IELTSについて
この記事では、オーストラリア留学を目指す多くの方が耳にする英語能力評価試験、IELTS(アイエルツ)について詳しく解説します。
まずは、IELTSの基本的な概要をわかりやすく説明します。続いて、試験の2つのモジュール、IELTSと他の英語検定試験のスコアの比較、受験申し込みについて詳述します。
オーストラリア留学を実現するために、初めてIELTSにチャレンジする方や、留学の準備を進めている方は、ぜひ参考にしてください。
IELTSとは? – 世界基準の英語能力試験
IELTS(アイエルツ)は、「International English Language Testing System」の略称で、英語を母国語としない人々の英語能力を測定するための試験です。
IELTS試験は、イギリス、オーストラリアを含む世界約150ヵ国で実施されており、海外留学や移住、ビザ申請の際に必要な英語力を証明するために広く活用されています。日本でも、近年の大学のAO・推薦入試で使われるようになりました。
IELTS試験は、英語のリスニング力、リーディング力、ライティング力、スピーキング力の4項目において、総合的な英語力を評価します。そのため、偏りのない総合的な英語力を測定できるのが特徴です。
IELTS試験結果の有効期間は、通常2年間です。
IELTSの2つのモジュールの違いは?
IELTSには、目的に応じて2つのモジュールがあります。ひとつは「アカデミック・モジュール(Academic Module)」、もうひとつは「ジェネラル・トレーニング・モジュール(General Training Module)」です。
オーストラリアのTAFE、専門学校、大学、大学院進学を目的としてIELTSを受ける場合は、アカデミック・モジュールを選びます。
ジェネラル・トレーニング・モジュールは、より日常的に使う英語力を測定します。アカデミック・モジュールよりもジェネラル・トレーニング・モジュールの方が、日常的に使われる語彙が多いためスコアが取りやすいとされ、1~1.5ポイントぐらいのスコア差が出ることもあります。
IELTSのモジュール |
目的 |
Academic Module
(アカデミック/学術英語) |
大学への進学 |
大学院への進学 |
TAFEへの進学 |
専門学校への進学 |
General Training Module
(一般英語) |
移住申請 |
学業以外のトレーニング |
企業研修など |
「オーストラリアの教育機関に出願するためにIELTSを受けたが、誤ってGeneral Training Moduleにしてしまった」という場合、Academic Moduleでの再受験が必要となります。IELTS申し込み時、モジュールの選択ミスにはくれぐれもご注意ください。
IELTSの試験内容とスケジュール
IELTSの試験内容は、聞く力(リスニング)、読解力(リーディング)、書く力(ライティング)、会話力(スピーキング)の4科目です。
各分野の能力は、最も低い1から、最高得点の9までを0.5刻みで計測されます。IELTSで高い得点を取得するためには、これら4科目に対し、総合的なバランスのとれた英語力が必要とされます。
日本にあるIELTS公式テストセンターでは、IELTSのペーパー版、または、コンピューター版のIELTS試験を実施しています。リスニング、リーディング、ライティング試験の回答を紙に書くか、コンピューターに入力するか、好きな方を選びましょう。スピーキング試験は、どちらの場合も一対一の対面方式で行われます。
※試験科目の順序は、国によって異なります
※Speakingは、別途時間帯を選択します
試験項目 |
問題数 |
時間 |
試験内容 |
Writing |
全2問(2つのタスク) |
60分 |
アカデミック・モジュールとジェネラル・モジュールでテーマが異なります。どちらも質問に適切に答えているか、また、解答は論理的か、幅広く正確な語彙・文法が使用されているかという点において評価されます。複合した文章を書ける表現力、論理的に文章を展開する構成力も必要です。つづり(スペル)や文法の間違いも減点対象になりますので注意してください。タスク1(150ワード以上)を20分、タスク2(250ワード以上)を40分で終えるとした場合、それぞれライティングと見直しにどれだけ時間をかけられるのか、事前にしっかり把握しておきましょう。 |
Reading |
全40問(3つの長文) |
60分 |
様々なタイプの問題(選択問題、正誤問題、組み合わせ問題、見出し・ 主題の選択、文章・要約・メモ・表・フローチャート・図表の穴埋め、記述 式問題)が出題されます。長文を短時間で集中して読み、要点や趣旨を把握する力、筆者の意図や姿勢、目的を理解する力、文法の知識、語彙の豊富さも重要です。 |
Listening |
全40問(4つのパート) |
約30分 |
選択問題、穴埋め問題などが出題されます。音声を聞く前に、問題文を読む時間が与えられます。様々なネイティブスピーカーの声やアクセントが使用され、音声は一度しか聞くことができません。
話の要点や特定の情報を聞き取る能力、話者の意図や姿勢、目的を理解する力、議論の展開についていく力などが問われます。長時間にわたり早いスピードの会話、セミナー等の内容を集中して聞き取る力も重要です。 |
Speaking |
3パート |
11~14分 |
Part1「自己紹介と日常生活に関する質問(4-5分)」、Part2「スピーチ(3-4分)」、Part3「ディスカッション(4-5分)」という構成で、趣味、文化、家族、政治経済、ビジネス、その他様々な分野の質問がなされます。試験官によって質問内容が異なります。実際のシチュエーションにおいて自然かつ流暢な会話力、事物を比較したり自分の経験・意見・将来の計画を説明できる表現力が重要です。 |
IELTSのスコアによる英語力レベル
IELTSのスコア |
レベル |
英語力 |
IELTS 9.0 |
Master(上級の上) |
全ての状況で、英語を完全に使いこなせる。 |
IELTS 8.0-8.5 |
状況により、弱冠不適切な表現力があるものの、議論をこなす英語力が充分ある。 |
IELTS 7.0-7.5 |
Advanced(上級) |
状況によっては、不適切な表現があるが、殆どの複雑な言い回しや表現力があり、英語を有効に使うことができる。 |
IELTS 6.0-6.5 |
表現に弱冠の誤解が見られるが、英語を有効に使うことができ、表現力豊かな、コミュニケーションを取ることもできる。日常の生活で不便を感じることは、ほとんどない。 |
IELTS 5.0-5.5 |
Upper-Intermediate(中上級) |
たいていのことが理解でき、基本的なコミュニケーションがとれる。語学学校の一般英語コースであれば、中上級~上級レベルとなり、各専門学校の授業も英語で理解できる。 |
IELTS 4.0-4.5 |
Intermediate(中級) |
ほとんどの場所で、コミュニケーションがとれるが、複雑な言い回し等の表現力が足りない。 |
IELTS 3.0-3.5 |
Pre-Intermediate(初中級) |
生活などを含めた身近な内容で、一般的なことについての表現ができるが、コミュニケーションできない場合が多い |
IELTS 2.0-2.5 |
Elementary(初級) |
単語をいくつか並べたり、決まり文句などによる基本的なこと以外、会話でコミュニケーションをとることが難しい |
IELTS 1.0-1.5 |
いくつかの単語が話せるが、英語運用能力は無い |
IELTS 0-0.5 |
判定不可能。語学学校からスタート |
試験結果は、コンピューター版の方が早く、通常受験後3~5日で結果スコアをオンラインで知ることができます。ペーパー版の場合は13日ほどかかります。その後、管轄のテストセンターよりIELTSの成績証明書(Test Report Form)が郵送されます。
初めてIELTSを受験する方は、試験の出題傾向や時間配分、よくある間違いについても、事前にしっかり把握しておきましょう。ブリティッシュ・カウンシルが提供している
無料学習教材などもフルに活用して、万全の準備を整えましょう。
先にオーストラリアに渡航してからIELTS試験を受けたい、という場合は、現地の語学学校に通い、英語環境に身を置きながらスピーキングやリスニングを効率的に強化していく方法もあります。
オーストラリアの語学学校で提供されているIELTS試験対策コースの中には、IELTSの試験官の経験を持つ講師が直接クラスを持つ場合もありますので、試験対策をさらに効果的に進めたい方におすすめです。
IELTSと他の英語検定試験のスコアを比較
各教育機関進学に必要な点数
専門学校をはじめとする、TAFE、大学、大学院に進学するためには、それぞれの教育機関が入学条件としているIELTS Academicのスコアを満たす必要があります。
進学先の教育機関 |
求められるスコアの目安 |
説明 |
試験対策コース |
IELTS Academic 5.0~6.0 |
IELTS、TOEFL、TOEIC、Cambridge等の試験対策コースに参加するためには、通常IELTS5.0以上の英語力が求められます。 |
専門学校 |
IELTS Academic 6.0 |
専門学校では、入学時の英語能力判断基準としてIELTSの結果を必要とする学校と、そうでない学校があります。基本的にIELTSを必要とする学校は、6.0ポイント以上を求めます。 |
TAFE |
IELTS Academic 6.0 |
TAFEは、オーストラリアの政府公認職業訓練学校です。現地の人と学業を共にするので、基本的にはIELTSの試験結果が必須となります。入学基準として求められる点数はコースによって異なりますが、6.0ポイント以上が一般的です。 |
ファウンデーションコース |
IELTS Academic 5.0~6.0 |
大学の準備コースとなる、ファウンデーションコースでは、基本的にIELTS5.5が入学基準とされていますが、コース期間や、進学先の学部によってファンデーションコース入学基準となる英語力が変わります。 |
大学 |
IELTS Academic 6.5~7.0 |
大学で専門的な学問を学ぶには、IELTSは必須の入学英語条件となります。大学によって、必要とされるIELTSの点数が異なります。また、同じ大学でも学部によって、必要点数が違う場合がありますので、ご注意下さい。一般的には、6.0~6.5ポイント以上の高得点が必要です。 |
大学院 |
IELTS Academic 6.5~7.5 |
大学院も大学と同じように高得点を要します。大学院の場合、大学に比べて更に高度な英語が必要とされることも多いでしょう。ほとんどの大学院は、入学英語基準をIELTS6.5ポイントとしていますが、特定の大学及び、学科においては、7.0ポイント以上を求められることもあります。 |
IELTS受験費用はいくらかかる?(2024年)
受験地 |
受験料 |
オーストラリア |
A$445 |
日本 |
25,380円(税込) |
IELTS受験料は、オンラインで申し込み時にクレジットカードで支払います。試験会場で直接支払うことはできません。
IELTSの受験申し込みはどこでできる?
下記、主な開催団体のサイトからオンラインで申し込み可能です。それぞれ開催場所や日程が異なります。
申し込みには、試験日当日まで有効なパスポートが必要です。
【日本英語検定協会】
・コンピューター版IELTSはほぼ毎日実施(東京駅前・東京市ヶ谷・名古屋・大阪)
・ペーパー版は毎月4日間ほど実施(全国16都道府県)
・クレジットカード支払いのみ
日本英語検定協会のウェブサイトへ
【ブリティッシュ・カウンシル】
日本英語検定協会を公式パートナーとし、東京、名古屋、大阪の公式テストセンターで実施。
ブリティッシュ・カウンシルのウェブサイトへ
【IDP Education】
・コンピューター版IELTSはほぼ毎日実施(東新宿と高田馬場)
・神奈川県初となるコンピュータ版IELTS会場もあり(横浜駅徒歩7分)
・ペーパー版は都内大学ほか、札幌、仙台、浜松、鳥取、岡山、高松、福岡、沖縄等で実施。
・コンビニ払い可(ただし申込み完了から48時間以内、かつ試験まで72時間以上ある場合)
IDP Educationのウェブサイトへ
IELTSの結果が出たらどうすればいい?
IELTS Academicのスコアが出たら、
こちらのオーストラリア留学相談フォームからお知らせください。オーストラリア留学センターの有資格留学カウンセラーが、あなたの留学を実現する最適なプランを計画します。
もし、IELTS Academicのスコアがまだ目標に達していない、という場合もご安心ください。その場合、あなたがオーストラリアの希望のコースに進学するために、事前に語学学校でどのくらいの期間学ぶ必要があるのか、現実的な留学プランをアドバイスします。トータルの留学期間や費用の目安を知ることは、留学実現への大きな一歩となるでしょう。
今できることに一つ一つ挑戦しながら、オーストラリア留学の夢をかなえましょう。