オーストラリアでカイロプラクティック
カイロプラクターとは
カイロプラクティック(Chiropractic)とは、脊椎や骨盤におきたゆがみを人間の手によって正常な状態に調整し、神経機能を改善する治療法です。カイロプラクティックは1800年代の終わりにアメリカで生まれ、その後、世界中で広く認められるようになりました。
ストレスや悪い姿勢は筋肉や骨格のバランスを崩し、神経系の働きを低下させて様々な痛みや機能的な問題を引き起こします。カイロプラクティックは人間が本来持っている自然治癒力を高める安全な手技療法のひとつとして、近年、人気が高まっています。今のところ、カイロプラクティックは日本では医療行為とは認められていないため、民間療法として行われます。
カイロプラクターの国家資格登録について (2020年7月更新)
オーストラリアでカイロプラクターとして資格を取得するには、
認定されているオーストラリアの大学(一部海外の教育機関を含む)にて5年間のコースを終了し、
カイロプラクティック委員会(CBA)へ資格登録する必要があります。
コース終了後もContinuing Professional Development (CPD)と呼ばれる専門知識の維持継続を目的とするプログラムを受ける必要があり、カイロプラクターになってからも毎年受講する必要があり、資格も更新制となります。
カイロプラクティック(Chiropractic)コースの授業内容
下記はRMIT大学で開講されています、カイロプラクティックのダブルバチェラーコース(5年間)の授業内容です。
※ RMIT大学はバチェラー(学士)、マスター(修士)の5年間のプログラムから、ダブル・バチェラー(学士号二つ)のプログラムへ変更しました。
Bachelor of Health Science/Bachelor of Applied Science (Chiropractic)
Year 1
- Chiropractic 1
- Biology of the Cell
- Principles of Human Biology
- Chemistry for Health Sciences
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- Chiropractic 2
- Limb and Trunk Anatomy
- Human Physiology 2: Body Systems
- Research in Health Science
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Year 2
- Medical Ezamination 1
- Chiropractic 3
- Head and Visceral Anatomy
- Human Physiology 1 – Body Systems
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- Chiropractic 4 Theory
- Chiropractic 4 Practical
- Neuroscience
- Medical Examination 2
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Year 3
- Chiropractic 5 Theory
- Chiropractic 5 Practical
- Pharmacology and Toxicology
- Introducation to Pathology
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- Chiropractic 6 Theory
- Chiropractic 6 Practical
- Advanced Pathology
- Clinical Microbiology,Immunology and Genetics
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Year 4
- Introduction to Diagnostic Imaging
- Clinical Practice of Chiropractic 1
- Differential Diagnosis and Management for Chiropractors 1
- Differential Diagnosis and Management for Chiropractors 2
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- Advanced Diagnostic Imaging
- Differential Diagnosis and Management for Chiropractors 3
- Differential Diagnosis and Management for Chiropractors 4
- Clinical Practice of Chiropractic 2
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Year 5
- Clinical Practice of Chiropractic 3
- Clinical Chiropractic 4
- Clinical Presentations across the Lifespan
- Law and Ethics and Private Practice Business Management
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- Clinical Practice of Chiropractic 5
- Clinical Chiropractic 6
- Professional Chiropractice Practice
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コース費用は各教育機関によって、またコースの期間によって変わるため一概にはお伝えできませんが、通常、1年間の授業料が35,000ドル前後とお考え下さい。
カイロプラクティック(Chiropractic)コースに進むための英語力(入学資格)
自然治療士になるためのコースに入学するには、医療などに関わる科目が多いせいか、他の専門コースにくらべて高めの英語力が要求されます。IELTSであれば、アカデミックモジュールで6.5ポイントが必要となり、すべての項目で6.0ポイント以上のスコアが必要です。
全く英語が話せない状態から、本科コースに進むために必要な期間は?
これもカイロプラクティック(Chiropractic)コースに限ったことではありませんが、挨拶程度の英語力からIELTS6.5ポイントを目指す場合、18ヶ月以上は英語学校に通う必要があります。
もちろん、英語力の向上は個人差がありますから、余裕を持って英語コースをスタートしましょう。入学基準をギリギリクリアできる英語力で本科コースに入学しても、授業について行くのは大変です。
また、ChiropracticのコースはPathwayがありません。その為、英語力をクリアすることはもちろん、日本の大学を卒業後にBachelorに進学。または、ファウンデーションコース経由にて、Bachelor進学という進路になります。
カイロプラクティック(Chiropractic)コース一覧
オーストラリアで現在、カイロプラクティックのコースはRMIT大学、マッコーリー大学、マードック大学などで開講されています。
大学名: RMIT University |
コース |
Bachelor of Health Science+Bachelor of Applied Science(Chiropractic) |
留学先 |
メルボルン |
期間 |
5年 |
入学 |
2月 |
学費 |
年間 172,800ドル(2020年度) |
出願条件 |
・高校卒業(成績が70%以上)、またはファウンデーションコース終了
・英語:IELTS Academic 6.5 |
大学院コース(約2年間)
大学名: Macquarie University |
コース |
Bachelor of Chiropractic Science |
留学先 |
シドニー |
期間 |
3年 |
入学 |
2月 |
学費 |
年間 119,700ドル(2020年度) |
出願条件 |
・高校卒業(成績GPA3.3以上)、またはファウンデーションコース終了
・英語:IELTS Academic 6.5 |
↓
バチェラーコース修了後、マスターコース2年時へ途中編入
↓ |
コース |
Master of Chiropractic |
期間 |
2年間 |
学費 |
年間 129,000ドル(2020年度) |
大学名: Murdoch University |
コース |
Bachelor of Science in Chiropractic Science + Bachelor of Clinical Chiropractic |
留学先 |
パース |
期間 |
5年 |
入学 |
2月 |
学費 |
年間 155,730ドル(2020年度) |
出願条件 |
・高校卒業(成績GPA3.5以上)、またはファウンデーションコース終了
・英語:IELTS Academic 6.0 |
※備考※
・本記事は2020年7月現在の情報に基づいており、コース概要や入学基準は変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2020年度学費をご案内しております。
・写真Designed by pressfoto / Freepik引用
カイロプラクティックコース体験談 – 竹谷内啓介(たけやち けいすけ)さん
オーストラリアをはじめて訪れたのは今から25年以上前でした。ケアンズとシドニーで雄大な自然に魅せられ、フレンドリーな現地の人々と出会い、いつかこの国で生活してみたいと憧れを抱きました。
オーストラリア旅行から帰国後、腰を痛めたバレーボール部所属の友人から医者へ通ったがよくならないので私の父のカイロプラクティック治療を受けてみたいと相談を受けました。父のクリニックへ連れて行くと、友人は一回目の治療で腰痛がかなり良くなりました。医者の家系に育った彼は普通の医療とは異なるカイロ治療の効果にとても驚いていました。彼の体験を通して私はカイロプラクティックをぜひ学んでみたいと思いました。
私の家系は祖父の代からカイロプラクティックを職業とし、伯父二人と父親はアメリカでカイロプラクティックを学びました。ある日、ひとりの伯父にカイロプラクティックに興味があることを伝えたら、伯父の友人が教授を務めているオーストラリアのビクトリア州にあるRMIT(ロイヤルメルボルン工科)大学カイロプラクティック学科の入学を勧められました。卒業するまでに英語学校、大学進学準備コース、5年間の大学教育と7年近くかかることが分かりました。カイロプラクティック発祥の地アメリカではなくオーストラリアを選んだ理由は、オーストラリアは英国連邦の教育制度であり、アメリカより比較的日本に近い制度を取っているため、日本の高校で学んだ理系科目がそのまま適用できる環境だったからです。
RMIT大学カイロプラクティック学科に入学してからは、解剖学、生理学、病理学と医療系の科目がたくさんあり勉強は想像以上でした。それでも大学時代は、興味のあるカイロプラクティックを学べ、なおかつ世界各国から来た友人と色々な交流ができて、楽しい毎日でした。
現在では祖父の代から続くカイロプラクティック治療院、「
東京カイロプラクティック」を青山で開業しています。
また業界では一般社団法人日本カイロプラクターズ協会の会長を務めさせていただき、オーストラリア関連ではRMIT大学同窓会日本支部長として活動させていただいております。留学から帰国した今でも自分の生活の中に「オーストラリア」と「カイロプラクティック」という二つのキーワードがあります。この二つを日本で広めていくのが私の使命だと感じています。