
TAFE Queenslandの
Diploma of Music (Sound Production)は、ライブ音響・録音・ミキシング・照明などを1年で学ぶ、国家資格CUA50825 Diploma of Musicの音響制作ストリームです。この記事では、ブリスベンとゴールドコーストの違い、Princess Theatreなどでの実践的な学び、入学条件、学費、修了後の進路まで詳しく紹介します。
音楽の仕事は、ステージの上だけにあるわけではありません。
ライブの音をつくるエンジニア、録音スタジオでミックスを仕上げる人、照明のきっかけを出す人。ステージの裏側には、演奏者と同じくらい多くの専門職がいます。

このコースは、その「裏側の技術」を1年間で学ぶディプロマです。演奏や作曲を中心に学ぶコースではなく、音響や照明といった技術面、そしてライブやイベントなどの現場を支える仕事に関心がある方に向いています。
同じTAFE Queenslandには、演奏者を育てる
Diploma of Music (Performance)もあります。資格の正式名称(CUA50825 Diploma of Music)は同じですが、専門分野(ストリーム)が異なります。
2つのコースの学生は、年度末にPrincess Theatreで行われる学生公演などで一緒に活動する機会もあります。演奏する側の学びについて知りたい方は、Performanceの記事もあわせてご覧ください。
ライブ音響・録音・照明を1年で学ぶディプロマ

学ぶ内容は、大きく分けるとライブ音響、スタジオでの録音・編集・ミックス、サウンドデザイン、そして照明です。
South Bankキャンパスには、ライブ公演ができる施設や録音スタジオがあり、業界で使われているソフトウェアや機材を使って学ぶことができます。
授業はフルタイムです。
ブリスベンのSouth Bankキャンパスは
週4日で、授業は
100%対面です。
ゴールドコーストのCoomeraキャンパスは
週3日で、学習形態は
約80%がキャンパスでの対面授業、約20%がオンラインとなっています。
どちらのキャンパスでも、授業以外に自主学習の時間が必要です。
どの科目にも理論と実技が含まれています。「実践的なコース」と聞くと、機材を触ることだけをイメージするかもしれませんが、実際には制作物、実技、筆記課題などを通して、技術だけでなく、その背景にある理論についても学びます。
必修4科目は「音楽業界で働くための実務」

修了に必要なのは、必修4科目と選択12科目の合計16科目です。
必修科目は次の4科目です。
| 科目コード | 必修科目(4科目) |
| CUAIND512 | Enhance professional practice using creative arts industry knowledge(業界知識を生かした職業実践の向上) |
| CUACMP511 | Manage copyright arrangements(著作権の取り決めと管理) |
| CUAMWB401 | Develop and implement own self-care plan in the creative industries(クリエイティブ業界で働き続けるためのセルフケア計画) |
| CUAIND412 | Provide freelance services(フリーランスとしてサービスを提供するための実務) |
音楽・イベント業界では、企業に雇用される働き方だけでなく、プロジェクトやイベント単位で仕事を受けるフリーランスとして働くケースもあります。
そのため技術だけでなく、著作権、業界知識、フリーランスとしての仕事の進め方などが必修科目に含まれています。
選択12科目 ― ブリスベンとゴールドコーストで中身が違う

Sound Productionでは、キャンパスによって履修する選択科目の一部が異なります。
次の10科目は両キャンパスに共通しています。
| 科目コード | 両キャンパス共通の選択科目(10科目) |
| CUALGT413 | Set up and operate lighting cues and effects(照明のキューと効果の設定・操作) |
| CUASOU412 | Manage audio input sources(音声入力ソースの管理) |
| CUASOU413 | Manage audio system control networks(音響システムの制御ネットワークの管理) |
| CUASOU415 | Record sound(録音) |
| CUASOU417 | Edit sound(音声編集) |
| CUASOU421 | Mix audio for live productions(ライブプロダクションの音響ミキシング) |
| CUASOU504 | Produce sound recordings(レコーディング作品の制作) |
| CUASOU505 | Implement sound designs(サウンドデザインの実装) |
| CUASOU506 | Create a final sound balance(最終的な音のバランス調整) |
| CUASOU512 | Manage operation of stage monitor systems(ステージモニターシステムの運用管理) |
残りの2科目がキャンパスによって異なります。
| 科目コード | South Bank(ブリスベン) |
| CUASOU331 | Undertake live audio operations(ライブ音響の運用) |
| CUASOU511 | Manage audio operations for outdoor events(屋外イベントの音響運用) |
| 科目コード | Coomera(ゴールドコースト) |
| CUAMCP511 | Compose music using music technology(音楽テクノロジーを使った作曲) |
| CUAMLT511 | Refine aural perception and memory skills(聴音と音の記憶力の強化) |
カリキュラムを見ると、ブリスベンはライブ音響や屋外イベントの現場に関連する科目が入り、ゴールドコーストは音楽テクノロジーを使った作曲や聴音に関する科目が入っています。
そのため、ライブやイベントの音響に特に関心がある方はSouth Bank、音楽制作にも関心がある方はCoomeraを比較してみるとよいでしょう。
Princess Theatreでの実践とイベントの現場

South Bankキャンパスの音楽チームは、ブリスベンの歴史あるライブ会場
Princess Theatre(プリンセス・シアター)と連携した実践的な学習機会を提供しています。
Sound Productionの学生は、劇場の技術スタッフから音響や照明に関するワークショップを受け、実際の会場や機材を使った経験を積む機会があります。

年度末にはPrincess Theatreで学生公演が行われ、Diploma of Music (Performance)の学生が演奏し、Sound Productionの学生が音響などの制作面に関わります。
TAFE Queenslandの学生は、このほかにも
Gympie Music MusterやTAFE Queenslandキャンパスで開催されるライブイベントなど、さまざまなイベントに関わる機会があります。
ただし、これらは「毎週学外のイベント会場に行く」という形式ではありません。イベントや年度によって参加機会は異なります。
また、学業成績などの条件を満たした学生には、業界でのWork Experienceに参加できる機会が提供される場合もあります。これは全学生に保証された必修実習ではありません。
ブリスベンとゴールドコースト、どちらを選ぶか

2つのキャンパスの違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | South Bank(ブリスベン) | Coomera(ゴールドコースト) |
| 通学 | 週4日・100%対面 | 週3日・約80%対面/約20%オンライン |
| 2027年入学時期 | 1月27日 | 1月27日/7月12日 |
| 選択科目の特色 | ライブ音響・屋外イベント | 音楽テクノロジーでの作曲・聴音 |
| Princess Theatre | 劇場と連携した実践的な学習機会あり | South Bankとはカリキュラム・実践機会が異なる |
このコースはTAFE QueenslandのInternational Price Listで
Quota Programとして掲載されています。
特にSouth Bankについては、2026年9月下旬に学校へ確認した時点で、2027年1月入学の留学生枠が残り5席との案内がありました。
※これは2026年9月下旬時点の情報です。空席状況は随時変わるため、South Bankを希望する場合は最新状況の確認が必要です。
そのため、ブリスベンを第一希望にする場合は、英語の準備と並行して早めに出願の段取りを組むことをおすすめします。

Coomeraでは、2027年については1月に加えて7月入学もInternational Price Listに掲載されています。ただし、入学時期や空席状況は変更される可能性があるため、出願時に最新情報を確認してください。
修了後に目指せる仕事

修了後に想定されている職種には、次のようなものがあります。
| 職種 | 主な仕事の内容 |
| Live Sound Engineer | コンサートやイベントで音響機材を設置し、客席やステージの音を調整する |
| Studio Engineer | スタジオで録音・編集・ミックスを行う |
| Stage Manager | 公演の進行を管理し、出演者と技術スタッフをつなぐ |
| Producer | 音楽や公演などの制作に関わる |
ただし、ディプロマを取得すれば、これらの仕事に自動的に就けるわけではありません。
特にStage ManagerやProducerなどは、卒業後にさまざまな現場経験を積みながら目指していくケースもあります。
音響やライブ制作の業界では、技術だけでなく、現場経験、作品・実績、人とのつながりも重要になります。在学中のイベントやワークショップなども、業界を知り、自分の経験を増やしていく機会として活用するとよいでしょう。
大学への進学ルート

Diploma修了後にさらに学びたい場合は、TAFE QueenslandのDegree Pathwaysを利用して大学へ進学できる場合があります。
進学先の大学・学位によっては、Diplomaで修了した科目が単位として認められ、大学のBachelor Degreeの一部を短縮できる場合があります。
TAFE Queenslandでは、Diploma修了者が大学進学時に
最大で約1年分の単位認定を受けられるケースも案内しています。
ただし、認定される単位数や対象大学・コースは進学先によって異なります。また、現在公開されているDegree Pathways Guideには旧資格コードに基づく情報も含まれているため、大学進学を考えている方は出願前に最新のArticulation/Credit情報を確認する必要があります。
こんな人におすすめ

私がこのコースをおすすめしたいのは、音楽が好きで、特に「音をどう届けるか」「公演をどう成立させるか」というステージの裏側に興味がある方です。
演奏者としてステージに立つことよりも、ミキサーやマイク、照明などの機材を扱いながら現場を支える仕事に興味がある方には、検討する価値のあるコースです。
もともとMusic Businessに関心がある方にも、選択肢の一つになる可能性があります。
ただし、このコースは音楽ビジネスや経営を専門的に学ぶDiplomaではありません。中心となるのはSound Productionです。その一方で、必修科目には著作権、フリーランスとしての働き方、音楽・クリエイティブ業界に関する知識なども含まれています。
音響の経験がない方でも、現在公表されている留学生向けSelection Criteriaには、オーディションやポートフォリオ提出は記載されていません。
ただし、1年間で理論と実技の両方を学ぶため、入学前から音響や音楽制作の基本的な用語に触れておくと、授業にも入りやすくなるでしょう。
シドニーで学ぶならTAFE NSWという選択肢も
シドニーで学びたい場合は、TAFE NSWにも同じ国家資格(CUA50825)の
Diploma of Music (Sound Production)があります。
ただし、TAFE NSWのDiplomaに直接入学するには、音響制作の力を示す動画・音声ファイルの提出か、オンライン面接が必要です。
作品がない場合は、先にCertificate III in Music (Sound Production)を半年受講してからDiplomaへ進む、
合計1.5年のパッケージが基本になります。入学時期もコースによって異なるため、出願前に確認が必要です。
劇場やイベントの現場での学びを重視するならTAFE Queensland、シドニーで学びたいならTAFE NSW、というのが1つの目安です。
他の学校も含めて比較したい方は、
音響制作を学べるTAFE・専門学校の一覧もご覧ください。
一方、自分の演奏や歌を中心に学びたい方は、
Diploma of Music (Performance)の方が目的に合う可能性があります。
入学条件と英語 ― 現在のSelection Criteriaにオーディションなし

留学生向けに現在公表されている主な入学条件は次のとおりです。
| 項目 | 条件 |
| 学歴 | Year 12相当の学歴など、TAFE Queenslandが定めるAcademic Requirementsを満たすこと |
| 英語 | Academic IELTS Overall 6.0(各バンド5.5以上)またはTAFE Queenslandが認める同等資格 |
| 年齢 | 17歳以上。18歳未満の場合は未成年留学生に関する条件も確認が必要 |
現在公表されているSound Productionの留学生向けSelection Criteriaには、演奏オーディションやポートフォリオ提出は記載されていません。
IELTS 6.0に届いていない場合は、TAFE Queenslandの英語コースを先に受講してからDiplomaへ進むルートを検討できる場合があります。

TAFE Queenslandでは、
ブリスベンのSouth Bankと
ゴールドコーストのSouthportで留学生向け英語コースを開講しています。
IELTS 5.5相当からIELTS 6.0相当の進学要件を目指す場合、Level 2 Academic Englishを12週間受講するルートが一つの目安になります。ただし、実際に必要となる英語コースや受講期間は、現在の英語力や学校による判定によって異なります。
特にSouth BankのSound ProductionはQuota Programのため、英語コースを先に受講する場合は、英語コースの期間だけでなくDiplomaの空席状況も含めてスケジュールを組む必要があります。
入学にあたっては、1TB以上の外付けハードディスク、6.5mmアダプター付きヘッドホン(Bluetooth製品不可)などが必要です。教材・機材等の追加費用として約A$250(日本円で約28,000円)を見ておくとよいでしょう。
コース概要
最終確認:2026年9月29日
| 項目 | 内容 |
| 教育機関 | TAFE Queensland(CRICOS Provider Code 03020E) |
| コース名 | Diploma of Music (Sound Production) |
| 取得資格 | CUA50825 Diploma of Music |
| CRICOSコード | 120661J |
| 期間 | 1年(フルタイム) |
| 学費 | A$23,000(日本円で約2,576,000円)(2027年・留学生向け総額) |
| 2027年入学時期 | South Bank:1月27日/Coomera:1月27日・7月12日 |
| キャンパス | South Bank(ブリスベン)/Coomera(ゴールドコースト) |
| 科目構成 | 必修4科目+選択12科目(全16科目) |
| 英語条件 | Academic IELTS Overall 6.0(各バンド5.5以上)または同等資格 |
よくある質問
このコースについて、日本からの留学を検討されている方からよくいただく質問をまとめました。
音響の経験がなくても入れるか、Princess Theatreでの実践に参加できるか、そして英語コースを挟んだ入学スケジュール——実際に多いのはこの3つです。
| Q. 音響の経験がなくても入学できますか? |
| A. 現在公表されている留学生向けSelection Criteriaには、Sound Productionについて演奏オーディションやポートフォリオ提出は記載されていません。ただし、授業では理論と実技を1年間で学ぶため、入学前から音響や音楽制作の基本的な用語に触れておくとよいでしょう。 |
| Q. Princess Theatreでの実習には必ず参加できますか? |
| A. South BankではPrincess Theatreと連携したワークショップや学生公演などの実践的な学習機会があります。ただし、実施内容や回数、参加条件などは年度によって変わる可能性があります。劇場での実践経験を重視する方は、出願時に最新の実施内容を確認することをおすすめします。 |
| Q. IELTSが5.5です。2027年1月の入学に間に合いますか? |
| A. IELTS 5.5相当からIELTS 6.0相当の進学要件を目指す場合、Level 2 Academic Englishを12週間受講するルートが一つの目安です。ただし、実際に必要な期間は英語力の判定によって異なります。また、South BankのSound ProductionはQuota Programのため、英語コースの期間とDiplomaの空席状況の両方を確認してスケジュールを組む必要があります。 |
| Q. 演奏コース(Performance)と迷っています。どう選べばよいですか? |
| A. 自分がステージで演奏する側を目指したいのか、それとも音響・照明などを通してステージを支える側に興味があるのかが一つの判断基準です。PerformanceとSound Productionは同じCUA50825 Diploma of Musicですが、学ぶ専門分野が異なります。 |
| Q. 修了後、オーストラリアで音響の仕事に就けますか? |
| A. Diplomaの取得だけで就職が保証されるわけではありません。音響・イベント業界では、技術力に加えて、現場経験、作品・実績、人とのつながり、英語で仕事を進める力なども重要です。在学中のイベントやワークショップなどを経験を積む機会として活用するとよいでしょう。卒業後の滞在や就労に関するビザ制度は変更される場合があるため、最新情報はDepartment of Home Affairsで確認してください。個別のビザ相談についてはRegistered Migration AgentまたはAustralian Legal Practitionerへご相談ください。 |
カウンセラーから一言(オーストラリア留学センター ブリスベンオフィス 林 真生)
このコースについてご相談を受けたとき、私がまず伺うのは「ライブやイベントの現場に立ちたいのか、それともスタジオで音をつくることにも興味があるのか」という点です。
同じSound Productionのディプロマでも、South Bankではライブ音響や屋外イベントに関する科目が入り、Coomeraでは音楽テクノロジーを使った作曲や聴音に関する科目が入っています。
どちらが上ということではなく、将来どんな現場に関わりたいのかによって、キャンパスの選び方も変わります。
次に確認したいのが、英語力と希望する入学時期です。
このコースはQuota Programとして掲載されており、特にSouth Bankについては留学生枠の残数にも注意が必要です。英語コースから始める場合は、「英語が上がってから考える」のではなく、Diplomaの入学時期と空席状況から逆算して計画することをおすすめします。
音楽が好きだけれど、自分がステージに立つことよりも、そのステージを音や照明で支える仕事に興味がある。
そんな方に、ぜひ知っていただきたいコースです。
TAFE Queenslandへの進学相談はオーストラリア留学センターへ
ブリスベンとゴールドコーストのどちらを選ぶか、英語コースを挟んで希望する入学時期に間に合うか、PerformanceとSound Productionのどちらが合うかなど、ご希望を伺いながら一緒に整理します。
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