大学選びは、卒業後の選択肢選びでもあります。
留学先を決めるとき、コース内容・学費・ランキング・街の雰囲気…と判断材料はいくつもあります。ただ、後回しにされがちなのが「その大学が、在学中から卒業後のキャリアのために何をしてくれるのか」という視点です。オーストラリアの大学は日本のような一斉就活の仕組みがないため、自分で動いた人と動かなかった人の差が、そのまま卒業後に出ます。
クイーンズランド大学(The University of Queensland/UQ)は、全学横断の部門として
Careers and Employabilityを置き、キャリア相談・インターンシップ・メンタリング・課外活動の認定制度までを一つの体系として提供しています。このページでは、実際に在学生が使える支援を留学生の視点で整理しました。
最終確認:2026年8月10日(UQ公式サイトをもとに確認)。制度・日程は変更されることがあるため、出願・入学時には必ず最新情報をご確認ください。
UQの就職支援は「学部任せ」ではない

UQの就職支援でまず知っておきたいのは、
全学共通の支援と、学部ごとの支援が二層構造になっているという点です。全学の窓口がCareers and Employabilityで、その下に各学部の専門チームがぶら下がっています。つまり在籍学部にかかわらず全学のサービスは使えて、その上で自分の分野に特化した支援を追加で受けられる、という設計です。
この二層構造の土台になっているのが、UQが「Employability Framework」と呼ぶ4段階の考え方です。就職活動を「卒業前にやること」ではなく、入学から卒業までの4年間を通じて積み上げるものとして定義しているのが特徴で、以下の各プログラムもこの流れに沿って配置されています。
| 段階 |
内容 |
| Awareness | 自分の強み・興味・どんなキャリアの選択肢があるのかを知る段階 |
| Experience | インターン・ボランティア・海外経験・学生団体などで実際に動く段階 |
| Learning | その経験から何を得たのかを振り返り、言語化する段階 |
| Transfer | 言語化した力を、応募書類・面接・職場で使える形に変える段階 |
(各段階の日本語は、UQの説明をもとにした当社の意訳です)
学部ごとの窓口は以下の通りです。ここは大学の組織改編で名称が変わることがあるため、入学後に最新の案内を確認してください。
なお、以前このページでご紹介していた「The Student Employability Team(SET)」は、BEL学部のキャリア支援チームの旧名称です。現在は全学のCareers and Employability体制に統合され、「BEL Careers and Employability」として案内されています(学部サイトの一部には今も”BEL SET”の表記が残っています)。
課外活動を「実績」に変える UQ Employability Award

UQの支援の中で、留学生にとって特に使い勝手がよいと当社が考えているのが
Employability Awardです。ボランティア・学生リーダー・インターン・国際経験といった学業外の活動を積み、それを振り返って言語化し、最終的に文章課題と面接を経て認定を受ける、という仕組みになっています。
留学生にとって何が良いかというと、
「何をすればいいか分からない」状態に、外側から枠組みを与えてくれる点です。日本の大学のように学内に就活のレールが敷かれているわけではない環境で、いきなり「自分で経験を積んでください」と言われても動き出しにくいものですが、Awardは達成すべき活動の種類と量が定義されているため、行動計画に落としやすくなります。実際、UQが公開している受賞者の声には留学生のものが複数掲載されており、「完璧な機会を待たずに早く動くこと」「経験の種類を混ぜること」がアドバイスとして挙げられています。
参加はUQに在籍するすべての学生が対象で、登録はStudentHubからいつでも可能です。認定されると副学長(Vice-Chancellor)とAcademic Registrar連名のデジタル証明書が発行されます。ただし
申請には締切があり、延長は認められません。
| 項目 |
内容 |
| 対象 | UQに在籍するすべての学生(留学生を含む) |
| 費用 | 無料 |
| 申請締切 | 2026年第2学期分:2026年9月13日(日)23:59/2027年第1学期分:2027年4月11日(日)23:59 |
| 問い合わせ | employability@uq.edu.au |
学期中は「BuddyUp」という週次のコミュニティも運営されており、Awardを目指す学生同士が進捗を共有しながら進められるようになっています。1人で抱え込まずに済む仕組みがある点は、慣れない環境で動き出す留学生には現実的な助けになります。
実務経験をどう取りに行くか

オーストラリアで就職を目指す場合も、日本に帰国して就職する場合も、
「現地で実務を経験したかどうか」は履歴書上で最も分かりやすい差になります。UQでは実務経験の取り方が大きく2つに分かれます。
1つ目は
Work-integrated Learning(WIL)で、これは単位として認定される実習・インターン・企業課題プロジェクトです。コースのカリキュラムに組み込まれているため、履修計画の中で確実に経験が積めるのが強みです。学部・コースによって内容と有無が異なるため、コース選びの段階で確認しておく価値があります。2つ目は
課外のインターンシップで、こちらは自分で応募して勝ち取る形になります。
| プログラム |
内容 |
| Work-integrated Learning(WIL) | 単位認定される実習・インターン・コンサルティングプロジェクト。学部ごとに内容が異なる |
| Global Internships | UQのインターンシップチームが扱う国内・海外・オンラインのインターン |
| UQ Embassy Internship Program | 夏季・冬季の長期休暇中に行われる、課外・ボランティアベースの大使館インターン |
| Practera SAIEP | 学生チームで実在のクライアントの課題に取り組む、2週間のオンライン実務プロジェクト |
| Forage | 企業が提供する無料のバーチャル職業体験。1件5〜6時間で完結し、自分のペースで進められる |
インターンの相談は
InternshipsのページからStudentHub経由で予約できます。また、渡航費などが必要になる場合に備えてInternship Grantsをはじめとする資金支援制度も用意されています(対象要件は制度ごとに異なります)。
最初の一歩としては、選考のないForageから始めるのが現実的だと当社では考えています。無料・自宅完結・数時間で終わるため、英語での実務に触れる心理的なハードルを下げつつ、応募書類に書ける材料も作れます。そこで手応えを掴んでから、選考のあるインターンに挑戦する流れが無理がありません。
履歴書・面接で差をつけるための道具

オーストラリアの就職活動は、Resume(履歴書)とCover Letterの書き方が日本とまったく異なります。決まったフォーマットがなく、募集ごとに内容を作り替えるのが前提で、しかも英語で書く必要があります。ここは留学生が最初につまずくポイントであり、同時に大学の支援を最も使うべき場所でもあります。
UQで使える主な仕組みは以下の通りです。
VMockはResumeをアップロードすると即座に自動フィードバックが返ってくるツールで、BEL学部の学生が利用できます。
Recruitment Ready Programも同じくBEL学部向けで、実際の採用プロセスを模した形で応募スキルを鍛えるプログラムです。全学の学生が使えるものとしては、自分のペースで進められるオンライン学習プログラム
My Career Adviserと、edXで提供されている無料オンラインコース
EMPLOY101x「Unlocking your Employability」があります。EMPLOY101xはUQ生であれば有料版相当のフルバージョンを無料で受講でき、雇用者・起業家・在学生・卒業生それぞれの視点から「企業が何を見ているか」を学べる内容になっています。
対面での支援としては、StudentHubからキャリアアドバイザーとの個別相談(対面・オンライン)を予約できます。加えて、職場の多様性・インクルージョンをテーマにした
DiversityHubや、気軽な雰囲気でキャリアを話せる「Cuppa and Careers」といった、参加のハードルが低い場も用意されています。
当社からのお願いとして1つ挙げるなら、
Resumeは「完成させてから見せる」のではなく「下手なうちに見せる」ほうが伸びます。無料で何度でも相談できる環境が学内にあるうちに、繰り返し添削を受けてください。
人とつながる仕組みを使い倒す

オーストラリアの求人はネットワーク経由で決まるものが少なくありません。留学生にとってはここが最も不利になりやすい部分ですが、大学はその不利を埋めるための仕組みをいくつか持っています。
BEL Career Mentoring Programは、実際に働いている社会人がメンターとして付き、キャリア相談に乗ってくれるプログラムです。学生から社会人への切り替え方、大学で学んだことを職場でどう活かすか、目標設定の仕方といったテーマを1対1で扱えます。全学向けには
UQ Mentoringがあり、BEL学部では在学生同士で支え合う「BEL Buddies」も運営されています。
このほか、ボランティア、Student-Staff Partnerships(大学スタッフと学生が協働するプロジェクト)、Student Representation(学生代表としての活動)など、履歴書に書ける課外の関わり方が制度として整理されています。いずれもEmployability Awardの活動としてもカウントできるため、狙って参加すれば一石二鳥になります。
なお、これらのイベント・予約はほぼすべて
StudentHubというポータルに集約されています。入学したらまずStudentHubの使い方を覚えてください。ここを見ていないと、募集が出ていること自体に気づけません。
ビジネス・経済・法学部(BEL)の学生が使える専門チーム

BEL学部には学部専属のキャリア支援チームがあり、全学のサービスに上乗せする形で利用できます。Resume自動添削ツールのVMock、採用プロセス実践型のRecruitment Ready Program、社会人メンターと1対1で話せるBEL Career Mentoring Program、単位認定されるWILインターン・コンサルティングプロジェクトなど、この学部の学生であれば追加費用なしで使えるものが揃っています。
対面相談はSt Luciaキャンパスのオフィスで受け付けており、キャリア相談とWIL(単位認定実習)に関する相談は窓口が分かれています。
| 項目 |
内容 |
| チーム名 | BEL Careers and Employability(旧 The Student Employability Team/SET) |
| 対象 | ビジネス・経済・法学部(BEL)の在学生(留学生を含む) |
| 場所 | Colin Clark Courtyard, Room 107(St Luciaキャンパス) |
| 受付時間 | 月〜金 8:30〜16:00 |
| キャリア相談の連絡先 | careers@bel.uq.edu.au/+61 7 3365 4222 |
| WIL(実習)の連絡先 | employability@bel.uq.edu.au |
BEL学部への進学を検討されている方は、
クイーンズランド大学(UQ)・学費・入学日一覧もあわせてご確認ください。コースごとの学費・CRICOSコード・入学時期をまとめています。
留学生として、正直に押さえておいてほしいこと

ここまでUQの支援体制をご紹介してきましたが、
就職支援が手厚いことと、卒業後にオーストラリアで就職できることは別の話です。留学エージェントとして、この点は正確にお伝えしておきます。
まず
ビザの制約があります。学生ビザ(Subclass 500)で在学中に働ける時間は、授業期間中は2週間で48時間までと定められています(学期休み中は上限なし)。コースの必修として組み込まれている実習・インターンについては原則この上限の対象外とされていますが、扱いは制度改定で変わり得るため、必ず移民局の最新情報でご確認ください。卒業後に現地で働きたい場合は卒業生ビザ(Subclass 485)などへの切り替えが必要になり、こちらも要件が定期的に見直されています。学生ビザ全般については
オーストラリアの学生ビザのページで解説しています。
次に
英語力とネットワークです。大学の支援はResumeの書き方や面接の練習まではカバーしますが、面接で自分の考えを英語で伝えきる力そのものを代わりに用意してくれるわけではありません。入学要件のIELTSスコアを満たしていることと、就職面接で戦えることの間には、まだ距離があります。
そして最も現実的なアドバイスは、
1年目から使い始めてほしいということです。UQの支援は入学初日から利用できますが、実際に相談窓口を訪れるのは最終学年になってからという学生が少なくありません。インターンもメンタリングもEmployability Awardも、効果が出るまでに時間がかかる仕組みです。卒業間際に駆け込んでも間に合いません。逆に言えば、1年目から意識的に使えば、支援が手厚い大学を選んだ意味を最大化できます。
進学前によくいただく質問
| Q. | 就職支援は留学生も使えますか? |
| A. | 使えます。Employability Awardは「UQに在籍するすべての学生」が対象と明記されており、キャリア相談・インターンシップ支援・メンタリングも留学生を含む在学生向けのサービスです。ただし、個別のインターン・求人募集にはビザや就労資格の条件が付くものがあるため、応募要項の確認は必要です。 |
| Q. | 以前このページで紹介されていた9つのプログラムは今もありますか? |
| A. | 一部のみ残っています。BEL学部のチームが全学のCareers and Employability体制に統合された際に再編されており、現在の中心はWork-integrated Learning、Recruitment Ready Program、VMock、BEL Career Mentoring Programなどです。edXの無料オンラインコース「EMPLOY101x Unlocking your Employability」は現在も提供されています。 |
| Q. | これらの支援に追加費用はかかりますか? |
| A. | 本文でご紹介した学内のキャリア相談・Employability Award・オンライン学習プログラム・メンタリングは、在学生であれば追加費用なしで利用できます。海外インターンなど、渡航費・滞在費が別途必要になるプログラムもありますが、その場合は資金支援制度が用意されていることがあります。 |
| Q. | 卒業後もサポートを受けられますか? |
| A. | UQは卒業生向けにAlumni CareerHubを用意しています。ただし在学中と同じ内容の個別相談やインターン紹介がそのまま続くわけではありません。在学中に使い切る前提で計画を立てることをおすすめします。 |
| Q. | 就職支援の充実度で大学を選んでもよいものでしょうか? |
| A. | 判断材料の1つとしては有効だと当社では考えています。ただし、支援制度は「使う人」がいて初めて意味を持つものです。制度の数を比較するよりも、自分が学びたい分野でWIL(単位認定される実習)が用意されているか、その分野の求人が卒業予定の時期に現地にあるか、といった観点で見たほうが実用的です。ご希望の分野が決まっていれば、当社で具体的に確認してお伝えできます。 |
クイーンズランド大学への進学相談はオーストラリア留学センターへ
「支援制度が充実している大学」と「自分が使いこなせる大学」は必ずしも同じではありません。ご希望の専攻でどんな実務経験の機会があるか、英語力や成績が条件に届くか、卒業後のビザまで見据えてどう設計するかを、一緒に整理させてください。
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