
タスマニア大学(UTAS)が提供する「Master of Protected Area Conservation(MPAC)(保護地域保全学 – 修士課程)」は、国立公園、野生生物保護区、世界遺産地域など、地球上の貴重な自然環境を効果的に「管理」「計画」「統治」するために必要な高度な知識と実践的スキルを育成する専門プログラムです。
現実社会での気候変動や人間活動の影響を捉え、保護地域を効果的に管理・運営できる高度専門人材の育成を目指す本コースは、
他の大学院では得難い「強み」を持っています。
タスマニア大学で学ぶ理由

タスマニア大学は、気候変動対策において
世界第1位にランク付けされており、環境科学分野で世界をリードする大学です。特にタスマニア大学の海洋・南極研究所(IMAS)は、海洋生物学や南極研究において国際的な中心地の一つとなっています。それゆえ、タスマニア大学は 「海洋生物や南極海洋研究」がフォーカスされる機会が多いですが、もう一つ、
タスマニア島というユニークな立地と実践的なカリキュラムにより、
他の大学院では得難い強みを持つ、Master of Protected Area Conservation があります。

留学カウンセラーより「何のランキングで世界 1位 なの???」
タスマニア大学は、Times Higher Education (THE) Impact Rankings の SDG 13:気候変動対策(Climate Action)の項目で世界1位にランキングされています。
タスマニア大学は2022年、2023年、2024年、2025年と
4年連続で世界第1位に評価されています。このランキングは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に対する大学の貢献度を評価する世界的な枠組みです。
タスマニア全土が「生きた研究室」
タスマニア州(タスマニア島)の州の約半分(42%〜50%)が国立公園や保護区に指定されています。さらに、その
保護区の約半分(州全体の約23%)は、ユネスコ世界自然遺産「タスマニア原生地域」として登録されています。

学生が学ぶホバートのキャンパスは、この「生きた研究室」の玄関口です。キャンパスから車でわずか30分圏内に、海洋、沿岸、湿地、森林帯、高山帯といった多様な生態系が広がっています。
座学で学んだ理論を検証できる実際の現場が直ぐそこにあるというのは他の大学では決して真似のできる環境ではありません。
国際基準の「即戦力」スキル
Master of Protected Area Conservation のカリキュラムは、IUCN(国際自然保護連合)の「保護地域世界委員会」が定める国際的な専門的能力基準(コンピテンシー)を満たすよう厳格に設計されています。
また、保護区の設計・計画で世界標準のソフトウェア「Marxan(マルサン)」や、保全計画に不可欠なGIS(地理情報システム)の基礎(KGG539)など、今の現場で必要となる具体的な技術も習得します。
現場と直結したネットワーク
タスマニア州において、環境保全は州のアイデンティティです。大学(UTAS)、政府機関(タスマニア公園・野生生物局など)、有力なNGO(タスマニア・ランド・コンサーバンシーなど)が非常に緊密な連携関係を築いています。本プログラムの学生は、この専門家コミュニティに深く関わることになり、このネットワークの強みは、後述する2年次の「プロフェッショナル・プレイスメント(実務研修)」で最大限に発揮されます。
このプログラムは、こんなあなたにオススメです
本プログラムは、そのユニークな構成により、多様なバックグラウンドを持つ学生に門戸を開いています。
キャリアアップを目指す現職の専門家
すでに、自治体の環境課、NPO/NGOスタッフとして実務経験を積んでいる方へ。現場経験に加え、より上位の「マネジメント」「ガバナンス」「政策立案」といった上級職に進むために必要な、体系化された国際レベルの専門知識と修士号を得るのに最適です。
保全分野へのキャリアチェンジを目指す方
本プログラムの最大の特色の一つは、入学要件として過去の学士号分野を問いません。
「環境問題への情熱はあるが、大学の専攻が法律・経済・ビジネス系で、科学的背景がないから不安…」という方もいるかもしれません。
確かに、1年次はGIS(地理情報システム)や生態学の基礎を学ぶため、キャッチアップの努力は必要です。しかし、本プログラムはそれを前提に基礎科目を設計しており、文系出身の学生も多く学んでいます。
そして、その「異なるバックグラウンド」こそが、最終的に強力な武器になる可能性を秘めています。
保全の現場では、科学的知見だけでなく、法律、組織運営、資金調達、合意形成など、多様なスキルが求められるからです。もし自身が 学士号で得た学びやスキルをもとに、本修士号で学ぶ保全の専門知識を掛け合わせることで、ユニークな「保全プロフェッショナル」を目指すことができるかもしれません。
フィールドとデータを繋ぐ「実践的研究者」を目指す方
「タスマニアの自然」という圧倒的なフィールドと、UTAS/IMASが誇る世界レベルの「研究環境」の両方に強く惹かれ、将来はPhD(博士号)で研究を希望する方にも良い選択です。フィールドワークで得たスキル、GIS (KGG539) やリサーチ (KGA704) を通じて「データ」と「政策」に結びつけ、エビデンスに基づいた保全戦略を立案する専門家になりたいという志を持つ人にも、理想的な環境です。
カリキュラム・プログラム構成
1年次に保全管理の包括的な基礎を固め、2年次に専門性を深め、実務に応用するという、論理的な構造になっています。
このコースは、国立公園、野生動物保護区、その他の保護地域(Protected Area)の管理と保全に関する専門知識とスキルを学ぶことに焦点を当てています。
具体的には、以下のような分野をカバーしています。
・生態系保全 (Ecosystem Conservation)
・生物多様性の保全 (Biodiversity Conservation)
・保全計画と管理 (Conservation Planning and Management)
・保護地域システム (Protected Area Systems)
・景観保全 (Landscape Conservation)
| 1年次:保全管理の強固な基礎を築く |
| 1年次は、専攻分野に関わらず、すべての学生が保全の「計画」「管理」「ガバナンス」に必要なコア知識を学びます。GIS基礎、保全理論、管理システム、景観保全、さらには組織の社会的責任(CSR)といった、科学と社会科学の両面から保全を理解するための共通基盤を確立します。 |
| 2年次:専門性の追求と実務経験 |
2年次には、自らのキャリアパスに合わせて専門性を追求します。
【2つの選べるパスウェイ】
■プロフェッショナル・パスウェイ
卒業後、実務分野での知識を増やしたい学生向けです。実社会の課題を解決するための高度なリサーチスキルを磨きます。
■リサーチ・パスウェイ
将来的に博士課程(PhD)にて研究を進めて、高度な研究職を目指す学生向けです(成績要件あり)。
【キャップストーン:プロフェッショナル・プレイスメント】
2年次の核となるのが、必修の「Professional Placement」です。キャリアの集大成となるプロジェクトとなり、学生は、タスマニア・ランド・コンサーバンシー(Tasmanian Land Conservancy)のような主要な保全団体や政府機関などで、組織が実際に直面している「実世界の課題(real-world problems)」に取り組み機会があります。例えば「絶滅危惧種のデータ分析」や「新規保護区の管理計画策定」といった具体的な業務に取り組みます。
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| コース名 | Master of Protected Area Conservation |
| コース期間 | 2年間 |
| 入学 | 2月、7月 |
| 学費 | 2026年度:年間 A$40,250(約411万円) |
| 英語 | IELTS Academic overall 6.5 (各6.0)以上 |
| 条件 | 日本の4年制大学を修了(学部不問) |
キャリアパス/卒業後の展望
環境保全、野生生物や自然を保護する専門職を目指す Master of Protected Area Conservation の卒業生は、以下のような科学と社会を繋ぐ専門職に就くことを想定して設計されており、卒業生の活躍の場は、政府機関、民間企業、非営利セクター(NPO/NGO、例:The Nature Conservancy)など、多岐にわたります。
パーク・レンジャー: 国立公園や保護区の現場管理、保全プログラム従事者。
環境プランナー: 都市開発や資源利用計画において、環境への影響を評価し、保全計画を策定するプランナー。
保全オフィサー: NGOや政府機関で、特定の保全プロジェクト(例:絶滅危惧種保護)の計画・実行・評価を主導するオフィサー。
自然資源管理者: 土地、水、森林、海洋資源の持続可能な利用と保全のバランスを取る管理職。
エコツーリズム・マネージャー: 環境への負荷を最小限に抑えつつ、自然の魅力を伝える観光事業を企画・運営する。
環境コンサルタント: 企業や政府に対し、環境関連の専門的な助言やアセスメントを提供する。
出願に向けての準備
1. まずは英語試験を受けましょう
まずは
IELTS(アイエルツ)試験を受験しましょう。日本では下記3つの機関がIELTS試験を開催しています。
IELTSスコアは足りなくても出願可能です。その場合はタスマニア大学付属属語学学校とセットでのお申込みとなります。
2. 出願に必要な書類4点を準備しましょう
出願には下記4点の書類が必要となります。IELTSの受験が終わったらこちらの4点を揃えて担当カウンセラーにご提出ください。
- 大学の卒業証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
- 大学の成績証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
- IELTS(Academic)またはTOEFLスコア結果
- パスポートコピー
3. 出願手続きスタート
最後に、
オンライン申込みフォームを送信してください。その後、正式に出願手続きへ進みましょう。
留学相談&お問い合わせ
当社オーストラリア留学センターはタスマニア大学を含め
全豪29大学の公式出願窓口となっており、ご相談から出願手続き、更に現地サポートまで
全て無料で提供しております。
※備考※
・本記事は2026年11月現在の情報に基づいており、コース概要や入学基準は変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2026年度学費をご案内しております。