オーストラリアで言語療法士(Speech Pathologist)

オーストラリアの言語療法について(2024年7月18日更新)

オーストラリアの医療系分野において、看護師、理学療法士、作業療法士とともに人手不足と言われている職種の一つが言語療法士(Speech Pathologist)です。

言語療法とは何かと言うと、言語機能における発声や聴覚に関する障害、発達障害、病気などによる後遺症、などに対して機能向上・回復、訓練・リハビリ指導や検査を行う医療行為を指します。
言語にまつわる医療行為ですから、英語を使って学ぶのか、、となると非常にハードルが高いとお考えになる方もいらっしゃいますが、同分野では言語機能の維持や向上のための医療技術を学びますので、決して英語そのものを患者へ教えるわけではありません。

看護師以上に「高い英語力」を必要とする分野ですが、だからこそ、英語を母国語としない「言語の難しさ」をよく知る外国人が、同分野を学ぶメリットはとても大きく且つ、外国人も活躍できる分野です。

オーストラリアで言語療法士になるためには?

オーストラリアで言語療法士になるには、2つの方法があります。

(1)Speech Pathology Australia(SPA)認定団体が「認可する大学・大学院のコースを修了」する
または
(2)海外の資格保持者が・英語力・職歴・最終学歴でオーストラリアのSPA認定コースと同等の学位(資格)があるかどうかの査定に合格する

以上の2つです。



海外の資格保持者が オーストラリアのSPAへの直接登録を目指す場合、必要項目は下記の通りです。
■言語療法士として国家資格を有している証明
■言語療法の学士号以上を修了
・オーストラリアの大学と同程以上である証明
■言語療法士としての職歴
・大学修了後、5年以上の方は1000時間以上、5年未満の方は最低1年以上の言語療法士としての職歴
■英語力証明
・OET Writing、Speaking Band 450~500以上、Listening、Reading Band 350〜440以上
または
・IELTS Academic Overall 8.0(各4つのセクションから 8.5以上が2つ、7.5以上が2つ必要です)
が最低限必要な書類となり、各個人のケースで追加書類等が必要になる場合があります。

なお、弊社では、直接SPA申請のお手伝いは行っていませんので、直接申請をご希望の方は直接 Speech Pathology Australia(SPA)へご確認ください。

日本での学歴やご経歴が無い方は、オーストラリアで言語療法士の認定を受けるには、オーストラリアの大学卒であることが求められます。

過去の学歴にもよりますが、オーストラリアでは大学院で最短2年で資格が取得できますし、仮に大学が文系学部卒でも、大学院の2年コースに直接進める可能性がある点は、文系から医療系へのキャリアチェンジを希望する方にも最適と言えます。
(通常、医療系修士課程では、同分野での学部卒が求めらます)

言語療法(Speech Pathology)コースに入学するための英語力

オーストラリアで学べる言語療法(Speech Pathology)コースは大学により若干違いますが、IELTS 7.0〜8.0以上のレベルが必要になります。

認可基準と学位

認定団体(SPA)から認可された言語療法士(Speech Pathology)コースは少数の限られた大学・大学院になります。

コース期間は、
●学士(Bachelor of Speech Pathology)で4年間、
●修士(Master of Speech pathology)で2年間、
となります。

SPAが認可する条件は、各大学のコース内容、開講年月などで、Qualifying(制限)、Provisional With Condition(条件付き暫定), Provisional(暫定)、Full Accreditation(完全認可) の4つがあります。 どの認可条件でも コース終了後は、Speech Pathologist として 認定手続きを開始することができますが 各条件にて、コース終了後の認定手続きに若干の違い(必要書類や審査期間など)がでます。

それゆえ、基本は、認可まで1番スムーズな Full Accreditation 認定の大学・大学院での履修をお薦めします。

Full Accreditation 認定の大学・大学院


学士号を開講している大学、修士号を開講している大学院、2つを開講している大学とあります。
下記でお薦めする大学・大学院は全て Full Accreditation 認定の大学・大学院となります。

両方(学士・修士)が Full Accreditation の大学


学士号(Bachelor)と修士号(Master)、2つの学位にて Full Accreditation の大学は全豪で「4つ」しかありません。
入学基準の高さがありながら、過去 5年以上において 継続教育として一度もコースを不催行にすることなく 開講している証拠(評価の高さと人気)になるので、同分野を希望の学生は、まずは下記 4大学から検討してみてください。

The University of Sydney (シドニー大学)
Bachelor of Applied Science (Speech Pathology)
【都市】シドニー
【学位】学士号
【期間】4年間
【学費】年間 62,800ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】前年3月15日から募集開始となり定員に達しだい早期締め切り
【英語】IELTS Academic 7.0(全てのセクションで7.0以上)の証明
【条件】IB Diploma 35以上、または Foundation コースを終了
【認定】SPA Full Accreditation
Master of Speech Language Pathology
【都市】シドニー
【学位】修士号
【期間】2年間
【学費】年間 66,000ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】前年3月15日募集開始〜10月31日修了だが 定員に達しだい早期締め切り
【英語】IELTS Academic 7.0(全てのセクションで7.0以上)の証明
【条件】学士号(学部不問)を最低でも GPA 4.5/7.0で修了。成績優秀者から順番に査定。
【認定】SPA Full Accreditation
The University of Queensland (クイーンズランド大学)
Bachelor of Speech Pathology (Honours)
【都市】ブリスベン
【学位】学士号
【期間】4年間
【学費】年間 53,760ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】定員に達しだい締切
【英語】IELTS Academic Overall 7.0(Speaking 8 以上、他 7.0 以上)の証明
【条件】IB Diploma 36 以上、または Foundation コースを終了
【認定】SPA Full Accreditation
Master of Speech Pathology Studies
【都市】ブリスベン
【学位】修士号
【期間】2年間
【学費】年間 62,700ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】定員に達しだい早期締め切り
【英語】IELTS Academic Overall 7.0(Speaking 8 以上、他 7.0 以上)の証明
【条件】学士号(学部不問)成績優秀者から順番に査定。
【認定】SPA Full Accreditation
Flinders University (フリンダース大学)
Bachelor of Speech Pathology (Honours)
【都市】アデレード
【学位】学士号
【期間】4年間
【学費】年間 44,500ドル(2025年度)
【入学】3月
【締切】定員に達しだい締切
【英語】IELTS Academic Overall 7.0以上(各 7.0 以上)の証明
【条件】IB Diploma 30 以上、または Foundation コースを終了
【認定】SPA Full Accreditation
Master of Speech Pathology
【都市】アデレード
【学位】修士号
【期間】2年間
【学費】年間 51,900ドル(2025年度)
【入学】3月
【締切】2025年3月入学は定員に達しました。次回は 2026年3月入学です。
【英語】IELTS Academic Overall 7.0以上(各 7.0 以上)の証明
【条件】学士号(学部不問)成績優秀者から順番に査定。
【認定】SPA Full Accreditation
Curtin University (カーティン大学)
Bachelor of Science (Speech Pathology) (Honours)
【都市】パース
【学位】学士号
【期間】4年間
【学費】年間 42,658ドル(2025年度)
【入学】2月、7月
【締切】年4回(2024年 Roun1:6月23日締め Round2:8月25日締め Round3:10月26日締め Round4:11月29日)
【英語】IELTS Academic Overall 7.0以上(各 7.0 以上)の証明
【条件】IB Diploma 28 以上、または Foundation コースを終了
【認定】SPA Full Accreditation
Master of Speech Pathology
【都市】パース
【学位】修士号
【期間】2年間
【学費】年間 46,626ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】定員に達しだい早期締め切り
【英語】IELTS Academic Overall 7.0以上(各 7.0 以上)の証明
【条件】学士号(学部不問)成績優秀者から順番に査定。
【認定】SPA Full Accreditation
【査定】
●IELTS Academic 7.0(全てのセクションで 7.0 以上)の証明
●Speech Pathology以外の学士過程(Human Biology履修必須)を卒業していること(WAM 65% 以上の成績)
●Self Identify Prerequisite unit(s) の提出
●CV(履歴書)の提出
●Personal statement (400文字)の提出

過去の学歴成績優秀者から順番に下記のインタビューへと進みます。

●インタビューでの合格者にオファーレター発行
(オーストラリア国外の場合はオンラインインタビューになります)

学士号が Full Accreditation の大学

学士号だけが Full Accreditation の大学は下記の 4大学になります。
この数年だと学士号を新規開講(Qualifying)している大学が増えてきていますが、ここでは Full Accreditation の大学のみご案内します。

Australian Catholic University (オーストラリアカソリック大学)
Bachelor of Speech Pathology
【都市】ノースシドニー、メルボルン、ブリスベン
【学位】学士号
【期間】4年間
【学費】42,304ドル(2024年度)
【入学】2月
【締切】定員に達しだい締切
【英語】IELTS Academic 8.0(全てのセクションで 8.0以上)の証明
【条件】IB Diploma 24 以上 または 日本の高校3年を優秀な成績で修了(生物学、化学、物理学のいずれかを履修必須)された方は直接入学の可能性もあり。
【認定】SPA Full Accreditation(注:キャンベラはQualifyingなのでご注意ください)
James Cook University(ジェームズ・クック大学)
Bachelor of Speech Pathology
【都市】タウンズビル
【学位】学士号
【期間】4年間
【学費】42,640ドル(2024年度)
【入学】2月
【締切】定員に達しだい締切
【英語】IELTS Academic 8.0(全てのセクションで 8.0以上)の証明
【条件】IB Diploma 25 以上 または 日本の高校3年を優秀な成績で修了(生物学、化学、物理学のいずれかを履修必須)された方は直接入学の可能性もあり。
【認定】SPA Full Accreditation(タウンズビルキャンパス)
Southern Cross University(サザンクロス大学)
Bachelor of Speech Pathology
【都市】ゴールドコースト
【学位】学士号
【期間】4年間
【学費】32,520ドル(2025年度)
【入学】3月
【締切】定員に達しだい締切
【英語】IELTS Academic Overall 8.0(全てのセクションで 8.0以上)の証明
【条件】IB Diploma 29 以上 または 日本の高校3年を優秀な成績(GPA 4.8/5.0以上)で修了された方は直接入学の可能性もあり。
【認定】SPA Full Accreditation(注:コフスハーバーは Qualifying なのでご注意ください)
Edith Cowan University(エディスコーワン大学)
Bachelor of Speech Pathology
【都市】パース
【学位】学士号
【期間】4年間
【学費】41,800ドル(2025年度)
【入学】3月
【締切】定員に達しだい締切
【英語】IELTS Academic Overall 8.0(全てのセクションで 8.0以上)の証明
【条件】IB Diploma 24 以上 または 日本の高校3年を優秀な成績で修了された方は直接入学の可能性もあり。
【認定】SPA Full Accreditation

修士号がFull Accreditation の大学院

もっとも多くの大学が開講しているのは、修士課程における Master of Speech Pathology コースです。

Macquarie University (マッコーリー大学)
Master of Speech Language Pathology
【都市】シドニー
【学位】修士号
【期間】2年間
【学費】年間 61,100ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】前年10月31日修了だが 定員に達しだい早期締め切り
【英語】IELTS Academic 7.0(全てのセクションで7.0以上)の証明
【条件】学士号(関連分野:言語学、心理学)を最低でも WAM 65%で修了。Personal Statement(自己推薦文)必須。
【認定】SPA Full Accreditation
University of Technology, Sydney (シドニー工科大学)
Master of Speech Pathology
【都市】シドニー
【学位】修士号
【期間】2年間
【学費】年間 62,112ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】前年10月31日修了だが 定員に達しだい早期締め切り
【英語】IELTS Academic 7.0(全てのセクションで7.0以上)の証明
【条件】過去10年内に 学士号(人体解剖学と人体生理学を履修済み)を修了。
【認定】SPA Full Accreditation
Griffith University (グリフィス大学)
Master of Speech pathology
【都市】ゴールドコースト
【学位】修士号
【期間】2年間
【学費】年間 48,000ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】10月のインタビューセッションまでにIELTS証明の提出必須
【条件】
●IELTS Academic 7.0(全てのセクションで 7.0 以上)の証明
●10年以内に学士号をGPA 5/7以上の成績で修了
(学部不問だが心理学、健康科学、公衆衛生学、医療科学、福祉学、教育学、言語学を終えている方を推奨)

英語力証明の提出後、過去の学歴成績優秀者から順番に下記のインタビューへと進みます。

●インタビューでの合格者にオファーレター発行
(オーストラリア国外の場合はオンラインインタビューになります)
La Trobe University (ラトローブ大学)
Master of Speech pathology
【都市】メルボルン
【期間】2年間
【学費】年間 46,800ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】10月31日までですが、定員に達し第、随時締切り。
【条件】
●IELTS Academic 7.5(全てのセクションで 7.0 以上)の証明
●Speech Pathology以外の学士過程を卒業していること(WAM 75% 以上の成績)
●Referee(推薦状)2名の提出
●CV(履歴書)の提出
●Personal statement (250文字)の提出
●Problem based learning statement(250文字)の提出

英語力証明の提出後、過去の学歴成績優秀者から順番に下記のインタビューへと進みます。

●インタビューでの合格者にオファーレター発行
(オーストラリア国外の場合はオンラインインタビューになります)
The University of Melbourne(メルボルン大学)
Master of Speech pathology
【都市】メルボルン
【期間】2年間
【学費】年間 64,000ドル(2025年度)
【入学】2月
【締切】8月31日締め切り厳守。
【英語】IELTS Academic 7.0(全てのセクションで7.0以上)の証明
【条件】関連する学士号を WAM 65%以上で修了(科学、生物医学、言語学、音声学、教育学、心理学など)。過去の学歴成績優秀者から順番に査定されます。

入学難易度とオファー発行までの流れについて


上記にてオススメの大学の言語療法士(Speech Pathology)のコースは、非常に人気で出願難易度が高く 「競争率が高い」コースとなります。
願書の提出要件の中に、IELTSなどの英語力条件をクリアされていない方の査定手続きは保留扱い(Conditional Offerも発行されません)となるケースも多く、IELTS基準のクリア後、さらに志願者の中から過去の学歴にて優秀な成績を修めている学生から順番にインタビューセッション(例年 10月〜11月)へと進みます。
インタビュー後に合格の場合のみ、オファーが発行される流れになります。

出願に向けての準備


1. まずは英語試験を受けましょう
まずはIELTS(アイエルツ)試験を受験しましょう。日本では下記3つの機関がIELTS試験を開催しています。
日本英語検定協会
http://www.eiken.or.jp/ielts/
JSAF
http://www.jsaf-ieltsjapan.com/?p=431
IDP Education
https://ieltsjp.com/

2. 出願に必要な書類4点を準備しましょう
出願には下記4点の書類が必要となります。IELTSの受験が終わったらこちらの4点を揃えて担当カウンセラーにご提出ください。

  • 最終学歴の卒業証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
  • 最終学歴の成績証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
  • IELTS(Academic)またはTOEFLスコア結果
  • パスポートコピー
3. 出願手続きスタート
最後に、オンライン申込みフォームを送信してください。その後、正式に出願手続きへ進みましょう。

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※備考※
・本記事は2024年7月現在の情報に基づいており、コース概要や入学基準は変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2023年度学費をご案内しております。
・日本円は弊社が取得できる最新の送金レート(A$1=103円) で換算しており、実際はお支払い時にご利用の金融機関の為替レートが適用されます。

豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号I009)
オーストラリア歴は24年目になりました。QLD州、NSW州、SA州の主要都市で仕事と生活していましたので、都市の違いから皆さまの目的に沿ったベストなアドバイスを心がけています。 このカウンセラーに質問する

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