【英語検定試験比較】ケンブリッジ・IELTS・PTE・TOEFL…どれを選ぶ?

留学に欠かせないキーワード「
英語検定試験」。大学・大学院やTAFE/専門学校への留学を検討する場合は、それぞれの学校や受講したいコースで設定されている英語力条件をクリアしなければなりませんが、そのために英語検定試験を受験する人も多いでしょう。また、一部の学校では、英語力が規定の条件に満たない場合、英語コースを受講し規定の成績を修めることで本科へ進学できる場合があります。そのようなパスウェイを利用する場合でも、必要な英語コースの期間など測るために、まずは英語検定試験を受験し、今の英語力を知っておく必要があります。
また、語学学校に通う場合は、伸ばした英語力を証明するために留学期間中に英語検定試験の受験を考える人も多いのではないでしょうか。語学学校では、総合的な英語力を伸ばす一般英語コースの他にも各種英語検定試験対策コースを開講しています。「帰国後の就職活動に活かしたい」「帰国後のキャリア(転職や昇進)に活かしたい」「とりあえず英語力に自信をつけたいけど、将来的には大学留学も考えている」など目的によって受験する英語検定試験も変わってきますから、目標とする英語検定試験対策コースがある語学学校を選ぶのもポイントの1つです。
では、あなたの目的に合うのはどの英語検定試験なのか・・それぞれの特徴や違いをみていきましょう。
英語検定試験の種類
IELTS(アイエルツ)
IELTS(International English Language Testing System)は、英語を母国語としない人向けの英語能力判断試験です。イギリスやカナダ、オーストラリアの大学や専門学校などの高等教育機関へ入学するための英語力判断基準やオーストラリア移住のためのビザ申請に必要な英語力証明として幅広く利用されています。
リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのテストを受け、総合及びスキル別の英語力を判断します。リスニング、リーディング、ライティングは受験者全員が同じ問題を解き、そのスコアによって英語力を判断します。スピーキングは試験官と1対1で行います。いくつか用意されている課題の中から1つが手渡され、その課題について2分間のプレゼンテーションした後、試験官からの質問に回答します。ビザ申請などに使用する
IELTS General Training Moduleと進学などに使用する
IELTS Academic Moduleの2種類があり、大学・大学院・TAFE/専門学校への進学を考えている人はIELTS Academicを受験します。有効期限はIELTS General Training Moduleが3年、IELTS Academic Moduleが2年です。
Cambridge Examination(ケンブリッジ英語力検定試験)
Cambridge Examination(Test of English as a Foreign Language)は試験を統括しているケンブリッジ大学のあるイギリスだけでなく、オーストラリア、カナダなど多くの国の大学をはじめ、様々な教育機関や企業に認められている国際レベルの英語検定試験です。そのため、ケンブリッジ英語力検定試験対策コースにはヨーロッパを中心に世界各国から学生が集まります。
日本での知名度はまだ比較的低いですが、実践的な英語コミュニケーション能力を重視する企業や、海外との連携が多い企業では評価される傾向があります。
合否判定ではなく、英語力を証明する認定証が発行される点が特徴で、一度取得すれば、就職活動や転職活動など、必要なタイミングで活用できます。ただし、オーストラリアの大学などへの進学に利用する場合は、取得期間が指定されている場合があるため注意が必要です。
TOEFL(トーフル)
TOEFL (Test of English as a Foreign Language)は、アメリカを中心に、オーストラリア、カナダ、イギリスなど多くの国の大学をはじめ、様々な教育機関や企業に認められている英語を母国語としない人向けの英語検定試験です。主に進学に必要な英語力を測ることを目的としているため、 歴史や文学、自然科学、社会科学など学術的な内容の問題も出題されます。
2025年7月現在、TOEFLには団体受験向けの
ITPとテストセンターのパソコンを使って行う
iBTの2種類が実施されていますが、一般的にはiBTを指すことが多いです。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つのセクションがあり、スキル別と総合の評価がでます。有効期限は2年間です。
PTE(ピーティーイー)
PTE (Peason Test of English)とは、Pearsonというイギリスの教育会社(英語教材や英語研修などを行う)が運営する英語検定試験です。最大の特徴はテストの受験・採点が全てComputer based(パソコン)で行われ、スピーキングやライティングなどを含む全ての採点はAIを用いて行われることです。そのため、設けられているテストの日程も多く、テスト結果も5日以内(早い時は終了後2時間程度)でわかります。
試験内容は実社会を意識して作られたもので、実践英語で必要な”瞬発力”が求められます。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つで構成されていますが、スピーキングとライティングはひとつのパートになっています。有効期限は2年間です。
TOEIC(トーイック)
TOEICは、Test of English for International Communicationの略称で、英語を母国語としない人々を対象にした、国際コミュニケーション英語能力テストです。ビジネスシーンでの英語使用能力を測ることを目的としています。日本発祥で日本での知名度は高く、企業の採用や昇進、海外赴任の基準としてても広く活用されています。一方で、日本以外での知名度はあまりありません。
受験者全員が同じ問題を解き、そのスコアによって英語力を判断します。専門的な知識や語彙を問うような問題は含まれていないので、日常的な英語のコミュニケーション能力が公平に測れるのが特徴です。
リスニングとリーディングの能力を測定するTOEIC L&R (Listening & Reading)とスピーキングとライティングの能力を測定するTOEIC S&W (Speaking & Writing)の2種類があり、一般的には前者を指している場合が多いです。TOEIC自体に有効期限はありませんが、一般的に就職や転職活動に使用する場合は、2年以内のスコアを提出することが推奨されます。
英検(実用英語技能検定)
英検(実用英語技能検定)は日本発祥の英語検定試験で、3級であれば中学3年生程度、2級であれば高校3年生程度など日本の英語教育カリキュラムに相応しているので、習熟度を測るために用いられることもあります。しかし、世界での認知度は低く、留学のための英語力証明としては使えないことも多いです。
一次試験でリーディング、リスニング、ライティング、一次試験に合格すると3級以上は二次試験としてスピーキングを受験します。ライティングは2016年より導入され、2024年からは要約問題などが追加されています。級ごとに異なる問題が出されるため、級があがるごとに学術的な文章や専門的な語彙が増えます。合格・不合格で判断され、有効期限はありません。
英語検定試験のレベル比較
中学・高校で英検を受験したことがある人は多いのではないでしょうか。英検は日本発祥の英語検定試験で、3級であれば中学3年生程度、2級であれば高校3年生程度など日本の英語教育カリキュラムと相応しているので、習熟度を測るために用いられることもあります。しかし、世界での認知度は低く、留学のための英語力証明としては使えないこともあります。では、自分が持っている英語力証明が他の英語検定試験だとどのくらいのレベルになるのか比較してみましょう。
英語検定試験のレベル比較表
下記の表は各英語検定試験のレベル比較表(目安)です。実際には、それぞれの英語検定試験で測りたいスキルや目的、仕組みが違うため必ず同じレベルに合格できる、同じレベルの点数が取れるとは限りません。それぞれの試験にあった対策をするのがおすすめです。
また、大学・大学院・TAFE/専門学校への進学に必要な英語力条件は、下記の表と対応していない場合があります。
必ず、ご自身が受験した/受験する英語検定試験の基準スコアを希望する学校・コースのウェブサイト等で確認してください。
CEFR |
IELTS |
CAMBRIDGE |
TOEFL(I) |
PTE |
TOEIC |
英検 |
入学ライン |
語学学校クラス |
C2 |
9.0 |
CPE |
120 |
* |
* |
* |
|
Proficient |
C2 |
8.5 |
CPE |
117 |
89-90 |
* |
* |
|
Proficient |
C2 |
8.0 |
CPE |
112 |
84-88 |
980 |
* |
教師 |
Proficient |
C1 |
7.5 |
CAE |
105 |
76-83 |
950 |
* |
|
Advanced |
C1 |
7.0 |
CAE |
95 |
66-75 |
870 |
1級 |
看護 |
Advanced |
C1 |
6.5 |
FCE/CAE |
89 |
56-65 |
800 |
1級 |
大学/大学院 |
Advanced |
B2 |
6.0 |
FCE |
80 |
46-55 |
730 |
1級 |
TAFE/専門学校/大学 |
Upper-Intermediate |
B2 |
5.5 |
PET |
71 |
36-45 |
650 |
準1級 |
進学英語 |
Upper-Intermediate |
B1 |
5.0 |
PET |
61 |
29-35 |
600 |
2級 |
進学英語 |
Intermediate |
B1 |
4.5 |
PET |
50 |
23-28 |
550 |
2級 |
|
Intermediate |
A2 |
4.0 |
PET |
40 |
10-22 |
450 |
準2級 |
一般英語 |
Pre-intermediate |
A2 |
3.5 |
PET |
30 |
* |
* |
3級 |
|
Pre-intermediate |
A2 |
3.0 |
KET |
20 |
* |
* |
3級 |
|
Elementary |
A2 |
2.5 |
KET |
10 |
* |
* |
4級 |
|
Elementary |
A1 |
2.0 |
KET |
* |
* |
* |
* |
|
Elementary |
A1 |
1.5 |
KET |
* |
* |
* |
* |
* |
Beginner |
A1 |
1.0 |
* |
* |
* |
* |
|
|
Beginner |
※TOEFL-(I)・・・TOEFL Internet-based Test(IBT)
英語力の国際的な指標CFER(ヨーロッパ言語共通参照枠)
CFER (Common European Framework of Reference for Languages)は、EUにおける外国語学習者の習得状況を示す際に用いられるガイドラインです。オーストラリアの語学学校でも導入され、「どれほどの英語力があるか」をわかりやすく、かつ客観的に判断できる指標になっています。
CRER |
英語力 |
C2 |
CEFR評価では最上級。英語圏で生まれ育ったまさに”ネイティブレベル”の英語力です。聞いたり、読んだりしたほぼ全てのものを容易に理解することができ、いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構成できる。
自然に、流暢かつ正確に自己表現ができ、非常に複雑な状況でも細かい意味の違い、区別を表現できるレベルです。 |
C1 |
いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文を理解することができ、含意を把握できる。ケンブリッジ英語検定試験であればCAEになんとか合格できるかどうかというレベル。
言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる英語力が必要です。社会的、学問的、職業上の目的に応じた、柔軟な、しかも効果的な言葉遣いができ、複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文を作ることができます。 |
B2 |
長期留学(1年ほどの留学)を予定してる人には、是非とも目指して欲しいレベル。英語検定試験で言えばケンブリッジFCEの合格レベルで、多くの企業が必要としている英語力レベル。
自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的かつ具体的な話題の複雑な文の主要な内容を理解でき、電話や対面で使う英語力レベルでは問題ないと判断される英語力(お互いに緊張しないで、母語話者とやり取りができる)。
かなり広汎な範囲の話題について、明確で詳細な文を作ることができ、さまざまな選択肢について長所や短所を示しながら自己の視点を説明できます。 |
B1 |
仕事や学校などでトピックとなる身近な話題について、標準的な話し方であれば理解できるレベル。その言葉が話されている地域を旅行しているときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができます。現地でアルバイトがスタートできるレベル
身近で個人的にも関心のある話題について、単純な方法で結びつけられた、脈絡のある文を作ることができる。経験、出来事、夢、希望、目的を説明し、意見や計画の理由、説明を簡潔に述べることができる。 |
A2 |
日本人留学生の多くはこのレベルからスタートします。初中級レベル。ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、よく使われる文章や表現が理解できる。
簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができ、自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる。 |
A1 |
英語力初級レベル。よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、部分的には用いることが出来る。
自分や他人を紹介することができ、どこに住んでいるか、誰と知り合いか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりできる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話してくれる場合は、簡単な意思疎通ができるが、踏み込んだ話をされると手がでない |
※ |
ごく簡単な用語が、部分的に理解できるレベル。英語で挨拶できるレベル |
目的別英語検定試験の選び方
オーストラリアの大学・大学院・TAFE/専門学校で学びたい
オーストラリアの大学・大学院・TAFE/専門学校で英語力条件として広く認知されている英語検定試験はIELTS (Academic Module)とケンブリッジ英語検定試験です。両試験対策コースとも、オーストラリアの多くの語学学校で開講しています。TOEFLやPTE Academicや英検も認めている場合がありますが、進学したい学校・コースの条件を事前に確認しましょう。
帰国後の就職活動・キャリアに活かしたい
日本では、多くの企業が採用選考や昇進、海外赴任の際にTOEICのスコアを参考にしています。これは、TOEICが英語によるコミュニケーション能力を評価するテストで、ビジネスシーンでの英語使用能力を測ることを目的としているためです。しかし、日本発祥のテストで日本国外では知名度も低いため、オーストラリアでTOEIC対策コースを開講している語学学校は多くありません。
一方、世界中で広く認識されているのがケンブリッジ英語力検定。そのため、ケンブリッジ英語力検定試験対策コースにはヨーロッパを中心に世界各国から学生が集まります。日本でも実践的な英語コミュニケーション能力を重視する企業や、海外との連携が多い企業では評価される傾向があります。英語力を就職活動に活かすことを目標にする場合は、留学中にケンブリッジ英語検定のFCEやCAE合格を目指し、帰国後にTOEICを受験する人も多くいます。
※この記事は2025年7月現在の情報です。