オーストラリアで歯科技工士を目指す
歯科技工士はオーストラリアではDental Technicianと呼ばれており、歯科医師や補綴士が作成した指示書を元に義歯(入れ歯)や修復物(クラウン等)、歯の矯正器具などの製作・加工を行う医療系技術専門職を指します。主に歯科技工所(オーストラリアではdental laboratoriesといいます)が働き先となります。
医療に携わる分野でありますが、直接患者さんと接する機会がほとんどない為、医者や看護師のように非常に高い英語力を求められたり、学士号の習得が必須ということはなく、比較的目指しやすい医療分野の職業と言えます。歯科医や義歯技工士と密接に連携しながら、専門的な技術を患者さんに提供しています。
オーストラリアで歯科技工士になるには?
オーストラリアで歯科技工士になるには、Dental Technologyのコースを修了、もしくは、業界での見習実習(オーストラリアではApprenticeshipやTraineeshipと呼ばれます)が必要です。
留学生は後者が難しい為、前者の「Diploma以上のコースの受講」が必須となります。歯科技工士になる為に卒業後、免許を取得したり歯科医師団体に登録したりする必要は特にありません。 コースを修了し、修了書があれば歯科技工士としての就労が可能です。
TAFEであればDiploma of Dental Technologyのコースから、大学であればBachelor of Dental Technologyを受講することとなります。最低でもDiplomaを習得して知識と実践力を養う必要があります。
歯科技工士(Dental Technology)コースに進むための英語力(入学資格)
Diploma of Dental Technologyコースは、一般的な専門コースが必要としている入学基準よりすこし高くなります。IELTSであれば、基本的にはアカデミックモジュールで
6.0ポイントが必要となります。またTOEFLiBTやケンブリッジテスト(CAE)の試験結果も認めています。
全く英語が話せない状態から、Diplomaコースに進むために必要な期間は?
歯科技工士(Dental Technology)コースに限ったことではありませんが、挨拶程度の英語力からIELTS6.0ポイントを目指す場合、
12〜15ヶ月程度は英語学校に通う必要があります。
その他、TAFEの語学コースからのダイレクトエントリーコース経由で入学することもできます。ダイレクトエントリーコースに参加するためにも英語力は必要になりますから、やはり、12〜15ヶ月を一つの目安にして頂くのが一番です。尚、12ヶ月の英語コースの費用目安は、入学金、授業料、教材費、OSHCを含め、15,000〜17,000ドル(約120-136万円)ほどです。
もちろん、英語力の向上スピードは個人差があります。ですが、入学基準をギリギリの英語力で本科コースに入学しても、授業について行くのは大変ですから、余裕を持って英語コースをスタートしましょう。
語学学校からスタートする場合は、語学学校のレベルチェックテストで英語力を測り予定就学数をご提案することも可能ですので、ご希望の場合は、まずは弊社までご相談ください。
歯科技工士(Dental Technology)としての就職先
歯科技工士は、ブリッジングやインプラントなどの技術の認知、知識力、経験力等によって需要が上がる職業です。
原則Dental Laboratories(歯科技工所)やDenture Clinics(義歯クリニック)等で働くことになります。ここで重要なのは、早い段階での就職活動です。
多くの学生さんは、コース期間中に履歴書を持って配り歩きます。歯科技工所自体がそれほど多くないというのもひとつの理由ですが、年々増える歯科技工士に対して、歯科技工所の数は追いついていないのが現状ですから、見習い段階での競争率は高いと考えておくほうが良いでしょう。
その中で、仕事を得る形になりますが、企業は即戦力として採用することが多いため、有給で仕事が見つかる方もいれば、無給受け入れでの採用が決まる方もいます。やはり経験が重要になりますから、早い段階で経験を積み始めるのが、将来的な就職を目指す上で重要となります。
また、コース参加基準の英語力と、就職の際に必要となる英語力は変わります。特に現地就職を目指す留学生の方は、事前にしっかりとした英語力を身につけておきましょう。
お勧めのTAFEコース
歯科技工士になる為の
Diploma of Dental Technologyコースを開講する教育機関は、以下の選択肢となります。
ホルムズグレン・インスティチュート・オブ・TAFE
ビクトリア州の中でも教育の質に定評があるホルムズグレン・インスティチュート・オブ・TAFEでは2年間のコースを設けています。
ホルムズグレンは複数キャンパスをもっていますが、このコースはチャドストーン・キャンパスで開講されます。ローカルの学生・留学生共に非常に人気のある学校・コースですので、早めに入学願書の受付が締め切られることもあります。余裕をもって出願手続きを進める必要がある学校です。
期間 | 2年間 |
入学月 | 2月、7月 |
求められる学歴・英語力 | 高等学校卒業以上・科学や美術(木彫や金属加工)で良い成績を修めていることが望ましい。英語力はIELTSアカデミックモジュールで総合6.0以上 |
パスウェイ | ホルムズグレンTAFE付属英語学校もしくは提携語学学校(例:インパクト・イングリッシュ・カレッジ)にて、規定の英語力に達したと判断され、コースを修了出来た場合はIELTSテストの提出なしで進学が可能です。 |
学費の目安 | 2年間で約AU$38,200 その他教材費が$800ほどかかります |
コース通学日 | 約週3日(合計週20時間程) |
学校のコース紹介ページ | コース詳細 |
TAFE SA
南オーストラリア州のTAFE SAのGilles PlainsキャンパスにてDiplomaコースを開講しています。
期間 | 2年間 |
入学月 | 1月 |
求められる学歴・英語力 | 高等学校卒業以上・科学や美術(木彫や金属加工)で良い成績を修めていることが望ましい。英語力はIELTSアカデミックモジュールで各セクション6.0以上 |
パスウェイ | TAFE SA付属英語学校にて規定の英語力に達したと判断され、コースを修了できた場合はIELTSテストの提出なしで進学が可能です。 |
学費の目安 | 2年間で AU$38,700 その他教材費が$1,600ほどかかります |
コース通学日 | 約週3日 |
学校のコース紹介ページ | コース詳細 |
TAFE・クイーンズランド
ブリスベンにあるTAFE QueenslandのSouth BankキャンパスにてDiplomaコースを開講しています。
期間 | 2年間 |
入学月 | 1月 |
求められる学歴・英語力 | 高等学校卒業以上。英語力はIELTSアカデミックモジュールで総合6.0以上(各セクションが5.5以上) |
パスウェイ | 付属英語学校もしくは提携語学学校(例:インパクト・イングリッシュ・カレッジ)にて、規定の英語力に達したと判断され、コースを修了出来た場合はIELTSテストの提出なしで進学が可能です。 |
学費の目安 | 2年間で約AU$32,800 その他教材費がかかります |
学校のコース紹介ページ | コース詳細 |
お勧めの学士コース
Diploma以上の資格や知識の習得を希望の方や学士号を習得したい方には、「Bachelor of Dental Technology」の受講をお勧めします。未経験の方でも開始可能です!
大学内の研究室での実習も含まれ、歯科コースの学生と大学内のクリニックや研究室で一緒に学ぶ機会もありますので、幅広い知識の習得や将来の視野を広げることが可能です。
Griffith大学
クイーンズランド州にありますGriffith大学のゴールドコースト・キャンパスにて開講しております。コースには大学の研究室以外での2週間(80時間)の実習も含まれます。
期間 | 3年間 ※Diploma of Dental Technologyを修了している場合は一年の単位免除の可能性あり |
入学月 | 2月 |
求められる学歴・英語力 | 高等学校卒業以上。英語力はIELTSアカデミックモジュールで総合で6.5以上各セクション6.0以上 |
パスウェイ | グリフィス大学付属英語学校にて規定の英語力に達したと判断され、コースを修了できた場合はIELTSテストの提出なしで進学が可能です。 |
学費の目安 | 3年間で AU$106,500 その他教材費がかかる可能性があります |
コース通学時間 | 約週28-32時間(平日日中だけでなく、夜間、土曜日を含む場合あり) |
学校のコース紹介ページ | コース詳細 |
※研究に特化したい方は
Honours(オナーズ)として上記のコースに1年追加して、合計4年のプログラムにすることも可能です。
DENTAL PROSTHETICS(歯科補綴)を学ぶ
歯科技工の技術から更に上を目指される方、患者さんと直接コニュニケーションを取りたい方には、Bachelor of Dental Technologyを卒業後、追加して一年の「BACHELOR OF DENTAL PROSTHETICS」コースに進まれることをお勧めします。
このプログラムの卒業生はオーストラリア歯科医師会(AHPRA)が定める要件を満たすことを条件に、オーストラリア歯科医師会(DBA)への登録申請を行うことが出来ますので、歯科補綴士として認定されて働くことが出来ます。
歯科技工所での選択肢だけではなく、患者さんの診断からの設計、製造までが出来ることから独立した歯科補綴士として働くこともできますので、将来のキャリアプランの幅が広がります。
Griffith大学
同じくゴールドコースト・キャンパスにて開講しております。
口腔病理学、薬理学、放射線学、補綴学の分野の専門家から幅広く学ぶことが出来、歯科コースの学生と一緒に練習し、様々なケースでのコミュニケーションや共同作業を学びます。またプレースメントもコース内に含まれます。
期間 | 1年間 |
入学月 | 2月 |
求められる学歴・英語力 | 高等学校卒業以上。英語力はIELTSアカデミックモジュールで総合&各セクション共に7.0以上 |
パスウェイ | Bachelor of Dental TechnologyもしくはBachelor of Oral Health in Dental Technologyを10年以内に修了しており、GPA5.0以上必要 |
学費の目安 | AU$35,500 その他教材費がかかる可能性があります |
学校のコース紹介ページ | コース詳細 |
上記コースへの出願準備は、10ヶ月ほど前から進める必要があります。歯科技工士コースを視野に入れている方は、お気軽にお問い合わせ下さい。
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