カーティン大学での授業
理学療法学科で「3年の1学期が一番大変」と言われていますが、本当にそうでした。
アサインメントもあるし、試験勉強もしないといけないという中でのタイムマネジメント、特に筋骨格系と神経系の科目にはかなり苦労しました。

2学期目は実技が中心となり、より実践に近づき、楽しんで学ぶことができました。大学のプログラムは、3年1学期までは新しい知識を学び、3年2学期間でこれまでの学習を踏まえ患者さんを治療していく実技を学びます。つまり、4年目の実習のためのシミュレーション的授業です。
この授業のために、プロの舞台俳優が患者役を行う実習があり、1週間ごとに、1週目は筋骨格系、2週目は神経系、3週目は心臓系と違う分野を学びます。
患者役の俳優さんが台本どおりに、大げさに痛がったり、意地悪な患者さん、食事に誘ったりセクシャルハラスメントをする患者さん、ナースコールを押してナースを呼ばないといけないという適切な処理ができるかどうかを見るための重症の患者さんなど、毎日違うタイプの患者さんが現れます。とっさの処置が必要な時に、固まってしまい何も言えなくなる学生もいますが、自分は楽しみながら対応することができました。
授業は、Curtin大学のキャンパスとMidlandにある病院を模した実習施設で行われ、クラスルームにはカメラとマイクがあり、先生が別室でそれを見て成績をつけるシステムになっています。学生8人グループにつき、一人スーパーバイザーがいますが、このスーパーバイザーは同じ理学療法コースの4年生で、4年生の実習の一環として3年生を評価し、そしてそのスーパーバイザーに先生がついてサポートします。
毎日、その日の終わりにスーパーバイザーから「ここはいいけど、ここは伸ばした方がいいかな」というようなフィードバックをもらえるので、自分の良いところも、直したほうがいいポイントもすぐに把握でき、向上できます。
苦手な論文攻略法
論文が苦手で、3年次1学期までは苦戦の連続でした。が、シンプルなセンテンスを何個か書いて、受かるようなポイントを簡潔に書くという方針に変更し、要点をまとめて的確に書くと60〜70%は取れるように。この方法で苦手な論文を乗り切りました!
ほぼ実習の最終学年
最終学年は、ほぼ全部が実習で、スーパーバイザー次第なところもありますが、自分はいいスーパーバイザーに出会え、5回の実習を楽しめました。
5回の実習のうち、心臓、神経、筋骨格系の3つは必須で、残り2つはルーラル(地方)とPrivate practiceを希望しましたが、高齢者介護とSelf direct(リサーチ)になりました。
でも、実習自体は全部楽しかったです。日本では一人の患者さんをスーパーバイザーに見られながら実習を行いますが、こちらでは1週目はバディを組んでやるけれど、2週目からはもう自分だけで行いました。治療の前にスーパーバイザーに治療プランを報告し、プランの承認をもらったら、あとは患者さんと自分だけ。責任もありますが、やりがいもあります。
友達の大切さ
大学生活を通して、友達の大切さを痛感しました。3年生1学期は「もう終わりだ・・・」と思ったことが何回もあり、ストレスからご飯が食べられず、体重も71キロから50キロ台にまで落ちてしまいました。試験に一回落ちたら、じゃあその科目はまた来年受けてね!という過酷さ。
でも、シンガポールや香港出身の友達の力をもらって乗り越えられ、卒業式の日に、友達や友達の親から本当に良かったね、頑張ったかいがあったね、と言われた時には本当に泣きそうになりました。僕の卒業証書にその子達の名前があっても良いくらいお世話になりました笑。
現地就職までの道のり
大学時代に、大学の掲示板でプライベートクリニックのアルバイトを見つけました。仕事を振られたら絶対に断らず、全部行っていたのが良かったのだと思いますが、ボスに気に入られ、バスケットボール、AFL(オーストラリアのフットボール)、ラグビー、スレチックのスポーツトレーナーのアルバイトを積極的に行っていました。

ボスの友達が有名なイーグルス(パース本拠地のオーストラリアンフットボールのプロチーム)の本部にあるクリニックを経営しており、そのオーナーとボスが仲が良くて、卒業後の仕事のオファーをもらいました。オーストラリアの大学時代にスポーツ系で働いていたこと、日本でスポーツトレーナー、病院の理学療法士として3年勤務していたことも有利に働き、いろんな実習先からオファーをもらい、このオファーの他、3つのジョブオファーをもらいました。
この仕事場に決めたのは、スポーツ系の理学療法士として働きたかったこと、他のスタッフもオリンピックチームの理学療法士がいたりと環境がよかったことです。
↓職場の風景

12月に大学を卒業し、翌1月から週5で勤務をスタートしました。勤務先ではマネジャーが「大丈夫?」と声をかけてくれ、仕事の悩みも相談でき、職員のことを大事にしてくれる職場だなと感じています。
日本とオーストラリアの理学療法士の違い
一番大きな違いは、オーストラリアでは理学療法が独立していることです。日本では医師の下でしか働けず、理学療法士が独自で診断することはできません。オーストラリアでは、骨が折れている、靭帯が切れている場合など、X線の紹介状を書ける資格があり、例えば前十字靭帯断裂などの症状の場合、医師とディスカッションをし、治療をすすめることもできます。日本だと理学療法士は病院勤務が多いですが、オーストラリアでは理学療法のみのクリニックもあります。
また、生活面でいうと、多忙といっても日本に比べると時間があり、ワークライフバランスが取れていると思います。また、給与面でも日本より良く、何よりスポーツに力を入れている国で理学療法士ができることが幸せです。
将来の夢
スポーツフィジオセラピストとしてトップのプロチームで働きたいと思っています。大学在学中も、卒業ははるか先だと思っていたけど、無事卒業を達成できました。
コンスタントにやり続けていたら、目標を達成できると経験し、自分が思っているより、未来に様々なチャンスがあると信じています。

この留学を通して、一見無理そうなことでも小さなゴールを設定し、それに向かっていけば、気づいたら結構大きな事が出来るのだなと感じました。今後もそれを続けていき、どんどん色んな事に挑戦していきます。そして最後に、両親には経済的にも精神的にもお世話になったので、今後は専属Uber driver兼、ツアーガイドそして通訳として活躍していきたいです笑