
無事に卒業できてほっとしています。10か月間勉強してきましたが、振り返るとあっという間でした。オリエンテーションの日、オーストラリア特有のアクセントに少し戸惑い、現地の学生に囲まれて「やっていけるのだろうか」と感じた不安が今でも記憶に残っています。多くの友人や知り合いが支えてくれたおかげで、ここまで頑張ることができ、感謝の気持ちでいっぱいです。
後期の授業で大きく変わった点はありましたか?
前期は課題提出やロールプレイング中心の内容が多かったのですが、後期では実際のイベント準備・運営に関連する学生主体の実践的な内容が増えました。例えば、スポンサーを見つけて企業にプレゼンする資料を作ったり、現場で使われているブッキングシステムを扱うなど、より具体的な業務に直結した課題が多くなりました。英語が母国語でない私たちは苦労することも多かったです。
コースの特に興味深かった科目・授業について教えてください
SITXMPR015 Obtain and Manage Sponsorship
この授業では、イベントのスポンサー獲得からイベント後の対応まで、一連の流れについて学びました。一番大変だった授業課題は、自分たちで企画・実施するイベントのスポンサーを見つけ契約することです。企業に自らアプローチし、スポンサーになってもらえるよう交渉する必要がありました。最終的に自身のアルバイト先にスポンサーになってもらったのですが、候補となる企業を選びメール・電話で連絡することは、言語が英語ということもあり、思っていたよりもハードルが高かったです。電話をかける前にはネイティブの友達に練習に付き合ってもらい、私が作成したスポンサー企業へのプレゼン資料がチーム代表として採用されたときは特に嬉しかったです。この授業を通じ、スポンサーとは「出資をする企業」という認識を超え、パッケージ作成から企業選び、スポンサーとしてのメリットなど、様々な視点で学びを得られました。
SITXHRM011 Manage Volunteers
この授業では、ボランティアのマネジメントについて学びました。課題のシナリオに沿って、イベント開催にあたってボランティアが必要な理由や仕事内容の割り振り、ボランティアとの関わり方などを考え学びました。普段ボランティアとして参加することが多い私にとって、募集側の視点を知るのは興味深かったです。この授業の最終課題はグループでのロールプレイで、チームミーティングの設定でイベントにおけるボランティア募集に関する課題を提示し、その場で改善案や意見を出し合いました。もちろん事前準備もしたのですが、自分含め多くの学生が緊張の中取り組んでいました。
実際のイベント企画ではどのようなことに取り組まれましたか?そのイベント企画を通じどのようなことを学ばれましたか?
写真左上から時計回り
・イベントにてピザ生地作りの講師として来てくれたTAFEのクッカリーコースの学生がピザ生地を回すパフォーマンスをしているところ
・*ICC Sydney(インターナショナル・コンベンション・センター・シドニー)へ見学に行った際、景色に感動している写真
・ICCの建物からの景色
・イベント用に作成したスタッフ用名札
*ICC Sydney(インターナショナル・コンベンション・センター・シドニー)は、オーストラリア最大級の国際会議や展示会、イベントが行われる施設
卒業プロジェクトの一環として、学生主体でイベントの企画・運営を行いました。私の所属するチームは、ファンドレイジングを目的に「ピザ生地作り教室」を開催することに決め、ゼロベースからアイディアを立案し、資金を調達し、イベント後には報告書も作成するなど、一連の流れを経験しました。このプロジェクトは、全体の流れを理解する上で非常に貴重な学びとなりました。
私はイベント準備で主にチケットの販売を担当し、販売サイトの調査・選定からセットアップ、販売状況の監視まで行いました。加えて、当日のリストバンドやスタッフの名札の作成、当日ボランティアスタッフへの説明・指示も任されました。
チケット販売サイトの選定にあたり、ネット上で収集した情報を判断材料としていくつかの候補を挙げ、クラスメイトや先生にプレゼンを行ったものの、最初に提案したサイトには同意を得られませんでした。
そこで、実際にカスタマーセンターや担当者へ直接電話をし、確かな情報を確認した上で再度説明を行い、最終的に了承を得ることができました。
この経験を通じて、誰もが納得できる情報の収集と信頼性が、後々の問題を未然に防ぐために大切だと学びました。
そして、このイベント企画で特に苦労したのは、異なるバックグラウンドを持つチームメンバーとのチームワークとコミュニケーションです。チームはオーストラリア・イギリス・イタリア・香港・日本の5か国のメンバーで構成され、英語ネイティブが4人、非ネイティブが3人、それぞれ性格や年齢も異なれば、主張の強さや時間に対する認識、またシドニーに関する知識のレベルや頼れる知り合いの数等が全く違いました。その中で授業外の時間に集まって作業を進め、緻密なコミュニケーションを取ることが大きな課題でした。特に、英語ネイティブの速い会話に戸惑うことが多く、私にとっては積極的に発言するのが難しかったです。しかし、それを補うため、資料や試作品を用意してスムーズに話し合いが進むよう努め、やる気を示す工夫をしました。
TAFEの先生たちについて教えてください
先生方は皆さん基本的には優しく、質問や疑問点があったら聞くように促してきます。先生の中には、TAFEのキャンパス内で販売している菓子パンなどを、学生のために振る舞ってくださるなど、長時間の授業を楽しめるよう工夫をされる方もいました。
後期の授業は、多くの授業を通して卒業プロジェクトの準備に関連した授業を行うことから、毎週進捗確認を行っていました。期限までにある程度進捗が見られないとイベント開催自体危ぶまれるため、先生から厳しい助言をされることも多かったです。特に主体性を持って取り組む姿勢が求められました。
とても緊張感を持って学生に接してくださり、私たちがプロジェクトを成功させるための支援を惜しまない姿勢がとても心強かったです。イベント開催までに多種多様なハプニングや予定通りに進まないこともあり、教師・学生共に大変だったと振り返ってみて思います。
日々の授業や課題、テストにはどのように取り組んでいましたか
後期は前期よりも課題の内容が幅広く、ロールプレイや筆記問題だけでなく、プレゼン資料作成、スポンサー獲得、チャリティイベント開催といった幅広く、実務に直結した課題が多くありました。特に、ロールプレイはグループで行うことが増え、分からないことはクラスメイトと助け合いながら進めました。非ネイティブとして上手く理解できないニュアンスや言い回しなどは、ネイティブの友達に質問し手伝ってもらうこともありました。また、私自身、前期よりもアルバイトが忙しくなったため、隙間時間を効率的に使うよう心掛けていました。
学校以外の時間の過ごし方を教えてください
学校以外の時間では主にアルバイト等に時間を割いていました。短期的にバイト先を2つ掛け持ちしたり、オンライン上でできる仕事を見つけたりして取り組んでいました。また、休日は気になっていたカフェでお茶をしたりご飯を食べに行って楽しんでいました。
ボランティアにも一度参加し、日本の商品をPRする日系企業のイベントのスタッフをしました。イベント当日は会場でのパフォーマンスをサポートするスタッフとしてイベント設営準備・片づけ等を行いました。この経験を通して気づいたのは、コースを受ける前と比較してイベントにおける一つひとつの出来事に対し、イベント運営側の視点で考えられるようになったことです。例えば、ボランティアスタッフに参加の可否を直前に再度確認することや、最後にアンケートに答えてもらえるような工夫をすることなど、「なぜするのか」まで考えが及ぶようになりました。
どんなアルバイトをしましたか?

アルバイトはケーキ屋さんで働いていて、途中短期間日系のレストランで掛け持ちして働いていました。かつて学生時代にケーキ屋で働きたいと思っていたので、実現できてよかったです。ケーキ屋さんでは、注文を受け商品を箱詰めしたり、電話対応をしたりしていました。オーストラリアに来るまでは自分が英語で接客をしている姿は正直想像がつかなくて、働き始めた頃はものすごく緊張していたのを今でも覚えています。慣れてからは、接客を通してネイティブの人がどのようなフレーズを使用して注文するのか等、リアルな英会話を学べたのはとても良い経験になりました。
イベントマネージメントコースへ留学する方へのアドバイスをお願いします

このコースでは、多くの授業の課題でロールプレイやレポートの作成が課されます。そのため、英語で文章を書いたり話したりすることが確実に求められます。大変に感じることもありますが、乗り切るために友達と協力したり学習サポートのクラスを最大限活用したりすることをお勧めします。また、コースの最終課題として学生主体のイベントを企画・実施します。クラスメイトとコミュニケーションを取ることや主体性がより一層求められるので、後期が始まるまでに少しずつ周囲と仲を深めておくと、取り組みやすくなると思います。
最後にシドニーに留学して良かったと思うこと、留学を通じて感じることを教えてください
今回シドニーへ留学するという決断をして本当に良かったです。多様な文化に触れることができ、きれいな海へも気軽に行け、自分にとって新しい考え方を知ることで視野を広げることができました。留学中は思うように行かず落ち込むことも多々ありましたが、その分自分で工夫して行動するきっかけになりました。その中で、少しずつですが自分の自信に繋げることができたと感じています。シドニーで出会えた人全員に感謝の気持ちでいっぱいです。