4週間の有給インターンシップ
パースでの2度目の夏休み(2023年12月〜2024年1月)は、4週間の有給インターンと3週間の休暇であっという間に過ぎ去りました。
石油・ガス会社でのインターンシップ・プログラムは、毎日が刺激の連続でした。300人超が属するファイナンスチームでは、売上商品の管理に関わり、日本への輸出の多さに驚くと同時に、
日本人であるからこそ活躍できる機会がこの会社ではあるのでは、と強く実感しました。
プログラムの最後には、ファイナンス人事担当やラインマネージャーの前で、鉱物資源特有の会計処理と会社が採用する原価計算方式に関するプレゼンテーションもしなければならず、大学院での学びを実戦に応用する最適の場でした。
4週間のプログラム中に最も注力したのは、ネットワーキングです。女性や留学生としての働きやすさを知るため、またプレゼンテーションに必要な情報を収集するため、同じチームの社員や若手社員だけではなく、様々な部署やサークルの社員に積極的にコーヒーキャッチアップ(面談)をお願いしました。
渡豪後に学んだことですが、オーストラリアでは頻繁にコーヒーキャッチアップという言葉を聞きます。文字通り、コーヒー屋さんでの友人との近況報告等にも使えますが、人脈を利用しての採用が多用されるオーストラリアのビジネス環境では、採用活動や知見交換のためのカジュアルな面談を指すことも多々あります。緊張が続き、疲れた4週間でしたが、最終的には、
プログラム中のパフォーマンスを元に、2025年の新卒採用の内定をもらうことができ、卒業後もパースに滞在する選択肢が増える、実りのある経験でした。
3週間の休暇中は、ワイン産地として有名なマーガレットリバーへ出かけたり、パース随一の観光名所であるロットネス島を訪れたり、フィジーで新年を迎えたりと、少し慌ただしくも、気分をリフレッシュし、元気を回復するには最高の時間でした。
履修科目
2024年から本格的にChartered Accountant Australia New Zealand(CAANZ/オーストラリア・ニュージーランド公認会計士資格)の科目が始まりました。大学院の科目に比べ、短い開講期間で、より広範囲に及ぶ難易度の高い内容を扱うため大変です。時々弱気になってしまうこともありますが、一歩ずつ前に進んでいることに感謝です。
Financial Accounting and Reporting
財務会計の総集編であり、会計士科目の中でも難関と言われている科目の1つです。国際会計基準を適用しながら、様々なケーススタディに取り組みました。最終考査はオンライン試験で、準備した資料は閲覧可能なため、多くの時間を試験のためのエクセル作成に費やしました。毎週のワークショップでは、熱心に取り組むクラスメイトたちから良い刺激をもらいました。
Business Performance
管理会計の科目で、事業の計画やモニタリングに加え、成果の測定、評価、報告など、さまざまなトピックを扱いました。財務情報と非財務情報の相互関係、感応度分析、資金調達と投資オプションについても学びました。 実際のビジネスでの意思決定の経験が浅い私にとっては、理解に時間がかかるトピックもありましたが、無事に合格することができ、ほっとしています。
Tax
オーストラリア税務は会計士科目の中でも最難関と言われ、合格率も低めです。所得税を中心に、消費税やフリンジベネフィット税(オーストラリアの福利厚生税)の適用を学びました。覚悟はしていたものの、想像以上に扱う範囲が広く、圧倒されました。数え切れない規則の上に、様々な例外条件があり、関連用語や言い回しも慣れていないものが多く、今までに受講した科目で最も苦戦しました。ただ、オーストラリアでは収入がある人は誰でも確定申告が義務付けられているため、勉強中に自分の確定申告に関連する項目を見つけることができ、実生活に非常に役立つ科目でした。
Audit and Risk
財務諸表の監査業務を計画、実施、終了する際に必要となる知識を、ケーススタディを通して学びました。監査は、様々な基準もありますが、多くの場面において監査人の「職業的専門家としての判断(professional judgement)」と「職業的懐疑心(professional skeptism)」が非常に重要です。アルバイトで外部監査を経験していましたが、監査はある意味で抽象的な分野であり、また案件毎に異なる対処が求められるため、勉強の手応えを得ることが難しい科目でした。
留学前の目標に対する今の気持ち
修士号も終盤を迎えました。今学期に特に感じたことは、修士号の勉強は結局のところ個々の成果にあり、長期に渡り自分を律し、高い集中力とモチベーションを保っていなければならず、時として非常に孤独になりうるということです。週末になると友人と遊びに行ったり、寮でパーティーをしたりしていた学部時代の交換留学とは、全く異なる能力が試されます。夜に図書館から帰る道で、月を眺めながら日本からの物理的な遠さを改めて実感したり、試験に合格できなかったらどうしようと不安に駆られたりした日々は少なからずあります。同時に、
海外の高等教育機関で勉強できる機会がどれほどに貴重であるか、その重みを理解し、学んだことを卒業後の進路に直結させることができるのが大学院留学の魅力でもあると感じます。
試験終了後は西オーストラリア州の自然を満喫

勉強面で苦労した学期でしたが、試験終了後には、ブルームというオーストラリアの北西に位置する街を訪ね、絵画のように美しい絶景と生まれて初めて見る野生の鯨に癒されました。
ブルームは「真珠の街」として知られているだけではなく、「月への階段」という珍しい自然現象や赤い岩石の海岸、透き通る海と遠浅の白浜ビーチから眺める夕陽など、ありのままの自然の美しさを体験するには最高の場所でした。西オーストラリアを訪れた際は、ブルームまでぜひ足を伸ばしてみてください。
修士号の道のりもCAANZの最終科目を残すのみとなりました。
最終学期は2年半の集大成であると同時に、オーストラリアで正社員として働き始めるための準備期間でもあります。学業に加えて、卒業生ビザや永住権申請への準備、車探し等、次のチャプターへ着実に進めるような土台作りをしたいです。