ホームステイの注意点
留学を控えた皆さんにとって、ホームステイは異文化体験を深める絶好のチャンスです。しかし、スムーズで楽しい滞在をするためには、以下のマナーや注意点を守ることが大切です。
ホームステイファミリーへのマナー
ホームステイは、一般的なホテルや民宿とは異なり、サービスを受ける場所ではありません。滞在費を支払っている=ホストファミリーが何でもしてくれる、と考えるのは間違っています。
ホストファミリーは、あなたを家族の一員として責任を持って受け入れ、部屋や食事を提供するという役割を担っています。オーストラリアの文化や生活に触れながら、ホストファミリーと心地よく過ごすためには、基本的なマナーや礼儀を守ることが大切です。
ホームステイの家族構成
オーストラリアのホストファミリーの家族構成は様々です。少子化の日本とは違い、子供が4、5人いる家庭も珍しくありません。また、オーストラリアは日本と比べると離婚率が高く、シングルマザー、シングルファザーも多くいます。また、子供が成人し、独り立ちして部屋が空いたから、ホームステイを提供している、という場合もあります。
ホームステイといえば、お父さんとお母さんと子ども、というイメージが先行しがちですが、多国籍国家オーストラリアには、その名の通り、さまざまな国籍、そして家族構成においても、さまざまなファミリーを受け入れる包容性があります。そのような多様性が集まってオーストラリアという一つの国を形作っているのです。
ですから、一つのイメージにとらわれすぎず、いろいろな家庭があって当然、それこそがオーストラリア。ということを忘れないようにしましょう。
ペットの有無
オーストラリアでは、犬や猫などを飼っている家庭が非常に多いです。ペットはオーストラリアの家庭において、家族の一員として大切にされており、家の中で日常生活の一部としてペットがいる家庭も珍しくありません。屋外においても、犬の首輪を外し、犬が自由に走り回ることが許可されている公園やドッグ・ビーチもあるほどです。
もしあなたに動物アレルギーがあったり、ペットが苦手という場合は、ホームステイを申し込む際に、ペットのいない家庭を希望しましょう。
インターネット(Wi-Fi)の利用
家庭によってはコンピュータやWi-Fiを使わせてくれるところもあります。そのような場合は、ホストファミリーにパスワードを教えてもらいましょう。
インターネットのスピードは、日本よりも遅い場合がほとんどです。回線の容量が無制限でない家庭も多くありますので、日本にいる感覚で、動画や音楽をダウンロードしまくる、といったことは避け、ネットの使用時間にも配慮しましょう。
ホームステイの食事
食事の時間は、ホストファミリーと親しくなり、異文化交流をさらに深める絶好のチャンスです!
アレルギーや苦手な食材がある場合、事前にファミリーに説明しておくことで、無理なく食事を楽しむことができます。その上で、食事はできるだけ残さず食べるように心がけましょう。食事の量が適切でない(多すぎる、または少なすぎる)場合は無理をせず、量が多い(少ない)ことを正直に伝え、ファミリーに理解してもらうことも大切です。
食事の時間やルールは家庭によって異なります。もし、友達と外食の予定がある場合は、その予定が決まった時点でホストファミリーに伝え、ファミリーの食事の準備に支障がないように配慮しましょう。
もし、ファミリーが食事の支度をしていて、あなたが手伝いができる状況にあるなら「何か手伝えることはありますか?」と声をかけてみることをお勧めします。積極的に手伝いをすることで、ファミリーとのコミュニケーションが深まり、英会話の練習にもなります。
食後は、食器を片付ける必要があるかを聞くのを忘れずに。オーストラリアの各家庭には、ディッシュウォッシャー(食器洗浄機)が備え付けられている場合が多いです。使った食器は、ディッシュウォッシャーへそのまま入れる場合と、事前に食べかすなどを軽く水で洗い流してからディッシュウォッシャーに入れる場合があります。各ファミリーのスタイルに従いましょう。
ホームステイ先でのお風呂やシャワー
オーストラリアでは、日本のように毎日お風呂(湯船)に浸かる習慣はなく、ほとんどがシャワーのみです。
オーストラリアでは、電気またはガスで温めたお湯を貯めるタンク式給湯システム(Hot Water System)の家庭が多く、一人が長い時間シャワーを使うと、次に使う人のお湯が足りなくなってしまいます。
それに加え、あなたが滞在する都市や、特に雨が少ない時期は、水不足に対する配慮も求められます。シャワーは5〜10分程度を目安に、長時間浴び続けることは避けましょう。また、使用後は簡単にバスルームを掃除するようにしましょう。
ホームステイ先に下記のようなタンクがあったら、Hot Water Systemです↓
ホームステイ先での洗濯
各ファミリーによって、洗濯のルーティンは異なります。もし、ファミリーがあなたの洗濯物を一緒に洗ってくれる場合は、洗濯物を干したり、取り込んだり、たたむ手伝いが必要か、声をかけると良いでしょう。
もし、あなた自身で洗濯をする場合は、洗濯機の使い方(設定)、洗濯機や乾燥機を使用できる時間帯、洗濯物を干す場所と干し方などを事前にファミリーに確認しましょう。
ファミリーとのコミュニケーション
黙っていてもわかりあう、互いに察し合って行動する、というのは、日本特有の文化です。いったん日本を離れたら、より直接的なコミュニケーションが求められます。オーストラリアでは、自分の気持ちや考えは、はっきりと口に出して伝えましょう。それをしないで相手に理解してもらうのは難しいです。
ファミリーと良い関係を築くためには、自分から積極的に話しかけると良いでしょう。例えば、学校で今日どんなことを学んだのか、どんな友達と何をしたのか、または、日本の家族についてなど、ファミリーもあなたのことをよりよく知ることができます。部屋に閉じこもってスマホばかり見ていると、せっかくのファミリーとの交流の機会を逃してしまいます。リビングやダイニングで過ごす時間を増やし、ファミリーと一緒に過ごすようにしましょう。
また、困ったことや不安に思うことがあれば、遠慮せずにファミリーに相談してみましょう。小さなつまずきも、すぐ相談することで解決の糸口を早く見つけることができるかもしれません。ファミリーも、あなたが快適に過ごせるようにサポートしたいと考えているはずですから、あなたの問題を共有することで、ファミリーとの会話を増やし、関係を深める手助けにもなります。
言葉の壁や文化の違いで不安に感じることもあるかもしれませんが、英語は使わないと上達しません。何気ない日常の会話からも、文化の違いや新しい発見が得られることもあります。ホストファミリーと共有できる時間を大切にしましょう。
ホストファミリーとの外出やイベント
ホームステイ中、例えば、週末のバーベキューや休日のお出かけ、特別なイベントなどに誘われることがあるかもしれません。そのような場合は、積極的に参加して、楽しい思い出を作りましょう。普段の生活では味わえない体験ができるかもしれませんし、参加することで、ホストファミリーとの信頼関係が築かれ、あなたがその家庭の一員として迎えられていることを感じることができます。
もし、自分のスケジュールや他の予定があったりして、参加できない場合は、事前にホストファミリーにその旨を伝え、理由も説明しましょう。ファミリーは、あなたの事情を理解してくれるでしょうし、別の機会に参加することで、良い関係を保つことができます。
ホームステイ先で写真を撮る際の注意
ホストファミリーと写真を撮りたい時は、Can I take pictures of us?(一緒に写真を撮ってもいいですか?)と聞いてからにしましょう。ファミリーが、何か楽しいことや、珍しいことをしていたからといって、おもむろにスマホを取り出し、勝手に撮り始めたりしてはいけません。オーストラリアでは、撮影される人の同意なしに、スマホなどで勝手に撮影(や録音)をすることは禁じられています。
また、ホームステイ先のリビング、ファミリールーム、キッチンや庭などの共有スペースやその家族(特に18歳未満の子ども)の写真や動画を、ファミリーの同意なしに撮ることはできません。また、そのような画像や動画を、ファミリーの許可なしにソーシャルメディアなどへアップしたり、第三者と共有するのも避けましょう。
ホームステイ先でのトラブル
ホームステイをしていて何か困ったことがあったり、不満に思うことがあったら、まずはホストファミリーに相談してみましょう。オーストラリア人は日本人と違い、雰囲気で察するとか、言わなくてもなんとなくわかってくれる、ということはありません。例えば、生活習慣の違いから起こる小さな摩擦や、家のルールについての不明点などは、遠慮せずに話してみましょう。
ホストファミリーもあなたが快適に過ごせるようにサポートしたいと思っているはずですし、コミュニケーションを通じて相互理解が深まります。あなたが感じている問題を率直に、真摯な態度で伝えることで、ほとんどの問題は解決できることが多いです。
もし、ホストファミリーとの話し合いで解決できない場合や、ホームステイの条件と実際の状況が異なる場合は、ホームステイの手配元(学校手配のホームステイなら学校に相談、それ以外は担当の留学カウンセラー)にすみやかに連絡します。状況を詳しく説明し、必要であれば他のホームステイ先を紹介してもらうこともできます。
トラブルを未然に防ぐためには、自分自身の心構えが大切です。誤解を招くようなあいまいな表現は避けて、生活習慣や文化の違いに対して柔軟に対応する気持ちも忘れずに。また、「日本ではこうだから」と考えることはせず、相手の立場や価値観を尊重することが大切です。
実際、多くのトラブルは、滞在する側が、ホームステイに対して過剰な期待を抱いている場合に起こりがちです。ホームステイに対する現実的な視点を持ち、双方にとってフェアな立場で対応することで、トラブルを最小限に抑えることができます。