現役の会計学部の学生へインタビュー。オーストラリアの会計学部への進学を考えている方から、よく聞かれる質問に答えてもらいました。
Interviewee
Mamiさん | University of South Australia | Master of Professional Accounting | 在学中
日本の大学ではリベラルアーツでメディアを専攻。観光マーケティング・マネジメントを学んだ際に予算の使い方に疑問を感じたのが会計学に興味をもったきっかけ。大学卒業後すぐに大学院へ進学しており、会計部門含め留学前の社会人経験なく、日本での簿記資格など留学前に会計関連のことを学んだことはないそうです。
会計的なバックグラウンドがないと、会計学を学ぶのは難しいですか?
ーオーストラリアの大学院のMaster of Professional Accountingは会計分野の学士号がなくても進学することができます(*1)が、会計学的なバックグラウンドがないので不安という方もいます。
修士課程であっても、基礎から学べ、ステップアップしていくカリキュラムになっているので、まったく会計学に関する経験がなくてもクリアできます。ただし、経験がない分予習・復習は重要だと思っています。特に予習していないとワークショップについていけないと思います。
ーワークショップでは”参加する”ことも大事だと思います。最初はなかなか発言することが難しいと感じる日本人留学生は多いですが、いつ頃から躊躇なく発言できるようになりましたか?
ワークショップでは最初から「必ず1回は発言する!」と心に決めて参加していました。そのためにも時間をかけて予習します。絶対に質問が来るポイントも予想して答えられるよう準備しています。
学期中にアルバイトをする時間はありますか?
ー授業以外にも予習・復習ととても忙しそうですが、アルバイトをする時間はありますか?
週3日(週末に15~20時間)にローカルのレストランで働いています。最初は慣れない環境で自分のペースを作るのが大変でしたが、今(3学期目)は、1年目より生活や勉強のサイクルも見えてきて、うまく回っていると思います。
数学が苦手なのですが、会計学を学ぶのは難しいですか?
ー会計学はビジネスの重要な部分を担うため興味を持つ方も多いですが、「会計学=数字」のイメージが強く、中には学んでみたいけど数学が苦手なので不安という方もいます。
数学は嫌いではありませんが、得意とは言えない方でした。たくさん計算をする科目もありますが、決まった式を理解して数字を当てはめて計算することが多く、理解できないと感じることはありません。複利の計算などは手計算すると大変だと思いますが、関数電卓を使うので大丈夫です。
英語で学ぶのって難しいですか?
ーどの学問でもそうですが、専門用語も多い大学や大学院の授業に英語でついていけるか不安という方も多いです。
会計学を学ぶにあたっては、英語だからシンプルなことも多く、日本語よりも学びやすいのではないかと感じています。
例えば、日本語では「指標名が自己資本当期利益率、略称がROE、公式は自己資本当期利益率=当期純利益 / 株主総資本」と3つ覚えなければなりませんが、英語だとReturn On Equityと覚えるだけで略称も式も覚えられます。
ーでは、英語で学ぶ以外に大変だと感じることはありますか?
実践的なカリキュラムになっているので、公認会計士の方にインタビューをしたりすることもありますが、応じてくれる方を自分で探してお願いすることが必要な授業もあり、それがコネクションが少ない留学生にとっては大変だと感じることもあります。ただ、お願いするにあたっては、ビジネスマナーなども必要なので、そのようなことも学べるのは将来の役に立つと思います。
グループワークで他の学生とミーティングの時間を合わせるのも大変でした。特に他の学部の学生も一緒の授業だとアルバイトなどの都合だけでなく、他に取っている授業もまったく違ったりするので。
日本語のテキストなどを参考にすることはありますか?
ー会計学は簿記や財務分析など数字的な部分は日本と同じ部分もあります。日本語のテキストなどを参考にすることはありますか?
どうしてもわからない時は日本語で調べてから理解することもあります。テキストというよりはインターネットで調べるという感じです。ただし、日本語で調べてもわからないものはあります。そのときは理解できるまで教授や友達に聞いたり、教科書や英語のテキストを読み込んで理解するしかありません。
南オーストラリア大学を選んだ理由はなんですか?
ー会計学はオーストラリアのほとんどの大学で開講されていますが、南オーストラリア大学を選んだ理由はなんですか?
大きな都市の出身ですが、勉強するにあたっては少し落ち着いた都市がいいなと思っていました。以前、親友がアデレードに住んでおり、名前だけは知っていたので調べてみたところ、私の考えている条件にぴったりだと思いました。なので、まず都市を決めて、アデレードの3つの大学の中でビジネス分野に強く、現地企業とのコネクションもあり、インターンシッププログラムがある南オーストラリア大学を選びました。
ー現地企業とのコネクションの強さやインターンシッププログラムを重視したとのことですが、進学後、実際にその強みを感じることはありますか?
毎学期ネットワーキングイベントがあり、会計専門の企業や会計のポジションを探している企業とのマッチングがあります。また、コースコーディネーターからキャリアの考え方やレジュメの書き方まで学べたり、口頭で”会計士”としてアドバイスする試験がある科目があったり、授業の中で実際に働かれている会計士の方へインタビューを行ったり・・実践的で地元企業とのコネクションの強さをすごく感じます。
最初の頃はコミュニティの小ささが気になり、「メルボルンなどもっと大きな都市の方が可能性は広がったかもしれない」と感じることもありましたが、今はコミュニティの小ささが地元企業とのコネクションの強さなどにつながっていると感じます。
CPA AustraliaのCPA Program科目を受講していますか?
ー将来CPA Australiaなどの資格取得を視野に入れている場合、いくつかの大学院では在学中に並行してCPA Programを学ぶ事ができます。メリットとしては、勉強に集中できる在学中に科目合格できること、選択科目としての受講のため勉強の負担がそこまで増えないこと、わからないことを教授に聞くことができること等が挙げられます。南オーストラリア大学では、選択科目で一部CPA Programの科目を受講することができますが、受講していますか?
進学先を決める時は考慮していましたが、今は受講は考えていません。Master of Professional Accountingは2年のコースで、業界団体が指定している必須科目が多く、選択科目を受講できるユニット数は限られています。その中で、南オーストラリア大学ではインターンシップも選べるため、在学中は経験を積むことを優先したいと考えています。キャリアの授業で、オーストラリアの就職活動では、インターンシップなどの就労経験やネットワーキングが重要だと学んだこともこの判断につながりました。将来は会計事務所への就職を目指しており、資格は就職してから実務と併せて学ぶのが効果的だと考えています。
今回、インタビューに応じてくれたMamiさんは、現在は3学期目(2年目)を受講中。最初は慣れない環境で自分のペースを作るのが大変だったそうですが、今は「住んでると言われるくらい図書館にいます」というほど勉強に注力しながらも、アルバイトなども楽しんでいるとのこと。やりたいこと&やるべきことが明確で、たくさん努力しているからこそ、今のイキイキした笑顔につながっているんだなと感じました。今学期を含めてあと2学期、目標に向かって楽しんでくださいね。
*1:関連分野の学士取得により受講できないコース、関連分野の学士取得により期間が短くなるコースなどもあります。詳細はカウンセリング時にご相談ください。
*本記事は2024年4月現在の情報に基づいており、カリキュラムの内容などは変更されることもございますのでご留意ください。
*会計学について詳しく知りたい方は「
オーストラリアで会計士を目指す」をご覧ください。