現在、世界人口の大部分は都市部に生活しており、2050年には世界人口の70%が都市で暮らすと予想されています。

この、各国の急速な”都市化”は、大気汚染や、交通渋滞、インフラ整備の遅れ、教育、医療の都市部集中などの問題を起こしており、また、国によっては都市固有の気候への対応も求められています。
そこで世界的な都市化の流れに対して、都市の役割に応じて総合的な判断ができる都市デザイナー(Urban Desiner)が求められるようになりました。
今まで、「都市デザイン」の分野は、一般的な建築関連職の追加科目や、アドオンとしての分野として考えられていましたが、現代的な職業としての都市デザインの重要性が再認識され、今回新しく、修士課程(Master)として開講されることになりました。
クイーンズランド大学のMaster of Urban Development and Designは、都市デザインの他、建築、土木工学、計画、政策、経済学、ビジネスリーダーシップに関する分野を学び、「世界の都市を再構築できるレベルの都市デザイナー」を目指すコースです。
※2020年現在、Master of Urban Development and Designを学べるのはオーストラリア国内で2大学のみ(クイーンズランド大学と、ニューサウスウェールズ大学)になります。
急激に進む、世界の”メガシティ化”

人口1,000万人以上の都市は「メガシティ」と呼ばれています。このメガシティ、1990年にはわずか10都市ほどでしたが、2020年現在では38都市に増え、2030年には43都市にのぼる見込みです。
ちなみに、現在の世界最大の都市圏は、通勤圏である近郊地域を含め人口3,700万人を抱える東京です。ただ、少子化の影響等により2028年にはニューデリーに抜かれる見通しです。
その中で、今後の都市人口の増加の大部分は、アジアやアフリカなどの新興国で進むということも予想されていますが、新興国では今後次々に新しい都市が出現し、それらの都市に人口が集中すると見込まれています。
ここ、オーストラリアもシドニーが523万人、メルボルンは494万人の人口となり、まだメガシティではありませんが、すでに成熟状態といわれています。
それでもオーストラリアは、今後45年間で人口が2倍に増加することが見込まれており、シドニーやメルボルンに限らず、その他の都市部で暮らす人口は大幅に上昇する予定です。
クイーンズランド大学のMaster of Urban Development and Design

Master of Urban Development and Designのコースでは、都市開発やデザインの基礎科目(Part A)を22単位取得し、加えて各専門分野となるPeople and Policy、Infrastructure and Resources、Economics and Strategy(Part B)のいずれかから10単位を学び、合計で32単位を取得します。
全科目共通の必須科目
下記の科目は、どの専門分野を学ぶ場合も受講が必要な科目となり、主に都心設計の概念(Urban Design)を中心に学びます。
下記の全て5科目-18単位 |
- Urban Design: Micro Urbanism
- Urban Design: International Masterclass
- Urban Design: Urban Futures
- Contemporary Urbanism Theory and Practice
- Urban Design: Responsive Environments
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下記のいずれかから2科目-4単位 |
- Managing Organisational Behaviour
- Wise Leadership
- Leadership: Theory & Practice
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People and Policy
都市開発や設計を進める上で、人々が都市をどのように利用するかを調べる方法を学びます。この中には、都市で生活する人々が公共政策の影響を受け、どのように統治されていくかも学び、地域コミュニティ作りに関する授業も行われます。
Part B(下記の全て)2単位 |
People and Policy
- Community Planning & Participation
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Part A(下記のいずれかから4科目)8単位 |
- Global Population Issues
- Fundamentals of Geographic Information and Technologies
- Geographical Information Systems
- The New Psychology of Health
- Dynamics of Governance
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Infrastructure and Resources
Infrastructure and Resourcesの分野では、交通システムや滞在者や旅行者の行動が都市デザインに与える影響について学びます。また、資源の持続可能な利用(特に水管理)に焦点を当てた授業や、気候変動が与える影響についても学びます。
下記の1科目-2単位 |
- Resource Management & Environmental Planning
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下記のいずれかから4科目-8単位 |
- Sustainable Transport Engineering – Planning and Design
- Travel Behaviour and Transport Modelling
- Environmental Risk Assessment and Management
- Sustainable Built Environment
- Urban Hydrology
- Climate Change and Environmental Management
- Transport Planning
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Economics and Strategy
都市環境の開発は、資本活動にも大きく関係します。その中で、経済学が都市開発にどのように影響を与えるか、また、ミクロ経済学とマクロ経済学の知識と、それらに必要なスキルを学びます。さらに、コースを終えるまでに、不動産開発に関するテーマを元にした研究等も行われます。
下記の1科目-2単位 |
- Principles of Strategic Management
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下記のいずれかから4科目-8単位 |
- Economics for Commerce
- Benefit-Cost Analysis & Project Evaluation
- Economic Development
- Globalisation and Economic Development
- Principles of Entrepreneurship
- Destination Management & Marketing
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大学名 | クイーンズランド大学 |
キャンパス | ブリスベン |
コース | Master of
Urban Development and Design
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期間 | 2年 |
入学日 | 2月,7月 |
費用 | 1年間 42,272ドル(2021年度)X2年間=84,544ドル(1ドル75円計算で約654万円) |
英語 | IELTS6.5(リーディングとセクション6.0以上)または、TOEFL iBT87(リスニング/リーディング 19点以上、ライティング21以上、スピーキング21以上) |
成績基準 | 建築/建築デザイン、ランドスケープアーキテクチャー、地域・都市計画または都市計画に関連する学士号を修了しており、学士課程のGPAが2.35以上 |
こんな方にオススメ/H2>

今後も、世界の人口が増加するにつれ、都市や郊外の人口密度は増加し続けます。
都市には、雇用の創出、より良い生活の提供、コミュニティの構築など、様々な役割が求められ、優れた都市デザイナーになることは、これまで以上に重要とされています。
「住みやすく、人が集まる場所や空間を提案したい」「現在の都市を、魅力ある都市に再デザインしたい」そんな目標を持つ方に、是非参加してほしいコースです。