
オーストラリア政府は、2024年3月23日以降の申請分より、学生ビザおよび短期卒業生ビザの申請要件を変更しました。
この変更は、2023年12月11日に発表されたオーストラリア政府の
移民戦略の一環として発表され、2024年3月23日以降に提出されたすべての学生ビザおよび短期卒業生ビザ申請に適用されます。
今後は、学生ビザ申請においてより厳格な基準が適用されるようになりますが、特に重要な点を下記にまとめておきます。
GTEからGSに変更。より多くの情報が必要に

2024年3月23日以降に提出される学生ビザの申請には、以前の「Genuine Temporary Entrant (GTE)」に変わり、「
Genuine Student (GS)」と呼ばれる新しいルールが適用されます。
新しいGSでは、学生ビザ申請の質問内容が変更され、より多くの情報が必要となります。学生ビザ申請者として、オーストラリアで学ぶことが主な目的であること、そして勉強を通じてオーストラリアが必要とするスキルを身につけ、自分が本当に学生として来る意志があることをしっかりと示さなければなりません。
そのため、GSの新しい学生ビザの申請フォームでは、家族や地域社会とのつながり、仕事の状況、経済的な状況、なぜその学校でそのコースを学びたいのか?、そのコースを終えた後にどうなりたいか?など、様々な質問が追加されており、回答は質問ごとに150ワード以内で書きます。
また、過去に学生ビザでオーストラリアに滞在していた場合や、オーストラリアで別のビザから変更する人に対しては、さらに別の質問があります。
質問によっては、説明を証明するための書類提出が求められます。言い換えれば、証拠が伴わない状況説明に関しては、あまり重視されません。
提出するべき書類や情報には、現在までの学歴、オーストラリアで学んだ経験、現在までの仕事、自分の国や住んでいる国の状況などがあります。GSのルールでは、あなたは本当に勉強のために来る意志があるのか?という点に関して、あなたの学歴やビザの取得歴、生活などの様々な側面から、総合的に判断されます。
GSのルールは、学生がオーストラリアで本気で勉強しようとしているかどうかを判断するためのものです。ですから、あなたは、あなた自身がこのルールにピッタリ合っている、ということをしっかりと、かつ客観的に示す必要があります。
オーストラリア留学センターでは、3月23日〜4月5日はこの学生ビザ申請変更における検証期間とし、今後の学生ビザ申請の案内は4月6日以降に行う予定です。その際、さらに詳しい情報とガイダンスを提供する予定です。
学生ビザと卒業生ビザ申請に必要な英語力基準の変更

2024年3月24日より、学生ビザおよび卒業生ビザ申請時に必要な、英語能力要件が引き上げられます。
変更点は以下の通りです
学生ビザ(Subclass 500)
- 英語コース以外の教育機関進学を希望する場合、学生ビザ申請時における、最低限必要な英語力要件がIELTS 5.5からIELTS6.0(または同等)に上がります。
- 学生ビザ申請内容が「英語コース+専門学校(または大学)の本科コース」パッケージでオファーを受けている場合、英語力基準が、IELTS 4.5からIELTS5.0(または同等)に上がります。
- Foundationコースや大学へのPathwayプログラムを受講予定の場合、現在は一部の教育期間で、IELTS5.0相当での入学が認められていましたが、今後はIELTS5,0から、IELTS 5.5(または同等)のスコアが必要です。
- また、上記に該当する認定コースは、今後オーストラリアのWebサイトに掲載される予定です。
- 進学を視野に入れず、英語コースのみを学ぶ学生には変更はありません(ビザ申請時に英語力証明は求められません)。
卒業生ビザ(Subclass 485 – Temporary Graduate Visa)
- 卒業生ビザ(Temporary Graduate Visa)申請のために最低限必要な英語力基準が、IELTS 6.0からIELTS6.5相当に上がります。また、IELTSの各コンポーネント(読解、ライティング、スピーキング、リスニング)で最低5.5のスコアが必要になります。
- 卒業生ビザ申請時の、英語力証明の有効期間は、現在の3年から1年に短縮されます。申請者はビザ申請日の直前1年以内に英語試験を完了したという証拠を提出する必要があります。
上記の学生ビザ申請時の英語力証明については、大きな変更点です。
まず、2024年3月の時点で、多くの専門学校は入学基準として
IELTSのスコア5.5相当を求めています。
また、日本人がオーストラリアの学生ビザを申請する際に、英語力を証明する必要はありませんでしたが、今回、学生ビザの申請に必要な英語の基準がIELTSのスコア6.0に上がったことで、多くの学校は「学生が入学はできても学生ビザを取得できない状況」を避けるために、入学に必要な英語力基準を上げる予定です。
すでに、TAFE WAや、TAFE SA、TAFE QLDなど、一部の教育機関では、
入学基準をIELTS5.5からIELTS6.0へ引き上げており、今後、他の教育機関も同様に入学基準が上がることが予想されます。
また、各教育機関の入学基準変更により、付属英語学校や、パスウェイ契約を結ぶ、私立英語学校の進学英語コース及び、パスウェイ英語コースの入学基準及び、期間が変更となる可能性があります。
オーストラリア留学センターでは、現地の教育機関と直接確認し、WEBサイトの各記事の更新を引き続き行っていきます。
学生ビザ審査対象のルール化と発行数の制限

学生ビザの発給数に上限は設けられませんが、その代わりに、以下のような手段を用いて発給数をコントロールする予定です。
- 学生ビザ申請者の英語レベルの引き上げ
- 学生ビザの対象となるコースの削減(Bachelorコースに重点を置く)。
- コース開始後の変更の規制強化
観光ビザから学生ビザ申請時の規制制限の強化

オーストラリア政府は、観光ビザ(Subclass600)のルールを不正に利用することを防ぐため、観光ビザのルールを厳しくする予定です。
観光ビザ申請者には「8503-No further stay」という条件が増え、観光目的で入国後に、学生ビザ申請を行うことが難しくなります。
今後、オーストラリアに留学を予定されている方は、正しい手続きにて、日本国内(またはオーストラリア国外)で学生ビザを申請する必要があります。
上記のルールは、正規の観光ビザ(Subclass600)について触れており、日本人観光者の多くが申請する、ETAS(Subclass 601)にはふれられていません。こちらについても、移民局からより詳しい発表が入り次第、お伝えする予定です。
教育機関に対する停止証明書の発行制度

オーストラリア政府は、2024年3月23日より、ビザの目的に沿わない学生を受け入れている教育機関に対して、一定期間その機関が新しい国際学生を受け入れることを停止する「停止証明書」を発行することができるようになります。
この新しい制度は、オーストラリアの教育品質を保護するために設けられ、今後は、留学生の学生ビザの申請拒否数、ビザ条件違反、不法滞在などの指標に基づいて評価されます。
もし、学校に問題があると判断されれば、その教育機関は最低7日間の返答期間を経て、停止証明書が発行される可能性があり、その結果として6ヶ月間新しい学生の受け入れができなくなります。
つまり、今後は「質が伴わない、格安を謳う専門学校」は、淘汰され「質の高い授業を提供している教育機関」を選ぶことが重要になるとも言えます
留学準備はしっかりと計画を立てて
このアップデートは、留学生や、オーストラリアで学位取得を目的とする学生が、オーストラリアで質の高い教育を受け、さらに自立した生活を送れるようにすることを目的としたものです。高い英語力があれば、広いコミュニティの中で交流し、より充実した生活を送ることができますので、そういう意味でも、これらの変更は、理にかなった変更といえるでしょう。
また、今回のルール変更の中で、もっとも大きな点としては、やはり”
英語力基準の変更”ではないでしょうか。
実際、今までならIELTS5.5が英語力基準だった教育機関への入学が、今後はIELTS6.0が求められます。
この変更により、進学を前提にした英語コースの期間が増えたり、それにより、専門コースなどへの入学日を後延ばしにするなど、留学プランの変更を余儀なくされる方も多いと思います。噂レベルの情報に惑わされることなく、移民局や教育機関などが発表する正確な情報をもとにしっかりと留学プランを立て直し、留学準備をすすめていきましょう。
オーストラリア留学センターでは、現地の最新情報を引き続き更新していきます。