英語コースやDiplomaコースからのパスウェイで進学・編入できる大学もあります。
*IELTSのセクション要件、その他英語力試験についてはお問い合わせください。
*Group of Eight(Go8)…”最も規模が大きく””最も歴史がある”オーストラリアの大学連盟で、オーストラリアの全大学の中で一貫して最高位(全豪トップ8大学)にランクされており、「研究集約型」なのが特徴です。弊社でお取扱いが可能な大学はオーストラリア国立大学、シドニー大学、メルボルン大学、クイーンズランド大学、西オーストラリア大学、アデレード大学の6校です。 |
授業料(2024/年間) |
Group of EightではA$45,500 – 52,000 (約441万円 – 約504万円)、その他の大学ではA$25,000 – 44,928 (約243万円 – 約436万円)となっています。比較的新しく設立された大学や地方の大学の方が授業料が安い傾向にあります。なお、授業料が高い大学でも奨学金などにより費用を抑えることができる場合があります。
*ボンド大学については通常二学期X3年間で履修する内容を三学期X2年間で修了するため、年間A$68,760 (約667万円)となります。 |
*各コースにかかる費用は、上記の金額の他、教材費・施設利用費などが必要になる場合もあります。
Postgraduate(修士・準修士)コース |
開講している大学 |
オーストラリア国内のほとんどの大学で開講しています。 |
コース名 |
Master of Accounting, Master of Professional Accounting, Master of Commerce, Graduate Diploma in Accountingなどがありますが、会計士になるための業界団体認定コースかどうかについては確認が必要です。 |
入学時期 |
多くの大学はセメスター制をとっており、入学時期はセメスター1(2月~3月開始)とセメスター2(7月開始)の年2回です。ただし、トライメスター制や4ターム制など9月~11月の入学が可能な大学もあります。 |
期間 |
Graduate Diplomaなどは最短で1年、Masterは通常1.5~2年のコースとなります。 |
英語力 |
Group of EightではIELTS6.5 – 7.0、その他の大学でもIELTS6.0 – 6.5が必要です。英語力が足りない場合は、英語コースからのパスウェイで進学できる大学もあります。
*IELTSのセクション要件、その他英語力試験についてはお問い合わせください。
*Group of Eight(Go8)…”最も規模が大きく””最も歴史がある”オーストラリアの大学連盟で、オーストラリアの全大学の中で一貫して最高位(全豪トップ8大学)にランクされており、「研究集約型」なのが特徴です。弊社でお取扱いが可能な大学はオーストラリア国立大学、シドニー大学、メルボルン大学、クイーンズランド大学、西オーストラリア大学、アデレード大学の6校です。 |
授業料(2024/年間) |
Group of EightではA$46,900 – 56,500 (約455万円 – 約548万円)、その他の大学ではA$28,000 – A$48,096 (約272万円 – 約467万円)となっています。比較的新しく設立された大学や地方の大学の方が授業料が安い傾向にあります。なお、授業料が高い大学でも奨学金などにより費用を抑えることができる場合があります。
*ボンド大学およびマードック大学については、通常1年間二学期で履修する内容を1年間三学期で履修するカリキュラムのためボンド大学 年間A$54,210 (約526万円)・マードック大学 年間A$53,460 (約519万円)となります。 |
*各コースにかかる費用は、上記の金額の他、教材費・施設利用費などが必要になる場合もあります。
*業界団体認定コースではありませんが、期間半年のGraduate Certificateなどを開講している大学もあります。ご検討されている方はお問い合わせください。
会計学コースでどんなことを学ぶの?
Undergraduate(学士)コース
学士コースは通常3年で24科目を学びます。最初の1年間はビジネスの基礎を学び、2年次以降MajorとしてAccountingの科目を公認会計士団体の認定に必要な科目を中心に履修することが多いようです。公認会計士団体の認定コースでは公認会計士団体の準会員になるためにクリアしなければならない9科目(必修7科目+オプショナル2科目)を含め必修科目が多くなります。
Postgraduate(修士)コース
修士コースは通常1年半~2年で16科目を学びますが、公認会計士団体の準会員になるためにクリアしなければならない9科目(必修7科目+オプショナル2科目)を含めほとんどを必修科目が占めます。選択科目はMBAなどの科目から取るのが一般的です。
実際にどんな科目を学ぶのか
他の学部では理論や定義を学んだ後、実用的な分野や詳細な科目に移りますが、会計学ではまず実用的な技術を学んだ後、最後に理論でそれらを裏付けして仕上げます。
ここではCPAの準会員になるために必要な科目を中心に主な科目をご紹介します(詳しく知りたい方は
コチラの記事をご覧ください)。
科目 |
内容 |
Accounting Systems and Processes |
会計業務の流れを学びます。 |
Financial Accounting and Reporting |
決算処理や決算分析に必要な知識・スキルを学びます。 |
Business Law |
商法・民法などビジネスに必要な法律知識を学びます。Common Lawと呼ばれるイギリスを含む旧大英帝国の国々の判例や習慣を法として扱うなど、日本の法律と大きく違います。また、オーストラリアは連邦国であり各州独自のガバナンスが強いため、法律も州によって違うことがあります。さらには会計やビジネスの科目では使わない専門用語もたくさんでてきますので、難しい科目のひとつと言えます。 |
Economics |
マクロ経済学・ミクロ経済学など経済学の基礎を学びます。グラフを多用してある物事が起こった際に他の要因がどう動くのかなどを学ぶので、数学の知識も必要です。 |
Finance and Financial Management |
財務分析を学びます。財務諸表から得られる様々な情報を分析して企業内のお金の流れ、企業の資産の状況などを把握します。計算式の理解が重要なポイントを占める科目です。 |
Management Accounting |
Cost Accountingとも呼ばれ、原価計算などビジネスにおける費用をコントロールするための財務諸表の見方や考え方、計算方法などを学びます。 |
Quantitative Methods |
財務にかかわる様々なデータを分析し情報を読み取るのも会計士の大事な仕事のひとつです。そのために必要な数字的要素からデータを分析する方法を学びます。統計学的要素が強い科目です。 |
Taxation |
オーストラリアの税法について所得税、GST、FBTなどを中心に幅広く学びます。範囲が広い割に税法の細部の理解も必要になるため、苦労する学生も多いようです。 |
Audit and Assurance |
会計監査について学びます。会計手続きと規則や倫理をすりあわせて正しく手続きが行われているかどうか確認する手順や考え方を学びます。 |
Contemporary Issue in Accounting Theory |
会計学の理論や定義を理解し、それが実際の社会でどのように反映されているかを学びます。会計学において総仕上げのような科目になります。 |
【2015年11月Master of Professional Accountingの卒業生から】
Business Law、Taxation、Finance and Financial Management は苦労する学生が多い科目で、特にBusiness Lawは鬼門です。しかも、必修なので避けることができません。入学時期にもよりますが、一般的にはBusiness AccountingやCost Accountingなど簿記系の基礎科目から履修します。中には「AとBの科目に合格しないと受講できない」という科目もあるので、プレクレジットになっている科目はチェックして早めに履修しておいた方が安心です。また、難しい科目が同じ学期に重なると本当に泣きそうなくらい大変なので、入学後すぐに「どの学期にどの科目を履修するか」全体の計画を立てておくといいと思います。履修計画については学生課などが相談にのってくれますし、どの科目が難しいかは周囲の学生の意見が一番参考になります。
私は英語コース等の準備を経ずに入学したのですが、最初の1学期はレポートの書き方がまったく分かっておらず、内容よりもレファレンス(参照)の書き方などで点数を落としました。英語力をクリアできている人も、進学準備コースを受講しておく、オーストラリアのレポートの書き方に慣れるまでは大学のアカデミック・サポートを利用するなどの対策をとることを強くお奨めします。
【2024年3月現在Master of Professional Accounting受講中の在学生から】
これまで受講した科目だと、Business LawとFinance and Financial Managementは難しく、周りにはパスできなかった学生も多かったです。Business Lawはそもそも法律というものに馴染みがなく、抽象的な言葉があったり、立場によって結論が違ったり、ケースによって事例やルールからマッチするものを探したり・・考えることが多い科目でした。Corporate Financeも複利計算など複雑なものがあり、パスできなかった学生も多かったです。Information Systems for Businessは難しくはなかったですが、自分でインタビューに答えてくれる会計士さんを探さなければならなかったりという大変さがありました。私は、アデレードに来て最初に利用したAirbnbのオーナーが四大会計事務所の会計士だったという偶然に助けられました。また、選択科目のQuantitative Methodsも内容は難しくなかったのですが、Marketing系の科目でグループワークがあり、しかも他の学部の学生も一緒になるので、ミーティングの時間を合わせたりするのが大変でした。一方で、他の学部の学生と交流できたのはいい経験だと思っています。基礎からステップアップしていくようカリキュラムが組まれているので、現在(3学期目)に受講しているContemporary issue in Accouting Theoryは読書量がかなり多かったり、Management Accountingは計算量が多かったりとレベルアップしているのを感じます。TaxationとAudit and Assuranceは最終学期に受講予定です。
公認会計士(Certified Accountant)として現地就職を目指すためには?
公認会計士になるための英語力
公認会計士団体の会員・準会員になるための英語の基準は特に設けられていません。一方、現地就職となると一定の英語力は必要です。一般的に留学生が最初に目指す中規模の会計事務所であればIELTS6.5~7.0のレベルでも現地採用の道は開けます。「BIG4」など大手会計事務所になるとIELTS8.0以上の英語力を求められます。
就職活動
オーストラリアの就職活動では「即戦力として働ける準備ができていること」が重視されます。そのため、多くの学生は在学中に会計関連職のインターンシップに取り組み経験を積みます。また、現地コネクションの構築も重要です。Hidden Job Marketといって「大々的には求人をしていないけど、実は従業員を探している」という企業はたくさんあります。そのような情報を手に入れるために必要なのがネットワーキングです。
就労ビザの取得
オーストラリアでの現地就職を視野に入れた場合、就労ビザの取得についても考えておく必要があります。公認会計士資格を取得することで取得できる就労ビザはありません。また、ポイント制の永住権においても、公認会計士資格取得で加算されるポイントもなく、公認会計士資格の取得と就労ビザの取得は別々のプロセスとして考える必要があります。
ビザについては弊社でアドバイスすることはできかねます。必要な方はビザエージェントにご相談ください。
会計学コースの体験談
*本記事は2024年3月現在の情報に基づいており、入学基準、進学基準、学費、ビザ情報などは変更されることもございますのでご留意ください。
*日本円は弊社が取得できる最新の送金レート
(A$1=97円) で換算しています