2020年代を迎え、私たちは情報技術の進化がますます加速する時代に突入しました。その中でも、量子コンピューティングは、従来のコンピューティングの限界を超える次世代の技術として注目を集めています。特に、暗号解読やシミュレーション、最適化などの分野で、従来のコンピューターでは解決不可能な問題に対しても、新たな解決策を提供する可能性があります。
量子コンピューティングの基礎を学ぶことは、これからの時代において非常に重要です。そして、未来の技術を学び、次の10年を切り開くための準備をするために、
シドニー工科大学(UTS)のBachelor of Computer Science Honoursコース、Quantum Information Science専攻をご紹介します。
未来を見据えた新しい学問分野、量子コンピューティングとは?
量子情報科学とは、量子力学の原理に基づく新しい情報処理技術を研究する学問分野です。現在のコンピューターはビット(0か1の状態)を使用して情報を処理しますが、量子コンピューターは「量子ビット(キュービット)」と呼ばれるものを使用します。このキュービットは0と1の両方の状態を同時に持つことができるため、膨大なデータを並行して処理することが可能です。
この技術が実用化されれば、現在のスーパーコンピューターを凌駕する性能を持つ量子コンピューターが実現し、世界を変えることが期待されています。
特に量子コンピューティング、暗号技術や大規模シミュレーション、複雑な最適化問題の解決において、従来の技術では到達できなかった新しい解決策を提供します。例えば、分子の構造解析や新薬の開発、金融市場のリスク管理など、幅広い分野での応用が期待されています。
量子コンピューティングの活用例
量子コンピューティングの活用が進むことにより、私たちの日常生活にどんな変化がもたらされるか具体例を見てみましょう。
医療診断と個別化された治療
医療分野において、量子コンピューティングは複雑な生物学的データの解析を瞬時に行うことで、より精密で個別化された治療が可能になります。たとえば、病院での診断時に患者の遺伝子情報や病歴に基づいて最適な治療法を即座に提案できるようになるでしょう。これにより、治療の効果が高まり、医療ミスの減少にもつながります。実際、製薬企業では量子コンピューティングを活用した新薬開発の迅速化が進められており、将来的には個人に最適化された薬を提供することが一般化するかもしれません。
金融サービスとリスク管理
金融市場におけるリスク管理やポートフォリオ最適化においても大きな役割を果たします。たとえば、銀行や投資会社がリアルタイムで市場データを分析し、潜在的なリスクを瞬時に察知して対応策を講じることが可能になります。これにより、経済の安定性が向上し、個人投資家もより安全に資産運用を行えるようになるでしょう。実際に、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどの大手金融機関は、量子コンピューティング技術を活用したリスク解析ツールの開発を進めています。
物流とサプライチェーンの最適化
物流とサプライチェーンの最適化にも革新をもたらします。たとえば、倉庫内の在庫管理や配送ルートの最適化に量子アルゴリズムを活用することで、商品がより迅速かつ効率的に消費者に届くようになります。これにより、商品配送の時間が短縮され、コストの削減も実現できます。AmazonやDHLなどの大手物流企業は、量子コンピュータティングによる配送最適化の導入を進めており、将来的にはこの技術が標準化される可能性があります。
天気予報と災害予測
気象データの解析においても強力なツールとなります。現在のスーパーコンピューターでは解析が困難な大規模な気象データを量子コンピューターで処理することにより、より正確な天気予報や災害予測が可能になります。たとえば、台風の進路予測や豪雨の発生時期を正確に予測できるため、災害時の早期避難や被害軽減に役立ちます。NASAやNOAAなどの気象機関が、量子コンピューティングを用いた気象モデルの開発を進めており、将来的にはより信頼性の高い予報が私たちの日常生活を支えることになるでしょう。
サイバーセキュリティとデータ保護
現在の暗号技術を破る可能性がある一方で、新たな暗号技術の開発にも寄与します。たとえば、量子暗号技術を利用したデータ保護は、金融取引や個人情報の保護において極めて強力です。これにより、オンラインバンキングや電子決済など、私たちの日常生活におけるデータの安全性が飛躍的に向上します。既に、IBMやGoogleなどの企業が量子暗号技術の研究開発に取り組んでおり、今後この技術が広く普及することが期待されています。
エネルギー管理とスマートグリッド
エネルギー分野では、量子コンピューティングがスマートグリッドの最適化に利用されます。たとえば、電力の需要予測や供給調整をリアルタイムで行うことで、エネルギーの無駄を削減し、効率的な電力供給が実現します。これにより、エネルギーコストの削減と同時に、環境負荷の軽減も期待されます。エネルギー企業では、量子コンピューティングを活用したスマートグリッド技術の開発が進んでおり、これが実用化されれば、私たちの生活においても持続可能なエネルギー利用がより身近になるでしょう。
量子コンピューティングが持続可能な社会の実現に貢献できること
量子コンピューティングは、技術的な革新だけではなく、持続可能な社会につながる実現に向けた動きも加速するでしょう。
複雑な環境モデルのシミュレーションや新材料の開発を通じて、気候変動対策やエネルギー効率の向上を実現。また、生態系の監視や資源管理の最適化を支援し、持続可能な農業や廃棄物処理の改善にも寄与します。量子コンピューティングが広く普及することで、環境への負担を軽減し、より持続可能な社会の構築が可能となります。
IBM、Google、Microsoftなどの巨大IT企業がハードウェアおよびソフトウェアの開発に積極的に投資しています。また、日本では富士通、東芝、NEC、日立製作所などが量子コンピュータ関連の技術開発を進めています。これにより、量子コンピューティングに特化した人材の需要が高まり、産業界においても持続可能性を重視した技術革新が進んでいます。
未来のテクノロジーをリードするトップクラスの研究機関
実践的スキルと最先端知識を兼ね備えた人材を育成する、オーストラリア有数の工科大学
UTSは産業界とつながりのある教育と学習を提供することに重点を置いており、1000社を超える企業と強力なパートナーシップを築いています。現実世界の研究の最先端を取り入れていることで、世界的に高く評価されて、QS世界大学ランキング(科目別)ランキングにおいてコンピューターサイエンス・情報システム分野において、UTSは世界で73位(オーストラリア国内6位)にランクインしています。
世界トップクラスの量子情報・ソフトウェア研究機関
UTSは将来の量子技術に必要なソフトウェアと情報処理基盤の開発に特化した、量子ソフトウェア情報センター
Centre for Quantum Software and Information (QSI) を有しています。
QSIは、オーストラリア国内外の数多くの研究機関と協力し、量子情報科学の基礎的な理解を深めるとともに、将来の量子技術に必要なソフトウェア、情報処理、ハードウェア基盤の開発に取り組んでいます。
2015年から2020年の間に390を超える研究成果を発表し、その研究活動、協力体制、人材育成への取り組みは、オーストラリアの量子技術の進歩に大きく貢献しています。
QSIの研究パートナー:
- 米国防総省 Multidisciplinary University Research Initiative (MURI)
- Google
- HRL研究所
- ボーイング
- ハーバード大学発のスタートアップ企業Zapata
- Rigetti
- ロッキード・マーティン
- オーストラリア国防科学技術機関 (DSTG)
- ウォータールー大学量子コンピューティング研究所
- シンガポール量子技術センター など
Bachelor of Computing Science Honours-Quantum Information Science
量子コンピューティングは、UTSのBachelor of Computing Science(Honours) の主専攻として学ぶことができます。
Quantum Information Science専攻履修科目
Quantum Information Science専攻 必修科目 |
- Linear Algebra 線形代数
- Introduction to Quantum Computing 量子コンピューティング入門
- Methods in Quantum Computing 量子コンピューティングにおける手法
- Quantum Software and Programming 量子ソフトウェアとプログラミング
下記から4科目選択 |
|
- Advanced Algorithms 上級アルゴリズム
- Deep Learning and Convolutional Neural Network ディープラーニングと畳み込みニューラルネットワーク
- Emerging Topics in Quantum Information Science 量子情報科学における新興トピック
- Introduction to Data Analytics データ分析入門
- Machine Learning 機械学習
- Mathematical Statistics 数理統計学
- Probability and Random Variables 確率と確率変数
- Quantum Algorithms 量子アルゴリズム
- Quantum Computer Architectures 量子コンピューターアーキテクチャ
- Quantum Information Theory 量子情報理論
|
Bachelor of Computing Science Honours – Quantum Information Science 入学要項
コース名 | Bachelor of Computing Science Honours-Quantum Information Science |
期間 | 4年間 |
入学 | 2月、7月 |
学費 | A$52,410/年間(約501万円)※2025年度 |
英語 |
・IELTS Academic overall 6.5(ライティングセクション 6.0)/TOELFibt 79−93(ライティング21)
または
・UTSカレッジの進学準備英語コースAE5を規定レベルで卒業すること |
出願条件 |
・日本の大学1年次修了または日本の高校卒業資格+センター試験結果(7科目)
・UTSカレッジディプロマコースを規定の成績を修めること。
|
---|
UTSカレッジディプロマコースを経由して進学
日本の高校で評定平均2.8以上/5段階評価(主要科目重視)をお持ちの場合、UTSカレッジで開講されているDiploma of ITを規定の成績で修了すると、48クレジットポイント(1年相当)が免除となり、大学2年次編入を目指すことができます。
コース名 | Diploma of Science |
期間 | 8ヵ月(2学期)、1年(3学期)、1.5年(4学期) |
入学 | 3月、6月、10月 |
学費 | 2学期、3学期コース: A$38,000(約365万円)※2025年度
4学期コース:A$48,000(約461万円)※2025年度 |
英語 |
・2学期、3学期コース:IELTS 6.0 (ライティング6.0)、4学期コース:IELTS5.5(全セクション5.0以上)
または
・UTSカレッジの進学準備英語コースを規定レベルで卒業すること |
出願条件 |
・高校卒業資格、評定平均2.8以上/5段階評価(主要科目重視) |
出願に向けての準備
1. まずは英語試験を受けましょう
まずは
IELTS(アイエルツ)試験を受験しましょう。日本では下記3つの機関がIELTS試験を開催しています。
2. 出願に必要な書類を準備しましょう
出願には下記4点の書類が必要となります。IELTSの受験が終わったらこちらの4点を揃えて担当カウンセラーにご提出ください。
- 最終学歴の卒業証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
- 最終学歴の成績証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
- 職務経歴書(英文) ※職歴をお持ちの方
- 在職証明書(英文) ※職歴をお持ちの方
- IELTS(Academic)またはTOEFLスコア結果
- パスポートコピー
3. 出願手続きスタート
最後に、
オンライン申込みフォームを送信してください。その後、正式にシドニー工科大学(UTS)への出願手続きをスタートします。
留学相談&お問い合わせ先
当社オーストラリア留学センターはシドニー工科大学を含め全豪29大学の公式出願窓口となっており、ご相談から出願手続き、更に現地サポートまで全て無料で提供しております。
※備考※
・本記事は2024年8月現在の情報に基づいており、コース概要や入学基準は変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2025年度学費をご案内しております。
・日本円は弊社が取得できる最新の送金レート(A$1=96円) で換算しており、実際はお支払い時にご利用の金融機関の為替レートが適用されます。
CRICOS Provider No: 00099F