オーストラリアでワインビジネスを学ぶ

オーストラリアの産業のうちワイン産業の果たした役割は非常に大きく、また世界のワインの中で、オーストラリアワインの位置付けを確固たるものした功績は大きいと言われています。ここ、オーストラリアでは、ワイン関連のコースでは、ワイン生産者を目指すための「ぶどう栽培・醸造学」と、ワインのマーケティング、観光なども含めた ビジネスの一つとして学ぶ「ワインビジネス学」があります。
ブドウ栽培・醸造学、ワインビジネス、いずれもオーストラリアワイン最大の産地であり、ワイン産業を牽引するリーダー、南オーストラリア州アデレードで学ぶことができます。

その中で本ページでは「ワインビジネス」について詳しくご紹介します。
ブドウ栽培・醸造学について詳しくはこちらのページをご参考ください。

まず、オーストラリアワインについて


オーストラリアでワイン造りが本格的に始まったの は1834年と言われいます。1950年代までは生産と消費ともに、ポ ート酒やシェリー酒などの酒精強化ワインが中心でした。
1970年代以降にワイン産業は急激な成長とともに 1990年代には生産の中心は低価格カスクワインから、世界のワイン産地と同じく様々なブドウ品種をそれぞれの土地と気候にあわせて栽培から醸造、瓶詰め出荷を行うスティルワイン、そして高価格帯のプレミアムワインクラスに移行していきます。
2000年代に入り、オーストラリアワインは、カジュアルなものから、世界トップクラスの高品質なものまで、幅広いタイプのワインが生産されています。特にこの5〜10年で世界的な自然派ワイン(ナチュラルワイン)人気もあり、オーストラリアのナチュラルワインメーカーが注目されています。

ワイン産業を後押しする研究機関


世界的に有名なワイン研究教育機関が揃っており、ブドウ栽培農家、醸造家(ワインメーカー)などは、その強固な技術力を背景に、国際市場でクリエイティブなワインやコストパフォーマンスに優れたワインを生み出しています。
アデレードには、The Australian Wine Research Institute (通称 AWRI 。アデレード大学のWate Campus 併設) 、North terrace には、National Wine Centre (アデレード大学管轄)など、研究・技術面、観光(ワインツーリズム)・ホスピタリティ面でのバックアップ体制が整っています。 オーストラリアのブドウ栽培農家は、オーストラリアと言う大陸(世界6番目)で、5億年の歴史を持つ古土壌と環境に合った様々な品種のブドウを育てることができます。

ワイン産業を支える食文化

ワイン産業を支える食文化も一つの魅力でしょう。オーストラリアは4人に1人が外国生まれと言う移民国家を形成しており、それらの移民文化がもたらす 多種多様な食文化・レストラン文化を支え、国際的に知られたワインが、それらの多種多様な食文化の中で楽しまれています。 クオリティの高い食文化と先進の技術、多様な土壌と気候が世界レベルのプレミアムワインから世界戦略のコストパフォーマンスワインまで、まさにオーストラリアワインの魅力の一つとして数えられます。

世界の醸造家(ワインメーカー)の人的交流


南半球でのワイン造りは北半球のワイン造りと半年ずれていることから、多くの醸造家がヨーロッパやカリフォルニア(アメリカ)のワイナリーでの醸造経験があります。若手醸造家には、一 年の内に南半球 と北半球 の両方で醸造に携わる者も多く、この人的交流 が生み出す技術移入や多様なアプローチ、考え方、オーストラリアでワインを学ぶ魅力の一つです。

ワインビジネスを学ぶ


ワイン・オーストラリアによると、オーストラリアには細かく分けると 65のワイン生産地域があります。その中で、約2,468のワイナリーがあり、フルタイムおよびパートタイムの従業員数は 163,790人を雇用しています。年間450億ドル以上をオーストラリア経済に貢献しているワイン産業は、特にビジネススキルや業界知識を持った人へ、さまざまなキャリアの機会を提供しています。

ワインツーリズムとは?

ワイナリーのある地域は都市部から離れたところに多く存在します。ワイン産業はそれらの地方での土地で雇用を生み出したと同時に、積極的にツーリズム・観光業界とタイアップしています。国内のワイン消費の中心を担っている世代、またヨーロッパ、アジア人を中心 とする裕福な観光客を中心に細かく分析しており、それらよりさらなる産業振興 と雇用の確保に貢献しています。
オーストラリアのワインツーリズム成功の要因は、情報の整備に費やされています。観光誘致だと、ハード面(新しいホテルや施設の整備)を考えがちですが、インターネットの普及と同時に 情報の整備に重点を置くことにより、 地域ごとに全てのワイナリーの紹介や地元のレストラン、特産品、観光スポッ トなど、一般のワイン愛好家がレンタカーで気軽に散策・訪問できたりと、業界をあげて取り組むことにより、オーストラリアのワインツーリズムは世界でも稀にみる成功を収めていると言われています。


フリンダース大学 ワインビジネス学士号


学士号では、フリンダース大学にて Bachelor of International Business(Wine , Spirits and Tourism) が 2021年から新しく開講されます。
こちらのコースはツーリズムにおける世界のワインとスピリッツ(ウイスキー、ラム、ジンなどの蒸留酒)のビジネスを学びます。

本コースのプログラムディレクターの Roberta Crouch 教授は、ESCディジョン・ブルゴーニュ・スクール・オブ・ワイン・アンド・スピリッツ・ビジネス(フランス)のワインビジネス修士課程の元ディレクター、アデレード大学のワインビジネス修士課程の元ディレクター、アデレード大学ワイン・フューチャー・リサーチの議長も努めており、ワイン教育では業界随一のキャリアをお持ちです。
下記のコース紹介Youtubeでもご覧頂けます。


フリンダース大学の Bachelor of International Business(Wine , Spirits and Tourism)は、ビジネスパートナーとして FOMENT と提携しており、インターンシップやワイン産業におけるメンターシップを提供しています。また、世界標準のワイン資格 WSET Level 2もコース内に含まれています。

コースの特徴
  • 世界中に拠点を置く実在のワイン専門家から学ぶ
  • デジタル世界におけるワインとスピリッツの流通と販売について
  • ワイン輸出入の重要な側面と国際貿易理論
  • ワインとスピリッツの品質を判断方法
  • WSETレベル2の資格
  • FOMENT – AUSTRALIA’S WINE & TOURISM TECH REVOLUTION (ワインツーリズムアクセラレータープログラム)にてワイン業界メンターによるアドバイス

コース名:Bachelor of International Business – Wine, Spirits and Tourism
学費:年間 33,700ドル (2021年度)
入学:3月、7月
英語:IELTS Academic overall 6.0(Speaking と Writing 6.0)以上
学力:高校3年卒業(80%以上の成績)、または 付属カレッジ FISC Foundation を規定の成績で修了。
奨学金:フリンダース大学の奨学金は下記ページをご参考ください
[2021年]フリンダース大学より奨学金のお知らせ

1年次の必修科目
  • Accounting for Managers (経営のための会計)
  • Economics for Business (ビジネスのための経済学)
  • Wines of the World (世界のワイン)
  • The Business of Growing Wine Grapes (ワイン用ブドウの栽培ビジネス)
  • Legal Signposts in Wines and Spirits Business (ワイン・スピリッツビジネスにおける法的な道標)
  • From Intuition to Insight: Validating Desirability, Feasibility and Viability (直感から洞察へ。実現可能性の検証)
1年次の選択科目(下記から1科目)
  • Innovative and Creative Thinking: Recognising Opportunities (革新的で創造的な思考。機会認識)
  • Creative Thinking & Problem Solving: Finding & Framing Problems Worth Solving (創造的思考と問題解決。解決に値する問題の発見とフレーミング)
1年次の選択科目(下記から1科目)
  • Quantitative Methods (定量的手法)
  • Management, People and Organisations (経営、人材、組織)
  • Law for Business (企業法)
  • Organisational Behaviour (組織行動)
  • Marketing Principles (マーケティング原則)
  • Introduction to Events (イベント紹介)
2年次の必修科目
  • Operations and Supply Chain Management (オペレーションとサプライチェーンマネジメント)
  • Developing an International Wine Brand (国際的なワインブランド開発)
  • The Business of Making Wine (ワイン作りのビジネス)
  • Wine and Spirits in a Digital World (デジタル世界のワインとスピリッツ )
  • Assessing Domestic and International Wine and Spirits Markets for Profitability (国内外のワイン・スピリッツ市場の採算性を見極め)
  • Wine Evaluation, Rating and Pricing (ワインの評価・格付け・価格)
  • Successful Strategies for Wine Tourism (ワインツーリズムの成功戦略 )
  • Import-Export Theory and Practice (輸出入の理論と実践 )
3年次の必修科目
  • Industry Placement (インターンシップ)
  • Strategic Management (戦略的経営)
  • The Future of Work in the Digital Age (デジタル時代の仕事の未来)
  • Selling Wine and Spirits (ワインやスピリッツの販売)
  • Wine Tourism 4.0 (ワインツーリズム)
3年次の選択科目(下記から3つを選択)
  • International Study tour (海外研修 )
  • Domestic Study Tour (Wine Business) (ワインビジネス国内研修)
  • Place, Culture and Tourism (場所・文化・観光)
  • Event Design and Management (イベントデザインと運営 )
  • International Marketing (国際マーケティング )
  • Leadership in Business and Society (ビジネスと社会におけるリーダーシップ )
  • International Trade (国際貿易)
  • Industry Project (プロジェクト / 2科目相当)

アデレード大学でワインビジネス修士号


修士号は、アデレード大学で Master of Wine Business を開講しています。

Master of Wine Business (ワインビジネス修士号)は歴史も古く、世界三大 ワインビジネス修士号の一つと言われています(フランスのボルドー大学、アメリカのカリフォルニア州立大学、オーストラリアのアデレード大学が ワインビジネス学における世界3大修士号)。日本で4年制大学(学士号)を終え、すでにワイン業界に携わっている方、キャリアチェンジをお考えの方、世界に通用するワインビジネス学位・資格を取得したいと考えている人にも最適です。ワイン業界のグローバル市場での競争力を高めるために必要なスキル、フレームワーク、知識を養うことができるでしょう。

Master of Wine Business は、アデレード大学の North Terrace キャンパスがメインとなり、教科により Waite キャンパス にて受講しています。 こちらの Waiteキャンパスには、オーストラリアワイン研究所 (通称 AWRI / The Australian Wine Research Institute)があり、キャンパス機能、建物、スタッフ、研究予算などを共有しながら密度の濃い関連分野の研究を進めています。アデレード大学のワインビジネス修士号は、ビジネスパートナーとして Wine Communicators of Australia (WCA) と提携しており、インターンシップの機会も提供されていますし、選択教科の一つに フランスはボルドー産地の”KEDGE Wine & Spirits Academy”との提携で、スタディアブロード(10日間)によるワイン研修がフランスボルドーの地で選択可能です(2020年はCOVID19により海外研修は休止中ですが国境が開かれ次第、選択可能です)

コース:Master of Wine Business
学費:年間 46,000ドル (2021年度)
入学:1月、5月、9月
英語:IELTS Academic overall 6.5(各セクション 6.0)以上
学力:学士号を修了していること(学部不問)
奨学金:アデレード大学の奨学金は下記ページをご参考ください
[2021〜2025年]アデレード大学から奨学金のお知らせ

Master of Wine Business の教科履修ルール
  1. 必修科目で10教科相当の履修
  2. 選択科目で4教科相当の履修
  3. リサーチプロジェクトで2教科相当の履修
必修科目
  • Foundations of Wine Science(ワイン科学の基礎)
  • Learning Discoveries in Wine(ワインで学ぶ発見)
  • Evaluating Domestic and International Wine Markets(国内外のワイン市場の評価)
  • Business Research Methods (ビジネスリサーチの方法)
  • Grape and Wine Production(ブドウとワイン生産)
  • Marketing Management (マーケティングマネジメント)
  • People and Organisations (人材と組織)
  • Accounting Essentials for Decision Makers (意思決定者のための会計)
  • Economic Principles (経済原理 )
  • Legal Aspects of Wine Business (ワインビジネスの法的側面)
選択科目
  • Cross-Cultural Management and Negotiation (異文化マネジメントと交渉 )
  • Fundamentals of International Business(国際ビジネスの基礎 )
  • Australian Wine in the Asian Century(アジアにおけるオーストラリアワイン)
  • Contemporary Issues in Wine Business (ワインビジネスの現代的な課題)
  • Sensory Studies(科学的根拠に基づいた感覚評価/ワイン評価)
  • Advanced Wine Marketing(上級ワインマーケティング)
  • Direct Wine Marketing(ダイレクトマーケティング)
  • Wine Retail, Cellar Door and Food Tourism(ワイン小売、セラードア、フードツーリズム)
  • Family Business Fundamentals(ファミリービジネスの基礎知識)
下記から1教科選択も可能
  • Postgraduate Professions Internship(インターンシップ / 1教科相当)
  • International Study Tour – Accounting & Finance(海外研修 / 会計・財務)
  • Domestic Study Tour – Accounting & Finance(国内研修 / 会計・財務)
  • European Study Tour (欧州研修)
  • New York Study Tour(アメリカ・ニューヨーク研修)
  • Project Management Study Tour (プロジェクトマネージメント研修)
  • eChallenge(インキュベータープログラムへの参加)
Master of Viticulture and Oenology 、Master of Wine Business のProgram Coordinator から承認が得られたら下記の授業も選択可能
  • Wine Packaging and Quality Management(ワインの包装と品質管理)
  • Introductory Winemaking(ワイン醸造入門)

先日 アデレード・ビジネス・スクールは、3部構成シリーズとして 「ワインビジネス」について動画を発表しました。
オーストラリアのワイン産業は2020年/2021年には30億ドル以上に成長すると予測されていましたが、COVID 19による影響で短期的なワインツーリズムが期待できず、ワイン輸出が危ぶまれている オーストラリアワインのチャンスを見直す必要について、最大のワインビジネス相手国になりうるアメリカにおけるワインビジネスなど、ワイン産業のプロフェッショナルがゲストスピーカーで登場します。ぜひご興味のある方はご覧ください。

第1話:ワインの販売とマーケティング / Wine Sales and Marketing


第2話:ワインツーリズムと体験 / Wine Tourism and Experiences: from the Cellar Door to Instagram


第3話:ワインテックとイノベーション / Wine Tech and Innovation



またアデレード大学ではワイン研究において、いくつかの資料を無料提供しています。
特に経済学、ワイン経済研究センターのエグゼクティブディレクター であり名誉教授の KYM ANDERSON 氏が手掛けた 世界のワインブドウの現状を網羅した Which Winegrape Varieties are Grown Where? や Global Wine Markets がPDFにて無料公開されています。 Which Winegrape Varieties are Grown Where?は 800ページ、Global Wine Markets は 582ページ と言う内容ですが、興味のある方はぜひ一度ダウンロードしてみてください。

Which Winegrape Varieties are Grown Where?(2020年版)
https://www.adelaide.edu.au/press/titles/winegrapes

Global Wine Markets(2017年版)
https://www.adelaide.edu.au/press/titles/global-wine-markets

オーストラリアを代表するワイナリーには必ずワインビジネスの卒業生がいるほど、同分野でのキャリアをお考えの学生にとって、南オーストラリア州で学ぶワインビジネスは最高の条件と言えるでしょう。将来、ワイン産業に関わるキャリアをお考えの方、ぜひアデレードで世界標準の知識とスキルを身につけてください。

ワインビジネス卒業後に期待される職業
ワインビジネス戦略マネージャー、ワイン輸出入マネージャー、ワインビジネスの国際マーケティングマネージャー、ワインセラー管理者、ワインイベントマネージャー、ワインリテールマネージャー

注意
州立専門学校 TAFE での ワイン学コースのお問合せもございますが、2020年10月現在、TAFE では留学生も入学できるワイン学のコースは開講しておりません。

出願に向けての準備

1. まずは英語試験を受けましょう
まずはIELTS(アイエルツ)試験を受験しましょう。日本では下記3つの機関がIELTS試験を開催しています。
日本英語検定協会
http://www.eiken.or.jp/ielts/
JSAF
http://www.jsaf-ieltsjapan.com/?p=431
IDP Education
https://ieltsjp.com/
IELTSスコアは足りなくても出願可能です。その場合は各大学付属語学学校とセットでのお申込みとなります。
2. 出願に必要な書類4点を準備しましょう
出願には下記4点の書類が必要となります。IELTSの受験が終わったらこちらの4点を揃えて担当カウンセラーにご提出ください。

  • 最終学歴の卒業証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
  • 最終学歴の成績証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
  • IELTS(Academic)またはTOEFLスコア結果
  • パスポートコピー
3. 出願手続きスタート
最後に、オンライン申込みフォームを送信してください。その後、正式に出願手続きへ進みましょう。

留学相談&お問い合わせ

当社オーストラリア留学センターは フリンダース大学、アデレード大学を含む全豪29大学の公式出願窓口となっており、ご相談から出願手続き、更に現地サポートまで全て無料で提供しております。
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※備考※
・本記事は2020年9月現在の情報に基づいており、コース概要や入学基準は変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2021年度学費をご案内しております。
・学費の日本円額は、現在のレート1豪ドル=75円換算しておりますが、実際にはお支払い時のレートが適用されます。
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号I009)
オーストラリア歴は24年目になりました。QLD州、NSW州、SA州の主要都市で仕事と生活していましたので、都市の違いから皆さまの目的に沿ったベストなアドバイスを心がけています。 このカウンセラーに質問する

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