オーストラリアでVFXを学ぶ|大学・コース徹底比較

VFX・視覚効果の制作イメージオーストラリアでVFX(Visual Effects=視覚効果)を学べる大学と、留学生が2027年入学で出願できるコースを比較しました。VFXを学位名に掲げる大学から、Animation・Film・Designの学位の中でVFXを扱う大学まで、専門度・カリキュラム・学費・入学条件を整理しています。アデレード大学のBachelor of Visual Effectsのような専門学位から、Animationを主軸にVFXへ広げるコースまで、目的別にどこを選ぶべきかが分かる記事です。

目次


オーストラリアで「VFX」を学位名に掲げている大学は、2大学3コースあります。

これは印象の話ではありません。オーストラリア政府が運営する留学生向けコース登録簿(CRICOS)で「Bachelor of Visual Effects」を検索すると、アデレード大学の1コースと、フリンダース大学の2コース(通常課程とVET Entry課程)が登録されています。

この3コースが、VFXを学位の中心に据えた選択肢です。そして残りの大学では、Animation・Film and Television・Designといった別の名前の学位の中で、VFXに関連する科目や専攻を選び取っていくことになります。

この違いを最初に知っておくと、大学選びは一気に楽になります。VFX専門学位なら3年間まるごとVFXに使えますが、Animation学位の中でVFXを選ぶ場合、VFXに充てられる単位は学位全体の2割から4割程度が目安です。

どちらが優れているという話ではありません。あなたが何になりたいかによって、最適な選択肢が変わるということです。この記事では、その判断ができるところまで踏み込んで整理します。

「VFXを学べる」には4つのタイプがある

3DCGモデルを使った制作作業VFXを学べる大学を並べただけのリストは、実はあまり役に立ちません。同じ「VFXが学べます」でも、中身がまったく違うからです。オーストラリアの大学は、大きく4つのタイプに分かれます。

1. VFX専門型

学位名そのものがVFXで、3年間の大半をVFX制作に使うタイプです。該当するのはアデレード大学とフリンダース大学の2校だけです。

2. VFX+Virtual Production型

従来のVFXに加えて、巨大なLEDウォールやUnreal Engineを使った撮影技術、いわゆるバーチャルプロダクションを重視するタイプです。カーティン大学、グリフィス大学、クイーンズランド工科大学がここに入ります。

3. Animation中心+VFX型

キャラクターアニメーションや2D・3Dアニメーションが学位の主軸で、VFXは選択科目やMinorとして追加していく形です。スウィンバーン大学、RMIT大学、シドニー工科大学がこのタイプにあたります。

4. Film・Moving Image+VFX型

映画・テレビ制作という枠組みの中でVFXを扱うタイプです。ディーキン大学が該当します。

この4つは、学べる内容が少しずつ違うだけではありません。3年間で作れる作品が変わり、その結果、卒業時に応募できる職種が変わります。

合成やシミュレーションを扱うVFX Artistを目指すのか、キャラクターを動かすAnimatorを目指すのか、撮影現場でリアルタイム技術を扱う立場を目指すのか。

ここが決まっていないうちに大学名から探し始めると、判断材料が多すぎて動けなくなります。

逆に言えば、自分がどのタイプを求めているかが決まれば、候補は一気に3〜4校まで絞れます。

オーストラリアでVFXを学べる大学 比較一覧

オーストラリアの大学で学ぶ留学生ここからは9校を3組に分けて、同じ項目で比べます。表では以下の略称を使います。アデレード大学(Adelaide University)、フリンダース大学(Flinders University)、カーティン大学(Curtin University)、グリフィス大学(Griffith University)、クイーンズランド工科大学(QUT)、スウィンバーン大学(Swinburne University of Technology)、RMIT大学(RMIT University)、ディーキン大学(Deakin University)、シドニー工科大学(UTS)です。

表の記号は、◎◎=特に強い、◎=強い、○=学べる、△=限定的または公式に確認できないを表します。

VFX専門度の★とあわせて、「学位全体に占めるVFX専門科目の比重」と「公式に確認できた科目・設備・提携」を基準にした、オーストラリア留学センター独自の目安です。大学の格や教育の質を評価したものではありません。

VFXを専門的に学ぶなら:アデレード大学・フリンダース大学・カーティン大学

項目 アデレード大学 フリンダース大学 カーティン大学
都市アデレードアデレードパース
コースBachelor of Visual EffectsBachelor of Visual Effects and Entertainment DesignBachelor of Digital Creative Industries
専攻Visual Effects(分岐なし)CGI, VFX & Post-Production ほか6専攻Animation, Visual Effects and Virtual Production
VFX専門度★★★★★★★★★★★★★★☆
Animation
Compositing◎◎
Virtual Production◎◎
Real-time/Unreal系◎◎
Gamesとの親和性◎◎
映画VFXへの特化◎◎
VFXスタジオとの一体型教育◎◎ Rising Sun Pictures○ CDW Studios(教育スクール)
カリキュラムの柔軟性◎◎◎◎
出願時ポートフォリオ不要必須不要
向いている学生映画VFX専門職VFX+3D+コンセプトアートVFX+Animation+Virtual Production+Games

設備とバーチャルプロダクションで選ぶなら:グリフィス大学・クイーンズランド工科大学・スウィンバーン大学

項目 グリフィス大学 クイーンズランド工科大学 スウィンバーン大学
都市ブリスベンブリスベンメルボルン
コースBachelor of Film and Screen Media ProductionBachelor of Creative Arts (Animation)Bachelor of Animation
専攻Virtual production and VFXAnimation majorAdvanced Minor: Visual Effects
VFX専門度★★★★☆★★★☆☆★★★☆☆
Animation◎◎◎◎
Compositing
Virtual Production◎◎○(設備は◎◎)
Real-time/Unreal系◎◎
Gamesとの親和性
映画VFXへの特化
VFXスタジオとの一体型教育○ Vizion連携○ Professional Placement
カリキュラムの柔軟性○(入学は年1回)◎◎(Complementary studies 96単位)
出願時ポートフォリオ留学生は対象外不要公式に記載なし
向いている学生映像制作+Virtual ProductionAnimation+最新設備Animation+Compositing

アニメーション・映像制作を主軸にするなら:RMIT大学・ディーキン大学・シドニー工科大学

項目 RMIT大学 ディーキン大学 シドニー工科大学
都市メルボルンメルボルンシドニー
コースBachelor of Design (Animation and Interactive Media)Bachelor of Film, Television and AnimationBachelor of Creative Production in Animation
専攻Animation and Interactive MediaVisual effects and virtual production MinorAnimation(学部)
VFX専門度★★★☆☆★★★☆☆★★★☆☆
Animation◎◎◎◎
Compositing○〜◎(Nuke公式明記)
Virtual Production○(Minor名に含む)
Real-time/Unreal系
Gamesとの親和性○(Interactive Media)
映画VFXへの特化
VFXスタジオとの一体型教育○ AWL300 Internship△(大学院は◎◎ Animal Logic Academy)
カリキュラムの柔軟性○(MajorとMinorは排他)○(入学は年1回)
出願時ポートフォリオ必須(課題型・AI禁止)公式に記載なし公式に記載なし
向いている学生Animation+Interactive Media映画・TV制作+VFXAnimation+業界標準ツール

なお、グリフィス大学については注意が必要です。Bachelor of Animationにも進めますが、VFXとバーチャルプロダクションを専門的に組み立てられるのはBachelor of Film and Screen Media Productionのほうです。

エージェント各社の記事ではここが混同されていることがあるため、後半で詳しく説明します。

各大学で「できること」と「できないこと」

比較表の★だけでは、自分のやりたいことが実際にできるのかは分かりません。留学相談で最も多く聞かれるのがここなので、各大学で確実にできることと、制約になる点を並べました。「できないこと」は大学の欠点ではなく、そのコースが何に絞って設計されているかを示すものです。

大学・コース できること できないこと・制約
アデレード大学/Bachelor of Visual Effects学位の50%を実在の映画VFXスタジオで履修。Compositing・FX・Lighting・Creature FXを職種別に学ぶ。Showreel制作が科目に組み込まれているバーチャルプロダクション、モーションキャプチャの専門科目は確認できない。専攻の分岐がない
フリンダース大学/Bachelor of Visual Effects and Entertainment Design1年次のあと6専攻から選択。Motion Capture and Virtual Productionが必修。Houdini・PFTrackなど業界ソフトを使用VFX制作会社の現場で行う実習科目は課程規則上にない。出願にポートフォリオが必須
カーティン大学/Bachelor of Digital Creative IndustriesAnimation・VFX・Virtual Productionを1専攻で横断。Game Design and Artとのダブルメジャーが可能科目一覧が公式に非公開のため履修内容を事前確認できない。留学生はポートフォリオ入学経路を使えない
グリフィス大学/Bachelor of Film and Screen Media ProductionVirtual production and VFXの領域でReal-time VFX and Virtual Sets、Virtual Camera Systems and ICVFXなどを履修入学はTrimester 1(3月)の年1回のみ。留学生はポートフォリオ入学の対象外
グリフィス大学/Bachelor of AnimationToon Boom Centre of Excellenceの認定環境でアニメーションを学ぶ。入学は年2回Virtual Production and VFXのMajorは存在しない。VFXを主軸にはできない
クイーンズランド工科大学/Bachelor of Creative Arts (Animation)LEDウォール10m×4.5m、Vicon20台のモーションキャプチャ環境がある。Complementary studies 96単位で他分野を組み合わせられる。ポートフォリオ不要Animation majorは288単位中96単位。VFX・Virtual Production系科目がmajorに含まれるかは要確認
スウィンバーン大学/Bachelor of AnimationAdvanced Minor: Visual Effects(50単位)でCompositingを専門的に履修。Professional Placement(6か月/12か月)に応募できる学部にVirtual Productionを名称に含む科目がない。Placementは選抜制
RMIT大学/Bachelor of Design (Animation and Interactive Media)Visual Effects、Advanced Visual Effectsを選択科目として履修。2D・3D・インタラクティブメディアを横断出願にポートフォリオと課題提出が必須で、AIツールの使用は禁止。準備に数か月かかる
ディーキン大学/Bachelor of Film, Television and AnimationVisual effects and virtual production Minorを履修。入学は年3回で柔軟このMinorはAnimation Majorと同時に履修できない。どちらかを選ぶ必要がある
シドニー工科大学/Bachelor of Creative Production in AnimationNuke・Arnold・RenderManなど業界標準ツールに触れる環境があるVFXを名称に含む科目は確認できない。入学は2月の年1回のみ

この表で「できないこと」が自分にとって致命的かどうかを見てください。バーチャルプロダクションに一切興味がないならアデレード大学の制約は問題になりませんし、アニメーションとVFXを両方やりたいならDeakinの同時履修不可は決定的な問題になります。

目指す職種から逆算する ── 「一直線」か「限定しない」か

VFX業界は徹底した分業制です。ひとつの映像を、合成する人、シミュレーションを作る人、光を設計する人、生き物の毛や布を動かす人が分担して作ります。だからこそ、どの職種を目指すかを決めると、選ぶべき大学がほぼ決まります。

この点で、アデレード大学とカーティン大学は設計思想が正反対です。大学が公式に挙げている想定職種を並べると、その違いがはっきり見えます。

大学 公式に挙げられている想定職種
アデレード大学Compositor(コンポジター)/FX Artist(エフェクトアーティスト)/Lighting Artist(ライティングアーティスト)/Creature Technical Director(クリーチャーTD)/Paint and Roto Artist(ペイント・ロトアーティスト)/Matchmove Artist(マッチムーブアーティスト)/3D Animator/3D Modeller/Rigger/Layout Artist/DMP Artist/VFX Editor
カーティン大学Animator(2D/3D/リアルタイム)/Visual Effects Artist/Compositor/3D Motion Graphics Artist/3D Level Designer/Real-time Animation・Cinematic Artist/Virtual Production Artist

アデレード大学の職種リストは、そのまま映画VFXスタジオの職種表になっています。

Paint and Roto、Matchmove、Creature TDといった名称は、映画やドラマのポストプロダクション工程にしか存在しない職種です。

つまりこのコースは、入学した時点から特定の職種に向かって一直線に進む構造だということです。

Rising Sun Picturesでの実習が学位の半分を占めるのも、この設計と一貫しています。

対してカーティン大学は、VFX Artistにもなれるけれど、そこに限定しないという設計です。

職種リストにはVirtual Production Artist、3D Level Designer、Motion Graphics、リアルタイム系のシネマティックアーティストが並び、ゲーム分野にも接続しています。

Game Design and Artとのダブルメジャーが用意されているのも同じ思想です。

どちらが優れているかではありません。「映画のVFXスタジオで働く」ことを最初からゴールに据えているならアデレード大学が最短距離ですが、その分だけ進路の幅は狭くなります。

逆に、映像・ゲーム・リアルタイム表現のどこに進むかをまだ決めきれていないなら、カーティン大学のように選択肢を残せる構造のほうが現実的です。

なお、他の大学は公式サイトでこれほど具体的な職種リストを公開していないため、同じ粒度での比較はできません。

大学が公表している職種はあくまで「この学位から考えられる進路の例」であり、卒業すればその職種に就けることを保証するものではありません。実際の採用では、作品の質、実務経験、英語でのコミュニケーション力が影響します。

実際のVFXスタジオで、現役アーティストから学ぶ ── アデレード大学

アデレード大学のキャンパスVFXを本気で職業にしたいなら、まず検討すべきはアデレード大学のBachelor of Visual Effectsです。理由はひとつ、学位144単位のうち72単位、つまり全体の50%が、実在する映画VFXスタジオRising Sun Pictures(RSP)の現場で行われるからです。

これは「スタジオ見学があります」「業界のゲスト講師が来ます」というレベルの話ではありません。

Work Integrated Learningと呼ばれる4科目(各24単位)は、すべてアデレード市内のRSPスタジオで、月曜から金曜の9時から17時という実務そのままのスケジュールで実施されます。

1科目あたりの実習時間は600時間。教えるのは現役のVFXアーティストとスーパーバイザーです。

大学側もこの学位を「RSPとの共同開講(co-delivered)」と位置づけ、「学位の60%をRSPの現場で履修する」と説明しています。

科目構成も職種に直結しています。公式に確認できた主なVFX関連科目は次のとおりです。

科目コード 科目名/学ぶ内容
COGR 1004Digital Compositing(デジタルコンポジット)/ロトスコープ、キーイング、トラッキング、マッチムーブ
COGR 1003Introduction to 3D(3D入門)/モデリング、テクスチャリング、ライティング、レンダリング。MayaとUnreal Engineを使用
MDIA 1900Look Development(ルックデベロップメント)/光の観察とライティング設計。RSP現地開講
COMP 2900Hard Surface Modelling(ハードサーフェスモデリング)/Lidarモデリング、上級モデリング。RSP現地開講
COMP 2901VFX Placement: Compositing and Tracking(実習・24単位)/プレート処理、3Dトラッキング、上級コンポジット
MDIA 3901VFX Placement: Dynamic Effects and Lighting(実習・24単位)/Houdiniによるシミュレーションと物理ベースライティング。Showreelとレジュメを制作
MDIA 3903VFX Placement: 3D Animation(実習・24単位)/キャラクター、クリーチャー、プロップ、カメラワーク
MDIA 3904VFX Placement: Creature Effects(実習・24単位)/クロス、ヘア、ファーのシミュレーション

VFX Placementと名のつく4科目が、それぞれ24単位でRSP現地開講です。最終学年の実習科目では、就職活動用のShowreelとレジュメを制作するところまでがカリキュラムに組み込まれています。これは他大学ではあまり見られない設計です。

一方で、割り切りもはっきりしています。このコースにはバーチャルプロダクションやモーションキャプチャの専門科目が確認できません。映画・ドラマのポストプロダクション工程に特化した設計です。

リアルタイム技術やゲーム分野も視野に入れたい人には、後述するCurtinやクイーンズランド工科大学のほうが合う可能性があります。

出願面では、ポートフォリオ提出が入学要件に含まれていません。入学条件は学歴と英語力(IELTS Overall 6.5、各6.0)のみ。作品づくりの経験がまだ浅い高校生にとって、これは現実的な入り口です。学費は年間A$45,100(日本円で約5,231,600円)(2027年度)です。

なお、アデレード大学は2026年にUniversity of AdelaideとUniversity of South Australiaが統合して発足した新しい大学です。

旧University of South Australia時代の学費や条件が書かれた古い情報が、インターネット上に多く残っています。出願検討時は必ず現在のアデレード大学の情報で確認してください。

このコース単体については、アデレード大学で視覚効果 Visual Effect を学ぶで詳しく解説しています。

Rising Sun Picturesとの連携の中身、学べる技術の内訳、卒業後に想定される職種、出願条件と学費まで、このコース1本に絞って掘り下げた記事です。アデレード大学を第一候補に考えている方は、あわせてお読みください。

VFXを軸に、CGI・3D・コンセプトアートまで広げる ── フリンダース大学

フリンダース大学のキャンパス同じアデレードにあるフリンダース大学のBachelor of Visual Effects and Entertainment Designは、名前は似ていますが設計思想がかなり違います。こちらは1年次の共通課程を経て、6つの専攻から進む道を選ぶ構造です。

選べるのは、2D Concept Art & Illustration(コンセプトアートとイラストレーション)、2D Animation & Storyboarding(2Dアニメーションとストーリーボード)、3D Modelling & Digital Sculpting(3Dモデリングとデジタルスカルプト)、3D Animation for Games & Film(ゲーム・映像向け3Dアニメーション)、CGI, VFX & Post-Production(CGI・VFX・ポストプロダクション)、Digital Mediaの6つ。

VFX志望ならCGI, VFX & Post-Productionを選ぶことになりますが、1年間学んでから決められるのは大きな利点です。

CGI, VFX & Post-Production専攻で公式に確認できた主な科目は次のとおりです。

科目コード 科目名/位置づけ
VEED1410Visual Effects & Post Production(VFXとポストプロダクション)/1年次の選択科目
VEED2202CGI Foundations(CGI基礎)/2年次必修
VEED2203CGI Practices(CGI実践)/2年次必修
VEED2412Motion Capture and Virtual Production(モーションキャプチャとバーチャルプロダクション)/2年次必修
VEED3014VFX Histories and Theories(VFXの歴史と理論)/3年次必修
VEED3302/3301Digital Entertainment Project 1・2(デジタルエンターテインメント制作)/3年次必修の制作科目
VEED3420/3421Advanced Studio Practice 1・2(上級スタジオ実践)/3年次必修

注目すべきは、Motion Capture and Virtual Production(VEED2412)がCGI・VFX専攻の必修科目になっている点です。

これはアデレード大学にはない要素です。学内には「The Void」と呼ばれるモーションキャプチャ・バーチャルプロダクション施設があり、Vicon Vantage V8カメラ20台、フェイシャルキャプチャ用ヘルメット2台、8m×3mのLEDウォールを備えています。

制作技術の中核にはUnreal Engineが据えられています。ただし、アデレード大学と決定的に違う点があります。Flindersが連携するCDW Studiosは、VFX制作会社ではなく3Dアニメーション系の教育スクールです。

2016年から共同開講(co-deliver)というかたちで、CDWの創業者をはじめとする業界経験者が講師として授業を担当し、CDWの施設が学生用ラボとしても使われています。

授業の質という意味では大きな強みですが、アデレード大学のようにVFX制作会社の現場で実務に入る実習科目は、課程規則上に見当たりません。

CDWはもともと3Dアニメーションやモーションキャプチャに強みを持っており、Flindersはその特性を活かして、学生の国際コンペティション「The Rookies」への参加を積極的に後押ししています。

3DアニメーションやイラストレーションのカテゴリーでFlindersの在学生・卒業生が受賞している実績もあります。作品づくりで実力を示していきたい人にとって、この環境は魅力的です。

アデレードの2校をどう選び分けるか

この2校はどちらもVFXを学位名に掲げ、同じ都市にあります。迷う方が多いので、判断軸を並べます。

比較軸 アデレード大学 フリンダース大学
実習の場Rising Sun Pictures(実在の映画VFXスタジオ)の現場学内およびCDW Studios(共同開講の教育スクール)
VFXに使う比重学位144単位のうち72単位が実習科目共通課程を経てCGI, VFX & Post-Production専攻を選択
バーチャルプロダクション専門科目は確認できないMotion Capture and Virtual Productionが必修
進路の広がり単一プログラム。VFX職種に直線的6専攻から選択。コンセプトアート・3D・ゲームにも広げられる
出願時のポートフォリオ不要必須(作品+Written Statement+CV)
英語条件IELTS Overall 6.5(各6.0)IELTS Overall 6.0(Speaking 6.0/Writing 6.0)
2027年学費年間A$45,100(日本円で約5,231,600円)年間A$37,200(日本円で約4,315,200円)

Flindersの学費は今回比較した中で2027年度の金額が確定している大学としては最も低い水準です。英語条件も一段低く設定されています。一方でポートフォリオ準備の時間は必要になります。

Virtual Productionとリアルタイム技術で選ぶ ── カーティン大学・グリフィス大学・クイーンズランド工科大学

映像制作のコントロールルーム映画やドラマの制作現場は、グリーンバックで撮って後から合成する従来型から、巨大なLEDウォールに背景をリアルタイム表示して撮影する「バーチャルプロダクション」へと大きく動いています。

この領域を学びたいなら、候補は3校です。

カーティン大学 ── VFX・アニメーション・ゲームを横断する

カーティン大学のキャンパスカーティン大学(パース)のBachelor of Digital Creative Industriesには、Animation, Visual Effects and Virtual Production Majorという、3つのキーワードをそのまま冠した専攻があります。

学ぶ領域として、シネマティックストーリーテリング、モーションデザイン、コンポジット、VFX、イマーシブなバーチャルプロダクションが挙げられています。リアルタイム技術を制作実践に統合することも明示されています。

Game Design and Art Majorとのダブルメジャー(MJDU-AXVGA)も正式に用意されており、VFXとゲームの両方を残しておきたい人には有力な選択肢です。

設備はMaya、ZBrush、Unreal Engine、Unityを備えたデジタルラボとMedia Production Studio、AGDXアニメーションスタジオ。

学費は初年度A$41,140(日本円で約4,772,240円)(2027年度)です。

ひとつ正直にお伝えすると、カーティン大学はこの学位の科目一覧を公式ハンドブックで公開していません。2026年開講の新しい学位のため、専攻ページには「詳細は学位のページを参照」とあるのみです。

したがって具体的な科目名までは確認できていません。出願前に大学へ直接確認することをおすすめします。

項目 内容
科目一覧公式ハンドブックに掲載なし(要確認)
公式に示された学習領域Cinematic Storytelling/Motion Design/Compositing/Visual Effects/Immersive Virtual Production/Real-time Technologies
ダブルメジャーGame Design and Art(MJDU-AXVGA)と組み合わせ可能
設備デジタルラボ/Media Production Studio/AGDXアニメーションスタジオ

グリフィス大学 ── VFXなら学位選びを間違えない

グリフィス大学のキャンパスグリフィス大学(ブリスベン)でVFXとバーチャルプロダクションを狙うなら、Bachelor of AnimationではなくBachelor of Film and Screen Media Productionを選んでください。

Bachelor of Animationの専攻はAnimating、Art Direction、CGI Technical Directionの3つで、VFXやバーチャルプロダクションを名前に冠した専攻はありません。

一方Film and Screen Media Productionには「Virtual production and VFX」という学習領域があります。

モーションキャプチャ、LEDウォール技術、フォトグラメトリ、カメラトラッキング、リアルタイムゲームエンジンによるバーチャルライティングを扱うと明記されています。

科目もReal-time VFX and Virtual Sets(2139GFS)、Virtual Camera Systems and ICVFX(3145GFS)、Introduction to Virtual Production(1125GFS)と具体的です。

学内のMediated Realities StudioにはICVFXステージとモーションキャプチャ設備があります。

科目コード 科目名/位置づけ
1125GFSIntroduction to Virtual Production(バーチャルプロダクション入門)
2139GFSReal-time VFX and Virtual Sets(リアルタイムVFXとバーチャルセット)
3145GFSVirtual Camera Systems and ICVFX(バーチャルカメラシステムとIn-Camera VFX)
1123GFSIntroduction to 3D Art and Environments(3Dアート・環境制作入門)
1305GFSFoundations of Post-Production and Motion Graphics(ポストプロダクションとモーショングラフィックスの基礎)
2741・2742・3743・3744GFSFilm and TV Studio 1〜4(映像制作スタジオ/段階制)

ただしこの学位は入学時期がTrimester 1(3月)のみの年1回です。Bachelor of Animation(3月・7月)と違うため、出願スケジュールの組み立てに影響します。

また2027年から入学経路が成績(ATAR/Rank)主軸に変わり、ATAR/Rank 75.00以上で入学が保証される仕組みが公表されています。学費は年間A$37,500(日本円で約4,350,000円)(2026年度)です。

クイーンズランド工科大学 ── 設備は屈指、ただし構造の確認が必要

クイーンズランド工科大学のキャンパスクイーンズランド工科大学(ブリスベン)は、設備という点でオーストラリア屈指です。XR Screen Futures Hubには10m×4.5mのLEDウォール、Vicon 20台による全身モーションキャプチャ、StretchSense製のハンドキャプチャグローブが揃い、Unreal Engineを使ったIn-Camera VFXが実践できます。

映画『Elvis』などを手がけたバーチャルプロダクション企業Vizionとの連携も公表されています。学費はA$41,300(日本円で約4,790,800円)(2027年度)、ポートフォリオ不要です。

ただし構造は正確に理解しておいてください。Bachelor of Creative Arts (Animation)は288単位で、内訳は共通科目72単位、Animation major 96単位、QUT You 24単位、Complementary studies 96単位です。

この96単位で第二メジャー、マイナー、選択科目を組み合わせられます。学内のSchool of Creative ArtsにはVirtual Production、Advanced Post-Production and Visual Effectsといった科目が実在します。

ただし、これらがAnimation majorの必修に含まれるのか、Complementary studiesで履修する形になるのかは公式に確認できていません。VFX科目を確実に取りたい場合は、出願前に履修可能かを大学に確認する必要があります。

科目コード 科目名/確認状況
KZB250Virtual Production(バーチャルプロダクション)/In-Camera VFX、リアルタイム・パフォーマンスキャプチャを扱う。major所属は要確認
KZB330Advanced Post-Production and Visual Effects(上級ポストプロダクションとVFX)/VFX前提の撮影、コンポジット、カメラ・環境トラッキング。major所属は要確認
KKB341・342Work Integrated Learning 1・2(実務連携科目)
学位の構成共通科目72単位+Animation major 96単位+QUT You 24単位+Complementary studies 96単位=288単位

Animationを主軸に、VFXへ広げる ── スウィンバーン大学・RMIT大学・シドニー工科大学

デジタル制作チームの共同作業「VFXにも興味はあるが、アニメーション制作そのものも学びたい」という人には、この3校が候補になります。

ただし、VFXに使える単位の量は前半で紹介した大学よりかなり少なくなります。その前提で読んでください。

スウィンバーン大学 ── コンポジットを軸にしたVFX Minor

スウィンバーン大学のキャンパススウィンバーン大学(メルボルン)のBachelor of Animationには、Advanced Minor: Visual Effects(50単位)という副専攻があります。

科目コード 科目名/位置づけ
DDD30011Compositing for Visual Effects(VFXのためのコンポジット)
FTV30024Visual Effects Production(VFX制作)/ユニットページ見出しは3D Visual Effects and Volumetric Capture
DDM20007Post Production for Digital Video(デジタル映像のポストプロダクション)
DDD200223D Modelling for Objects and Environments(オブジェクトと環境の3Dモデリング)

科目名がそのまま「Compositing for Visual Effects」であることからも分かるように、コンポジットを軸にしたVFX教育と理解するのが正確です。

ここで、よく見かける情報について訂正しておきます。スウィンバーン大学の学部課程には、名称に「Virtual Production」を含む科目が現在ひとつも存在しません。

「Virtual Universe」という施設は確かにあります。ただしこれは重力波研究グループとの共同による研究データ可視化・教育アウトリーチのための施設で、Bachelor of Animationのカリキュラムに組み込まれた科目は確認できませんでした。

バーチャルプロダクションの大学として紹介するのは、現時点では正確ではありません。

スウィンバーン大学の本当の強みは別のところにあります。Toon Boom Centre of Excellence、Adobe Creative Campus、Wacom Authorised Training Centre、ARRI Accredited Film Schoolという4つの認定を持ち、Professional Placement(6か月/12か月、選抜制)という長期の実務経験プログラムも用意されています。

学費はA$47,400(日本円で約5,498,400円)(2027年度)です。

RMIT大学 ── アニメーションとインタラクティブメディアを横断

RMIT大学のキャンパスRMIT大学(メルボルン)のBachelor of Design (Animation and Interactive Media)には、2つのVFX科目が選択科目として用意されています。

科目コード 科目名/位置づけ
OART1015Visual Effects(VFX)/Program Options(選択・12単位)
COMM2844Advanced Visual Effects(上級VFX)/Program Options(選択・12単位)
VART3573Animation and Interactive Media Design Effects/OART1015の前提科目

2D・3Dアニメーション、インタラクティブメディア、デジタルエフェクトを横断する構成です。VFXだけを深く掘る設計ではありませんが、表現の幅は広がります。

注意すべきは出願の重さです。A4サイズ12ページの作品ポートフォリオ、指定テーマ(Mask/Sign/Fish/Double Troubleから1つ)に沿った12コマ以内のストーリーボード課題、400語のApplicant Statementを1つのPDFにまとめて提出する必要があります。

AIツールの使用は禁止と明記されています。準備には数か月かかると考えてください。学費はA$48,000(日本円で約5,568,000円)(2027年度)で、今回の比較では最も高い水準です。

シドニー工科大学 ── 科目名にVFXはないが、業界標準ツールに触れる

シドニー工科大学のキャンパスシドニー工科大学(シドニー)のBachelor of Creative Production in Animationは、科目名にVFXを含むものが確認できませんでした。

項目 内容
VFX名義の科目公式に確認できず
公式に明記されたソフトNuke/Arnold/RenderMan/Maya/Toon Boom Harmony/Dragonframe
入学時期2月のみ(年1回)
大学院の選択肢Master of Animation and Visualisation(Animal Logic Academy/1年)

NukeはVFX業界標準のコンポジットソフト、Arnold・RenderManは映画制作で使われるレンダラーです。科目名にVFXがなくても、実際に触れるツールは業界のものだということです。

学費は2026年度でクレジットポイント単価A$1,017(日本円で約117,972円)。

公式に1年=48クレジットポイントと定義されているため、年額換算でA$48,816(日本円で約5,662,656円)となります(当社にて48クレジットポイント換算で算出)。

入学は2月の年1回のみなので、出願時期を逃さないよう注意してください。

そしてシドニー工科大学については、学部より大学院のほうが圧倒的にVFXに強いことを知っておいてください。

シドニー工科大学にはAnimal Logic Academyという施設があり、そこでMaster of Animation and Visualisation(コースコードC04423、CRICOS 092411G、1年、2月入学)が開講されています。

業界大手のアニメーションスタジオとの提携から生まれたプログラムで、現在はNetflix Animation Studios(旧Animal Logic)とのパートナーシップとして案内されています。

業界水準のデジタルプロダクションスタジオを備え、スタジオ型のプロジェクトを通して3Dアニメーションやビジュアライゼーションを学ぶ構成です。2027年2月入学の出願受付も公表されています。

映画・テレビ制作の中でVFXを扱う ── ディーキン大学

ディーキン大学のキャンパス映像作品づくり全体の中でVFXを位置づけたい人には、ディーキン大学(メルボルン)のBachelor of Film, Television and Animationが候補になります。

このコースにはVisual effects and virtual production Minorがあります。

このMinorは次の4科目で構成されています。

科目コード 科目名/位置づけ
ADA102Designing 3D Animated Environments(3Dアニメーション環境のデザイン)
ADA202Character Animation(キャラクターアニメーション)
ADA206Visual Effects and Effects Animation(VFXとエフェクトアニメーション)
ADA301Interactive Animation Design Studio(インタラクティブアニメーションデザインスタジオ)
AWL300Internship(選択科目)/600社を超える雇用主とのパートナーシップ

ただしこのMinorはAnimation Majorとの同時履修ができません。「アニメーションを専攻しながらVFXも副専攻で」という組み合わせは選べないので、出願前に必ず確認してください。ここを見落として出願すると、入学後に想定と違う履修計画になります。

学費はA$39,600(日本円で約4,593,600円)(2027年度)、入学時期は3月・7月・11月の年3回と、今回比較した中で最も柔軟です。IELTSはOverall 6.0(各6.0)。

選択科目としてAWL300というインターンシップ科目もあり、600社を超える雇用主とのパートナーシップが公表されています。映画・テレビ制作を軸に据えつつ、VFXを追加していきたい人に向いた設計です。

都市で選ぶなら ── 地域別の考え方

オーストラリアの都市の夜景住む都市から考える方も多いので、地域別に整理します。

都市 候補 選び分けの軸
アデレードアデレード大学/フリンダース大学VFX一本に絞るならアデレード大学、CGI・3D・コンセプトアートまで広げるならFlinders。VFX留学では最も選択肢が明確な都市
ブリスベングリフィス大学/クイーンズランド工科大学VFXとバーチャルプロダクションならGriffithのFilm and Screen Media Production。アニメーション中心ならGriffithのBachelor of Animationかクイーンズランド工科大学。設備の充実度ではクイーンズランド工科大学
メルボルンスウィンバーン大学/RMIT大学/ディーキン大学VFX科目の量を優先するならSwinburne、映像制作全体を学びながらVFXも触れたいならDeakin、デザインとインタラクティブメディアまで広げたいならRMIT大学
シドニーシドニー工科大学学部で業界標準ツールに触れる環境。すでに大学を卒業している方は、Animal Logic Academyの大学院課程が有力な選択肢
パースカーティン大学VFX・バーチャルプロダクション・ゲームを1つの学位で横断できる、他都市にない構成

都市を先に決めてしまうと選択肢が一気に狭まります。特にVFX専門学位を望むなら、アデレードの2校以外に選択肢はありません。都市の希望とコースの希望が衝突したときにどちらを優先するかは、早めに決めておいたほうがいい判断のひとつです。

出願前に知っておくべき、入学審査の違い

出願書類を準備する学生VFX系のコースは、ビジネスや工学の学位とは入学審査の仕組みが異なる場合があります。作品制作が学習の中心になるため、成績と英語力だけでは判断されないコースがあるのです。

大学 ポートフォリオ・追加課題
RMIT大学必須。作品集A4×12ページ+指定テーマのストーリーボード課題(12コマ以内)+400語のApplicant Statementを1PDFで提出。AIツール使用は禁止と明記。求めに応じて面接
フリンダース大学必須。作品ポートフォリオ/Show reel+Written Statement+CV+署名済みカバーシート
アデレード大学不要。入学要件は学歴と英語力のみ
クイーンズランド工科大学不要。追加選考が必要なのはActingのみと公表されている
カーティン大学不要。ポートフォリオ入学経路は国内学生専用のため、留学生は利用できない
グリフィス大学留学生はポートフォリオ入学の対象外。国際出願プロセスでの出願となる
スウィンバーン大学・ディーキン大学・シドニー工科大学公式ページに要件の記載が見当たらないため要確認

この表を見て「ポートフォリオ不要な大学のほうが楽だ」と結論づけないでください。入学時にポートフォリオを求められないということは、入学後に一から作品を作っていくということです。逆にポートフォリオが必要な大学は、準備の過程そのものが実力になります。どちらが自分に合うかは、今どれだけ作品を持っているか、そして出願までにどれだけ時間があるかで変わります。

日本の高校卒業から直接出願できるかについては、大学ごとに扱いが異なります。

フリンダース大学は国別要件表に日本の項目があり、高等学校卒業証明書と評定平均4.0(5段階)で学士への直接出願が可能とされています。

一方、カーティン大学の国別同等資格一覧には日本の項目自体が掲載されておらず、Foundation課程やCurtin Collegeなどの進学準備課程を経るルートが想定されます。

学部名や高校の種類だけで自己判断せず、成績証明書を見た上で判断する必要があります。当社では成績証明書を確認したうえで、出願可能性の目安をご案内しています。

大学名ではなく、卒業時のShowreelで決まる

動画編集ソフトでの編集作業VFX業界の採用で最も重視されるのは、出身大学の名前ではありません。Showreel(ショーリール)と呼ばれる、自分の制作物をまとめた1〜2分の映像作品です。スタジオの採用担当者は、まずこれを見ます。学位証書を見るのはその後です。

だからこそ、大学選びで確認すべきなのはランキングやブランドではなく、次の点になります。3年間でどんな作品を作れるのか。実際のVFX制作パイプライン(複数の工程を分業で回す仕組み)を経験できるのか。

業界で働いている人から直接指導を受けられるのか。インターンシップや実習の機会があるのか。どのソフトウェアに触れられるのか。そして最終学年で、Showreelを作る時間と環境が確保されているのか。

公式に確認できた使用ソフト

使用ソフトは志望校選びの実質的な判断材料になります。ただし公式サイトにソフト名を明記している大学は限られます。推測で書くと誤情報になるため、公式に記載を確認できたものだけを挙げます。

大学 公式に明記されているソフト
シドニー工科大学Nuke/Arnold/RenderMan/Maya/Toon Boom Harmony/Dragonframe
フリンダース大学Adobe Creative Cloud/Unreal Engine/Maya/Houdini/PFTrack/ZBrush/Blender(施設側でVicon Shogun、MotionBuilder)
カーティン大学Maya/ZBrush/Unreal Engine/Unity/Adobe Creative Cloud
アデレード大学Maya/Unreal Engine/Houdini
グリフィス大学Toon Boom/Unreal Engine
クイーンズランド工科大学Unreal Engine
スウィンバーン大学・RMIT大学・ディーキン大学公式サイトにソフト名の明記が確認できず

この表は「記載がない=使わない」という意味ではありません。大学によって情報公開の方針が違うだけです。ただし、志望するソフトが決まっている場合は、出願前に確認しておく価値があります。

在学中にやるべきことも、早い段階から意識してください。授業の課題を「提出して終わり」にせず、Showreelに載せられる水準まで作り込むこと。

特定の工程(コンポジット、ライティング、FXシミュレーションなど)を決めて、そこを深く掘ること。

VFX業界は分業制なので、「全部そこそこできる人」より「ひとつの工程が確実にできる人」のほうが採用されやすい傾向があります。

そして、業界のイベントやオンラインコミュニティに顔を出し、実際に働いている人と接点を作っておくこと。

なお、大学が公表している卒業後の職種例(Compositor、FX Artist、Lighting Artist、Creature FX Artistなど)は、あくまで「この学位から考えられる進路の例」であり、卒業すればその職種に就けることを保証するものではありません。

実際の就職には、学位に加えて作品の質、実務経験、英語でのコミュニケーション力、業界内のネットワークが影響します。

各大学のデータ一覧

最終確認:2026年8月26日(当社にて各大学の最新情報を確認)。学費は年度によって改定されるため、出願時には必ず最新の金額をご確認ください。

大学 期間・入学時期 コース名・学費・英語条件
アデレード大学3年 2月・7月Bachelor of Visual Effects(CRICOS 115765K) 学費:年間A$45,100(日本円で約5,231,600円)(2027年度) 英語:IELTS 6.5(各6.0)
フリンダース大学3年 3月・7月Bachelor of Visual Effects and Entertainment Design(CRICOS 119230J) 学費:年間A$37,200(日本円で約4,315,200円)(2027年度) 英語:IELTS 6.0(Speaking 6.0・Writing 6.0)
カーティン大学3年 Semester 1・2Bachelor of Digital Creative Industries(CRICOS 118501K) 学費:初年度A$41,140(日本円で約4,772,240円)(2027年度) 英語:IELTS 6.5(各6.0)
グリフィス大学3年 Trimester 1のみBachelor of Film and Screen Media Production(CRICOS 058710B) 学費:年間A$37,500(日本円で約4,350,000円)(2026年度) 英語:IELTS 6.5
グリフィス大学3年 Trimester 1・2Bachelor of Animation(CRICOS 011449J) 学費:年間A$37,500(日本円で約4,350,000円)(2026年度) 英語:IELTS 6.5
クイーンズランド工科大学3年 2月・7月Bachelor of Creative Arts (Animation)(CRICOS 116102H) 学費:年間A$41,300(日本円で約4,790,800円)(2027年度) 英語:IELTS 6.5(各6.0)
スウィンバーン大学3年 3月・8月Bachelor of Animation(CRICOS 092511D) 学費:年間A$47,400(日本円で約5,498,400円)(2027年度) 英語:IELTS 6.0(各6.0)
RMIT大学3年 2月・7月Bachelor of Design (Animation and Interactive Media)(CRICOS 079976B) 学費:年間A$48,000(日本円で約5,568,000円)(2027年度) 英語:IELTS 6.5(各6.0)
ディーキン大学3年 3月・7月・11月Bachelor of Film, Television and Animation(CRICOS 095258K) 学費:年間A$39,600(日本円で約4,593,600円)(2027年度) 英語:IELTS 6.0(各6.0)
シドニー工科大学3年(144CP) 2月のみBachelor of Creative Production in Animation(CRICOS 107050A) 学費:A$1,017(日本円で約117,972円)/クレジットポイント、年額換算A$48,816(日本円で約5,662,656円)(2026年度・2027年度は未公表) 英語:IELTS 6.5(Writing 6.0)

ビザ制度や申請資格は変更される場合があります。最新情報はDepartment of Home Affairsでご確認ください。個別のビザ相談については、Registered Migration AgentまたはAustralian legal practitionerへご相談ください。

出願前によくいただく質問


Q.VFX未経験で作品も作ったことがありませんが、出願できますか。
A.できます。アデレード大学とクイーンズランド工科大学はポートフォリオを入学要件としていないため、作品がまだない方でも学歴と英語力の条件を満たせば出願対象になります。一方、FlindersとRMIT大学はポートフォリオが必要です。ただし「未経験だから簡単な大学を選ぶ」という発想はおすすめしません。入学時に作品を求められない分、入学後に一から積み上げることになります。どちらが自分に合うかを一緒に考えましょう。

Q.アデレード大学とフリンダース大学、どちらを選ぶべきですか。
A.映画やドラマのVFXスタジオで働くことを明確に目指しているならアデレード大学です。学位の半分をRising Sun Picturesの現場で過ごす設計は、他大学にはありません。一方、VFXに興味はあるがコンセプトアートや3Dモデリング、ゲーム向けアニメーションも選択肢に残しておきたいなら、1年次のあとに6専攻から選べるFlindersのほうが合います。学費もFlindersのほうが低い水準です。

Q.ブリスベンで学びたいのですが、クイーンズランド工科大学とGriffithはどちらがVFX向きですか。
A.VFXとバーチャルプロダクションを主軸に据えるなら、GriffithのBachelor of Film and Screen Media Productionです。Virtual production and VFXという学習領域があり、Real-time VFX and Virtual Setsなどの科目も具体的に確認できます。クイーンズランド工科大学は設備が非常に充実しており、10m×4.5mのLEDウォールとVicon 20台のモーションキャプチャ環境があります。ただしクイーンズランド工科大学のAnimation majorは288単位中96単位で、VFX系科目をどう組み込めるかは出願前の確認が必要です。

Q.日本の大学を卒業しています。学部からやり直す必要がありますか。
A.必ずしもそうではありません。シドニー工科大学のAnimal Logic Academyで開講されるMaster of Animation and Visualisationは1年制で、Netflix Animation Studiosとのパートナーシップのもと、業界水準のスタジオでプロジェクトに取り組む構成です。学部を3年かけ直すより、専門性と期間の両面で合理的なケースがあります。ただし出願には学士号、ポートフォリオ、志望理由書、面接が必要です。「関連分野」の判断は成績証明書の履修科目まで見て行われるため、学部名だけで対象外と自己判断しないでください。

Q.まだVFXとアニメーション、どちらに進みたいか決まっていません。
A.それは出願を止める理由になりません。むしろ1年次に共通課程があり、あとから専攻を選べるコースを選ぶという解き方があります。Flindersは1年次終了後に6専攻から選べますし、Curtinはゲームとのダブルメジャーという形で選択肢を残せます。「自分に完璧に合う専攻を最初に見つける」という発想より、「まず基礎を積み上げながら方向を決める」という考え方のほうが、この分野では現実的です。

カウンセラー 林 真生から一言

「オーストラリアでVFXを学びたい」というご相談で、私が最初に確認するのは志望大学ではありません。「あなたが作りたいのは、映画の中の一場面ですか。それともキャラクターが動く作品そのものですか」という質問です。

ここで答えが分かれると、勧める大学が変わります。以下は、私が実際にカウンセリングで使っている判断の目安です。

こういう考えなら 私が勧める大学・コース
映画やドラマのVFXスタジオで働きたい。職種のイメージもあるアデレード大学 Bachelor of Visual Effects。学位の半分をRising Sun Picturesの現場で過ごす構造は他にありません。ただし進路の幅は狭くなります
VFXを軸にしたいが、コンセプトアートや3D、ゲーム向けアニメーションも残したいフリンダース大学 Bachelor of Visual Effects and Entertainment Design。1年学んでから6専攻を選べます。学費も抑えられます
VFXもゲームもリアルタイム表現も、まだ絞りきれないカーティン大学 Bachelor of Digital Creative Industries。Game Design and Artとのダブルメジャーで選択肢を残せます
撮影現場でバーチャルプロダクションを扱いたい。映像制作全体をやりたいグリフィス大学 Bachelor of Film and Screen Media Production。Bachelor of Animationではない点に注意してください
アニメーションが主軸。最新設備のある環境で学びたいクイーンズランド工科大学 Bachelor of Creative Arts (Animation)。ポートフォリオ不要で出願できます
アニメーションを軸に、合成(コンポジット)を専門的に学びたいスウィンバーン大学 Bachelor of Animation。Advanced Minor: Visual Effectsがその受け皿です
アニメーションとインタラクティブメディアを横断したいRMIT大学 Bachelor of Design (Animation and Interactive Media)。ただし出願準備が最も重い大学です
映画・テレビ制作を学びながらVFXを追加したいディーキン大学 Bachelor of Film, Television and Animation。MinorとAnimation Majorは併用できない点だけ注意
Nukeなど業界標準ツールに触れたい/すでに大学を卒業しているシドニー工科大学。学部より、Animal Logic AcademyのMaster of Animation and Visualisation(1年)を先に検討する価値があります

次に確認するのは、現時点で作品をどれくらい持っているか、そして出願までに何か月あるかです。

RMIT大学のように作品集12ページとストーリーボード課題を求める大学は、準備に数か月かかります。逆にアデレード大学やクイーンズランド工科大学はポートフォリオ不要なので、時間がない方でも間に合います。

ただし「ポートフォリオがいらないから楽」ではありません。入学後に一から作ることになるだけです。作品づくりは、入学前にやるか入学後にやるかの違いでしかありません。

正直にお伝えしたいことが2つあります。ひとつは、ネット上のVFX留学情報には事実と違うものが混ざっているということ。

今回すべて公式情報で確認し直しましたが、「グリフィス大学のBachelor of AnimationにVirtual Production and VFX専攻がある」「スウィンバーン大学でVirtual Productionが学べる」といった記述は、現在のカリキュラムでは確認できませんでした。

大学のカリキュラムは毎年変わります。数年前の情報がそのまま流通していることは珍しくありません。

もうひとつは、VFXは「大学に入れば道が開ける」分野ではないということです。採用の場で見られるのはShowreelです。大学は、そのShowreelを作るための3年間の環境にすぎません。

だからこそ私は、大学のランキングではなく「その3年間で何を作れるか」で選ぶことをお勧めしています。そして、迷っている時間より、始めてからの1年のほうがあなたを変えます。方向が完全に定まっていなくても、力を積み上げられる場所を選べば、進む道はそこで見えてきます。

オーストラリアのVFX・アニメーション留学はオーストラリア留学センターへ

どの大学が合うかは、目指すVFX職種、都市、予算、英語力、そして今どれだけ作品を持っているかで変わります。

成績証明書を拝見したうえで出願可能性の目安をご案内し、ポートフォリオが必要な大学については準備スケジュールも一緒に組み立てます。

お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

すべて無料でサポートしています。
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号I008)
留学カウンセラー歴22年。ブリスベン現地オフィスで、オーストラリア留学・進学の相談を担当しています。2002年にワーキングホリデーで渡豪し、現在は豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I008)として、高校生の大学進学、大学生の休学・認定留学、社会人のキャリアチェンジまで幅広くサポートしています。 これまで1500名以上の学生を見てきて強く感じているのは、留学は「入学できるか」だけで決めるものではないということです。英語力、成績、費用、ビザ、現地生活、そして卒業後の進路まで含めて、その人にとって本当に続けられる選択かどうかを見極めることを大切にしています。希望だけで話を進めるのではなく、必要な場合は厳しいこともお伝えしながら、現実的で納得できる留学プランを一緒に考えています。 ブリスベンで留学している学生、これからブリスベンでの進学を目指す方に向けて、制度の説明だけではなく、現地で日々留学生をサポートしているからこそ伝えられる判断材料をお届けしています。「相談してよかった」と思っていただけるよう、一人ひとりの状況に合わせて丁寧に向き合っています。 このカウンセラーに質問する

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