刑事ドラマやドキュメンタリーでよく目にする、事件現場で証拠を採取し、科学捜査によって真実を解明する『鑑識』の世界。この科学の力で事件を解決へ導く学問が『
法科学(Forensic Science)』です。

日本において法科学分野での学びとキャリアは、大学・大学院で理系学部を卒業後に「警察機関内での専門的な研修」が中心になりますが、オーストラリアでは 大学の 学部段階から専攻の一つで、犯罪現場や鑑識機関と連携した実践的なカリキュラムが提供されています。 世界基準の鑑識技術を身につけ、その道のキャリアへ直結する学問の一つです。
もちろん警察(鑑識)がキャリアのすべてではありません。今回ご案内する フリンダース大学では、この『法科学(Forensic Science)』と『分析科学(Analytical Science)』、2つを組み合わせて学びますので、医療・薬物・環境モニタリング分析職、税関検査職などのキャリアも目指せます。
フリンダース大学 法科学の主な特徴
オーストラリアの大学の中でも法科学は 特定の大学でのみ開講しています。その中の一つが フリンダース大学です。
南オーストラリア州アデレードにある
フリンダース大学(Flinders University)は、オーストラリア国内において法科学・分析科学(Forensic Science / Analytical Science)分野で非常に強い実績と定評を持つ大学です。そして 犯罪学(Criminology)と組み合わせることで 文理融合型のダブルディグリーとして人気のコースの一つでもあるんです。
警察や関係機関との強力なコネクション
南オーストラリア州警察(SAPOL)や州立の鑑識機関である
Forensic Science SA(FSSA)、
オーストラリア国防科学技術グループ(DSTG)と密接な協力関係にあり、南オーストラリア州での 法科学(Forensic Science)分野の研究・教育はフリンダース大学が一手に引き受けています。
- 実務実践的な環境
模擬犯罪現場(Simulated Crime Scene)施設や最新鋭の分析・DNAラボを大学内に完備しています。
- 研究・インターン
Honours(優等学士課程)や修士課程では、各協力関係機関と共同で実践的な研究プロジェクトを行います。
フリンダース大学の法科学コースにおける 実用的なトレーニング(高度な実験室での実務経験や実践的トレーニング)では、最先端の法科学・化学研究室を舞台に「事件現場から法廷まで(From crime scene to courtroom)」を想定した極めて「実践的なカリキュラム」構成になっています。
高度なラボ設備での実践的スキルの習得
学生は大学内の最先端のラボで、実際に分析機器や最新の分析法を扱いながら、以下のような技術を深く学びます。
- 証拠の適切な取り扱いと実生活に即した分析手法
- DNAプロファイリング(DNA Profiling)
- 毒物学分析(Toxicology)
- 微細証拠分析(Trace Evidence)(繊維や塗料などの微細な痕跡の分析)
- 高度な分析機器(Analytical Instruments)の操作方法
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犯罪現場から法廷までをカバーする統合的トレーニング
科学的な測定技術を学ぶだけでなく、それを司法プロセスに直接適用するための「実社会の手法(real-world methods)」を身につけます
犯罪現場管理と再構成(Crime Scene Management & Reconstruction)
証拠の収集から、微細なDNAや痕跡がどのように移動し、残留し、回収されるかを科学的に解明するプロセスを習得します |
証拠の評価と裁判に向けた解釈(Evidence Evaluation & Interpretation)と専門家証人としての訓練(Expert Witness Training)
自ら分析して作成した技術報告書を基に、分析結果や科学的見解を法廷で専門家として証言・説明する訓練を行います。 |
世界的な専門家から学ぶ「生きた現場の知恵」
最先端の知識と実用的なスキルの開発をサポートするため、世界的な法科学研究者や実務家が直接クラスで指導にあたっています。
プロフェッショナルの教師陣のもと 統合的なトレーニングにより、「科学(Science)」と「司法(Justice)」の架け橋となる高度な実践力を身につけることができます
「法化学」OR「法生物学」の編成の他、「デジタル法科学」もある
- Forensic Chemistry(法化学)
- Forensic Biology(法生物学)
- Digital Forensics (デジタル法科学)
の3つがあります。
フリンダース大学のプログラムは、Bachelor of Science で主専攻を Forensic and Analytical Science を選択し受講します。
同じサイエンス学部で、他の専攻と違う点は 実は 単独コースという扱いになり、2年次に他の専攻から Forensic and Analytical Science に変更・選択することができません。
1年次から 他のサイエンスとは選択科目等が異なってくるためです。
1年生では法科学の基盤、2年次から 専門分野を深く掘り下げられる設計になっていて、それぞれ希望のキャリアの方向性で2つのストリームがあります。
Forensic Chemistry(法化学)は、薬物・毒物解析、微小証拠(線維・火薬・ガラスなど)の分析。
Forensic Biology(法生物学)は DNA型鑑定、体液識別、分子生物学的アプローチ。
2年次から2つのストリームのいずれかを選択します。
Digital Forensics(デジタル法科学)は、 昨今のサイバー犯罪の解明に特化した 内容を履修します。
Digital Forensics は、サイエンスの法科学( Forensic and Analytical Science)とは異なったストリームで学びますので、Bachelor of IT の 主専攻として選択します。
提供されているコース
フリンダース大学では、学士号、修士号と2つのレベルで 法科学のコースが開講しています。
それぞれを見ていきましょう。
学部課程(Bachelor)
Bachelor of Science (Forensic and Analytical Science)(3年制)が、最も標準的なコース。1年次は 化学・生物・法科学の基礎から学びます。選択授業では犯罪学等の科目も履修可能です。2年次から 専門ストリーム(法化学 または 法生物学)を選択します。
| コース | Bachelor of Science (Forensic and Analytical Science) |
| 期間 | 3年間 |
| 入学 | 3月、7月 |
| 学費 | 年間 43,500ドル(約4,915,500円)(2027年度) |
| 条件 | IB 24以上、SAT 1,020 以上、または 大学付属の Foundation(8〜12ヶ月)を終了すること) |
| 英語 | IELTS Academic overall 6.0(Writing 6.0、Speaking 6.0)以上) |
「Forensic and Analytical Science(法科学・分析科学)専攻は、こんな人にオススメ!」
「なぜ?」「どうやって?」を追及するのが好きな探求心旺盛な人、小さな痕跡やデータから何が起きたのかをロジカルに読み解く面白さを感じる人、そして、法科学や分析科学の根幹は化学と生物学です。薬物分析、毒性学、DNA型鑑定、環境物質の検出など、これらの基礎知識を応用することを楽しめる人に適しています。
文理融合ダブルディグリーの
Bachelor of Science (Forensic and Analytical Science) / Bachelor of Criminology(4年制)は、実は現地オーストラリア人の学生に人気のあるコースです。自然科学アプローチ(証拠分析)と犯罪学アプローチ(犯罪者の心理・社会背景・刑事司法制度)の両面から学びを深めます。
| コース | Bachelor of Science (Forensic and Analytical Science) / Bachelor of Criminology |
| 期間 | 4年間 |
| 入学 | 3月、7月 |
| 学費 | 年間 43,500ドル(約4,915,500円)(2027年度) |
| 条件 | IB 25以上、SAT 1,100 以上、または 大学付属の Foundation(8〜12ヶ月)を終了すること |
| 英語 | IELTS Academic overall 6.0(Writing 6.0、Speaking 6.0)以上) |
昨今、サイバー犯罪はものすごい勢いで増加しています。詐欺、不正アクセス(情報漏洩)などの実態を明らかにする知識やスキルを Bachelor of IT (Digital Forensics) で学びます。
| コース | Bachelor of Information Technology (Digital Forensics) |
| 期間 | 3年間 |
| 入学 | 3月、7月 |
| 学費 | 年間 43,600ドル(約4,926,800円)(2027年度) |
| 条件 | IB 25以上、SAT 1,100 以上、または 大学付属の Foundation(8〜12ヶ月)を終了すること |
| 英語 | IELTS Academic overall 6.0(Writing 6.0、Speaking 6.0)以上) |
Bachelor of Information Technology(IT学士)における Digital Forensics(デジタルフォレンジック)専攻 と Cyber Security(サイバーセキュリティ)専攻 の最大の違いは、「
事件が起きる前の予防」に注力するか、「
事件が起きた後の調査・証拠収集」に注力するかという時間の軸(タイムライン)と目的にあります。
Digital Forensics(デジタルフォレンジック専攻)は、ハッキング被害、データ漏洩、あるいは企業内の不正が発生した際、ハードディスク、スマートフォン、クラウド、メモリから消去されたデータを復元・解析します。
「誰が・いつ・どのような手段で侵入し、何を盗んだのか」を法的に立証できる形でレポート化する技術と、サイバー犯罪に関連する法律知識を学びます。
「Digital Forensics(デジタルフォレンジック)専攻は、こんな人にオススメ!」
正義感が強く細かいログやデータを紐解く探偵的な調査が好き、サイバー犯罪捜査や法制度との関わりに興味がある、原因究明や謎解きが得意な人に向いています。
大学院課程(Master)
Master of Forensic Science(2年制)は、化学や生物などの理学士号(サイエンス)をすでに取得している人向けの大学院プログラムです。学士号でサイエンスを修了した学生に対して更に 法科学の専門性を身に着け、キャリアに繋げるまでが セットになっています。法科学分野の専門職を希望する方にオススメの進路です。
| コース | Master of Forensic Science (Forensic and Analytical Chemistry) |
| 期間 | 2年間 |
| 入学 | 3月、7月 |
| 学費 | 年間 46,000ドル(約4,926,800円)(2027年度) |
| 条件 | 学士号(関連学部)を終了。化学(2年生レベル以上)を履修済みの方 |
| 英語 | IELTS Academic overall 6.0(Writing 6.0、Speaking 6.0)以上) |
| コース | Master of Forensic Science (Biology) |
| 期間 | 2年間 |
| 入学 | 3月、7月 |
| 学費 | 年間 46,000ドル(約4,926,800円)(2027年度) |
| 条件 | 学士号(関連学部)を終了。生物学(2年生レベル以上)を履修済みの方 |
| 英語 | IELTS Academic overall 6.0(Writing 6.0、Speaking 6.0)以上) |
見込まれるキャリア
フリンダース大学の法科学プログラムを修了した卒業生は、法執行機関、政府機関、医療機関、研究機関などの幅広い分野で必要とされています。研究室、犯罪捜査、さまざまな科学産業において、高度な化学・生物学的技術を活用した以下のようなキャリアのスタートを目指す人はぜひ検討してください。
| 法科学者(Forensic Scientist) | 警察の科学捜査部門、政府の研究所、民間のコンサルティング企業等で、DNAや指紋、毒物、微細な証拠の分析を行います。事件サンプルの分析や技術報告書の作成、法廷での専門家としての証言などを担当します。 |
| 毒物学者(Toxicologist) | 医療、環境モニタリング、法執行の分野において、化学物質や薬物、毒素が人や環境に与える影響を調査します。生体サンプルの薬物・アルコール分析や、化学物質の安全性規制に関わります。 |
| 分析化学者(Analytical Chemist) | 物質の組成を研究し、製薬、食品安全、環境分野で正確な測定方法を開発します。 |
| 品質保証マネージャー(Quality Assurance Manager) | ラボの分析手法やプロセスが、厳しい品質基準や規制を満たしているか監督・監査します。 |
| 研究科学者(Research Scientist) | DNAプロファイリングや毒物分析などの新しい手法の研究開発に携わります。 |
| 税関分析官(Customs Laboratory Officer) | 水際対策として、輸入される物質の化学的・生物学的分析を行い、違法薬物や有害細菌などの国内流入を防ぎます。 |
| サイバー犯罪分析官(Digital Forensics Analyst) | コンピュータ、モバイルデバイス、ネットワークなどからデータを回収・分析して捜査を支援します。サイバー犯罪や詐欺、システム侵害などを解明し、裁判などの法的手続きで証拠として提示する役割も担います。 |
| インシデント対応スペシャリスト(Incident Response Specialist) | サイバー攻撃の発生時に対処し、被害を食い止め、システムを復旧します。主にセキュリティ・オペレーション・センター(SOC)やコンサルティング会社で活動します。 |
| サイバー犯罪捜査官(Cybercrime Investigator) | オーストラリア連邦警察(AFP)などの機関と協力し、オンライン詐欺や不正アクセスなどのネット犯罪を捜査します。デジタル証拠の収集・分析、オンライン活動の追跡を行い、ハッキングや金融犯罪などの起訴に向けたサポートを提供します。 |
| マルウェア・アナリスト(Malware Analyst) | ウイルスやランサムウェアなどの悪意あるコードを詳細に分析し、その攻撃手法の解明と防御ツールの強化に貢献します。 |
| IT監査人(フォレンジック分野)(IT Auditor (Forensic)) | ITシステムのセキュリティ監査や法的・財務的なシステム検証。 |
日本の普通高校からの進学
日本の高校卒業時に 大変優秀な成績 であれば、IELTS証明の英語力証明も含めて、学士号への直接入学の可能性もありますが、一般的には 高校の成績 + SAT試験の成績などになります。また Bachelor of Science (Forensic and Analytical Science) の場合、高校での数学の履修は必須になり、化学、物理、生物のいずれかから1つを履修済みで高い成績を求められます。
もし高校の成績から 直接のBachelor 入学が難しい場合は、フリンダース大学付属の Flinders University Academy の Foundation コースを経由して、大学1年生へ進学可能です。
より詳しくは、以下の フリンダース大学への進学方法をご参照ください。
オーストラリアの大学進学へのご相談は オーストラリア留学センターへ
オーストラリアで法科学コースをご検討中の方は「フリンダース大学」を始め「全豪 28大学」の 公式出願窓口であるオーストラリア留学センターへお気軽にご相談ください!
オーストラリア留学センターは、「卒業までみまもるエージェント」として、学校選定のご相談から出願手続き・現地到着後の相談までをすべて無料で行っております。オーストラリア 6都市(シドニー、メルボルン、ブリスベン、パース、アデレード、ゴールドコースト)にオフィスを構えているため、大学と連携したサポートが可能です。