2026年からのアデレード大学について
2026年1月より、現在のアデレード大学と南オーストラリア大学が合併し、(新)アデレード大学が開学します。両大学のコースは、継続、統合、新設という形でほぼ全てのコース登録が完了しています(400近いコース)が、その中で 2026年より
新しく開設されたコースがあります。
「
サステナビリティと気候変動学士号(Bachelor of Sustainability and Climate Change)」プログラムが新設されました。
このプログラムが、これから学びの分野を検討している日本の高校生にとってなぜ特別なのか、分かりやすく説明したいと思います。
「サステナビリティと気候変動」?

気候変動は私たちの健康、生活、そして自然環境にとって大きな問題です。
世界中の様々な要因が複雑に絡み合って複雑な状況だからこそ、この問題に取り組める有識者が世界中で求められています。
オーストラリアも日本も、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという大きな目標を立てていますが、これからの数十年は目標達成のために様々な対策を「本気で」進めていく大切な時期です。
このコースを卒業する頃には、まさに
必要とされる人材になっている、ということです。
このタイミングでコースが新設された理由の一つには、アデレード大学がこの問題にどれだけ真剣に向き合っているかを示す意思表示でもあります。
気候変動のことで不安を感じる人(エコ不安)も多くいるように、「脅威に取り組む」「気候変動と戦う」「新しい解決策を出す」「自身の行動」など、皆さんにとって、アデレード大学で
具体的に社会に貢献できるスキルと自信を身につけられるのは、とても魅力的な分野だと思います。
アデレード大学で学ぶ「サステナビリティと気候変動」

学士号で サステナビリティと気候変動 を専攻できる大学は多くはありません。同分野を学士号から学びたい方にとってアデレード大学が候補になることは間違いないですが、アデレード大学でこれを学ぶのは、ただ知識を得るだけではありません。
大学自体の研究力がそのまま授業に反映され、南オーストラリア州の「先進的な取り組み」と合わさり、他ではなかなかできない特別な学びの環境があります。
アデレード大学の研究力
アデレード大学の「環境研究所(Environment Institute)では、科学、経済、法律、心理学、社会科学、工学など、
様々な分野の専門家が地球環境問題に取り組んでいます。特に
市民参加型科学 (シチズンサイエンス) プロジェクトを積極的に推進しており、生き物の変化、気候リスク、緑の多い街づくり、人と自然のつながり、海の守り方、水の管理などの 重要な問題 を研究しています。
また、南オーストラリア州政府とのパートナーシップにより、カンガルー島に最先端の研究施設を建設しています。これは、島のユニークな生態系を研究し、火災からの回復や保全活動を科学的に支援するための重要な拠点となります。
さらに世界の食料供給の構成要素を定量化するための国際的な取り組み(
食の周期表 (Periodic Table of Food) )に貢献しています。これにより、生物多様性の損失、気候変動、栄養失調といった地球規模の課題に対し、データに基づいた解決策を提供することを目指しているなど、最先端の研究に触れながら、気候変動への対策が絶対に必要だという「現場の声」を学ぶことができるのは、とても貴重な経験になります。
南オーストラリア州の挑戦
大学のロケーションは「第二の教科書」とも言われます。
アデレードがある南オーストラリア州は、
サステナビリティや再生可能エネルギーの分野でオーストラリア国内をリードしている地域です。
州政府は
2030年までに使う電気を100%再生可能エネルギーにするという大きな目標を立てて進んでいます。実際に「
ネットゼロ戦略(参考:SA州政府資料)」という計画を進めており、テスラ社との共同開発、
世界初の大規模バッテリー、
水素発電所の建設など、具体的な取り組みがものすごいスピードで進んでいます。
都市を緑化し、ゴミを減らしてリサイクルする「循環型経済」はオーストラリアで一番推進されており、環境に優しい街づくりをしています。
大学研究と、州や市の「実際に進んでいる」取り組みが一緒になっているので、アデレード大学に通う学生が住む都市自体が
「生きた実験室」 のような環境で学ぶことができます。
理論と現実の政策にどう繋がっているか?、
現場でどんな課題があるか?を肌で感じられるのは、最高の学びになると思います。
コースの詳しい内容は?

このコースは3年間で卒業できる学士号で、合計144単位(1科目6単位=24科目相当)を取る必要があります。
学びの仕組み
コア科目(必修):66単位(11科目相当) | サステナビリティと気候変動の基本的な考え方や知識を養います。 |
専攻(専門分野):48単位(8科目相当) | 自身の興味のある分野を深く掘り下げます。
・Aboriginal Studies(先住民研究)
・Anthropology(人類学)
・Environmental Management(環境マネージメント)
・Geography(地理学)
・International Development(国際開発)
・International Security(国際安全保障)
・Politics(政治学)
・Population and Migration Studies(人口と移民研究)
・Sociology(社会学)
|
ワーク・インテグレーテッド・ラーニング(WIL):12単位(2科目相当) | 2年次に実際の社会で役立つスキルを身につけ、3年次にインターンシップが必修で含まれています |
選択科目:18単位(3科目相当) | 自身の興味や関心を広げるために自由に選べます。 |
1年生で基本を学び、2年生で応用スキルを身につけ、最終学年で実際の社会で応用するという
ステップアップ方式で、複雑な問題解決能力と実践力を無理なく高められるように考えられています。
ご自身の興味と専攻で、地理学、政治学、開発学など、
複数の学問分野を混ぜて学ぶので、気候変動という複雑な問題を、科学、政治、経済、社会、文化など、
色々な角度から全体的に理解できます。
例えば、コア科目の例として、国際開発学専攻だと、プログラム全体で共通のコア科目(例えば、EDUC1003 家族と地域社会に影響する複雑なことを理解する、INDG4000 先住民の知識と文化に合わせた教育、PSYC2007 脳と学習)と、プログラム独自のコア科目(例えば、ENVI1000 変わりゆく気候の中の人間性、ENVI1001 気候変動の基本、POLI1005 地球環境の政治学)など、これらの科目は、学生に幅広い知識と専門分野への入り口を提供してくれます。
多様な専攻を「サステナビリティと気候変動」学で 組み合わせて学ぶ理由は、、
新しい解決策を生み出すために絶対に必要な考え方を育むためです。
気候変動の問題を解決するために、科学や技術だけじゃなくて、
色々な分野の考え方や視点が必要、一つの学問分野からのやり方だけでは限界があること、このプログラムの学際性(いろんな分野を組み合わせること)は、学生たちがこういう複雑な環境・社会問題に対して、もっと全体的で効果的な解決策を考え出す力を育てる上で、絶対に欠かせない要素です。「
新しい解決策は学問と学問の境目から生まれる」、このやり方は将来のイノベーター(新しいものを生み出す人)を育てる上で、とても重要な視点です。
また、必修のWILが12単位(2科目相当)あります。
社会で役立つスキルを磨き、
将来の仕事に繋げるために、2年次には現場視察型のプログラム、最終学年には
インターンシップが必修で入っています。
これまでに学んだことを
実際の会社や組織で試すチャンスがあります。例えば 2年次に
ビジネススキルやコミュニケーション能力、異文化理解を学ぶ科目があり、3年次に
環境保護庁のような政府機関で約10週間の職場体験などです。他にも、専攻によってはワークショップ、シミュレーション、現地調査など、実践的な学びがたくさん用意されています。
このカリキュラム編成なら、気候変動やサステナビリティの
全体像を掴みながら、自分が
特に貢献したい分野の専門知識も深めることができます。
アデレード大学への進学ステップ
コース名 |
Bachelor of Sustainability and Climate Change |
期間 |
3年 |
授業料 |
A$54,900(日本円で約5,325,300円)(2026年度)
こちら 2026年度 奨学金あり |
英語入学条件 |
IELTS Academic OA 6.5(各セクション6.0以上) |
学歴入学条件 |
・IB 26以上、
または
・SAT 1130以上 + 高校の成績
または
・ファンデーションコース卒業
もしくは
・日本の大学1年修了資格 |
日本の普通高校からの進学(Foundation)
大学準備コースである、ファウンデーション(Foundation)を経由し、アデレード大学に進学をすることができます。ファウンデーションはアデレード大学指定のアデレード大学カレッジまたはアインズバリーカレッジで開講されています。
普通高校卒業者の進学例(3月に高校卒業) |
●ファウンデーション
期間:6〜7月入学、翌5〜6月卒業
学費:A$32,800(日本円で約3,181,600円) 〜 A$35,100(日本円で約3,404,700円)
こちら 2026年度 奨学金あり
英語:IELTS Academic OA 5.5(各セクション5.0以上)
条件:高校2年次以上を修了(GPA 2.5以上)
↓
●Bachelor of Sustainability and Climate Change
期間:7月から3年間
学費:年間A$54,900(2026年度 日本円で約5,325,300円)
条件:ファウンデーションで74%以上の成績 |
※高校3年生の10月頃から出願を行うことができ、まずは成績と英語力をお知らせ下さい。成績と英語力から、実際にどのような進学プランを立てることができるかをご相談させて頂きます。
出願に向けての準備
1. まずは英語試験を受けましょう
まずは
IELTS(アイエルツ)試験を受験しましょう。日本では下記3つの機関がIELTS試験を開催しています。
IELTSスコアは足りなくても出願可能です。その場合はアデレード大学付属属語学学校とセットでのお申込みとなります。
2. 出願に必要な書類4点を準備しましょう
出願には下記4点の書類が必要となります。IELTSの受験が終わったらこちらの4点を揃えて担当カウンセラーにご提出ください。
- 最終学歴の卒業証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
- 最終学歴の成績証明書(英語版と日本語版1部ずつ)
- IELTS(Academic)またはTOEFLスコア結果
- パスポートコピー
- SAT試験スコア証明(学士号へ直接入学希望の方)
3. 出願手続きスタート
最後に、
オンライン申込みフォームを送信してください。その後、正式に出願手続きへ進みましょう。
留学相談&お問い合わせ
当社オーストラリア留学センターは 新アデレード大学を含め
全豪29大学の公式出願窓口となっており、ご相談から出願手続き、更に現地サポートまで
全て無料で提供しております。
※備考※
・本記事は2026年6月現在の情報に基づいており、コース概要や入学基準は変更されることもございますのでご留意ください。
・学費は毎年改定されます。本記事では2026年度学費をご案内しております。