
オーストラリア・クイーンズランド州のUniSC(サンシャインコースト大学)が開講する
Bachelor of Creative Industriesは、創作・音楽・映像・演劇を軸に、3年かけて自分の作品集(ポートフォリオ)を作り上げる学士課程です。この記事では、主専攻の選び方、必修科目の中身、2027年度の学費、日本の高校からの入学条件、卒業後の進路までを整理します。
「好きなことを仕事にする」の、その手前にある技術を学ぶ3年間です。
クリエイティブ系の学位と聞くと、感性や才能を磨く場所という印象を持たれるかもしれません。
ただ、このコースの構成を見ていくと、そこだけを狙った設計にはなっていないことが分かります。作る力と同じくらい、作ったものを世に出す力に時間を割いているのが特徴です。
以下、専攻の選び方からキャンパスごとの違い、入学条件までを順番に見ていきます。
「好きなことを学ぶ」だけで終わらせない設計

このコースは、創作・音楽・映像・演劇といった表現の技術を磨きながら、同時に「それをどう届けるか」を学ぶ構成になっています。
象徴的なのが必修科目のTSM315です。会議・報奨旅行・国際会議・展示会(M.I.C.E)といった産業イベントの運営を扱う科目が、専攻に関係なく全員の必修に入っています。
表現の勉強をしたい方には遠回りに見えるかもしれません。ただ、発表の場をつくり、人を集め、予算を管理する力は、フリーランスや個人事業として働くなら避けて通れません。
さらに、実務連携プロジェクト(BCI302)か企業等での就業実習(BCI303)のどちらかを必ず履修します。学内の課題だけで3年を終える構成にはなっていません。
学習形態は対面授業とオンライン学習を組み合わせた形式(Blended Learning)です。1年を3学期に分けるトライメスター制の第1学期(例年3月頃)と第2学期(例年7月頃)の年2回、入学できます。
なお、クリエイティブアーツ分野の学習環境(learning resources)でオーストラリア国内1位、学生サポートでクイーンズランド州の公立大学中2位という評価を受けています(
Good Universities Guide 2026に基づく大学の発表)。
最初の分かれ道は、4つの主専攻

全24科目のうち16科目を、専攻(Major)と副専攻(Minor)の組み合わせに充てます。組み方は2通りです。
主専攻1つ+第2の主専攻1つ、または主専攻1つ+副専攻2つ。どちらを選ぶかで、専門を深く1本にするか、掛け算で幅を持たせるかが変わります。
ここで最も注意したいのは、
主専攻として選べるのが次の4分野に限られるという点です。
| 主専攻(必ずこの中から1つ選ぶ) |
学ぶ内容と向いている方 |
| Creative Writing and Publishing(創作・出版) | 物語や文章の技術と、それを本や記事として世に出す出版の流れを学びます。書くことを軸に、編集者・フリーライター・広報の道も視野に入れたい方に。 |
| Screen Media(映像メディア) | 映像作品の企画・撮影・編集から、配信・流通までを扱います。映像で何かを伝えたい、届けたいという目的が先にある方に向いています。 |
| Music(音楽) | 演奏や制作の技術に加えて、音楽を産業として成立させる仕組みを学びます。Sunshine Coastキャンパスのみの開講です。 |
| Theatre and Performance(演劇・パフォーマンス) | 舞台での実演を中心に、演出・舞台監督・指導者としての道も含めて学びます。こちらもSunshine Coastキャンパスのみの開講です。 |
つまり、ゲームデザインやビジュアルコミュニケーションを学位の「中心」に据えることはできません。これらは第2の主専攻、または副専攻としてのみ選べます。
この点は出願前にはっきりさせておきたいところです。ゲーム制作やグラフィックデザインを主軸にしたい方は、同じUniSCのBachelor of Designのほうが目的に合う可能性があります。
| 区分 |
選べる分野 |
| 第2の主専攻として選べる分野 | Creative Writing and Publishing(創作・出版)、Digital Culture(デジタル文化)、Game Design(ゲームデザイン)、Interactive Media(インタラクティブメディア)、Journalism(ジャーナリズム)、Music(音楽)、Screen Media(映像メディア)、Social Media(ソーシャルメディア)、Theatre and Performance(演劇)、Visual Communication(ビジュアルコミュニケーション) |
| 副専攻として選べる分野 | 上記に加えて、Creative and Interactive Advertising(広告)、Fashion Studies(ファッション)、Game Art and Animation(ゲームアート・アニメーション)、Game Programming(ゲームプログラミング)、Photographic Practice(写真)、Strategic Global Communication(戦略的国際コミュニケーション) |
副専攻を2つ選ぶ道を取ると、たとえば「創作・出版+ゲームデザイン+ゲームアート」のように、物語を書く力とゲーム制作を組み合わせる設計ができます。
「何がやりたいかまだ絞れていない」という段階でも出願できる構造になっているのは、この学位の現実的な利点です。
キャンパス選びが、学べる分野を左右します

留学生が通えるのは、Sunshine Coast(Sippy Downs)とMoreton Bayの2キャンパスです。
ここに見落とされやすい制約があります。
Moreton Bayでは、音楽と演劇の専攻が開講されていません。
したがってMoreton Bayを選ぶと、主専攻は創作・出版か映像メディアの2択になります。
副専攻も同様で、デジタル文化、ファッション、写真、ゲームプログラミング、広告、ジャーナリズム、戦略的国際コミュニケーションはSunshine Coast側のみの開講です。
ブリスベン寄りの立地を優先してMoreton Bayを選んだ結果、学びたかった分野が選べなかった、という事態は避けたいところです。
やりたい組み合わせが決まっている方は、その分野が希望キャンパスで開講されているかを出願前にご確認ください。当社でも確認のうえご案内できます。
カリキュラム ― 必修8科目と、専攻の16科目

全24科目・288ユニットで構成されます。内訳は、全員共通の必修科目が8科目(96ユニット)、専攻・副専攻および選択科目(Elective)に充てる16科目(192ユニット)です。
まず1年次に、4つの主専攻すべての入口にあたる基礎科目を全員が履修します。書く・撮る・演じる・奏でるを一通り体験してから専攻を固めていく流れです。
| 科目コード |
必修科目① 1年次に履修する基礎科目(6科目・72ユニット) |
| CMN103 | Introduction to the Creative Industries(クリエイティブ産業入門) |
| CMN104 | Introduction to Screen and Media Industries(映像・メディア産業入門) |
| CMN105 | Creative Production(クリエイティブ制作) |
| CMN116 | Playing with Words: an Introduction to Creative Writing Craft(創作文章の技術入門) |
| DRA102 | Exploring Twentieth Century Theatre(20世紀演劇の探究) |
| MUS102 | Performance 1(パフォーマンス1) |
入学時点で専攻を決めきれていなくても、この6科目を通じて自分の手が動く分野を見極められます。迷っている方にとっては、むしろ有利な設計です。
| 科目コード |
必修科目② 最終学年の産業科目(1科目・12ユニット) |
| TSM315 | Running Meetings, Incentives, Conventions and Exhibitions (M.I.C.E) industry events(会議・報奨旅行・国際会議・展示会の運営) |
作品を発表する場そのものを運営する側に回る科目です。展示会やライブイベントを自分で立ち上げたい方には、直接役に立つ内容になります。
| 科目コード |
必修科目③ 実務科目(下の2科目から1科目を選択・12ユニット) |
| BCI302 | Work Integrated Learning Project(企業・団体の実課題に取り組む実務連携プロジェクト) |
| BCI303 | Work Integrated Learning Placement(受け入れ先での就業実習) |
残る16科目が、専攻・副専攻と選択科目にあたります。選ぶ専攻の組み合わせによって、選択科目に回せる枠数が変わります。
卒業要件には、288ユニットの修得に加えて「100番台(入門レベル)の科目は10科目まで」という上限があります。入門科目ばかりを積み上げて単位数だけ満たす、という履修はできません。
具体的な履修計画は、入学後に大学のスタッフと相談しながら組み立てます。組み合わせの自由度が高いぶん、初年度のうちに方向性を相談しておくのが安全です。
この学位から広がる仕事

この学位から考えられる進路は、制作側と、制作を成立させる側の両方にまたがります。
| 職種の例 |
主な活躍の場 |
| Writer / Publisher(ライター・編集・出版) | 出版社、メディア企業、企業の広報・コンテンツ部門、フリーランス |
| Screen media professional(映像・メディア制作) | 映像制作会社、放送局、配信事業者、企業の映像コンテンツ部門 |
| Music industry professional(音楽業界の専門職) | レーベル、音楽制作会社、ライブ・フェスティバル運営 |
| Theatre practitioner / Actor(舞台実演家・俳優) | 劇団、舞台制作会社、教育機関、地域の文化施設 |
| Performance creator(パフォーマンスの企画・創作) | イベント企画会社、フェスティバル、文化施設 |
| Creative director(クリエイティブディレクター) | 広告代理店、制作会社、事業会社のブランド部門 |
| Entertainment industry professional(エンタメ産業の運営職) | 興行会社、イベント運営、施設運営 |
| Creative entrepreneur(クリエイティブ分野での独立・起業) | 個人事業、スタジオ・レーベルの立ち上げ |
ただし、これらは学位から考えられる進路の例であり、卒業すれば就ける職種という意味ではありません。特にクリエイティブディレクターのような職位は、実績を積み重ねた先にあるものです。
この分野で見られるのは、学位そのものより「何を作ったか」で評価される場面が多いことです。だからこそ、在学中に作品集(ポートフォリオ)をどこまで厚くできるかが実質的な勝負になります。
在学中にできることとしては、必修の実務科目以外にも制作の機会を自分で取りにいく、学内外のイベント運営に関わる、SNSやウェブで作品を公開し続ける、といった動きが挙げられます。
こんな方に向いています

書く・撮る・演じる・奏でるのいずれかに強い関心があり、その技術を3年かけて形にしたい方に向いています。
同時に、作ったものを「どう届けるか」にも興味がある方であれば、このコースの設計は噛み合います。イベント運営や広告、ソーシャルメディアが必修や副専攻に組み込まれているためです。
そして、まだ方向性を1つに絞りきれていない方にも現実的な選択肢になります。1年次に4分野すべての入口を通るため、手を動かしてから決められます。
一方で、別のコースを比較したほうがよい場合もあります。
ゲーム制作やグラフィックデザインを学位の中心に据えたい方です。これらは副専攻としてしか選べないため、Bachelor of Designのほうが希望に近い可能性があります。
もう1つは、実技だけに集中したい方です。産業イベント運営や実務科目が必修である以上、制作以外の時間も一定量発生します。
進路が決まっていないことを不安に感じる必要はありません。完璧に合う専攻をどこかから探し当てるより、選んだ場所で稀少な技術を積み上げていくほうが、結果として道が開けることは多いと考えています。
入学条件と進学ルート

日本の高校を卒業した方の場合、学歴条件は次のとおりです。ATAR(オーストラリアの高校卒業時の順位指標)は国内学生向けの選考指標であり、日本の高校卒業者には適用されません。
| ルート |
必要な条件 |
| 高校卒業から直接出願 | 高等学校卒業証明書(Upper Secondary School Certificate of Graduation)と、最終学年の成績でGPA 3.0/5.0以上が目安です。 |
| 大学・短大からの編入 | すでに大学等で学んでいる場合、履修内容によって単位の振替(Credit Transfer)が認められることがあります。成績証明書の内容で判断されます。 |
| 英語力が足りない場合 | 大学附属の英語コース(EAP/進学準備英語)を経由して本コースへ進む方法があります。開始時期の逆算が必要なため、早めにご相談ください。 |
英語条件は、UniSCの標準要件が適用されます。看護や教育のように高い基準が設定されているプログラムとは異なり、このコースは標準の水準です。
| 試験 |
必要なスコア |
| IELTS(Academic) | 総合6.0、各セクション5.5以上。1科目のみ受け直せるIELTS One Skill Retake(OSR)も認められています。 |
| TOEFL iBT | 総合76、Writingは18以上。 |
| PTE Academic | 総合50、各セクション50以上。 |
なお、入学基準を満たすことと、授業を余裕をもってこなせることは同じではありません。このコースは制作物の講評や発表、グループでの共同制作が多く、読み書きより「その場で話す」負担が大きくなります。
日本の高校の評定を大学がどう見るかは、学校の種類や履修科目、成績の推移まで含めて個別に判断されます。そのため「評定平均がいくつなら大丈夫」と一律にはお答えできません。成績証明書をお手元にご用意のうえ、お問い合わせください。
UniSC内の他の学位と、どう選び分けるか

同じ分野で迷いやすい学位を、2027年度の年間学費とあわせて並べます。学費はいずれも留学生向けの目安額です。
| 学位(期間・2027年度の年間学費) |
こんな方に |
| Bachelor of Creative Industries(3年・A$31,500(日本円で約3,528,000円)) | 創作・音楽・映像・演劇のいずれかを軸に据えつつ、届ける側の技術も身につけたい方。 |
| Bachelor of Design(3年・A$30,500(日本円で約3,416,000円)) | ゲーム、ビジュアルコミュニケーション、インタラクティブメディアなど、デザイン・制作技術を学位の中心にしたい方。 |
| Bachelor of Communication(3年・A$30,500(日本円で約3,416,000円)) | 作品制作そのものより、広報・ジャーナリズム・戦略的なコミュニケーションを主戦場にしたい方。 |
| Bachelor of Business / Bachelor of Creative Industries(4年・A$30,500(日本円で約3,416,000円)) | 制作と経営の両方を学位として持ちたい方。将来スタジオやレーベルの運営を視野に入れる場合の選択肢です。 |
判断軸はシンプルです。作るものの中心が「言葉・音・身体・映像」ならCreative Industries、「画面・造形・ゲーム」ならDesignが素直な選び方になります。
他大学の同分野の学位との比較をご希望の場合は、最新の学費・入学条件を確認したうえでご案内します。年度によって金額が変わるため、比較は着手時点の数字で行うのが安全です。
コース概要
最終確認:2026年10月7日(当社にて各大学の最新情報を確認)
| 項目 |
内容 |
| 大学名 | University of the Sunshine Coast(UniSC/サンシャインコースト大学) |
| コース名 | Bachelor of Creative Industries |
| プログラムコード | AR338 |
| CRICOSコード | 080099K(提供機関CRICOS 01595D) |
| 期間 | 3年(留学生はフルタイム履修) |
| 科目数 | 全24科目・288ユニット |
| 学費 | 年間A$31,500(日本円で約3,528,000円)/3年総額の目安A$94,500(日本円で約10,584,000円)(2027年度) |
| 入学時期 | トライメスター1(例年3月頃)・トライメスター2(例年7月頃)の年2回 |
| キャンパス | クイーンズランド州 Sunshine Coast(Sippy Downs)、Moreton Bay |
| 学習形態 | 対面授業とオンライン学習を組み合わせた形式(Blended Learning) |
学費は年度ごとに改定されます。3年総額はあくまで2027年度の単価を3倍した目安としてご覧ください。2026年より前に入学した在学生には別の額(年間A$30,050)が適用されますが、これから出願する方は上記の額が目安です。
出願前によくいただく質問
このコースについて、日本からの留学を検討されている方とご家族からいただくご質問をまとめました。
専攻をいつ決めるのか、ゲームやデザインを学べるのか、そして卒業後に日本で働けるのか——実際に多いのはこの3つです。
| Q. 主専攻はいつ決めるのですか。出願時に決めておく必要がありますか。 |
| A. 1年次に4分野すべての基礎科目を履修するため、実際に手を動かしてから固めていくことができます。ただし、組み合わせによっては第1学期から履修を始めないと3年で修了できない場合があります。希望が固まっている方は、入学時期の相談とあわせて早めにご連絡ください。 |
| Q. ゲーム制作に興味があります。このコースで学べますか。 |
| A. 学べます。ただしゲームデザインは主専攻には選べず、第2の主専攻または副専攻としての履修になります。ゲームを学位の中心に据えたい場合は、Bachelor of Designも比較されることをおすすめします。ゲームアート・アニメーションやゲームプログラミングは副専攻として選べます。 |
| Q. 音楽を専攻したいのですが、キャンパスは選べますか。 |
| A. 音楽と演劇の専攻はSunshine Coastキャンパスのみの開講です。Moreton Bayでは主専攻が創作・出版と映像メディアの2つに限られます。学びたい分野と通いたい場所が両立するかは、出願前の確認事項になります。 |
| Q. 実技のオーディションや作品提出は必要ですか。 |
| A. このコースは学歴と英語力を基準とした選考で、出願段階で作品集(ポートフォリオ)の提出は求められていません。ただし、就職の場面では作品の有無が問われるため、在学中に作品を積み上げていく前提で考えておくのが現実的です。 |
| Q. 3年間でかかる費用はどのくらいですか。 |
| A. 授業料は2027年度で年間A$31,500(日本円で約3,528,000円)です。これに加えて、生活費、留学生用の医療保険(OSHC/Overseas Student Health Cover)、渡航費、住居の初期費用などが必要になります。これらは都市や住まい方によって差が大きいため、ご希望の条件をうかがったうえで個別にお見積りします。 |
カウンセラーから一言(オーストラリア留学センター ブリスベンオフィス 林 真生)
このコースのご相談をいただいたとき、私がまず確認するのは「作りたいものは何か」です。
次に、それを仕事にしたいのか、あるいは仕事の武器の一つにしたいのか。そして、日本で働くのか、現地での経験を作りたいのか。この3点で、ご案内する学位が変わります。
というのも、このコースの主専攻は4分野に限定されているためです。ゲームやデザインが本命の方に、副専攻で回れますよと案内するのは、正直なところ遠回りだと考えています。
ただ、「言葉・音・身体・映像のどれかを軸にしつつ、届ける技術も持ちたい」という方には、必修に産業イベント運営と実務科目が入っているこの構成はよく噛み合います。
もちろん、今の時点で方向性が定まっていなくても構いません。1年次に4分野を一通り通る設計なので、手を動かしてから決められます。急に真面目な話になりますが、この「決めてから入る」ではなく「入ってから決められる」という点は、実はかなり大きな利点です。
一方で、ブリスベン寄りの立地を優先してMoreton Bayを選んだ結果、学びたかった分野が開講されていなかった、というのは避けたいところです。ここは必ず事前に確認します。
私自身、この分野は「才能があるかどうか」より「作り続けられる環境を選べたかどうか」で差がつくと思っています。一緒に考えていきましょう!
UniSC(サンシャインコースト大学)への進学相談はオーストラリア留学センターへ
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