帰国子女枠について


「日本の高校を普通に卒業して大学へ進学するより、帰国子女枠で入学する方が簡単」という考え方を耳にすることがあります。ですが、何をもって比較するかによって、どちらが有利ということは一概にはいえません。そこで今回は、帰国生が日本の大学を受験する場合の一般的な情報を案内していきます。

また、帰国子女には誰が該当するのか、ということも併せて説明します。ただし、帰国生が大学受験する場合の条件は、各大学ならびに学部によって大きく異なりますので、あくまで概略としてご参照ください。

出願資格の概略について

帰国生による日本の大学の出願資格を得るためには、いくつかの条件を満たす必要があります(大きく分けると次の①~④の要件があります)。
  1. オーストラリアの高校在学期間の証明
  2. 日本の高校在籍期間の制限
  3. 高校卒業から大学入試までの制限年数
  4. 海外留学の理由

まず最初に、①「オーストラリアの高校在学期間の証明」があり、オーストラリアの高校に最終学年を含み1~3年以上継続して在籍していた証明が求められます(期間の指定は各大学によって異なります)。

卒業証明書の原本を提出するのが一般的ですが、オーストラリアの高校生の場合、卒業前に日本の大学の入試が実施されるケースが多いので、卒業見込み書類の提出で代用が可能です。また、②「日本の高校の在籍期間の制限」があり、渡航前の日本の高校の在籍期間を制限している大学や、帰国後に日本の高校に編入し、1.5~2.5年間在籍している場合に制限を設けている大学があります。

さらに、③「高校卒業から大学入試までの制限年数」を設けている大学の場合には、卒業から一定期間を過ぎると出願資格を失います。基本的には、止む得ない理由がない限り、高校を卒業する年に大学受験することをおすすめします。そのほか、④「海外留学の理由」を問う大学の場合には、帰国生全員ではなく、帰国子女のみが出願資格を得ることができます。

帰国子女(きこくしじょ)とは、保護者の海外勤務など子供の意思以外の止むを得ない理由により、1年以上の海外滞在を経て帰国した小学校から高校までの年齢にある子供のことを指しています。帰国子女は出願にあたって、保護者の勤務先から海外在留証明書を入手することが必要となる場合があります。保護者と共に渡航したが赴任事情により保護者が帰国し、子供が単独で留学を続けた場合や、保護者のうち片方が帰国した場合など、赴任に伴う留学とみなされなくなる場合もありますので、大学の制限を事前に確認下さい。

受験の内容は?

大学受験の内容は、文系学部→「書類審査/小論文(または日本語)/英語/面接」となり、理系学部→「書類審査/小論文/英語/理科/面接」となるのが一般的です。

書類審査では、出願資格や提出書類を審査します。出願数の多い大学では、一次選考として、高校の成績やオーストラリアの統一試験の結果を審査し、合否の振り分けを行う場合もあります。高校在学中はできるだけ良い成績を残せるよう学習に励むことが重要です。

そして、小論文は英語で提出する場合もありますが、大半の大学は日本語で提出することになります。大学が帰国生に求めるものは、日本語による豊かな表現力のほか、海外の異文化体験に関する日本人としての理解力、大学や学部に対する志望動機、志望学部に関する知識と出題されたテーマに対する意見や考えなどです。さらに、オーストラリアの文化や政治・社会事情、国際問題についてはどのような状況で、それについてどう考えているのかという類の出題にも慣れておくことが必要です。例えば、「日本では環境問題について様々な議論が上がっていますが、オーストラリアではどのような意見が出ているのか?」 といった具合に、常日頃から、自分の意見をまとめて説明ができるよう慣れておくことがポイントです。

英語または日本語の学科試験においては、海外で習得した高度な英語力ならびに、日本語能力が求められます。英語では意味を理解していても、日本語の表現が曖昧になってしまう点に注意し、大学の講義受講に支障をきたさない日本語のほか、漢字の書き取りや読み、語句の理解、文章内容の把握、長文の要約力を試されます。

数学や理科は、各教科の専門用語を日本語で理解できているか、また、海外と日本の高校における学習内容の違いを把握しているかを試されます。大学により出題難易度は異なりますから、志望大学の出題傾向に慣れておくことが重要です。面接では、帰国生の日本語能力はもちろんのこと、海外体験をどのように捕らえ、理解しているのかを見られます。大学によっては、学科試験より面接を重視するケースもあるので、事前に念入りな準備が必要です。

各大学の出題傾向は、日本から入試用の参考書や問題集を入手し、事前に傾向と対策を掴んで学習しておくことをおすすめします。

志望する大学の受験資格は各大学によって異なりますから、事前に情報収集を行い、オーストラリアの高校在学中より、きちんと進路目標を立てて進めていくことが重用です。帰国子女のための受験コースなどを紹介している留学代理店もありますから、確認してみてもいいでしょう。

なお、単に簡単そうだから日本の大学へというのではなく、オーストラリアの大学についてもいろいろと調べてみてもいいでしょう。学部で勉強できることの専門性では、オーストラリアの大学をおすすめするケースが多くあるからです。
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号I008)
2024年現在ブリスベンで生活中。オーストラリア滞在歴は17年ほどで。主に長期留学、専門学校留学、大学留学などの質問を担当させていただいており、留学中のサポートはもちろん、生徒さんのキャリアを考慮し進学プランをお伝えしています。また、社内一のコーヒー好きなため、カフェ情報もお伝えしています。出来るだけ多くの方に有意義な情報が提供できる&ムードメーカー的な立ち位置に滑り込めるよう、日々奮闘中です。 このカウンセラーに質問する

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