
クイーンズランド大学(UQ)の
Master of International Relationsは、国際政治・外交を専門的に学ぶ修士課程です。学部での専攻や実務経験に応じて、1年・1.5年・2年から修了期間を選べます。学べる内容、入学条件、学費、卒業後の進路を整理します。
「国際関係に興味がある」の一歩先にある、”それで何ができるようになるのか”に答えるコースです。
国際関係学(International Relations)は、国と国の関係だけを扱う学問ではありません。安全保障、経済、人の移動、環境、技術——国境をまたいで動くものすべてが対象になります。
UQのこのコースは、まず国際関係の理論と分析の枠組みを固め、そのうえで安全保障・外交・国際協力といった専門領域へ進む構成になっています。
ただ、ここで正直に書いておきたいことがあります。この分野は「興味がある」だけで2年間を走り切るのが難しい領域です。読む英語の量が多く、評価の中心も英語のエッセイとレポートになります。その前提を理解したうえで選ぶ方にとっては、非常に手応えのある学びの場です。
1年・1.5年・2年から選ぶ ― 期間が選べる修士課程

このコースの最大の特徴は、修了までの期間が1年(16単位)・1.5年(24単位)・2年(32単位)の3通り用意されていることです。
どの期間で修了しても、取得できる学位は同じMaster of International Relationsです。期間が短いほど内容が薄くなるわけではなく、「入学時点でどこまで下地があるか」によって履修する科目数が変わる、という仕組みです。
出願時に希望の期間を選びますが、第一希望の条件を満たさない場合は、より長い期間のコースで自動的に審査されます。つまり「1年で出願したら不合格」ではなく、2年ルートでのオファーにつながる可能性があります。
ここは日本の大学院との大きな違いで、当社への相談でも最もよくご説明する部分です。学部の専攻と成績、そして職務経験の3点で、あなたがどの期間の対象になるかがおおよそ見えてきます。
何を学ぶのか ― 理論を固めてから、専門へ進む

学びの入口は、国際関係の理論(Theories in International Relations)と、グローバル化・国際政治経済・開発を扱う科目です。ここで「世界の出来事をどの枠組みで読み解くか」という共通言語を身につけます。
そのうえで、国際安全保障、戦略研究、外交、紛争解決といった専門科目へ進みます。以下は、実際に開講されている科目の例です。
| 科目コード |
土台をつくる科目(開講例) |
| POLS7251 | Theories in International Relations(国際関係理論) |
| POLS7002 | Foundations in Politics, Policy and International Studies(政治・政策・国際研究の基礎) |
| POLS7000 | Writing Politics(政治学のための論文作成技法) |
国際安全保障(International Security)、国際関係理論、そしてグローバル化と国際政治経済・開発を扱う科目は、必修科目として設定されています。
| 科目コード |
安全保障・地域研究の科目(開講例) |
| POLS7211 | International Security(国際安全保障) |
| POLS7208 | International Relations of the Asia-Pacific(アジア太平洋の国際関係) |
| POLS7306 | International Crisis Management(国際危機管理) |
| POLS7325 | Security & Development(安全保障と開発) |
アジア太平洋を扱う科目が揃っている点は、日本からの留学生にとって実利があります。日本を含む地域の安全保障や経済関係を、オーストラリアという別の立ち位置から分析する経験ができるためです。
| 科目コード |
平和構築・実務寄りの科目(開講例) |
| POLS7502 | Conflict Resolution(紛争解決) |
| POLS7512 | Contested Peace: Critical Concepts in Peace and Conflict Studies(平和・紛争研究の主要概念) |
| POLS7777 | International Politics in Practice(国際政治の実践) |
開講科目は学期ごとに変わります。特定の科目を目当てに進学を決める場合は、出願前にその年の開講状況を確認しておくことをおすすめします。
研究(Thesis)か、実務経験か ― 進み方を選ぶ

このコースでは、学びの総仕上げとして研究論文(Thesis)に取り組む道と、現場での実務経験(Fieldwork・Internship)を組み込む道の両方が用意されています。
研究を選ぶべきなのは、博士課程(PhD)を視野に入れている方、研究職やシンクタンクを目指す方、そして特定のテーマを深く掘り下げた実績を履歴書に残したい方です。
一方、就職を優先するなら、実務寄りの科目と実務経験を厚くする方が効果的です。国際政治の実践(POLS7777 International Politics in Practice)のように、実際の政策課題に取り組む科目もあります。
また、大学院生向けのメンターシッププログラム(Graduate Centre Mentorship Program)に参加する機会もあります。在学中から業界の人とつながる場は、留学生にとって特に価値があります。
なお、研究論文の履修には指導教員の確保や成績条件が関わるのが一般的です。「入学すれば誰でも研究に進める」とは考えず、入学後早い段階で学部のスタッフに相談してください。
このコースで目指せる進路

UQが示している進路の例は、政府機関、国際機関、政策分析、NGO、メディアなど多岐にわたります。ただし、これは「この学位を持つ人が進んでいる分野の例」であって、卒業すればその職に就けるという保証ではありません。
| 想定される職種 |
主な活躍の場 |
| 政策担当者(Policy Officer) | 政府機関、地方自治体、公的機関 |
| 政策・アドボカシーのアドバイザー | NGO、業界団体、シンクタンク |
| 国際協力・援助のコーディネーター | 国際機関、開発援助機関、NPO |
| アジア太平洋地域のアドバイザー | 官公庁、民間企業の国際部門 |
| 海外特派員・国際報道の担当者 | 報道機関、メディア企業 |
実際の採用では、学位に加えて「何を経験し、何ができるか」が見られます。インターンシップ、ボランティア、リサーチアシスタント、そして英語でのレポート作成・プレゼンテーションの実績が、応募書類の説得力を左右します。
学位+経験+スキルという組み合わせで考えてください。在学中にキャリアサービスを使い、実際の求人票を読んで「今の自分に足りないもの」を逆算しておくと、卒業後の動き方が変わります。
こんな人におすすめ、そして別の選択肢を検討したい人

このコースが向いているのは、国際情勢を「ニュースとして知る」段階から「分析できる」段階へ進みたい方です。官公庁や国際機関、NGOで働きたい方、企業の国際部門で地域情勢を読む力を求められている方にも適しています。
学部で政治学や国際関係を学んだ方が専門性を深めるのはもちろん、まったく別の分野から方向転換するケースも歓迎されています。学部の専攻を問わず出願できる2年ルートが用意されているのは、そのためです。
もちろん、「まだ方向性が固まっていない」という方もいらっしゃると思います。私は、完璧に自分に合う専攻を探し当てることより、選んだ場所で力を積み上げるほうが結果につながると考えています。読む力・書く力・分析する力は、どの進路でも効いてきます。
一方で、別の選択肢も比べたほうがよい方もいます。実務スキルの習得を最優先したい方、統計やデータ分析を軸にしたい方、政策の設計・実施そのものを学びたい方です。
その場合は、同じUQのMaster of Governance and Public Policy(ガバナンス・公共政策学修士)や、
Master of Peace and Conflict Studies(平和・紛争学修士)も候補に入れて比較することをおすすめします。
また、英語のエッセイを大量に書くことに強い抵抗がある方は、この分野の学び方そのものが負担になりやすい点は正直にお伝えしておきます。
入学条件と、日本の大学からの出願判断

修了年数ごとに入学条件が異なります。まずは全体像を確認してください。
| 修了年数 |
主な条件 |
| 2年(32単位) | 分野を問わない学士号。7段階評価でGPA 5.0以上 |
| 1.5年(24単位) | 関連分野の学士号でGPA 5.0以上。または分野を問わない学士号でGPA 5.0+関連する実務経験3年以上(証明書類が必要) |
| 1年(16単位) | 関連分野のオナーズ学位(1学期分以上の研究プロジェクトを含む)でGPA 5.0以上など |
ここでいう関連分野とは、平和・紛争研究、国際関係、歴史学、政治学、社会学、文化研究、経済学・政治経済学、人類学・エスノグラフィー、法学を指します。
重要なのは、
学部名だけで判断しないことです。条件は「専攻相当、またはプログラム内容のおよそ30%をその分野で履修していること」であり、入門から応用までの科目構成が見られます。
たとえば経済学部でも、国際政治や地域研究をほとんど履修していなければ関連分野として扱われない可能性があります。逆に、文学部や商学部でも履修内容によっては対象になり得ます。
GPAについても、日本の成績表の評価方式は大学ごとに異なり、最終的な換算は出願先の大学が判断します。「評定平均がいくつなら大丈夫」と一律にはお答えできません。成績証明書をお手元にご用意のうえ、お気軽にご相談ください。
英語要件は、IELTS(Academic)総合6.5以上、リーディング・ライティング・スピーキング・リスニングの各バンド6.0以上です。TOEFL iBTは総合87以上、PTE Academicは総合64以上が目安となります。
ただ、入学基準を満たすことと、授業を余裕を持ってこなせることは同じではありません。このコースは読解量とエッセイの比重が大きいため、出願準備と並行してアカデミックライティングに慣れておくことを強くおすすめします。
他大学と比べる ― 何を優先するかで答えが変わる

オーストラリアで国際関係学の修士課程を探すと、必ず名前が挙がる大学があります。優劣ではなく、優先するものによって選択肢が変わる、という観点で整理します。
| 大学 | 期間・学費(年額)と特徴 |
| UQ(このコース) | 1年/1.5年/2年。A$48,080(日本円で約5,433,040円)(2027年度)。ブリスベン・セントルシア。学歴や実務経験に応じて期間を短縮できる。期間と費用を調整したい人に |
| ANU | 2年。A$57,640(日本円で約6,513,320円)(2027年度)。キャンベラ。政府機関が集まる首都という立地で、連邦議員の事務所などで実習できるインターン制度(ANIP)がある。外交・安全保障の実務に近い環境を求める人に |
| メルボルン大学 | 2年。A$48,992(日本円で約5,536,096円)(2026年度・初年度目安)。パークビル。国際法・国際政治経済・国際史を横断。学際的に広く学びたい人に |
期間の柔軟さという一点では、UQが明確に強みを持っています。関連分野の学位や実務経験がある方にとって、1年または1.5年で修了できる可能性は、費用面でも時間面でも大きな差になります。
一方、キャンベラという立地そのものに価値を感じるならANU、幅広い領域を横断したいならメルボルン大学という選び方になります。学費の年度が揃っていない点は、比較の際にご留意ください。
コース概要
| 項目 |
内容 |
| 大学名 | The University of Queensland(クイーンズランド大学/UQ) |
| コース名 | Master of International Relations(国際関係学修士) |
| プログラムコード | 5641 |
| CRICOSコード | 089174J |
| 期間 | 1年(16単位)/1.5年(24単位)/2年(32単位) |
| 学費 | 年額A$48,080(日本円で約5,433,040円)(2027年度・フルタイム16単位の目安)。2年で修了する場合の目安は約A$96,160(日本円で約10,866,080円) |
| 入学時期 | 2月(第1学期)・7月(第2学期) |
| 出願締切 | 第1学期=前年11月30日/第2学期=当年5月31日 |
| キャンパス | クイーンズランド州ブリスベン・セントルシアキャンパス |
| 学位レベル | AQF レベル9(修士) |
情報の最終確認:2026年10月21日(当社にて各大学の最新情報を確認)。学費は毎年見直されるため、出願時点の金額をあらためてご確認ください。
ビザ制度や申請資格は変更される場合があります。最新情報はDepartment of Home Affairsでご確認ください。
個別のビザ相談については、Registered Migration AgentまたはAustralian legal practitionerへご相談ください。
よくある質問
このコースについて、日本からの留学を検討されている方からいただくご質問をまとめました。
修了期間の選び方、学部の専攻が違う場合の出願、そして英語力——実際に多いのはこの3つです。
| Q:1年で修了するコースは、2年のコースより内容が薄いのですか? |
| A:いいえ、取得できる学位は同じです。違いは履修する科目数で、関連分野のオナーズ学位など入学時点の下地がある方が、重複する基礎科目を省いて進むという仕組みです。むしろ1年で16単位を履修するため、1学期あたりの負担は軽くありません。 |
| Q:学部は国際関係とまったく違う分野でした。出願できますか? |
| A:できます。2年ルートは分野を問わない学士号が条件です。ただしGPA 5.0(7段階評価)という成績条件があるため、成績証明書の確認が必要です。関連分野に該当するかどうかは学部名ではなく履修科目で判断されるため、ご自身で「対象外だ」と決めつけないでください。 |
| Q:IELTS 6.5に届いていません。どうすればよいですか? |
| A:大学附属の英語コースを経由して入学条件を満たす方法があります。ただしこのコースは読解量とエッセイの比重が大きいため、条件ギリギリで入学すると初学期が非常に苦しくなります。時間に余裕があるなら、基準を少し上回るところまで仕上げてからの入学をおすすめしています。 |
| Q:働きながら、または研究をしながら修了できますか? |
| A:学生ビザで就学する留学生は、フルタイム履修が前提となります。研究論文(Thesis)に取り組む道は用意されていますが、指導教員の確保や成績条件が関わるため、入学後早い段階で学部のスタッフにご相談ください。 |
| Q:出願はいつまでに準備すればよいですか? |
| A:第1学期(2月開始)は前年11月30日、第2学期(7月開始)は当年5月31日が締切です。ただしビザの審査期間は状況によって変動するため、締切ぎりぎりではなく、余裕を持った出願とオファー受諾をおすすめします。 |
カウンセラーから一言(ブリスベンオフィス 林 真生 / Masuyo Hayashi)
このコースのご相談をいただいたとき、私がまず伺うのは3つです。
1つ目は、卒業後に日本へ帰るのか、オーストラリアでの職務経験を作りたいのか。2つ目は、研究の方向へ進みたいのか、実務側で働きたいのか。3つ目は、学部で何を履修したか、です。
この3つの答えによって、おすすめする修了期間も、比較すべき他大学も変わります。特に3つ目は、ご自身では「関係ない学部だから無理」と判断されている方が少なくありません。成績証明書を拝見すると、実は1.5年ルートの検討余地があった、というケースもあります。
もちろん、条件を大きく下回っている場合に「なんとかなります」と申し上げるつもりはありません。ただ、出願できるかどうかを自己判断で諦めてしまうのは、あまりにもったいないと考えています。
国際関係学は、読んで、考えて、書く——その繰り返しで力がつく分野です。地味に聞こえるかもしれませんが、そこで鍛えた力は、どの業界に進んでも効いてきます。腰を据えて取り組みたい方を、一人でも多くサポートしたいと考えています!
クイーンズランド大学への進学相談はオーストラリア留学センターへ
修了期間の選び方、成績の換算、英語力の準備スケジュール——出願前に整理しておきたいことは意外とたくさんあります。
お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。すべて
無料でサポートしています。