オーストラリアの大学編入と単位移行の仕組み



目次
欧米と比べて留学費用が安価、治安が良くて暮らしやすい、日本との時差が少ない、留学生もアルバイトが出来る・・・など、オーストラリアの教育環境や生活環境を求めて、日本の大学生はもちろん、アメリカ、カナダ、マレーシア、ニュージーランド等の大学に通う日本人学生からもオーストラリアの大学編入のお問い合わせを頂くことが増えています。

オーストラリアの大学へ編入するには、大きく分けて2つの選択肢があります。

    【1】編入学協定校であるオーストラリアの大学へ編入する

    【2】編入学協定のないオーストラリアの大学へ単位移行する

今回はこの2パターンそれぞれの基本的な仕組みをご紹介します。現役の大学生で編入をお考えの方は是非ご参考にしてください。

【1】編入学協定校であるオーストラリアの大学へ編入する

オーストラリアの大学は、日本を含む海外の特定の大学や高専と編入学協定を結んでおり、該当する大学や高専に所属している学生のみ、その協定にもとづき修めた単位が交換されてオーストラリアの大学へ編入することができます。

例えば高専ですとオーストラリアの大学(エンジニアリング学部)と編入学協定を結んでいる学校が日本に複数あり、この場合、オーストラリアの大学の3年次に編入できる可能性があります(オーストラリアの大学エンジニアリング学部は4年なので、卒業まで残り2年)。

高専に在籍している学生さんで、オーストラリアの大学へ進学(編入)を検討される方は、まずご自身の学校にオーストラリアの編入学協定校をご確認ください。

【2】編入学協定のないオーストラリアの大学へ単位移行する

仕組みをわかりやすく説明するために便宜上「編入」という言葉がよく使われますが、上記【1】パターンのような学校同士(大学同士)の協定が無い以上、厳密には「編入」とは言いません。

もちろん単位移行を申請すること自体は出来ますが、認められるかどうかはオーストラリアの大学側での審査次第です。つまり、例えば日本で大学2年まで終えているからと言って、単純にオーストラリアの大学の3年次に編入できるわけではありませんのでご注意ください。

単位移行の審査基準は?

基本的に、単位移行は下記2つを基準に審査されます。日本の大学から(協定の無い)オーストラリアの大学へ単位移行での進学をお考えの学生さんは、これを基準にご自身が該当するかどうか確認してください。
  • 日本(または海外)の大学で学んでいた学問分野と、オーストラリアの大学で志望する学問分野が一致しているかどうか
  • 日本(または海外)の大学で履修した科目内容と、オーストラリアでの志望校の科目内容が一致しているかどうか(授業内容、課題、授業時間数など)
この2つの条件を満たした科目なら、単位の移行ができる可能性があります。言い換えれば、現在学んでいる学部のコース名や何単位終えたか等は重要ではなく、あくまで「同様の科目かどうか」が単位移行のポイントとなります。
単位移行の審査(出願)に必要な書類
単位移行の審査には下記の書類が必要となります。
・在籍中の学校の成績表(英文)
・在籍中の学校で履修した科目のシラバス(英文)
・在籍中の学校を卒業後、その卒業証明書(英文)
・IELTS Academic または TOEFL

日本(または海外)の大学で学んでいた学問分野と、オーストラリアの大学で志望する学問分野が一致している場合

例えば日本の大学で経営学を勉強していた大学生が、オーストラリアの大学でも同じく経営学を勉強したい場合は、数単位移行できるかもしれません。単位移行の申請を行うには日本の大学の成績表シラバス(講義概要)の英語版をオーストラリアの大学へ提出し、単位移行の査定を受け、査定に通った科目のみ「単位移行」することが認められます。

シラバスの英語版は受講した科目をすべて提出する場合と、双方の大学で一致していると思われる科目のみを提出する場合があります。

結果、移行された単位(科目)はオーストラリアの大学で履修する必要がなくなるので、その分、卒業までに受講する科目数や就学期間が短縮されます。

また、移行された単位(科目)の学費も免除となるわけですが、オーストラリアの大学では1科目あたりの学費が4,000ドル(約35万円)(文系)〜5,500ドル(約50万円)(理系)なので、1科目免除を受ける(単位移行してもらえる)だけでも学費の負担が大きく軽減されます。

過去の実例
実際に過去にあった一例として、日本の大学の観光学部3年生まで修了した学生が、オーストラリアの大学の観光学部へ単位移行の申請を行いました。審査の結果、6科目の単位移行が認められてオーストラリアの大学では残り18科目の履修で卒業することができました。

<解説>
オーストラリアの大学は、(一部の理系を除き)3年制で、合計24科目を履修します。上記の実例は、(日本)観光学部から⇒(オーストラリア)観光学部への進学だったので単位移行が多く認めれたケースではありましたが、とは言え、日本で大学3年生まで修了していたにも関わらず、オーストラリアの大学で単位移行が認められたのは24科目中わずか6科目のみでした。

それでも1科目あたりの学費が日本円で約50万円だったので、6科目の単位移行で300万円ほど節約できる結果となりました。

この実例のように、日本の大学での就学年数が長く、且つ、同じ学部への転入であったとしても、日本とオーストラリアではそもそもの教育制度や授業形態、アセスメント(評価方法)などが異なることから、基本的には日本の大学からオーストラリアの大学へ移行できる単位数は少ないとお考えください。

日本(または海外)の大学で学んでいた学問分野と、オーストラリアの大学で志望する学問分野が一致していない場合

例えば「日本の大学で国際関係学を勉強しているけどオーストラリアの大学でマーケティングを勉強したい」などの場合、学問分野が一致していないので移行できる単位がほとんどなく、1年次からのスタートとなる可能性が高くなります。

例外として、国際関係→マーケティングへの進学であっても、選択科目でマーケティング以外の授業を取る場合もあるので、選択科目が免除される場合もあります。
さらに詳しく
❑大学の学費について「大学・大学院用語シリーズ「TUITION FEE」

日本とオーストラリで異なる「学年」の考え方

日本とオーストラリアの教育制度は異なり、オーストラリアの大学は一般的に3年で卒業をすることができます(一部4年以上のコースもあります)。

日本とオーストラリアの大学、学年はこちらのように対応しています。
日本オーストラリア
大学1年生ファウンデーション
大学2年生大学1年生
大学3年生大学2年生
大学4年生大学3年生
つまり、日本で大学1年を終えていてもオーストラリアではファウンデーション修了相当と見なされるため、大学への単位移行は難しくなります。

一部の大学・コースによっては高卒での入学が認められているので、大学1年修了でオーストラリアの大学進学を目指す場合はそのような大学が選択肢となるでしょう。
さらに詳しく
❑オーストラリアの大学進学方法「オーストラリア大学進学方法
❑オーストラリアの教育制度「オーストラリアの教育制度を知ろう
❑大学1年修了でオーストラリアの大学編入を目指す方へ「高卒で入学できるオーストラリアの大学

単位移行と卒業までの年数


オーストラリアの大学では1セメスター(1学期)に4科目履修し、合計6セメスター(6学期)で24科目履修して卒業となります(計3年間)。
大学1年セメスター1(4科目)
セメスター2(4科目)
大学2年セメスター3(4科目)
セメスター4(4科目)
大学3年セメスター5(4科目)
セメスター6(4科目)
※コースや授業の取り方によっては1セメスター=4科目ではない場合もあります

つまり、例えば4科目の単位移行が認められた場合は1セメスター(1学期)分に相当するため、オーストラリアの大学では5学期(2年半)の就学となります。

しかし、科目の開講時期の関係等で、例えば8科目の単位移行となった場合も、オーストラリアの大学での就学期間は2年ではなく2.5年になったりすることもあります。

また、2科目分や5科目、7科目分等、セメスターの科目数に当てはまらない数が移行となった場合は、ケースバイケースで卒業までの年数が変わります。

オーストラリアの大学では「サマーセメスター」などでお休み期間中に開講している科目もあります。サマーセメスターで受講できる科目があれば、早めに科目を受講して卒業を早めたり、1学期に受講する科目数を減らしたりすることもできます。

シラバス(講義概要)の英語翻訳


単位交換を申請する場合、在籍している大学のシラバス(講義概要)英語版が必要となります。

日本には英語版シラバスの無い大学が多く、その場合、日本語版を英語翻訳することになります。翻訳はNAATI資格を保持する翻訳家へ依頼することになり、その翻訳料は文字数によって変わるためシラバスのボリューム次第となりますが、30〜40万円かかるケースも多くあります。

このようにシラバスの翻訳料は高額ですが、先述のとおりオーストラリアの大学の学費は1科目あたりの学費が4,000ドル(約35万円)(文系)〜5,500ドル(約50万円)(理系)なので、2科目の単位移行が認められただけで通常は翻訳料のもとを取ることができます。ただし、実際に何単位の移行が認められるかは出願してみないとわかりませんので、ご注意ください。

よくある質問

皆さんからよく頂くご質問とその回答をご紹介します。

Q1. 「2年に編入できますか?」
A1. 在籍している大学から何科目分を単位移行ができるかによってオーストラリアの大学の何学期目からのスタートになるのかが変わります。

Q2. 「日本で~単位終えています(または~年生を終えています)、何年に編入できますか?」
A2. 事前にどのくらい単位移行ができるかはわかりません。移行できる単位数はオーストラリアの大学が審査・判断をすることになりますので、実際に出願をしてみる必要があります。

目安として、オーストラリアの大学は1年=8科目が基本ですので、日本の大学から4科目分を単位移行できれば大学1年次後期(つまりセメスター2)に、8科目分を単位移行できれば大学2年次(つまりセメスター3)に入ることになります。
さらに詳しく
❑大学入学の成績基準「オーストラリアの大学・大学院 成績基準の計算の仕方

オーストラリアの大学進学のお問い合わせ


オーストラリアの大学への単位交換や編入は、一人一人その学歴や状況によってご提案できるプランが異なります。当社オーストラリア留学センターは各州のTAFE、全豪29大学の公式出願窓口となっており、ご相談から出願手続き、更に現地サポートまで全て無料で提供しております。
学力、英語力、希望内容、ご予算など詳しくお伺いしたうえで、おひとりおひとりに合う大学と進学プランをご提案しております。
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尚、お問い合わせの際にこちらの情報をお知らせ頂けますとより具体的なご相談ができます。
・学歴:大学の学年、専門(学部・学科・専攻)、成績
・英語力:IELTS(アカデミック)やTOEFL iBT等お持ちの場合は合計得点と各セクション(RWSL)の得点
・ご希望:編入先で学びたい分野・コース。ご希望大学が決まっている場合は大学名
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号H297)
現在はメルボルンからオーストラリア全土の留学相談をしております。色々な情報をインターネットで探せますが、やはり実際はどうなのか、何が本当なのか不安はつきまとうもの。まずはお気軽にご相談ください。考え過ぎて立ち止まるなら、一度動いてみませんか? このカウンセラーに質問する

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