大学ご卒業、おめでとうございます!!今のお気持ちを教えてください
「長いようで短かった大学生活」とはよく言いますが、本当にあっという間だった!が正直な感想です。家族や出会えた先輩や友達への大きな感謝の気持ち、そして、大学を終えた安堵感と同時に、寂しさ、自分の未来への期待と不安が大きく入り混じっています。
立枝さんの大学卒業式の様子
VIDEO
Animal Ecologyの学習内容について教えてください
この学部は、「野生動物の保護を目的とした学び」を根底に掲ている、海洋と陸上の生物どちらも、様々な角度からまんべんなく学べる学部です。座学はもちろん、ラボや野外学習を通して実際の動物と触れ合う機会もたくさんあり、研究のための観察方法や捕獲方法を数多く学びます。
特に興味深かった科目・授業について教えてください
ANM201 Animal Ecophysiology
これは動物生理学について学ぶ教科で、僕は個人的にとても好きなコースでした。このコースでは1年の時に学んだ動物の生命現象(消化、呼吸、代謝、成長、生産)について更に深く学びます。先生方もとても情熱的で、難しい内容ですが分かりやすく工夫して教えてくれます。
先生方のおかげで、知的好奇心をたくさん刺激されるので、質問もたくさん飛び交う授業で、活発なクラスの雰囲気が好きでした。
課題の内容もとても個性的でした。空想上の生き物を一つ選び、授業で習った内容をもとに、その生物に起こり得る様々な生命現象を論理的に分析します。それが現実的に可能なのかどうか、現実世界のどの生物に近いと予想されるのか、実際に現実世界で存在可能なのか、など様々な内容に発展して自由に考えることができます。僕はジブリ作品の「となりのトトロ」に出てくるトトロを題材にし、考えました。導き出された体重から、この速度で走ることはおそらく不可能、など、漠然といつも見ている映画のシーンを科学的に分析することは、大変でしたがとても興味深かったです。
GEO350 Animal and Society
この教科は人と動物の関係を、倫理的、心理的な観点から深く考える、どちらかといえば哲学的な内容の授業です。普段、Animal Ecologyでは科学的にしか動物にアプローチしないので、このような内容の授業はとても新鮮で、新しい視点を常にもらえる場所でした。なにが人と動物の関わり方としてベストなのか、そもそもなぜ人と動物を分けていつも考えるのか、動物の価値とはどのように決まっているのか、などを具体例をもとに先生やクラスメイトとディスカッションをして、考えを深めます。ディスカッションベースの授業なので、初めはネイティブの学生に圧倒されたりしましたが、下調べを完璧にし、あらかじめ考えをまとめておくことで物怖じせず積極的に議論に参加できるようになっていきました。
課題もおもしろいものが多く、特に、好きな映画や本を選び、その中で人と動物との関係がどのような意図で描かれているかを分析する課題が好きでした。僕は、友達におすすめされ、ジブリ作品から「風の谷のナウシカ」を題材に選びました。もともと見ていた作品ではありましたが、この課題のために何十回と見返し、様々な資料と共に色々なシーンやストーリーを分析する作業は本当に興味深く、時間を忘れて作業することも多くありました。課題を進めていく中で宮崎駿監督の自然観も深く勉強することができ、これほど、「いい課題だった、、」と思った課題は3年間を通してなかなかなかったです。自己満足とは裏腹に、成績は良くはなかったですが、笑笑。はっきりとした正解がない課題は難しいなと痛感しました。
SRP301 Special Research Project
3年間お世話になった教授と共に、カメの解剖もお世話になった1番の教授です。
この科目は実際に教授が行っているプロジェクトに参加させてもらうと同時に、自分が主体となり、プロジェクトを進めていきます。僕は、海洋ごみがアオウミガメに及ぼす影響を調べるプロジェクトの一環で、「オーストラリアが行ったプラスチックゴミに対する規制は海に流れ出るゴミの量に変化はあったのか、実際にプラスチックを飲み込んでしまうアオウミガメは減り、効果はあったのか」という内容を教授と話し合いながら主体的に進めていきました。具体的には海岸に流れ着き冷凍してあるアオウミガメを一匹ずつ解剖し、プラスチックゴミがないかどうか確認し、そのプラスチックの系統や数を分析し、まとめる、といったものです。休みを利用し、1週間で60−70程のウミガメを解剖したのは、とても斬新な経験でした。プラスチック問題をより身近に感じた1週間でした。この科目は教授ではなく、本当に自分自身が主体となって日程を決めたり、分析の方法を決定したりするので、大学院に進むまえに実際の研究とはどのようなものかを感じてみたい、と思っている学生にはもってこいの科目です。最終的にはレポートと共に、10−15分間のプレゼンテーションを教授や大学院の生徒15人ほどを前に行うので、とても緊張しましたが、良い経験となりました。1年生のときから本当にお世話になっている教授だったので、3年間最後まで、密な関係を過ごすことができ、嬉しかったです。
Field Tripの内容を教えてください
Heron Island(ヘロン島)でのフィールドトリップでの写真
前述の通り、フィールドトリップが3年間を通してたくさんある学部なのですが、内容としては基本的に島や、ビーチ、湿地、森などに訪れ、研究者としてどのようにデータを集めるか、などを超実践的に学んでいきます。集めたデータは後ほど自分たちの課題のために利用します。オーストラリアのユニークで壮大な自然を、動物や自然のプロフェッショナル(教授達)と体感できるアニマルエコロジーを勉強する醍醐味ともいえます!
いくつもフィールドトリップはありましたが、その中でも3年時に実施された、Heron Islandへのトリップは忘れられません。3泊4日たっぷりと、自分達が決めた研究課題を基に、教授達と調査をしていきます。僕達のグループは簡単に言うと、Heron Island周りにどのような魚類が棲み着いているかについて詳しく調べるため、海中にカメラを設置したり、映像を分析したりすることが主な活動内容でした。自由時間も多く、みんなで朝日を見に泳ぎに行ったり、
シュノーケルを楽しんだり、夜、満点の星空の下、ウミガメの産卵を見に行ったりといったことを楽しみました。中でも、夜に教授達を含めたみんなでお酒を酌み交わしたことや、エイやウミガメ、サメと一緒に泳げたことはこのトリップのハイライトです。
日々の授業や課題、テストにはどのように工夫をして取り組まれましたか
授業は毎回必ず予習をしてのぞんでいました。ただ、予習に時間をかけるべき授業とそうでない授業の意識をすることで、時間を効率的に使うことを心がけていました。課題は基本的に集中する時期が決まっているので、毎回スケジュールを決め、焦らないように進めることを心がけていました。と言いたいところですが笑なんだかんだスケジュールを守れず、最後の最後まで図書館で友達と弱音を吐きながら徹夜をしたことは良い思い出です。
課題は完璧を求めてしまうと終わりがないので、毎回終わった!と思った瞬間から一度だけの見直しと決めていました。課題やテストは本当に大変でしたが毎回教授や友達に助けられながら、なんとか生き残っていました。
人間関係を大事にすること、そして余計なプライドを捨て人に頼ることは本当に重要で、考える→質問する→自分で再度考える→本当にわからないところを人に頼る。というサイクルで頑張っていました。頼る分、お礼をしたり、自分も頼られることが多くなり、現地の学生とこのように仲良くなっていく事が多かったです。
1日のルーティンを教えてください
もちろん日によって異なりますが、忙しい時期(授業とバイトがある3年生時、課題に追われている日)の1日を紹介します。
6:30 am - 8 am サーフィン
8:30 am - 9:30 am 予習
10 - 12 am 授業 (Photographic Narratives)
1 - 4 pm バイト (大学の図書館)
5 - 8 pm 授業 (Wildlife conservation and Ecology)
8 pm - 帰宅、夕食
9 pm - 12 pm 図書館に戻り勉強
12 pm 帰宅して就寝
大学のアンバサダーとしても活躍されました。活動内容、エピソードを教えてください
もともとサンシャインコースト地方の大学生アンバサダーに選んでいただいていたのですが、その流れで大学で働いている方に声をかけていただき、大学のアンバサダーとしても活動させていただきました。活動内容としては、基本的に入学生などから寄せられる質問を、チャット上で答えたり、大学でイベントがあったときなどに、大学生活のお話をしたりなどです。実際に外部から教育視察をされに来た方々に、サンシャインコーストの学生生活をシェアする機会がありました。普段自分の日常生活をシェアする機会はあまりないので、このような機会は自分の生活や経験を整理して客観的に見つめ直す事もできる有意義な時間でした。
サンシャインコーストの魅力について
サンシャインコーストはとにかく壮大な自然との距離が近いです。なので、朝日や夕日、サーフィンや川遊び、山登り、といったアクティビティへのハードルが低く、休日はこのようなアクティビティをして時間を過ごすことが多いです。授業前にサーフィンに行ったり、授業後、夕日を見ながらみんなでご飯を食べたり、夜空を見に行ったりする時間がとても好きでした。車がなくても十分楽しめますが、車を持つことができれば、サンシャインコーストでの留学生活は想像以上に楽しくなること間違いなしです。友達との距離が簡単に縮まる自然が身近にあることがサンシャインコーストの魅力だと思います。
留学中は初め3ヶ月ほどホームステイをしていましたが、その後はキャンパスから自転車で10分ほどのシェアハウスに移りました。大学寮に住んでいる学生も多いですが、一人の時間もしっかり確保したかった僕にとって、シェアハウスという選択はベストでした。Facebookやflatmateというウェブサイトを使ってシェアハウスは探しました。
高校を卒業してからのオーストラリア大進学。渡航前の不安はありましたか
楽観的という性格もあいまり、あまり渡航前に大きな不安はありませんでした。しかし、出身校でのこのような前例がなかったり、自分自身わからないことだらけだったので、がむしゃらに様々な情報源にひたすらアクセスし、情報を集めました。今はYoutubeなどでサンシャインコースト大学についての動画もたくさん見つけることができると思うのでおすすめです!僕自身、大学の様子が分かるvlogを載せていたりするのでぜひご覧になってみてください!
Vlogは
こちらから
卒業生ビザも取得されましたね。オーストラリアでの就職へ向け現在取り組まれていることはありますか
ラッキーなことに、政府の政策の関係で卒業生ビザを4年間もらうことができ、まだオーストラリアに残る予定です。オーストラリア企業への就職を当初は考えており、最終的に大学の成績上位者15%が入る権利をもらえる、Golden key international honour society という組織に入り、この組織が主催している就活フェアに足を運んだりしました。この組織は就活サポートが手厚く、インターンシップの機会や企業とのコネクションを多く持っているので企業への就職を狙っている人は入ることをおすすめします。就活フェアでは、いろいろな種類の企業の方とお話し、また他の大学の卒業生とも話す機会があり、貴重な時間でした。ただ、僕は最終的にあまり企業へは惹かれず、メルボルンへ引っ越し、自分の夢へと繋がるバリスタを目指すことにしました。
留学を通じてご自身が成長したと思う点について教えてください
僕は自然、特に海が大好きなので、豊富な自然とともに学生生活を送れるサンシャインコースト大学で留学でき本当に良かったと思います。この大学に学びに来る学生は自然が大好き、そして自然をリスペクトする人が多いので、そんな人達と学べ、遊び、仲を深められる環境はとても贅沢だったと思います。一生涯の付き合いをしたいなと思える家族のような友人とも出会えることができ、勉強以上に人との出会いが印象的な大学生活でした。
僕が勉強を初めた当初と比べると、今はアジア人や日本人がだんだんと、この大学も多くなっています。しかし、当初はあまり日本人もおらず、ネイティブに囲まれた大学生活は友達や先生が言っていることについていくことすら難しく、泣いた日々も多くありました。というか、ほぼ毎日(笑)コロナの時期が重なったこともあり、悔しく辛い思いから涙を流しました。ただ、そこで負けずに食らいついていった経験は、何をするにしても役に立つ考え方と根性を養うことができました。また、人に頼るということが苦手だった僕は、本当の意味で人に頼り、頼られる、ということをこの3年間で学ぶことができました。個人的にこのことを学べたことは大きく、人生が良い意味で楽になった気がします。お世話になった家族や先生、留学センターの担当の方、友人への恩を返せるよう、循環させられるよう、生きていきたいと思います。
最後にこれからオーストラリア留学を目指す高校生へメッセージ・アドバイスをお願いします
もし、ここまで読んでくれた方で、留学を迷っているという方がいたら、声を大にしておすすめ!します!
もちろん様々な困難に直面しますし、決して楽しいことばかりではありません。辛いことのほうがきっと多いと思います。ただそんな辛いことは結局、飲みの場で話せる貴重な笑い話になり!それ以上に将来の自分を築いてくれる、かけがえのない経験や人との出会いがあります。
もちろん日本にいても、多国籍な環境や英語環境を経験することはできると思います。ただ、自分の慣れた土地を飛びだし、文化も言語も違う国に身を置く、というこの全てのプロセスは全くの異なる体験であり、実際に来て、生活をしなければ得られない価値観や出会い、考え方があると信じています。そして、さまざまなバックグラウンドの人と出会えるからこそ見える、新しい物の見方があり、「こんな生き方もありなんだ」と自分の人生の幅が広がります。知ることで、頭の中の選択肢が広がり、可能性が広がります。
想像以上に楽しく、辛く、自分のポテンシャルを引き出せるのが留学です。
少しでも興味があれば足を踏み出すことをおすすめします。応援しています。