オーストラリアでシステムエンジニア(SE)
IT業界には、さまざまな職種のエンジニアが存在しており、その代表的な職種でもあるのが「システムエンジニア」です。

システムエンジニアは一般的に「SE」とも呼ばれており、クライアントの要望を実現するために最適なコンピュータシステムを開発する技術者です。
IT系エンジニアの代表的な職種でもある「システムエンジニア」ですが、プログラマとほぼ同じ内容だと勘違いされやすい職業でもあるため、このページでは、システムエンジニアの仕事内容や、オーストラリアでシステムエンジニアを目指す上での注意点やオススメのコースをお伝えします。
ITエンジニアの種類とシステムエンジニアの役割

まず、IT系エンジニアと呼ばれる職種を見てみましょう。
- プロダクト マネージャー
- システム エンジニア
- ネットワーク エンジニア
- インフラ エンジニア
- サーバーエンジニア
- データベース エンジニア
- WEB エンジニア
- マークアップ/フロントエンドエンジニア
- 制御・組み込みエンジニア
- プログラマー
- テストエンジニア
- サポートエンジニア
通常、プロダクトマネージャーは、経験を積んだシステムエンジニアが昇格するポジションになり、プロジェクトを進める上でのリーダーといえます。
そのリーダーに(場合により兼務)にシステムエンジニアが加わり、プロジェクトや会社の規模により更に、ネットワークエンジニアや、インフラエンジニア、サーバーエンジニアなどに細分化されます。
システムエンジニア以下を一段ずらしましたが、実際ネットワークエンジニアは、システムエンジニアの一種と考えてもらうのがわかりやすいと思います。システムエンジニアとして働き始めた後、ネットワーク系が得意ということでネットワークエンジニアや、インフラエンジニアに異動するケースもありますし、また、ネットワークとインフラエンジニアは仕事内容に近い点も多いため、ネットワーク/インフラエンジニアを総称して「ネットワークエンジニア」と呼ぶこともあります。
システムエンジニアの役割
コンピュータシステムの開発において、システムエンジニアが担当する仕事は多岐にわたりますが、主な役割は、
要求分析、
要求定義、
基本設計、
詳細設計、そして
テストになります。
要求分析 | クライアントにどんなシステムがあるかヒヤリングを行う |
要件定義 | 要求分析の内容をまとめる |
基本設計 | システムを何で構成するのか決める |
詳細設計 | プログラミングに必要な細かな設計 |
プログラミング | プログラマが実際にコーディングします |
テスト | 作成したシステムが想定通りに動くかテストする |
稼働 | 作成したシステムが実際に動き始めます |
同様の業務を手がける職種としてプログラマがありますが、その線引は企業やプロジェクトによって異なり、システムエンジニアは、開発フェーズのなかで“上流工程”と呼ばれる部分(要求分析〜詳細設計)を担うことが一般的です。テストについてはテストエンジニアに依頼する場合もあります。
システムエンジニアを目指す上でのポイント

オーストラリアでは各職業にANZSOCコードと呼ばれる、職業番号制度があり、システムエンジニアは「Computer Network and Systems Engineers-ANZSCO ID 263111」が該当します。IT職なので、査定機関は
ACSです。
ですが、このシステムエンジニアになるために、特定の資格や決められたコースというものはありません。
また、オーストラリアの大学を卒業した際に、この職業査定に合格できるかといえばそれも難しいです。というのも、システムエンジニアとして何より求められるのは「
職歴」だからです。通常はIT業界にて5年ほどの職歴が求められます。
上記のACSによる査定は、コース終了後のビザ(卒業生ビザ)等に関連してくることもあるため、全く気にする必要がないとは言いませんが、実際、ビザの問題がクリアになり、ACSの査定を受けずにIT系の学位と職歴を元に就職される学生もいれば、他のエンジニア職から転職する形でシステムエンジニアとして働かれる方もいます。
もちろん、別の職業でACSの査定を受けて、ITプロフェショナルと認可を受けたあとに、職歴を積み、システムエンジニアとして働く方もいます。ただそれでも職歴は必要です。
特に「IT系の修士課程」を目指す方からは、現地で働くことを視野に入れた相談を受けますが、システムエンジニアを目指す目的(どの国で働来たいのか、キャリアプランはどうなのか)によってもプランは変わります。
特に採用条件を見た場合、日本であればIT関連の学士号を保持していない場合や、未経験者であっても、資格(ITパスポートや基本情報技術者試験)を取得することでシステムエンジニアへの道が開ける場合がありますが、オーストラリアでは難しくなります。また、特に日本での職歴を元に、オーストラリアでシステムエンジニアとして就職(またはキャリアチェンジ)を考える方も増えていますが、オーストラリアや海外でシステムエンジニアとして働くことを視野に入れた場合、以下の条件が必須と考えましょう。
IT系(またはエンジニア系)のBachelorかMaster以上の学位が必須
海外では、「キャリアにつながる学位を取得している」ということが採用基準の一つとされているため、いわゆる「大学では文系の学位を取得し、自力でIT系の勉強をした」と言う場合や、「日本でシステムエンジニア(社内SE含む)として働いてきたが、学位が直結していない」場合、採用を見送られることが多いです。
また、学位については専門学校レベルではなく、大学以上の教育機関で取得した学位が重視されます(BachelorやMaster)。システムエンジニアとして働くことを目指すのであれば、Information Technologyや、Computer Science、Engineerの学位を取得することをおすすめします。もちろん、日本で働くことを考えた場合も、自分のキャリアに直結したIT系の学位を取得する方が良いでしょう。
開発経験(職歴)が必要
オーストラリアに限ったことではありませんが、海外でシステムエンジニア職を希望する場合、「開発経験」が求められます。つまり、Bachelor どんな学位を持っていても。開発経験が未経験となると採用される可能性は極めて低くなります。また、システムエンジニアについては新卒向けの求人は比較的少なく、以下に職歴を積んでいくかは非常に重要です。
「職歴を積みたいのに職歴がない為に働けない」というような、ある意味バリスタとしてカフェで働く時の落とし穴に近い状況にはなるのですが、多くの大学ではコース内に企業インターンシップ制度を設けているため、ここで職歴を積むというのは一つの方法です。ただ、実際それだけでは足りませんから、留学生自身ででコース期間にインターンシップや、テスター等で何らかの形でもIT職で働くことをおすすめします。
システムエンジニアとして必要な英語力
あえて加える必要もありませんが、システムエンジニアはスタッフとのコミュニケーション力も非常に求められるポジションです。入学基準の英語力をクリアすることはもちろんですが、更に高い英語力(特に会話力向上)を重視してみてください。
オーストラリア国内での就職も視野に入れている方は、ビザにも関連してくる為、コース終了後のビザの観桜性については、一度ビザコンサルタントにご相談いただくことをおすすめしています。
上記を踏まえ、システムエンジニアを目指す際にオススメのコースを下記に紹介します。
システムエンジニアを目指す上でオススメのコース

クイーンズランド工科大学ではBachelor of information Technologyを開講しており、メジャーで、Computer Scienceまたは、Information Systemが候補となります。
大学名 | クイーンズランド工科大学 |
キャンパス | ブリスべン |
コース | Bachelor of information Technology(Computer scienceまたはInformation System) |
期間 | 3年 |
入学日 | 2月,7月 |
費用 | 1年間 37,600ドル(2021年度)X3年間=112,800ドル(1ドル75円計算で約846万円) |
認定機関 | ACSの認可を受けています |
英語 | IELTS6.5(リーディングとセクション6.0以上)または、TOEFL iBT69(ライティング21以上)
または、付属英語学校からのPathway進学も可能 |
成績基準 | 学士号を保持し、WAMで75% |
上記のほか、Bachelor of Engineering (Honours) (Computer and Software Systems)として、4年の工学系コースも候補となります。通常エンジニア系のコースは4年間のカリキュラム且つ、Engineer australia(エンジニアの査定団体)が認可をすることが多いのですが、カリキュラムがシステムエンジニアに必要な内容且つ、IT技術職に必要な内容とういことで、エンジニアコースに関わらず、ACSの認定受けている珍しいコースです。
大学名 | クイーンズランド工科大学 |
キャンパス | ブリスべン |
コース | Bachelor of Engineering (Honours) (Computer and Software Systems) |
期間 | 4年 |
入学日 | 2月,7月 |
費用 | 1年間 40,600ドル(2021年度)X4年間=162,400ドル(1ドル72円計算で約1,210万円) |
認定機関 | ACSの認可を受けています |
英語 | IELTS6.5(リーディングとセクション6.0以上)または、TOEFL iBT69(ライティング21以上)
または、付属英語学校からのPathway進学も可能 |
成績基準 | 高校の成績で、GPA4.0/5段階中 |
RMIT大学でも、Bachelor of Computer Scienceを開講していますが、よりIT系エンジニアBachelor of Engineering (Computer and Network Engineering) (Honours)/Bachelor of Computer Scienceを開講しています。ITとエンジニアのダブルディグリーになり、コース期間は5年間です。
大学名 | RMIT大学 |
キャンパス | メルボルン |
コース | Bachelor of Computer Science |
期間 | 3年 |
入学日 | 2月,7月 |
費用 | 1年間 43,296ドル(2021年度)X5年間=216,480ドル(1ドル75円計算で約1,623万円) |
認定機関 | ACSの認可を受けています |
英語 | IELTS6.5(リーディングとセクション6.0以上)または、TOEFL iBT69(ライティング21以上)
または、付属英語学校からのPathway進学も可能 |
成績基準 | GPAで3.5相当/5段階中。また数学の成績が重視されます。 |
フリンダース大学ではIT系エンジニアに必要なカリキュラムが組まれた、Bachelor of Engineering (Computer and Network Systems)を開講しています。
カーティン大学ではComputer systems and Networkingの分野を開講していますが、システムエンジニアとネットワークエンジニアそれぞれの分野を学びたい方にはオススメです。
また、クイーンズランド工科大学の修士課程では、多くのMajorが選択できますが、その中でSoftware Developmentもしくは、Computer scienceがおすすめです。
クイーンズランド工科大学の場合、IT関連の学士号を保持している場合は1.5年。保持していない場合は2年というように、学士号によってコース期間が変わります。日本でIT系の学士号を保持していない方がコンピューターサイエンスの分野を目指すのであれば、この修士課程+2年のコースがもっともオススメです。
大学名 | クイーンズランド工科大学 |
キャンパス | ブリスベン |
コース | Master of Information of Technology(Software DevelopmentまたはComputer Science) |
期間 | 2年 |
入学日 | 3月,8月 |
費用 | 1年間 36,200ドル(2021年度)X2年間=72,400ドル(1ドル75円計算で約543万円) |
認定機関 | ACSの認可を受けています |
英語 | IELTS6.5(リーディングとセクション6.0以上)または、TOEFL iBT69(ライティング21以上)
または、付属英語学校からのPathway進学も可能 |
成績基準 | 学士号を保持していること |
システムエンジニアを目指したい方へ

日本とオーストラリアでは仕事の範囲も若干変わるものの、「IT分野に興味がある方」や、「コミュニケーション力に自身がある方」、技術系の最新情報に敏感な方は是非とも目指して頂きたい分野です。