ブロックチェーンが支える5Gの未来
2020年現在、世界200の国と地域で6億9,000万人が利用している世界最大級のビジネス特化型SNS「LinkedIn」は、The Skills Companies Need Most in 2020(2020年、企業がもっとも必要としているスキル)の調査結果を発表し、第1位に
ブロックチェーンが選ばれました。

調査結果は「ソフトスキル」と「ハードスキル」に分けられており、ソフトスキルとは個性や新しいモノを生み出す想像力、発想力、閃き、交渉などのコニュニケーション能力、新しい環境や変化への順応力を、そしてハードスキルとは勉強して習得する専門的な知識やスキルを指します。
2020年「ソフトスキル」ベスト5 |
1. クリエイティビティ(創造力・発想力)
2. 説得力
3. コラボレーション
4. 順応力
5. エモーショナルインテリジェンス(感情(情動)知能) |
2020年「ハードスキル」ベスト5 |
1. ブロックチェーン
2. クラウドコンピューティング
3. アナリティカル・リーズニング
4. AI(人工知能)
5. UXデザイン
6. ビジネス分析
7. アフィリエイト・マーケティング
8. 営業セールス
9. サイエンティフィック・コンピューティング
10. 動画制作 |
次の10年を予測して新しいビジネスを創出する
1980年代に登場した1Gを皮切りにこれまでおよそ10年スパンで通信環境の変遷が続き、2020年ついに5G時代に突入しました。つまり、今年は次の10年が始まる分岐点ということです。
この5G時代の4種の神器と呼ばれているのがIoT、クラウド、AI、ブロックチェーンであり、これらの革新的なテクノロジーによって今世界はダイナミックに変化しようとしています。
2020年、「IoTで集積したデータをクラウドに保存し、ブロックチェーンでそのデータを管理してAIに応用する」というように、4つのテクノロジーを上手く使いこなして新しいビジネスを創出する人材が、次の10年を創造する担い手となるでしょう。
ブロックチェーンとは?

IoT、クラウド、AIは2020年以前から身近なテクノロジーとして私たちの日常生活に定着してきましたが、未だその潜在能力を引き出せず上手く使いこなせていないのがブロックチェーンと言われています。
ブロックチェーンとは、もともとは仮想通貨ビットコインの中核となる「取引データ」技術として生み出され、その後、様々な経済活動に応用され世界に広まりました。
これは、ある1つのサービスを利用する人が複数人いるとして、そのサービスにおける全てのトランザクション(開始からのすべての取り引きデータ履歴)が公表されており、利用者1人1人のデバイスに分散してそのデータ(コピー)を保存しておくことで、互いのデータを確認しながら暗号化されたデータ通信を行う技術です。
(この段階で「何のこっちゃ!!」という方、実例を後述しますので安心して読み進めてください)
つまりブロックチェーンを使えばユーザー全員で取引データを監視することが出来るため、データ改ざん等の不正を防ぎ、透明性と信頼性の高いデータを共有することができる仕組みです。これにより、正当な取り引きを実現するだけでなく、設備や人件費などのコスト削減にも繋がります。
また、これまでは金融取引や経済、流通、契約等において、その権利を所有する特定の「管理者」が存在し、その管理者が定めるルールに従って経済活動が行われてきましたが、その管理者不在で取引を実現できるのもブロックチェーンの特徴です。
今やブロックチェーンはAIや5Gに並ぶ、人類の未来を変える大発明とも言われています。
身近で活用されているブロックチェーンの実例
Amazonやマイクロソフト、グーグル、IBMなど世界を代表するIT大手のグローバル企業がクライアント企業向けにブロックチェーンシステムを提供している他、わたしたちも「個人」レベルで身近に活用しているブロックチェーンがあります。
実例. 買い物
商品を選ぶ際、私たちが最も敏感になるのは食品ではないでしょうか。衛生環境や生産地、賞味期限、保存状態など気になりますよね。しかし、これらのデータが生産元でブロックチェーンで記録されていれば後から(その流通経路において)情報を改ざんすることができないため食品表示や産地の偽装防止に繋がり、それによって私たちは透明性の高い商品をより安心安全に購入することが出来るでしょう。
このサービスはすでに米小売大手のウォルマート(Walmart)なども活用しており、商品の製造・生産地から販売店に並ぶまでの流通経路や配送システムの管理から、食品の衛生管理に至るまですべてブロックチェーンで管理されています。
実例. 中古車の売買
中古車の売買において、その車の価値(値段)の決め手の1つとなるのが「走行距離」です。これもブロックチェーンで管理することによりそのデータ改ざんを防ぎ、売り手と買い手、両者において納得できる正当な価値で売買を行うことが出来るでしょう。この技術はすでに自動車部品で世界第2位のデンソー(日本)も導入しています。
実例. 投票
ブロックチェーンは投票においても活用が期待されています。ブロックチェーンベースのデジタルIDシステム(個人認証)を利用することにより、なりすましや改ざんによる不正投票を防ぐことが出来ます。また、いつでもどこでもスマホやパソコンから投票できるという手軽さから若者の投票率アップも期待されています。実際にこれを活用したインターネット投票が茨城県つくば市で実施されました。
実例. 小売店での在庫管理
全く別のスーパー同士であっても取り扱っている商品が同じ場合、ブロックチェーンで互いの在庫データを共有しておけば、互いに商品を取引することも可能になります。例えば過剰に在庫を抱えているスーパーAと、欠品しそうなスーパーBがあったとします。この2者間でその商品を取引することでスーパーAはデッドストック(廃棄)を減らすことができ、スーパーBもブロックチェーンの記録からその商品の品質を確認して安心して取引することが出来るでしょう。
実際に北海道の調剤薬局では、増加したデッドストック医薬品を減らす目的で複数の調剤薬局をブロックチェーンで繋ぎ、各薬局が抱える在庫データと医薬品の品質管理を行うという実証実験が行われました。
実例. 海外への送金
一般的な海外送金において、銀行という「管理者」が存在します。そして送金側・受取側の双方において銀行口座を持っていることが前提となり、銀行の定めた高額な手数料が発生します。
しかし、上述のとおりブロックチェーンにおいては「管理者」(つまり「銀行」)が存在しません。これにより利用者は手数料を支払うことなく(または安価な手数料で)暗号通貨での海外送金が可能となり、また、オンライン上の取引なのでいつでもどこでもスマホやPCから利用できるという、利便性の高い海外送金を実現することが出来ます。
なぜブロックチェーンが革新的なのか
IoT、クラウド、AIは「中央集権型」ですでにGoogle, Amazon, FB, Appleの4社が牛耳っているのは明確です。彼らのサービスを使わずこの5G時代を生きることは不可能でしょう。
しかしブロックチェーンは「自律分散型」で、
・記録されたデータは暗号化されている(情報漏えい防止)
・誰にも改ざんできない(不正防止)
・特定の権力者が生まれない(みんなが平等)
という新しい発想から生まれた仕組みとなっています。もしも将来、現在4社で支配されている社会の仕組みをブロックチェーンで覆すことが出来たとしたら、私たちの未来は今よりもっと平等な社会になっているかもしれません。
ブロックチェーンの課題
ブロックチェーンが社会へ普及するのにIoT、クラウド、AIから遅れをとっている理由として「今までになかった新しい発想から生まれたテクノロジーに国の法律が追いついていない(国)」「これまで中央集権型で築き上げてきたステータスをブロックチェーンによって覆されたくない(企業)」・・・などが挙げられますが、「ブロックチェーンの仕組みを理解し上手く使いこなせる人材が足りていない(個人)」というのも大きな課題の1つです。
LinkedInの調査で第1に選ばれるほど世界的にニーズが高まるブロックチェーンですが、この分野に精通したエンジニア人材は世界的にも非常に希少であることが実情です。
新しい技術ゆえに課題はありますが、5Gへの移行により処理速度も解決されつつある今、まずはブロックチェーンの仕組みを理解し、これを導入することによって解決できる潜在的需要を見つけ、そのプラットフォームを構築する技術が、テクノロジーにおける次の10年を支えることになるでしょう。
大学では何を学ぶべきか
将来ブロックチェーンを活用した新しいビジネスを創出するには、大きく分けて
ビジネス(金融と経済)と
テクノロジー(プログラミングとエンジニアリング)が必要です。人材が集結して互いのスキルと知識を寄せ合って1つのシステムを構築していくにあたり、ビジネスとテクノロジー、自分がどちらの側面からアプローチしたいのか?が大学で何を専攻するかの決め手となります。
金融を学ぶなら |
- 【大学】Bachelor of Businessコース(Finance専攻)
- 【大学】Bachelor of Commerceコース(Finance専攻)
- 【大学院】Master of Businessコース(Finance専攻)
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経済を学ぶなら |
- 【大学】Bachelor of Businessコース(Economics専攻)
- 【大学】Bachelor of Commerceコース(Economics専攻)
- 【大学院】Master of Businessコース(Economics専攻)
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プログラミングを学ぶなら |
- 【大学】Bachelor of ITコース(Computer Science/Programming専攻)
- 【大学院】Master of Computer Science
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エンジニアリングを学ぶなら |
- 【大学】Bachelor of Engineeringコース
- 【大学院】Master of Engineering
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ビジネスとテクノロジー、両方勉強したい方には大学のDual Degree programで学ぶことが出来ます(4〜5年)。興味がある方はお問い合わせください。
ブロックチェーンがもたらす平等な未来へ
もともとは仮想通貨から始まったブロックチェーンであり、「金融(Finance)」と「テクノロジー(Technology)」をかけ合わせた「フィンテック(Fintech)」という言葉も生まれているほどこのテクノロジーは特に金融サービスにおいて大きくその能力を発揮すると言われています。しかし、今後よりボーダーレス化する社会において、様々な垣根を超えた平等な政治経済活動を実現するためにも、このブロックチェーンの活用が期待されます。
この5G時代を支える4大テクノロジー(ブロックチェーン、IoT、クラウド、AI)を理解していないと次の10年は見えないとも言われています。大学で学んでみたい方は、
お問い合わせください。