
こんにちは、ブリスベンオフィスの林です。
2026年9月、ブリスベンもようやく春らしくなってきました。この時期は、2027年の進学に向けて大学選びを本格的に始める方が増えてくる頃です。そのブリスベンから、進学先の考え方が少し変わるかもしれないニュースが届きました。
Griffith University(グリフィス大学)が、2027年にブリスベンCBDへ新しいキャンパスを開設します。場所は、Queen Streetに建つ歴史的建造物「
Treasury Building」です。
大学が街の中心に移ると聞いても、最初は場所が変わるだけの話に思えるかもしれません。ただ、Business、Law、ITを学ぶ環境そのものが変わる話でもあるので、2027年入学を検討している方は一度目を通しておいてよいと思います。
あのTreasury Buildingが、そのまま大学になります
新キャンパスとして使われるTreasury Buildingは、1886年から1928年にかけて段階的に建てられた、ブリスベンを代表する歴史的建造物の一つです。
もともとはクイーンズランド州のTreasury Department(財務省)が入っていた建物で、その後はカジノとして長く使われてきました。ブリスベンに住んだことのある方には、Treasury Casinoと言ったほうが早いかもしれません。
Griffith Universityは、この外観と建築的な価値を残したまま、内部を現代的な大学施設へ大規模に改修しています。中庭部分には、自然光を取り込むための大きな天窓も設けられる予定です。
新しいビルを建てるのではなく、100年以上前の建物の中に最新の設備が入る。オーストラリアの大学キャンパスとしても、かなり珍しい形だと思います。
開講後は、1階(Elizabeth Street側)と2階(Queen Street側)が一般にも開放される予定です。修復されたヘリテージルームの見学ツアーも計画されています。
Griffithの学生でなくても建物の中に入れるということなので、ブリスベンに滞在中の方は一度のぞいてみるとよいと思います。
Queen Street側の正面には、歩行者用のエレベーターが新しく設けられます。歴史的建造物にありがちな「入口に段差しかない」という状態を避けるための工事です。
出典:
COX Architecture「Transforming the Treasury Building for Griffith University」
場所はQueen Street、開講は2027年Trimester 1
Brisbane City Campusは、ブリスベン中心部のTreasury Buildingを大学施設として使うプロジェクトです。
所在地は
21 Queen Street, Brisbane City QLD 4000。Queen Street Mallのすぐ近くで、周りには州政府の機関や企業のオフィスが並んでいます。
これまで、ブリスベンでGriffith Universityといえば、緑に囲まれたBrisbane South(Nathan)キャンパスを思い浮かべる方が多かったと思います。2027年からは、その反対側にある「街の真ん中で学ぶ」という選択肢が加わることになります。
授業の開始は
2027年のTrimester 1を予定しています。
規模も小さくありません。2028年までに6,000人を超える学生と200人のスタッフがこのキャンパスを使う見込みで、2035年には約7,000人という数字も出ています。
出典:
ArchitectureAu「Brisbane’s Treasury Building set to be transformed into university campus」/
The Urban Developer「Griffith Scoops Up Brisbane’s Treasury Building」
Brisbane City Campusではどの分野を学べるのか
現時点で発表されている中心分野は、Business(ビジネス)、Government(政府・公共政策)、Law(法学)、Information Technology(IT)の4つです。学士課程だけでなく、大学院課程やExecutive EducationについてもBrisbane City Campusで提供される予定です。
Business|企業に囲まれた場所でビジネスを学ぶ
Business系の学生にとって分かりやすいメリットは、キャンパスがそのままブリスベンのビジネス街の中にあることです。
周辺には企業、金融機関、政府機関、各種団体が集まっています。大学はこの立地を生かして、インターンシップやWork-Integrated Learningなど、実務と結びついた学習機会を広げていく方針を示しています。
Treasury Building内には、Business・Financeの学生向けに「Financial Trading Room」も設置される予定です。

写真はトレーディングルームです。なお、この記事の写真は、Treasury Buildingのもの以外は既存キャンパスで撮影したものか、イメージ写真です。
教室で理論を学ぶことと、実際の金融の現場を想定した環境で手を動かすことは、同じ内容を扱っていても身につき方が違います。この設備は、新キャンパスの分かりやすい特徴の一つになりそうです。
Law|Moot Court(模擬法廷)も設置予定
Lawを学ぶ学生向けには、専用の「Moot Court(模擬法廷)」が設けられます。ここには、クイーンズランド州の旧最高裁で使われていた1900年代初頭の家具が転用される予定です。
法学で求められるのは、条文の知識だけではありません。法廷を想定して主張を組み立て、その場で議論する練習も同じくらい重要になります。
しかもブリスベンCBDには、裁判所や法律事務所、政府機関が集中しています。Lawを学ぶ場所として、この移転は理にかなっていると思います。
日本の高校を卒業してから法学を目指す方はBachelor of Laws (Honours)、すでに他分野の学士をお持ちの方はJuris Doctorが、検討の入口になります。
IT|Cyber Rangeなどの専門設備を導入
Information Technology(IT)の学生向けには、「Cyber Range」と呼ばれるサイバーセキュリティの実践的な演習設備が用意されます。
Griffith Universityは、CBDという立地を生かして、テクノロジー企業を含む業界とのWork-Integrated Learningの機会も広げていく方針です。
ITの勉強をしながら、業界の人と接点を持ちやすい場所にいる。卒業後のキャリアを考えると、この差は小さくないと思います。
実際に開講が案内されているコース一覧【当社調べ】
ここからは、当社が確認した内容です。2026年9月時点で、Griffith Universityが公開している全353プログラムを1件ずつ確認しました。
その結果、留学生が出願できるコースのうち
79件で、Treasury Buildingでの開講が案内されていました。
案内は2種類あります。56件は「Brisbaneでの開講がTreasury Buildingになる」というもの、23件は「一部の科目のみTreasury Buildingで開講される」というものです。この違いは大きいので、分けて掲載します。
「Griffithの2027年入学=全員がCBDに通える」ではありません。
Treasury Buildingでの開講が案内されているかは、コースごとに違います。たとえばMBAは2つあり、2027年から始まる新しいMBA(5785)は100%オンライン専用で、Treasury Buildingの案内はありません。もう一つのMBA(5158)は「masterclass形式のセッションをTreasury Buildingで受けられる」という案内で、通学制のコースではありません。希望するコースのDegreeページでCampusの記載を必ず確認してください。
Diploma(進学準備課程)は、Treasury Buildingではありません。
留学生向けのDiplomaを提供しているのは
Griffith College(CRICOS Provider 01737F)で、Griffith University本体とは別の教育機関です。授業はBrisbane City Campus(333 Ann Street)とGold Coastで行われています。同じ「Brisbane City」でも、Treasury Building(21 Queen Street)とは別の建物ですので、混同しないようにしてください。Griffith Collegeも将来的にはTreasury Buildingに入る計画が示されていますが、時期は公表されていません。なお、Griffith University本体にもDiplomaコースはありますが、こちらは国内学生向けのため、上の一覧には含めていません。
学士課程(単一学位)
大学院課程
ダブルディグリー
2つの学位を同時に取得するコースです。こちらもBrisbaneでの開講がTreasury Buildingになると案内されています。
一部の科目のみTreasury Buildingで開講されるコース
次のコースは、コース全体ではなく「一部の科目がTreasury Buildingで開講される予定」という案内です。残りの科目はBrisbane South(Nathan)やGold Coastで受けることになりますので、キャンパス間の移動が発生する可能性があります。
各コースの最新の開講キャンパスは、Griffith Universityの
Treasury Building公式ページと、各Degreeページで確認できます。なお、この案内が国内学生向けの表示にのみ出ているコースもあります。理由までは確認できていませんので、気になる場合は出願前に当社へご相談ください。
24時間使える図書館もあります
Treasury Buildingには、専門分野ごとの設備だけでなく、日々の学生生活を支える施設も計画されています。
Treasury Buildingに計画されている主な施設
| 施設 |
内容 |
| 学生用の図書館 | 24時間利用できる |
| Financial Trading Room | Business・Financeの学生向け。金融取引の現場を想定した設備 |
| Moot Court | Lawの学生向けの模擬法廷。旧最高裁で使われていた家具を転用 |
| Cyber Range | ITの学生向けのサイバーセキュリティ演習設備 |
| 共同学習スペース | グループでの学習用 |
| Student Hub | キッチン設備つきの学生スペース |
| Food Pantry | 学生向けの食料サポート |
| カフェ・飲食施設 | 館内に3店舗 |
| イベントスペース | 展示やイベント用 |
| End-of-trip facility | 自転車通学者向けの駐輪スペースなど |
| Multi-faith room | 祈りのための部屋 |
| Low-sensory space | 静かに過ごせる部屋 |
なお、Treasury Buildingで授業を受けていないGriffith Universityの学生も、一部の施設は利用できる予定です。Nathanで授業を受けた日に、CBDで用事を済ませてから自習する、といった使い方もできそうです。
アクセスは公共交通機関が前提になります

Brisbane City Campusのもう一つの特徴が、交通アクセスです。
Treasury Buildingの目の前にはGriffith University専用のバス停が設けられ、Queen StreetとCultural Centreのバスインターチェンジ、鉄道駅、フェリー乗り場も徒歩圏内にあります。
Brisbane Metroも走っているため、Brisbane South(Nathan)キャンパス方面との行き来も、1時間に複数便が確保される見込みです。
自転車で通う場合は、館内にEnd-of-trip facility(駐輪スペースなど)が計画されています。
一方で、Treasury BuildingにGriffith University専用の駐車場は設けられません。車で通うことを前提に住む場所を決めると、後から困る可能性があります。CBDのキャンパスに通う前提であれば、公共交通機関で通える範囲から家を探すほうが現実的だと思います。
South Bankと合わせて「Brisbane City Campus」です

少し分かりにくいのですが、Griffith Universityの「Brisbane City Campus」は、Treasury Buildingだけを指す名前ではありません。
これまでSouth Bankにあった、Queensland College of Art and Design、Griffith Film School、Queensland Conservatoriumなどのエリアと、新しくCBDに開くTreasury Buildingを合わせて、Brisbane City Campusという一つのキャンパスとして扱われます。
つまり、Brisbane Riverを挟んで次のような形になります。
| エリア |
主に学べる分野 |
| CBD側 | Business・Government・Law・ITなど |
| South Bank側 | Art・Design・Film・Musicなど |
川の両岸に分野の違うキャンパスが並ぶ、かなり大きな都市型キャンパスになります。出願書類や大学からの案内で「Brisbane City」と書かれていても、それがCBD側なのかSouth Bank側なのかは分野によって変わりますので、そこは確認しておいたほうが安全です。
2027年入学の出願はすでに始まっています
今回Griffith Internationalから届いた案内では、Brisbane City Campusで予定されているプログラムについて、2027年入学の出願受付がすでに開始されています。

さらに、新キャンパスの開設を記念して、最初のInternational Student 100名を対象にした特別なWelcome Packも用意されるとのことです。詳細は今後改めて発表される予定です。
100名という枠を聞くと急いだほうがよいように感じますが、Welcome Packのために出願先を決める必要はないと思います。まずはコース内容と入学条件を確認して、そのうえで早めに動く、という順番で十分です。
留学生にとって、Brisbane City Campusはどうか

今回の発表は、特にBusiness、Law、ITを希望する方にとっては、押さえておきたいニュースです。
ブリスベン中心部で大学生活を送りたい、企業や業界との距離が近い場所でBusinessを学びたい、LawやITを実践的な設備のある環境で学びたい、卒業後のキャリアも意識して大学を選びたい。こういった希望をお持ちの方には、検討する価値のあるキャンパスだと思います。
もちろん、CBDのキャンパスが誰にとっても正解というわけではありません。緑の多い環境でじっくり勉強したい方や、生活費を抑えたい方にとっては、Nathanのほうが合っていることもあります。街の中心にあるほうが良い大学、という話ではないからです。
ちなみに、夜のTreasury Buildingはこんな様子です。

ライトアップされると、昼間の落ち着いた石造りの外観とはずいぶん印象が変わります。
CBDの中心にあるキャンパスなので、夕方まで授業があった日の帰り道は、こういう景色の中を歩くことになります。
そして、忘れずに確認していただきたい点が一つあります。2027年のTreasury Buildingでの授業開始は、現時点ではあくまで予定です。建設・改修の状況によっては、一部の授業が他のGriffith Universityのキャンパスで行われる可能性があることも、大学から案内されています。
2026年末から2027年初めにかけて、当社もTreasury Buildingを実際に見学する予定です。

先日はGriffith UniversityのTom氏がブリスベンオフィスに来て、新キャンパスについて最新の情報を共有してくれました。
私も見学に参加しますので、中の様子や設備については、見てきたあとにこの記事へ追記します。
2027年の進学を考えている方は、希望するコースがBrisbane City Campusの対象になっているかどうかを含めて、最新の情報を確認しながら出願を進めてください。判断に迷う部分があれば、オーストラリア留学センターまでご相談ください。