QUTが拓く:未来を創造するコミュニケーション学の新時代へ
AI、ストリーミングサービス、ソーシャルメディア、そしてグローバルな常時接続。情報が瞬時に世界を駆け巡り、新しいプラットフォームが次々と生まれるこの時代において、ただ参加するだけでなく、業界をリードするためにはどのようなスキルが必要でしょうか。「QUT for the Real World」をモットーとするクイーンズランド工科大学(QUT)は、現代そして未来の課題とチャンスに立ち向かうための知識とスキルを提供する、オーストラリア屈指の教育機関です。
その卓越性は、客観的な評価にも表れています。QUTのコミュニケーションおよびメディア研究分野は、2025年のQS世界大学ランキングにおいて、オーストラリア国内で第2位、クイーンズランド州では第1位、そして世界全体でも第33位という高い評価を獲得。これは、プログラムの質の高さ、教授陣の専門性、そして卒業生の実績を証明しています。
この優れた教育の原動力となっているのが、世界をリードするQUTの
デジタルメディア研究センター(DMRC)です 。DMRCは、AIや自動化、デジタル社会における市民参加、メディア産業の変革といった最先端のテーマに取り組む研究拠点です 。QUTの学生は、単に教科書から学ぶのではありません。デジタル社会の未来を定義している研究者たちから直接生きた知識を学ぶことができるのです。つまり、QUTのカリキュラムは、世界最新の研究成果がリアルタイムで反映される「生きた教材」であり、他の大学では得られないQUTだけの特権です。
未来の設計図となるQUTコミュニケーション学士課程
プログラムの構成概要
QUTのコミュニケーション学士課程(Bachelor of Communication)は、3年間のフルタイム学習で構成されます。このプログラムの大きな特徴は、強固な基礎と個々の興味やキャリア目標に応じた高いカスタマイズ性を両立させている点にあります。
まず、全学生がコミュニケーション学の共通基礎科目(コアユニット)を履修します。ここでは「メディア産業の理解」「オーディエンス分析」「インターネットとデータの理解」といった、分野を問わず必須となる基本的な知識と分析手法を学びます 。これにより、どの専攻に進んでも、現代のコミュニケーション環境を体系的に理解するための共通言語と視点を身につけることができます。
柔軟性の力:自分だけの学位をデザインする
QUTのコミュニケーション学士課程(Bachelor of Communication)は、合計26科目(288単位)で構成されています。ここで最も重要なのが、
主専攻を2つ選べることです。
1つ目の主専攻はコミュニケーションの分野から選択しますが、
セカンドメジャー(2つ目の主専攻)は学部の垣根を超えて他に興味のある学問分野を選ぶことができます。この仕組みこそが、本記事で紹介する「コミュニケーション学とビジネス学の融合」を可能にする鍵となります。

これは、単に学問的な選択肢が多いというだけではありません。将来のキャリア目標を定め、それに必要な知識とスキルを、学生が幅広い学問分野から主体的に選び、2つの専攻を融合させて学ぶことで、自分だけのプログラムをカスタマイズすることができるのです。QUTのこの柔軟な構造が、学生一人ひとりのキャリアデザインを可能にします。
なぜ「コミュニケーション+ビジネス」が最強の組み合わせなのか

現代社会において、優れたクリエイティブなアイデアだけでは成功は保証されません。そのアイデアを実現し、持続可能な価値を生み出すためには、戦略的な計画、財務的な知識、市場への深い理解、そしてリーダーシップが不可欠です。コミュニケーション学とビジネス学を組み合わせることで、卒業生は「創造」と「経営」の両方を理解する稀有な人材となります。メッセージを創り出すクリエイターであると同時に、コミュニケーションというビジネスを動かすマネージャーにもなれるのです 。これは、単なるクリエイターから、クリエイティブ業界を率いるリーダー、起業家、あるいは戦略家へと飛躍するための最短ルートです。
それでは、「コミュニケーション」と「ビジネス」それぞれの学問分野で選べる専攻を1つずつ解説します。それぞれどの専攻を選んで組み合わせると、どのような相乗効果(キャリアパス)が生まれるのか、イメージしてみましょう。
【専攻1】専門性を極める:コミュニケーション学の主要専攻

1つ目の専攻はコミュニケーション学の分野から選びます。選べる専攻はこちらの2つから。将来のキャリア像をイメージしながら読んでみてください。
ジャーナリズム専攻
デジタル時代のジャーナリズム:真実の探求とテクノロジーの習得
この専攻は、ジャーナリズムが持つべき不変の誠実さや民主主義への貢献といった理念を守り抜くと同時に、現代のメディア環境を乗りこなすための最先端ツールを習得することに重点を置いています 。フェイクニュースや誤情報が氾濫する現代において、QUTのジャーナリズム専攻は、その解決策の一端を担う人材を育成することを目指しています 。
学習は極めて実践的です。学生たちはスタジオでラジオのニュース速報を作成し、オートキューを使ってテレビニュースを収録し、実在の人物にインタビューを行い、現実の出来事についての記事を執筆します 。これらの経験を通じて、卒業までにプロフェッショナル品質のポートフォリオを構築します。さらに、データ駆動型ストーリーテリングやマルチメディア制作といった、未来のジャーナリストに不可欠なスキルも深く学びます 。
QUTジャーナリズム専攻の卒業生:「Supercar Blondie」として世界的に有名なアレックス・ヒルシ氏や、オーストラリアを代表するジャーナリストであるカール・ステファノビッチ氏、リー・セールス氏など、多くの卒業生がメディア業界の第一線で活躍しています 。
メディア・コミュニケーション専攻
メディアランドスケープの設計者:メディア・コミュニケーション産業専攻
この専攻は、現代の複雑なメディアエコシステム(※)の司令塔となる戦略家、アナリスト、そしてリーダーを育成することを目的としています 。従来のメディア形態に加え、ソーシャルメディア、ゲーム、ストリーミングコンテンツといった新しいデジタルコミュニケーションサービスを網羅的に学びます 。
具体的には、オーディエンス調査と分析、ソーシャルメディアマネジメント、データアナリティクス、そして新しいオーディエンスエンゲージメント戦略の立案といった、即戦力となるスキルを体系的に習得します 。
この専攻で得られるスキルは、メディア企業だけに留まりません。民間企業、政府機関、非営利団体など、あらゆるセクターでコミュニケーション戦略を担う人材として高く評価され、幅広く安定したキャリアパスが拓かれています 。
留学カウンセラーより「メディアエコシステムとは?」
「エコシステム」は日本語で「生態系」のこと。森や海の中で、生き物たちが食べたり食べられたりしながらつながっている仕組みをイメージしてください。
同じように、「メディアエコシステム」は ニュースや情報がいろんなメディアを通して広がり、お互いに影響し合う仕組み のことをいいます。
例えば、
●ある出来事がSNSで話題になる
●それをテレビがニュースとして取り上げる
●新聞やネット記事で詳しい解説が出る
●それをまたSNSでシェアして、さらに広がる
このように、SNS・テレビ・新聞・ネット記事などがつながって、情報が行ったり来たりして人々に広がっていく仕組みを「メディアエコシステム」と呼びます。まるで生態系のように、全部がつながって影響し合っている世界です。
【専攻2】ビジネスの視点で創造性を加速させる
ハイブリッドなキャリアパスを設計する:ビジネス関連のセカンドメジャー
2つ目の専攻はビジネスの分野から選びます。コミュニケーションと掛け合わせて学ぶことでどんなキャリアを描けるのか、専攻ごとにイメージしてみましょう。
※2つ目の専攻をビジネス以外の分野から選ぶことも可能ですが、当記事では2つ目の専攻をビジネスから選ぶパターンをご紹介します
国際ビジネス専攻
International Business
グローバルな文脈でのビジネス展開を学び、国際市場、貿易、異文化マネジメント、多国籍企業戦略などを探求します。
将来のキャリア例「グローバル・ブランド・ストラテジスト」: 多国籍企業のブランドストーリーを、多様な文化背景を持つ市場で展開。世界共通のメッセージと地域ごとの特性を融合させる。
起業家精神・人材管理・経営 専攻
Entrepreneurship, Human Resource Management and Management
新規事業の立ち上げから組織の運営、人材のマネジメントまで、ビジネスを動かすための包括的なスキルセットを身につけます。
将来のキャリア例「クリエイティブ・エージェンシー創業者/ディレクター」: 革新的なデジタルメディアのスタートアップをゼロから立ち上げ、才能あるチームを率いて業界を驚かせるコンテンツを生み出す。
行動経済学・経済学・金融 専攻
Behavioural Economics, Economics and Finance
人間の心理が経済的意思決定にどう影響するかを探る行動経済学から、マクロな経済動向、金融市場の仕組みまでを学びます。
将来のキャリア例「オーディエンス・インサイト・アーキテクト」: 「オーディエンス・インサイト・アーキテクト」とは、“人々(オーディエンス)の気持ちや行動をよく理解して(インサイト)、その情報をもとに、広告やサービス、コンテンツの仕組みを設計する人(アーキテクト)” のこと。行動科学を用いてオーディエンスの深層心理を解読し、心理的なレベルで共感を呼ぶ、極めて効果的なマーケティングキャンペーンを設計する。
不動産経済学 専攻
Property Economics
土地や建物の経済的側面に焦点を当て、不動産市場、評価、投資、開発を学びます。
将来のキャリア例「インフラコミュニケーション」: 都市の未来を形作る大規模プロジェクトの広報戦略と投資家向け広報を担当。開発者と地域社会の架け橋となる。
このQUTの学際的な学びの構造により、一つの学問分野だけでなく、複数の異なる学問領域にまたがって知識とスキルを習得、多角的な視点から物事を分析することが可能となり、これまで単独の分野では解決できなかった複雑な社会課題に取り組むという、専門性の高いニッチな領域で活躍できる人材を生み出します。
職業の現場へ:QUTの実践教育とブリスベンのクリエイティブ環境
プロフェッショナルへの架け橋:ワーク・インテグレーテッド・ラーニング(WIL)
QUTの教育哲学の中核をなすのが、ワーク・インテグレーテッド・ラーニング(WIL)です。これはカリキュラムに組み込まれた必修のインターンシップであり、学生が卒業前に、学位の単位として認定される実践的な就業経験を積むプログラムです。
インターンシップ先は、Network Ten(オーストラリアの主要テレビ局)、ブリスベン・フェスティバル(国際的な芸術祭)、Hyperplex Cinemas、La Boite Theatreといった、業界を代表する企業や団体 。ここでの実務経験は、教室で学んだ理論と実践を結びつけ、プロフェッショナルとしての自信と即戦力を養います。
卒業生の中には、大手保険会社RACQの課題プロジェクトで優勝し、それがきっかけで有給のインターンシップを獲得した学生や、大学の奨学金を得てロンドンでのインターンシップを経験し、それが卒業後のキャリアを切り拓く上で大きなアドバンテージになった学生もいます。
イノベーションの拠点:Creative Industries Precinctとブリスベンの活気
2016年に、8,000万ドルを投じて建設されたQUTクリエイティブ学問(デザイン・芸術・映像・音楽など)のキャンパスビル、
Creative Industries Precinctは、それ自体が世界クラスの創造拠点です。最新鋭のスタジオ、パフォーマンススペース、ラボが集結し、異なる学問分野の学生、研究者、そして商業ベンチャーたちが自然に交流し、新しいアイデアを生み出すよう設計されています。キャンパス全体が活気とインスピレーションに満ちています 。
さらに、大学が位置するブリスベン市自体が、クリエイティブ産業のハブとして急速に成長しています。クイーンズランド州政府による積極的な支援策や、「The Forefront」のような新しいイノベーション拠点の誕生は、学生にとって絶好の環境です 。QUTとブリスベン市は、強力な共生関係にあります。大学は市のクリエイティブ経済を牽引する才能と研究を供給し、市は学生にインターンシップ、ネットワーキング、そして雇用の機会を提供します。
QUTで学ぶことは、単にキャンパスにいるだけでなく、活気あふれるクリエイティブなエコシステムに最初から組み込まれることを意味するのです。
これはあなたの天職か?コミュニケーション×ビジネスの融合で描くキャリア像

あなたが思い描く将来のキャリア。それに向けて進むべき道は?
3つの学生像を通して見てみましょう。
未来の国際ジャーナリスト
国際情勢や人々の物語を世界に伝えることに情熱を燃やすあなた。将来は海外特派員になることを夢見ている。
あなたにオススメの専攻選び(例):
ジャーナリズム専攻と国際ビジネスのセカンドメジャーを組み合わせる。倫理的で効果的な報道スキルと、取材対象となる地域の経済的・政治的背景を深く理解する力を同時に習得。WILでは、国際的な通信社の支局で実務を経験。
次世代のメディア起業家
新しいポッドキャストネットワーク、ニッチなストリーミングサービス、あるいはバイラルコンテンツを生み出すアイデアで頭がいっぱいなあなた。
あなたにオススメの専攻選び(例):
メディア・コミュニケーション専攻と起業家精神・人材管理・経営のセカンドメジャーを組み合わせる。オーディエンスを惹きつけるデジタル戦略 と、事業計画の策定、資金調達、チームの率い方を学ぶ。WILプロジェクトを利用して、業界のメンターと共に自身のスタートアップのアイデアを練り上げることも。
バイラルコンテンツとは?
SNSや動画サイトなどで短期間で急速に拡散されて爆発的に広まる情報や作品、多くの人々の間で話題を呼ぶコンテンツのこと
データで動かす戦略家
消費者行動の「なぜ」に魅了され、データを使って完璧なメッセージを構築することに興味があるあなた。
あなたにオススメの専攻選び(例):
メディア・コミュニケーション産業専攻と行動経済学・経済学・金融のセカンドメジャーを組み合わせる。メディアアナリティクスの技術と、人々の意思決定を左右する心理的要因への深い理解を融合させる。大手広告代理店の戦略部門責任者やメディア分析企業のリーダーが、あなたの目指すキャリア。
クイーンズランド工科大学 入学要項(2026年度)
コース名 |
KC40 Bachelor of Communication(QUT公式HP) |
専攻 |
専攻1:コミュニケーション分野から1つ選択
・ジャーナリズム専攻
・メディア・コミュニケーション専攻
専攻2:ビジネス分野から1つ選択
・不動産経済学(Property Economics)
・国際ビジネス(International Business)
・起業家・人材管理・経営(Entrepreneurship, Human Resource Management and Management)
・行動経済学・経済学・金融(Behavioural Economics, Economics and Finance)
※上記はビジネスの専攻を選ぶ場合の例。ビジネス以外の専攻も選択可能。
|
期間 |
3年 |
授業料 |
年間A$40,000(日本円で約3,960,000円)(2026年度) |
英語入学条件 |
IELTS Academic 6.5以上(各セクション6.0以上) |
学歴入学条件 |
・ファウンデーションコース修了(学士課程への単位交換無し)
または
・Diploma in Creative Industriesコース修了(単位交換で学士課程2年次へ編入)
または
・IB 28以上
または
・SAT 980以上 + 高校の成績 |
日本の普通高校から進学する場合
日本の普通高校卒業の場合、まずはQUT Collegeの
ファウンデーションコース(大学準備コース)またはDiploma in Creative Industriesコースを受講してから、大学本科へ入学となります。詳しくは
こちらをご参考ください。
※高校3年生の10月頃から出願することができます。まずは高校の成績と英語スコアをお知らせ下さい。学力と英語力に沿った進学プランをご提案します。
QUTから奨学金がでています
QUTでは現在、海外からの留学生を対象に
奨学金がでています。詳しくは
お問い合わせください。
ご相談&お問い合わせ
学部の垣根を超えて、他の学問分野と組み合わせて学べる。オーストラリアでは、選ぶ専攻や履修する科目を学生自らが自由に選べるよう、幅広い選択肢を提供している大学が複数あります。
「ビジネスを学びたい=ビジネス専攻へ」という従来の選択肢では叶わない、コミュニケーション×ビジネスの組み合わせによる戦略的な柔軟性によって、学生ひとりひとりが自分だけのキャリアをデザインしていく。そんな学びがQUTにあります。
当社オーストラリア留学センターは、
全豪29大学の公式出願窓口となっており、ご相談から出願手続き、更に現地サポートまで
全て無料で提供しております。
※備考※
・本記事は2025年9月現在の情報に基づいており、コース概要や入学基準は変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2026年度学費をご案内しております