
こんにちは、ブリスベンオフィスの林です。
ChatGPTやGemini、Claudeなどの生成AIは、留学生の勉強にもすっかり入り込んでいます。実際、難しい講義の内容を説明してもらったり、英語の文章をチェックしてもらったりと、毎日のように使っている方も多いと思います。
ただ、オーストラリアの大学では、生成AIの使い方について大学ごとにルールが決められています。しかも、AIが書いた文章をそのまま提出していなくても、申告が必要になる大学があります。
この記事では、当社の提携大学のうち10校について、2026年10月時点の各大学の公式ページを当社で確認し、AI利用の申告ルールとTurnitinのAI検出の扱いをまとめました。
アイデア出しにAIを使っただけでも、申告が必要な大学があります
まず、オーストラリアの大学で、ChatGPTなどの生成AIが一律に禁止されているわけではありません。AIを上手に使うことも、これからの学習スキルの一つと考えられています。
しかし、メルボルン大学、RMIT大学、グリフィス大学などは、課題に関わる形でAIを使ったなら、たとえ最終的な提出物にAIの文章が1行も入っていなくても、申告するよう求めています。アイデア出しや構成の相談も、その対象です。
皆さんが一番気になるのは、AIを使ったらバレるかどうかかもしれません。ただ、それより先に考えてほしいのは、この課題でAIを使ってよいのか、そして使ったことをきちんと申告したか、の2点だと思います。
勉強のためにAIを使うことと、提出する課題にAIを使うことは、分けて考えます。たとえばグリフィス大学は、自習のためにAIを使うだけなら引用は不要としています。一方、提出する課題に関わる使い方は申告の対象です。
AI Declaration(AI利用の申告)とは

オーストラリアの大学で注意したいのが、AI DeclarationまたはAI Acknowledgementと呼ばれる申告です。課題を作るときに、どのAIツールを、何のために、どう使ったのかを説明するものです。
AIは使ったけれど、エッセイは自分で書いたから大丈夫、と考える方もいると思います。ただ、メルボルン大学は、申告が必要な使い方の例として次の項目を挙げています(あくまで例で、これがすべてではありません)。
| AIの使い方 | 内容 |
| Brainstorming | アイデア出し |
| Planning | レポートの構成を考える |
| Drafting text | 文章の下書きを作る |
| Content generation | 表・図・コード・画像・動画などを作る |
| Proofreading | 文法や簡単な書式を直す |
| Editing | 文章のトーン・明確さ・流れを整える |
つまり、AIに課題のテーマを相談して、アイデアを考えただけでも申告の対象になります。大学が見ているのは、AIの文章を使ったかどうかだけではなく、課題を作る過程にAIがどう関わったかです。
また、メルボルン大学は、AIを使ってよいかどうかは科目の責任者(Subject Coordinator)が決めるとしています。申告することと、使ってよいことは別の話です。
出典:
University of Melbourne – Acknowledging use of AI tools and technologies
大学別のAI利用ルール一覧

ここからは、当社の提携大学10校について、各大学の公式ページで確認できた内容をまとめました。
この一覧は、各大学の一般的なガイダンスです。実際にAIを使ってよいかどうかは、科目や課題ごとに決まります。同じ大学でも、課題によってAI可・不可が分かれます。必ず、自分の課題の指示(Course Profile、Unit Outlineなど)を確認してください。
| 大学名 | AI利用・申告のルール |
| メルボルン大学 |
課題の準備でAIを使った場合は、すべて申告が必要。アイデア出し・構成・校正・編集も申告の対象。使ってよいかは科目の責任者が決める |
| クイーンズランド大学(UQ) |
課題ごとにCourse ProfileでAIの可否を確認する。AIを使った場合は申告と参照が必要。課題に関するAIとのやり取りは、すべて記録・保存するよう求めている |
| シドニー大学 |
試験監督のない課題(Open Assessment)はAI利用可で、申告が必要。試験監督のある課題(Secure Assessment)は、Unit Outlineで認められていない限り原則AI不可。申告にはツール名・バージョン・提供元・URL・使い方を書く |
| RMIT大学 |
課題に関するAI利用は、すべて申告が必要。最終的な提出物にAIの文章が入っていなくても同じ。アイデア出し・内容の理解・文章の生成・校正と編集が申告の対象 |
| ディーキン大学 |
アイデア出し・問題解決・データ分析・文章へのフィードバックに使った場合も申告が必要。申告にはツール名・使った年月・入力した指示(プロンプト)・出力・出力を使った箇所を書く |
| グリフィス大学 |
課題作成のどの段階でAIを使っても、短い申告文を付ける。AI利用が認められた課題で正しく参照しないと学術不正になる。試験監督のある課題ではAI不可。自習でAIを使うだけなら引用は不要 |
| 西オーストラリア大学(UWA) |
科目の責任者(Unit Coordinator)が明示的に許可した課題でのみAI利用可。許可された場合は引用と申告が必要。AIの出力を自分のものとして提出すると剽窃になる |
| カーティン大学 |
AIの扱いは科目ごとに違う。Unit Coordinatorや講師に確認し、課題のガイドラインに沿って使う |
| ラ・トローブ大学 |
課題でAIを使った場合は、どう使ったかの申告が必要。申告しないと不正行為とみなされる場合がある。申告用のテンプレートが用意されている |
| ボンド大学 |
学生・教職員とも、AIの利用はすべて申告が必要。提出物にはStatement of Authorship(自作であることの宣言)を付ける。他の言語で書いた文章を、AIで英語に翻訳することは認めていない |
この一覧は全豪のすべての大学を網羅したものではありません。また、大学のルールは学期の途中でも更新されることがあります。出願前や入学後には、必ず各大学の公式ページで最新の内容を確認してください。
10校を並べてみると、大学が見ているのはAIを使ったかどうかより、その使い方が許されていたか、きちんと申告したか、学生本人の学びが示されているか、という点だと思います。
日本人留学生が特に注意したい「翻訳」と「英文校正」

日本人留学生が見落としやすいのが、AIを使った英訳と英文校正です。英語が母語ではない日本人留学生にとって、生成AIは本当に便利な道具です。ただ、大学によってはこの使い方に制限があります。
ボンド大学は、他の言語で書いた自分の文章を、生成AIで英語に翻訳することを認めていません。日本語でレポートを書き、AIに英訳させて提出する方法は、同大学のルールに反します。
出典:
Bond University – Academic integrity and artificial intelligence
一方、シドニー大学は、基本的なスペルや文法だけを直すツールについては、申告は不要としています。ただし、翻訳ツールや言い換え(パラフレーズ)ツールは生成AIとして扱われ、申告が必要です。
ここで面白いのが、メルボルン大学との違いです。メルボルン大学は、文法や簡単な書式の修正(Proofreading)も、申告が必要な使い方の例に入れています。同じ文法チェックでも、大学によって扱いが逆になるわけです。
出典:
University of Sydney – Using AI responsibly
英語の表現を良くしたいときは、文法の間違いを指摘してもらうことと、AIに文章を書き直してもらうことを分けて考えてください。実際、日本人留学生が一番つまずきやすいのはここだと思います。
Turnitinとは?AI判定が100%なら不正になる?
Turnitin(ターンイットイン)は、提出された課題と既存の文章との一致を調べる類似性チェックのサービスです。オーストラリアの大学に入ると、課題の提出画面でほぼ必ず目にする名前です。
Turnitinには、文章が生成AIで書かれた可能性を示す「AI Writing Detection」という機能もあります。ただし、AI判定の数字が高く出たからといって、それだけでAIを不正に使ったと確定するわけではありません。
たとえばメルボルン大学は、TurnitinのAI検出機能を教員が使える状態にしています。しかし、学生向けのページで、AI検出ツールの精度にはばらつきがあり、検出レポートだけでは不正の申し立ての根拠として十分ではないと明記しています。
さらに、教員向けのページでは、決まった言い回しの多い文章や、表現が規則的な書き手の場合に誤判定(False Positive)が起きやすいことに触れ、他の証拠を集めてから報告するよう教員に求めています。
出典:
University of Melbourne – Advice for students regarding Turnitin and AI writing detection/
University of Melbourne – Turnitin’s AI writing detection tool(教員向け)
なお、AI判定100%は、この学生が100%の確率でAIを使った、という意味ではありません。数字だけを見て、慌てる必要はありません。
大学別のAI検出ツールの方針
AI検出ツールを使うかどうかも、大学によって方針が分かれています。各大学が公式ページで示している方針は次のとおりです。
| 大学名 | AI検出ツールの扱い |
| メルボルン大学 |
TurnitinのAI検出機能を教員が使える。学生は結果を見られない。検出結果だけでは不正の根拠にしない |
| シドニー大学 |
AIの無許可利用や未申告が疑われる場合に、採点者がTurnitinのAI検出を使うことがある。検出スコアだけで判断はしない |
| クイーンズランド大学(UQ) |
AI検出ツールを使わない。TurnitinのAI検出機能は2025年半ば(2025年第2学期)から停止。理由として、検出ツールの信頼性の低さと誤判定を挙げている |
| カーティン大学 |
2026年1月1日から、TurnitinのAI検出機能を全キャンパス・全学期で停止。従来の類似性チェックは継続 |
| 西オーストラリア大学(UWA) |
AI検出ツールを使わない方針を2026年2月に公表 |
| RMIT・ディーキン・グリフィス・ラ・トローブ・ボンド |
TurnitinのAI検出機能を使っているかどうかを、公開ページで明示していない(2026年10月時点) |
AI検出ツールを使わない大学だからといって、AIの不正利用が見逃されるわけではありません。UQは、AIの出力を出典を示さずに使うことは学術不正にあたるとし、疑われたときのために作業の記録を残すよう学生に求めています。カーティン大学も、すべての課題は引き続き学術的誠実性の観点で確認されるとしています。
AIの使用を疑われたらどうする?
大学から、提出した課題についてAIの使い方を確認したいと連絡が来たら、不安になると思います。ただ、教員から確認の連絡が来ることと、学術不正(Academic Misconduct)が正式に認定されることは別です。
たとえばメルボルン大学では、AI生成の可能性が指摘された場合、学生に次のような説明を求めることがあります。
・課題の論点をどのように組み立てたか
・どのような資料を使ったか
・どのように結論にたどり着いたか
・初期の下書きやメモを見せられるか
同大学は、こうした説明を求められること自体は、学術不正の申し立てではないとしています。
こういう連絡が来ると、頭が真っ白になってしまう方もいると思います。ただ、ここでパニックになって返信を後回しにしたり、慌てて説明を作り込んだりするのが一番よくないです。まずは落ち着いて、やるべきことを一つずつ進めてください。
・連絡の内容と、返信や面談の期限を確認する
・下書き、編集履歴、メモ、AIとの会話の履歴をそろえる
・課題をどう作ったのかを、自分の言葉で説明できるように整理する
・AIを使った場合は、何に、どう使ったのかを正直に伝える
・分からないことは、そのまま大学に質問する
実際にやったことを、そのまま説明する。これが一番の近道だと思います。
課題を作った過程を記録しておこう

万一に備えて、普段から課題を作った過程を残しておくのがおすすめです。手書きのメモや下書き、WordやGoogle Docsの編集履歴、調べた参考文献の記録、AIとの会話の履歴などです。
UQは、課題に関するAIとのやり取りをすべて記録・保存するよう学生に求めています。また、ディーキン大学のように、申告そのものに入力した指示(プロンプト)とAIの出力を書くよう求める大学もあるので、会話の履歴は消さずに取っておいてください。
ただし、下書きがあれば何でも許されるわけではありません。AIの使い方そのものが、その課題のルールに合っていたかが問われます。
AI Declarationの英文記載例
AI利用が認められた課題で、アイデア出しにChatGPTを使った場合の記載例です。例ではChatGPTにしていますが、実際には自分が使ったツールの名前(GeminiやClaudeなど)を書いてください。
Declaration – Use of Generative AI
I acknowledge the use of ChatGPT (OpenAI) to brainstorm initial ideas for this assignment.
I used the tool to explore possible approaches to the topic. All research, analysis and final writing were completed independently.
No AI-generated text was directly incorporated into this submission.
A record of my AI interactions is available upon request.
日本語にすると、「本課題の初期段階で、アイデアの検討にChatGPTを使いました。テーマへのアプローチを考える目的で使い、資料調査・分析・最終的な執筆は自分で行いました。AIの文章は直接使っていません。AIとのやり取りの記録は、求めに応じて提出できます」という内容です。
これはあくまで記載例です。シドニー大学はツールのバージョンや提供元のURLまで、ディーキン大学はプロンプトや出力まで書くよう求めているように、書くべき項目は大学によって違います。大学や課題に指定の書式があれば、そちらに従ってください。
もちろん、実際にはしていない作業を書くのはダメです。ちなみに、この申告文そのものをAIに書かせると、話がもう一段ややこしくなります。
よくある質問
| Q:ChatGPTなどのAIでアイデアを出しただけでも学術不正になりますか? |
| A:必ずしも学術不正になるわけではありません。ただし、その課題でAI利用が禁止されている場合や、必要な申告をしなかった場合は問題になる可能性があります。 |
| Q:AIが作った文章をコピーしていなければ、申告は不要ですか? |
| A:いいえ。メルボルン大学、RMIT大学、グリフィス大学などは、アイデア出しを含め、課題に関わるAI利用の申告を求めています。 |
| Q:Grammarlyなどの文法チェックを使う場合も申告が必要ですか? |
| A:大学と使う機能によって違います。シドニー大学は基本的なスペル・文法の修正だけなら申告不要としていますが、メルボルン大学は文法の修正も申告が必要な使い方の例に入れています。文章の書き換えや言い換えの機能を使う場合は、多くの大学で申告の対象になります。 |
| Q:日本語で書いたレポートをAIで英訳して提出してもいいですか? |
| A:大学によって違います。ボンド大学は、他の言語で書いた文章をAIで英語に翻訳することを認めていません。シドニー大学では、翻訳ツールの使用は申告が必要です。 |
| Q:TurnitinでAI判定100%と出たら、単位を落としますか? |
| A:数字だけで学術不正や単位不認定が確定するわけではありません。大学の規定に沿って、追加の確認や調査が行われます。そもそも、UQやカーティン大学、UWAのように、AI検出ツールを使っていない大学もあります。 |
まとめ:AIを使う前に、課題のルールを確認しよう
生成AIは、上手に使えば大学での勉強を大きく助けてくれる道具です。ただ、オーストラリアの大学では、使ってよい範囲と申告の方法が、大学ごと、課題ごとに決められています。
覚えておきたいのは、この課題でAIを使ってよいかを確認すること、使ったら申告が必要かを確認すること、作った過程を記録しておくこと、の3つです。AIのルールはこれからも変わっていくと思うので、最新の公式ページを確認しながら、AIと上手に付き合っていってください。
カウンセラーから一言(ブリスベンオフィス 林 真生 / Masuyo Hayashi)
AIのルールの話をすると、どうしても何をしたらダメかに目が向きがちです。ただ、AIそのものを怖がる必要はないと思います。実際、難しい講義の内容をかみ砕いてもらったり、自分の英語の癖に気づいたりと、留学生にとってAIは心強い味方になる事のほうが多いです。
一方で、オーストラリアの大学が評価したいのは、皆さん自身が考えて、学んだことです。英語が母語ではない分、AIにきれいな英文に直してもらいたくなる気持ちもよく分かります。それでも、少しぎこちなくても自分の言葉で書いた文章のほうが、最終的には皆さんの力になると思います。
もし大学からAIの使い方について確認の連絡が来ても、パニックにならないでください。焦らずに、やるべきことを一つずつやってください。
ルールは大学ごと、課題ごとに違いますし、これからも変わっていくと思います。当社は提携大学の公式出願窓口なので、出願の手続きは無料でお手伝いできます。どの大学で、どんな学び方をしたいのか、一緒に考えていきましょう!