
クイーンズランド大学(UQ)の
Master of Governance and Public Policyは、政府や国際機関がどのように政策を設計し、実行しているのかを分析的に学ぶ大学院コースです。
学歴と職歴に応じて1年・1.5年・2年から期間が決まる仕組みになっており、学部の専攻を問わず出願できる点が特徴ですが、この記事では、期間ごとの入学条件、コア科目とインターンシップ、学費、卒業後の進路、そして日本の大学を出た方が出願する際に必ず確認すべきポイントを整理します。
政策は、誰かが会議室で決めています。その部屋の中で何が起きているかを、体系的に学ぶコースです。
「政策に関わる仕事がしたい」と話す方は、毎年一定数いらっしゃいます。ただ、その多くは「政治に興味がある」段階で止まっていて、政策がどのプロセスを経て形になり、どこで潰れ、どう評価されるのかを説明できる人は多くありません。このコースが扱うのは、まさにその部分です。
UQはQS World University Rankings 2026において、politics(政治学)とsocial policy and administration(社会政策・行政学)の2分野で
クイーンズランド州1位と紹介されています。州内でこの分野を学ぶなら、まず候補に入る大学です。
「政治に興味がある」から「政策を設計できる」へ

このプログラムが最初に扱うのは、制度がどう動き、政策がどう設計されるのかという基礎です。UQの説明では、序盤の科目で制度の作動原理と政策設計を分析し、後半で現代的な課題と、国内・国際双方の文脈におけるガバナンスへの戦略的アプローチへと進む構成になっています。
学び方の中心は、政策分析、ケーススタディ、そして応用プロジェクトです。理論を暗記するのではなく、実際の政策課題に対して自分で分析を組み立て、それを文章と口頭で人に伝えるところまでが訓練の範囲に入ります。UQが挙げている学習形式には、講義とセミナーに加えて、
work placements(就業体験)、research experience(研究経験)、fieldwork(フィールドワーク)、overseas study(海外での学習)が含まれています。教室の中だけで完結する設計ではありません。
もうひとつ実務的に大きいのが、Graduate Centre Mentorship programです。UQはこのプログラムを通じてキャリアと就業力に関する実践的なアドバイスを得られると案内しています。政策分野は「誰を知っているか」が進路に影響しやすい領域なので、在学中にネットワークへ接続できる仕組みがあるかどうかは、想像以上に効いてきます。UQ全体のキャリア支援の仕組みは、
クイーンズランド大学の就職支援プログラムで詳しく解説しています。
1年・1.5年・2年。あなたの経歴で、コースの長さが変わります

このコースを検討するうえで最初に理解すべきなのは、
期間が3種類あり、どれになるかは学部の専攻・成績・職歴で決まるという点です。UQは「どの期間で出願しても、卒業時の学位は同じ」と明記しています。
| 期間 |
2年(32単位) |
| 主な条件 | 分野を問わない学士号(または同等資格)+ GPA 5.0/7.0 |
| 想定される出願者 | 政策・政治とは別分野の学部を出た方。異分野からの転向 |
| 期間 |
1.5年(24単位) |
| 主な条件(いずれか) | 関連分野の学士+GPA 5.0/7.0 |
| または | 分野不問の学士+UQのGraduate Certificate もしくは Graduate Diploma(GPA 4.0) |
| または | 分野不問の学士(GPA 5.0)+公共政策組織での関連実務経験3年(フルタイム換算) |
| 想定される出願者 | 関連学部の出身者、または実務経験を持つ社会人 |
| 期間 |
1年(16単位) |
| 主な条件(いずれか) | 関連分野の Bachelor Honours(または同等)+GPA 5.0。※Honoursではフルタイム1学期相当以上の本格的な研究プロジェクトを修了していることが条件 |
| または | 関連分野の学士+UQのGraduate Certificate(GPA 4.0) |
| 想定される出願者 | 優等学位保持者、またはUQの修了証明課程からの接続者 |
関連分野(relevant disciplines)としてUQが挙げているのは、political sciences、social sciences、governance、public policy、public administration、public management、political science、organisational studies、history、lawです。ただし学部名が一致していれば自動的に該当するわけではありません。UQは「専攻(major)、field of study、またはプログラム内容のおおよそ30%以上を、入門科目と上級科目を組み合わせて修了していること」を求めています。
ここが日本の出願者にとって最初の関門です。「法学部だから関連分野」と自己判断しないでください。逆に、経済学部や国際教養系の学部を出ていても、履修科目次第では関連分野として認められる可能性があります。判断材料になるのは学部名ではなく
成績証明書の履修科目一覧です。当社では成績証明書を拝見したうえで、どの期間で出願するのが現実的かをご案内しています。
実務経験ルートを使う場合、UQは雇用主からのレターで「在籍(していた)こと」「業務内容と職責」「勤務期間(3年など)」「フルタイム/パートタイム/カジュアルの別(パート・カジュアルの場合は週平均勤務時間)」を証明するよう求めています。対象となる業務は、各級政府機関での政策・プログラムの立案/管理/実施、NGO・地域組織でのプログラム実施やプロジェクト管理、リサーチ・評価・組織能力構築・サービス提供などで、
分析力と文章力を示せる内容であることが条件です。応募は個別審査になります。
もう一点、履修ペースについて補足します。UQはこのプログラムについて、留学生は
フルタイムでの履修のみと案内しています。これは「1学期あたりの履修科目数を減らし、その分だけ在籍期間を延ばす」というパートタイム履修の選択ができない、という意味です。国内学生には用意されているこの選択肢が、留学生には適用されません。したがって、たとえば2年ルートで出願する場合は、2年間フルタイムの学習量が続く前提で生活とスケジュールを設計しておく必要があります。
なお、これは
大学側の履修形態に関する説明であり、在学中に働けるかどうかとは別の論点です。学生ビザの就労に関する条件は移民制度側で定められているため、最新の内容はDepartment of Home Affairsでご確認ください。
必修で土台を固め、3つの領域で「自分の武器」を決める

まず、2年ルート(32単位)で何を積み上げることになるのかを見ておきましょう。UQ公式のプログラム要件ページ(2027年度情報)では、次のように区分されています。
| 科目区分 |
単位数 |
| Foundational Courses | 8単位 |
| Core Courses | 12単位 |
| Flexible Core Courses | 4〜12単位 |
| Program Elective Courses | 0〜8単位 |
1.5年ルートは24単位+既修分8単位、1年ルートは16単位+既修分16単位という扱いです。
短いルートは「学ぶ内容が薄くなる」のではなく、土台にあたる部分をすでに修了したものとして差し引かれると考えてください。具体的には、1.5年ルートではFoundational Coursesの8単位が既修分に置き換わり、1年ルートではさらにProgram Elective Coursesの枠がなくなります。1年ルートで実際に履修するのは、
Core Courses 12単位+Flexible Core Courses 4単位の計16単位です。
そして、この科目構成には、これから出願するあなたに直接関係することが2つ含まれています。
ひとつは、
Economic Analysis & Public Policy が全ルート共通の必修コア科目に入っていることです。政策の議論は、どれだけ理念から始まっても、最終的には「いくらかかるのか、誰が負担するのか、どんな効果が見込めるのか」に行き着きます。数字を扱う場面を避けて通れる設計にはなっていません。経済学部の出身である必要はありませんが、
データと向き合うことから逃げないつもりで入学してください。
もうひとつは、
Writing Politics が選択科目ではなく、最初の必修科目に置かれていることです。政策の現場で成果物になるのは、多くの場合ブリーフィングペーパーや提言文書です。どれだけ鋭い分析ができても、
読み手が動く文章にできなければ仕事にはなりません。UQはこの科目とFoundations in Politics, Policy and International Relationsの2科目を、1学期目に履修するよう推奨しています。入学してすぐ、英語で政策文書を書く訓練が始まる、と考えておくのが実態に近いです。
ただし、この2科目はFoundational Coursesにあたるため、履修するのは2年ルートの方だけです。1.5年・1年ルートで入学する方は、この訓練を通らずにCore Coursesから始まります。英語で書くことに不安があるなら、入学前に自分で準備しておく必要がある、ということです。
必修科目の例
まずFoundational Coursesの2科目(各4単位)で書く力と分野の全体像を固め、続くCore Coursesの6科目(各2単位)でガバナンスと政策プロセスを体系的に押さえます。ただし、
全ルート共通で必修になるのはCore Coursesの12単位だけです。Foundational Coursesの8単位が課されるのは2年ルートのみで、1.5年ルート・1年ルートでは既修分として扱われ、履修しません。
| 科目コード |
科目名 |
| POLS7000 | Writing Politics(政治を書く/4単位・Foundational) |
| POLS7002 | Foundations in Politics, Policy and International Relations(政治・政策・国際関係の基礎/4単位・Foundational) |
| POLS7101 | Dynamics of Governance(ガバナンスの力学/2単位) |
| POLS7111 | Dynamics of Public Policy(公共政策の力学/2単位) |
| POLS7113 | Comparative Public Policy(比較公共政策/2単位) |
| POLS7114 | Knowledge and Evidence in Public Policy(公共政策における知識とエビデンス/2単位) |
| POLS7116 | Policy Design and Implementation(政策の設計と実施/2単位) |
| POLS7406 | Economic Analysis & Public Policy(経済分析と公共政策/2単位) |
選択科目の例(Flexible Core Courses)
Flexible Core Coursesは、
3つのstudy areaから4〜12単位を組み合わせて履修します。国際的な文脈を軸にするなら Global Governance, Policy and Development、組織を動かす力とデータ分析を軸にするなら Leadership, Communication and Analysis、特定の政策領域で専門性を作るなら Contemporary Policy Challenges、という選び方が基本になります。
| study area |
科目コード |
科目名 |
| Global Governance, Policy and Development(0〜12単位) | LAWS7710 | Principles of International Law(国際法の原理) |
| 同上 | POLS7107 | Globalisation, International Political Economy and Development(グローバル化・国際政治経済・開発) |
| 同上 | POLS7306 | International Crisis Management(国際危機管理) |
| 同上 | POLS7509 | Gender and the Global Politics of Development(ジェンダーと開発のグローバル政治) |
| 同上 | POLS7888 | Technologies, Geopolitics, and Governance(技術・地政学・ガバナンス) |
| 同上 | POLS7190 / POLS7999 / PLAN7001 | 先住民政治/ポストコロニアル思想と政治/社会変革のための計画 |
| Leadership, Communication and Analysis(0〜10単位) | SOCY7339 | Introducing Quantitative Research(定量調査入門) |
| 同上 | MGTS7619 | Leadership: Theory & Practice(リーダーシップの理論と実践) |
| 同上 | MGTS7601 | Managing Organisational Behaviour(組織行動のマネジメント) |
| 同上 | COMU7111 | Risk Communication(リスクコミュニケーション) |
| 同上 | PLAN7000 | Planning Systems & Governance(計画制度とガバナンス) |
| 同上 | COMU7013 / MKTG7513 / TIMS7329 / MGTS7308 | 参加型開発コミュニケーション/ソーシャルチェンジのマーケティング/ソーシャル起業/社会的インパクトのためのイノベーション |
| Contemporary Policy Challenges(0〜10単位) | CYBR7003 | Cyber Security Governance, Policy, Ethics and Law(サイバーセキュリティのガバナンスと法制度) |
| 同上 | ECON7830 | Health Economics and Policy(医療経済と政策) |
| 同上 | ENGY7117 | Energy Markets, Law and Policy(エネルギー市場・法・政策) |
| 同上 | POLS7115 | Politics of Environmental Change(環境変動の政治) |
| 同上 | PUBH7645 | Global Health Policy in Practice(グローバルヘルス政策の実践) |
| 同上 | ENVM7505 / ENVM7512 / PUBH7049 | 保全政策/環境問題解決/公衆衛生アドボカシー |
ひとつのstudy areaから8単位をまとめて履修することもできますが、
UQは「その専門分野名は学位証書(testamur)には記載されない」と明記しています。専攻名として肩書きになるわけではない、という点は誤解しやすいので押さえておいてください。履修する科目のレベルにも条件があり、レベル6以上で12単位以上、レベル7で8単位以上と定められています(レベル3の上限は2年ルートで8単位、1.5年ルートで6単位)。最新の科目一覧は
UQ公式のプログラム要件ページでご確認ください。
研究プロジェクトとインターンシップ
進路を分ける選択として重要なのが、Program Elective Coursesに置かれている
POLS7125 Internship(2単位)と
POLS7120/7121/7122 Research Project(各6単位)です。就職を優先するならインターンシップ、将来的にPhDや研究職を視野に入れるならリサーチプロジェクト、という選び方が基本になります。研究に進むなら POLS7701 Research Methods(研究手法)を先に取っておくと土台になります。
ただし、これらはいずれも
0〜8単位の枠内での「選択」であり、全員に自動的に割り当てられるものではありません。参加要件や選考の有無はコースページ上では公開されていないため、インターンシップを主目的に進学を検討している場合は、出願前に個別確認しておくことを強くおすすめします。
もうひとつ知っておくと安心なのが、
Exit Awards(途中退学時の学位)の仕組みです。UQは、このプログラムを途中で辞める場合でも、コア科目4単位を含む8単位を修了していれば
Graduate Certificate、コア科目8単位を含む16単位を修了していれば
Graduate Diplomaの授与を申請できると定めています。2年という期間に不安がある方にとって、この安全弁の存在は判断材料になるはずです。
卒業後の進路 ─ 政策の「現場」に入るために必要なもの

以下はUQ公式サイトが挙げている「このDegreeから考えられる進路例」です。卒業すれば自動的にこれらの職に就けることを保証するものではありません。実際には、これまでの職歴、英語での文章力・議論力、在学中のインターンシップやネットワーキングが結果を大きく左右します。
| 進路例 |
主な活動領域 |
| Public policy adviser | 政策アドバイザー。政府機関・民間双方で政策立案を支援 |
| Economic policy adviser | 経済政策アドバイザー。財政・産業政策などの分析 |
| Think tank adviser | シンクタンク。政策提言と調査 |
| Policy research institute member | 政策研究機関での調査・分析 |
| Ministerial team member | 大臣室・政務チームの一員として政策実務を担う |
| Diplomatic corps official | 外交関連の職務 |
| Government relations manager | 企業・団体側で政府対応・渉外を担当 |
| Not-for-profit manager | 非営利セクターでの事業運営・管理 |
| Project environmental adviser | プロジェクトの環境面に関する助言 |
| Social justice advocate | 社会正義・権利擁護の分野でのアドボカシー |
UQはPolicy Adviserの平均年収レンジとして、seek.com.auを出典に
年間 A$105,000(日本円で約12,180,000円)〜A$125,000(日本円で約14,500,000円)という数字を掲載しています。これはオーストラリア全体の求人データに基づく参考値であり、新卒時点の水準を示すものではない点にご注意ください。
在学中にやっておくべきことも、あらかじめ整理しておきましょう。任意インターンシップへの応募、Graduate Centre Mentorship programの活用、関心分野の研究者や実務家との関係づくり、政策系NGOでのボランティア、そして実際の求人票を見て「どんなスキルが要求されているか」を確認すること。政策分野では、学位そのものよりも
学位+実務経験+書く力の組み合わせが評価されます。卒業してから探し始めるのでは遅い、というのが率直なところです。
このコースが向いている人と、別の道を検討したい人

向いているのは、社会の仕組みに対して「なぜこうなっているのか」を問い続けられる人です。加えて、大量の英文資料を読み、それを自分の言葉で構造化して書き直す作業に耐えられること。このコースの成果物は、実質的に「読む・分析する・書く」の連続です。数字を扱うことにも抵抗がないほうが有利です。
学部の専攻を問わず出願できる設計なので、
異分野からの転向にも開かれています。理系出身で科学技術政策に関心を持った方、企業で働いていて規制や行政対応の側から社会を見るようになった方、国際協力に関わってきた方。2年ルートは、まさにそうした人のために用意されています。
一方で、次のような場合は別の選択肢も比較したほうがよいでしょう。国際関係や安全保障そのものを深く掘りたい人は、同じUQの
Master of International Relationsや
Master of Peace and Conflict Studiesのほうが焦点が合います。まず短期間で試したい、あるいは費用と時間を抑えて様子を見たいという方には、
Graduate Certificate in Governance and Public Policy(半年)や
Graduate Diploma in Governance and Public Policy(1年)という入口もあります。これらを修了してからMasterへ接続すれば、1.5年ルートや1年ルートの条件を満たせる可能性がある点は、覚えておく価値があります。
また、「オーストラリアの大学院に行きたい」が先にあって分野は二の次、という場合。この分野は卒業後の就職において英語の運用能力が特に厳しく問われます。政策文書を英語で書き、英語で議論して勝てる必要があるからです。動機の順番が逆になっていないか、一度整理することをおすすめします。
まだ方向性が固まっていない方については、当社は少し違う見方をしています。「自分に完璧に合う分野」を探し当てることが進路選択の本質だ、という前提に、必ずしも賛成していません。政策という領域は、知識を積み上げるほど関心の焦点が定まっていくタイプの分野です。
入口で完璧な答えを出そうとするより、選んだ場所で読む力と書く力を積み上げるほうが、結果的に早く進みます。
他コース・他大学と比べる ─ 優先順位が決まれば、答えは絞れます

同分野で最も比較されるのが、ANU(オーストラリア国立大学)の
Master of Public Policy(CRICOS 082349C)です。運営はCrawford School of Public Policy。政策分野で国際的に知られた大学院で、UQを検討する方の多くが一度は名前を目にする選択肢だと思います。ただし、2つのコースは設計の考え方がかなり違います。
| 比較軸 |
UQ Master of Governance and Public Policy |
ANU Master of Public Policy |
| キャンパス | ブリスベン St Lucia | キャンベラ(ACT) |
| 期間の考え方 | 1年/1.5年/2年の3ルート(留学生はフルタイムのみ) | 2年(96単位)が標準。単位認定で短縮 |
| 成績条件の考え方 | GPA 5.0/7.0(分野不問ルートあり) | GPA 5.0/7.0。GPA 4.0/7.0+関連実務経験3年などのルートあり |
| 留学生学費(公式掲載) | 2027年 A$48,080(日本円で約5,577,280円)/年(16単位相当) | 2027年 A$57,640(日本円で約6,686,240円)/年 |
| 特徴 | 40以上の科目から選択。任意インターンシップまたはリサーチプロジェクト。Graduate Centre Mentorship program | 15の専攻分野(Specialisation)。インターンシップ・応用政策プロジェクト・リサーチプロジェクトを最大12単位まで |
まず、期間の決まり方が違います。UQは1年・1.5年・2年という3つのルートが最初から制度として用意されていて、学歴と職歴でどれに乗れるかが決まります。ANUは
2年(96単位)が標準で、そこから単位認定によって短くなる仕組みです。関連分野の学士またはGraduate Certificateで最大24単位(1学期分)、関連分野のHonours付き学士またはGraduate Diplomaで最大48単位(1年分)まで認定される可能性があり、最大まで認定が通れば1年相当で修了できる計算になります。ただし
これは「認定されれば」の話であり、認定される単位数は個別審査です。ここはUQとの実務上の大きな違いなので、期間から逆算して進学計画を立てたい方は注意してください。
学費は、どちらも2027年の公式掲載額で並べられます。UQが年間A$48,080(日本円で約5,577,280円)、ANUが年間A$57,640(日本円で約6,686,240円)。
年間でA$9,560(日本円で約1,108,960円)の差があり、2年間在籍すればその倍の開きになります。
そのうえで、ANUが噛み合う人もはっきりしています。キャンベラは連邦政府機関が集まる街で、Crawford Schoolは15の専攻分野を用意し、Public Policy and Professional Internship、Applied Policy Project、Research Projectといった応用科目を最大12単位まで組み込めます。
学びたい政策領域がすでに決まっていて、そこを深く掘りたいという段階の方には向いています。逆に、専門をまだ絞りきれていない、まずは政策を読み解く基礎体力(分析と文章)を固めたい、という段階なら、UQの設計のほうが素直です。
UNSWにも同分野のコースがあります
シドニーで学ぶ選択肢として、UNSW SydneyのMaster of Public Policy and Governance(Program code 8259/CRICOS 083243E)もあります。1年/1.7年/2年の3ストリーム制で、成績条件はUNSWのcredit average 65%相当。難民・ジェンダー・環境・住宅・障がい政策など研究テーマの幅が広く、修了要件にリサーチプロジェクトまたはミニ論文が含まれます。
学費はUNSW公式の2026年掲載で、初年度A$47,500(日本円で約5,510,000円)、修了までの目安がA$99,500(日本円で約11,542,000円)。この目安には年約A$1,000(日本円で約116,000円)の学習関連費用が含まれる旨が明記されています。
UQ・ANUは2027年、UNSWは2026年の掲載額です。3校を横並びの数字で比較することはできません。
連邦政府機関が集まるキャンベラで、専攻分野を絞って学びたいならANU。シドニーで研究テーマの幅を取りたいならUNSW。ブリスベンで、経済分析をコアに据えた設計で政策全般を体系的に押さえ、かつ期間ルートの選択肢を持ちたいならUQ。どれが上ということではなく、優先順位の違いです。
当社としては、この3校を「格付け」で並べることに意味はないと考えています。確認すべきは、あなたの学部専攻と職歴でどの期間ルートに乗れるか、そして卒業後にどの都市・どのセクターで働きたいのか。この2点が決まれば、比較すべき対象は自然に絞れます。
英語条件と、出願前に確認すべきこと

英語基準は、UQの大学院コースとしては標準的な水準です。
| テスト |
必要スコア |
| IELTS | Overall 6.5(Reading 6 / Writing 6 / Speaking 6 / Listening 6) |
| TOEFL iBT | Overall 87(Listening 19 / Reading 19 / Writing 21 / Speaking 19) |
| PTE Academic | Overall 64、全セクション60以上 |
| BE(Bridging English) | 総合グレード4以上、全マクロスキルでC以上 |
| C1 Advanced (CES) | Overall 176、全セクション169以上 |
なお、UQはこのプログラムでOETを受け付けないと明記しています。
ただし、IELTS 6.5で入学できることと、授業についていけることは別の話です。このコースは英文の政策文献を大量に読み、分析結果を英語のレポートにまとめ、セミナーで議論する形式が中心になります。特にWriting系の負担は大きいと想定しておいてください。入学基準ぎりぎりで合格した場合、最初の1学期はかなり厳しくなる可能性があります。それを見越して事前に英語を上げておくか、余裕のある期間ルート(2年)を選ぶか。この判断は早めにしておくと、入学後が楽になります。
成績条件のGPA 5.0/7.0については、日本の成績表からの換算に注意が必要です。日本の大学は4段階GPA、5段階GPA、優/良/可、GPA表記なしなど評価方式がまちまちで、
換算方法は出願先の大学が定めるものであり、最終判断はUQが行います。ネット上に出回っている換算表を鵜呑みにしないでください。当社では成績証明書を確認したうえで、目安をご案内しています。
出願締切は、留学生の場合
Semester 1入学が前年11月30日、Semester 2入学が入学年の5月31日です。ビザの処理期間は変動するため、UQも早めの出願とオファー受諾を推奨しています。学生ビザについてUQは「フルタイムで在籍が認められた国際学生は学生ビザ(subclass 500)を申請する資格がある」と案内しています。ビザ制度や申請資格は変更される場合があります。最新情報はDepartment of Home Affairsでご確認ください。個別のビザ相談については、Registered Migration AgentまたはAustralian legal practitionerへご相談ください。
コース概要
最終確認:2026年8月26日(The University of Queensland公式サイトの情報をもとに確認)
| 項目 |
内容 |
| 大学名 | The University of Queensland(クイーンズランド大学/UQ) |
| コース名 | Master of Governance and Public Policy |
| 期間 | 1年(16単位)/1.5年(24単位)/2年(32単位)。留学生はフルタイム受講のみ |
| 学費(留学生) | 年間 A$48,080(日本円で約5,577,280円)(2027年・16単位相当)。総額目安は1年=約A$48,080(日本円で約5,577,280円)、1.5年=約A$72,120(日本円で約8,365,920円)、2年=約A$96,160(日本円で約11,154,560円)。履修量により変動し、毎年見直されます |
| 入学時期 | Semester 1(2027年2月22日)/Semester 2(2027年7月26日)の年2回 |
| キャンパス | クイーンズランド州ブリスベン St Lucia キャンパス |
| Program Code | 5607 |
| CRICOS Code | 084724B |
| AQFレベル | Level 9 |
| 出願締切(留学生) | Semester 1入学=前年11月30日/Semester 2入学=入学年の5月31日 |
| 関連課程 | Graduate Certificate in Governance and Public Policy(半年)/Graduate Diploma in Governance and Public Policy(1年) |
出願前によくいただく質問
| Q. | 日本の大学で政治学や法学を専攻していません。それでも出願できますか? |
| A. | できます。2年ルートは分野を問わない学士号+GPA 5.0/7.0が条件なので、理系・商学系・語学系などどの学部からでも出願対象になります。むしろ異分野のバックグラウンドは、政策の議論において強みになることが少なくありません。ただし、1.5年ルート・1年ルートを狙う場合は関連分野の要件が加わるため、成績証明書の履修科目を確認したうえでの判断が必要です。 |
| Q. | 日本の4年制大学+卒業論文は、1年ルートの条件にあるHonoursと同等になりますか? |
| A. | ここは断定できません。UQは1年ルートについて「フルタイム1学期相当以上の本格的な研究プロジェクトを修了していること」を条件としていますが、日本の卒業論文がこれに該当するかどうかを判断するのはUQです。当社の経験上、この点は個別審査になりやすく、事前に確認せず1年ルートだけで出願すると期間が延びるケースがあります。UQは第一希望の条件を満たさない場合により長い期間で自動的に審査すると案内していますが、費用計画が変わるため、出願前の確認をおすすめします。 |
| Q. | 社会人経験を使って1.5年で修了できますか? |
| A. | 可能性はあります。条件は「分野を問わない学士+GPA 5.0」に加え、公共政策組織での関連実務経験3年(フルタイム換算)です。対象となるのは政府機関での政策・プログラムの立案/管理/実施、NGO・地域組織でのプログラム実施やプロジェクト管理、リサーチや評価業務などで、分析力と文章力を示せる内容である必要があります。雇用主からの証明レター(業務内容・職責・期間・雇用形態を明記)が必須で、応募は個別審査です。民間企業の経験がどう評価されるかはケースバイケースなので、職務内容を整理したうえでご相談ください。 |
| Q. | インターンシップは必ず参加できますか? |
| A. | UQはインターンシップまたはリサーチプロジェクトをoptional(任意)と案内しています。全員に自動的に割り当てられるものではありません。参加要件・選考の有無・受け入れ先の詳細はコースページ上では公開されていないため、入学後にUQのスタッフへ確認する形になります。インターンシップを主目的に進学を検討している場合は、この点を出願前に個別確認しておくことを強くおすすめします。 |
カウンセラー 林 真生から一言
「政策に関わる仕事がしたい」というご相談で、私が最初に確認するのは志望動機ではありません。学部で何を履修したか、そしてGPAがいくつか、の2点です。理由は単純で、このコースは
その2点だけで学費が倍近く変わるからです。同じ学位を取るのに、1年ルートなら約A$48,080(日本円で約5,577,280円)、2年ルートなら約A$96,160(日本円で約11,154,560円)。ここを詰めずに出願してしまうのは、あまりにもったいないと考えています。
そのうえで、必ずお聞きしていることがもう2つあります。ひとつは、卒業後に日本へ戻るのか、オーストラリアで実務経験を積みたいのか。もうひとつは、研究に進みたいのか、政策の現場に出たいのか。この答え次第で、Flexible Coreで選ぶべきstudy areaも、POLS7125のインターンシップとPOLS7120のリサーチプロジェクトのどちらを取るべきかも変わります。逆に言えば、そこが決まらないまま科目を選び始めると、2年かけても「自分は何の専門家なのか」を説明できないまま卒業することになりかねません。
最後に、これは正直にお伝えしています。この分野は、英語で読んで英語で書けなければ評価されません。IELTS 6.5は入口の条件であって、仕事の条件ではないからです。ただ、それは「英語が完璧になってから来てください」という意味ではありません。
読んだ量と書いた量が、そのまま実力になる分野です。まだ迷っている段階でかまいませんので、成績証明書を持ってご相談ください。どのルートが現実的か、一緒に整理しましょう。
クイーンズランド大学への進学相談はオーストラリア留学センターへ
このコースで最も重要な判断は、「1年・1.5年・2年のどれで出願するか」です。ここを間違えると、学費が倍近く変わります。判断材料になるのは学部名ではなく、成績証明書の履修科目と職歴の中身です。成績証明書を拝見したうえで、現実的な期間ルート、英語スコアの準備計画、Graduate Certificate経由の設計まで、
すべて無料でご案内しています。
お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。