【体験談】厳しい環境だからこそ未来が拓ける—ANUでの挑戦が生んだ確かな成長と、大手メディア内定への軌跡

チャクラボルティリキさん | キャンベラ | Australian National University | Economics
大学時代はちょうどコロナの影響で留学が難しくなっている時期でした。それならば、大学院で海外へ行こうと、日本を飛び出したRikiさん。

経済学修士(Master of Economics)を学ぶにあたり、理論とその応用を学べる点に魅力を感じてオーストラリア国立大学(ANU)へ進学しました。

2年目の勉強が始まる頃、日本の大手メディアの内定を獲得。最終セメスターの現在、ANUでの勉強や生活、就職活動についてお話をうかがいました。

留学のきっかけ

元々学部時代に留学を考えていましたが、コロナの関係で、交換留学に行けるかどうかが不透明でした。留学ができたとしても、遅れての留学となり、留年の可能性が高かったので、5年で学部を卒業する代わりに、海外の大学院に進学しようと考えました。

1年と短期間で修士を終えられるメリットも感じて、イギリスの大学も検討していました。ただ、時差も大きく、就職活動のことを考えると、修士がどこまで意味あるものにできるか疑問もあり、最終的に2年で学べるオーストラリアを選びました。

オーストラリアでは、ANUの他に、シドニー大学、メルボルン大学、モナッシュ大学も出願をしていました。ANUは、首都にあるため、政府の政策に関わる先生方が多く、理論だけではなく政策への応用も含めて学べる点が魅力的でした。また、厳しい環境だという評判も、大学院生としては前向きな点でした。

経済学のカリキュラム自体はどこの大学も共通することが多いのですが、講師と環境という面でANUに決定しました。

キャンベラでの生活について教えてください

自然豊かな都市


ANUのキャンパスは市の中心部にあり、今住んでいる寮の立地が良いため生活は便利です。キャンベラは他の大都市に比べ自然が豊かで、利便性とオーストラリアの自然の体験の両方を手に入れることができる点が魅力的です。

車社会でバスの本数も都会に比べると多くないので、自転車を手に入れてから生活範囲が広がりました。キャンベラは自転車が走る道もかなり整備されていて、これまであまり行けなかった近隣の自然をより堪能できるようになりました。

ちなみに、自転車関連はANUから補助が出ます。私はFacebookのMarketplaceで購入したので、レシートがなく補助は利用できませんでしたが、ヘルメットやライト、修理費等にも補助が出ます。自転車購入を考える方はANUに確認してみてください。

寮生活


私は現在ANUの学生寮に住んでいます。学生寮は、10人で1ブロックに区切られていて、私の部屋にはベッドと机があります。

バスルームは各ブロックに2つあり、自分のブロックが混み合っていて使えない時は、他のブロックで利用することもできます。

キッチンは各ブロックに共用で使えるものがあり、時間帯によっては混み合うこともあります。時々、使い方がきれいではない人もいますが、大きな問題はなく利用できています。キッチンには、大きな冷蔵庫が2つあります。冷蔵庫内はそれぞれ部屋番号が振ってあり、自分の部屋番号の場所を使えますが、収納スペースはちょっと小さいですね。

学生寮では色々とイベントがあり、学生寮の世話役のメンターが企画するものや、大きなものではMulticultural Festivalがあります。各国の学生が、それぞれの国の料理を振る舞います。

何十種類もの各国の料理を楽しむことができるイベントで、私の寮以外の学生もやってきたりします。 私は、親子丼とおでんを作りましたが、100人分くらい必要なので、前日の夜から仕込みを始めました。私一人では無理なので、他の日本人学生にも声をかけて手伝ってもらいました。

料理の材料費は寮から支給されます。ANUのキャンパス内にあるDaily Martは中国系の食材が多く、キャンベラ市内のEmart Asian Supermarketは韓国や日本のものが多いですね。Emartでは日本のお米も売っているので、親子丼のご飯はそこで買いました。Multicultural Festivalでは、午後はパフォーマンスがあり、各国の歌や踊り等を披露する時間もあります。

ANUのキャンパス


寮の庭やその周囲の芝生で昼寝をしたり、本を読んだり、友人と話したりすることが多かったです。天気の良い日のキャンパスの自然が好きで、よく外で過ごしています。

図書館もよく利用しており、24時間開いているところもあります。全体的に勉強に集中できる環境が整っています。

オーストラリア国立大学での勉強について教えてください

ANUでの学習内容


経済学を理論中心に学んでおり、ミクロ経済、マクロ経済、数学、統計学の4つを、セメスターごとに難易度を上げながら学ぶ内容となっています。

講師陣は、オーストラリア政府の専門家会議や委員会に呼ばれたり、金融政策を担当していた先生がいたりと、国の第一線で経験を持つ先生も多いです。

授業は、皆で聴くレクチャーとチュートリアル・小集団のクラスがセットになっています。経済学の学生は30人くらいいますが、後でオンラインに内容がアップされることもあり、出席を取らない授業だと参加者が10人を切ることもあります。

授業によっては、学士の学生と合同の場合もあり、合同の授業は出席を取り、修士の学生だけの授業は出席を取らないものが多いです。人数が少ないこともあって、先生やチューター(授業のサポートに入っている博士等リサーチの学生)と関係を築きやすいので、私はなるべく出席するようにしています。

チューターが優秀かどうかによっても、出席率が変わるように思います。特に重要だと感じたのは人柄です。修士の学生の中には、チューターよりも年上の人もいたりする中で、明るく自然に積極的にコミュニケーションを取ってくれるチューターは人気がありました。博士で研究している人たちなので、専門知識はしっかりと持っていますが、コミュニケーションの取り方に差があり、コミュニケーションがうまい人は、教え方もわかりやすかったです。

ANUの授業の難易度や課題の量

課題はそれほど多くありませんでしたが、特に1年目の難易度・内容量が想像以上でした。テスト期間に猛勉強してなんとか乗り越えましたが、かなり前から取り組むべきだったという反省もあります。

単位を落とすわけにはいかないので、中間のテストで失敗してしまった場合は、余裕のある科目は最低限パスができるように、少し勉強時間を減らして失敗した科目に振り分ける、といったこともしていました。

2年目以降は、勉強の感覚にも慣れてきて、テスト前に一気に勉強するのではなく、もう少しコツコツと前もって取り組めるようになりました。

勉強の仕方として、特に試験期間は図書館は満席です。私は夜型で寝るのが遅いので、24時間開いている図書館に夜11時や12時頃に行き、夜中から勉強をしていました。さすがに深夜になると人も減るので、集中して取り組むことができました。

テストは紙ベースで受けるものが多く、制限時間内に解答を考えて、膨大な量を書かなければならないので大変です。テストの中には、グラフを作成して、そのグラフに説明や数式を加えていくような解答もあったのですが、途中で間違いに気づき、グラフから書き直しでげんなりしたこともありました。

印象に残っている授業

2年目に受講した、経営の組織論に近いOrganisational Economics(組織経済学)が面白く、知識や関心の幅が広がるきっかけとなりました。

授業では、どうやって働く人のモチベーションを上げるのか、といった内容で、個人行動と企業行動の分析、どういったインセンティブやペナルティを導入したらいいのか、給与設定やボーナスの支給がどうモチベーションにつながるのか、どうすれば効果的なのか等を、数学的に紐解いていきます。人のモチベーションを数学的に考えたことはなかったので、興味深かったです。

大変だった授業は、1年目に受けたOptimisation for Economics and Financial Economics(経済分析の最適化)です。大学数学特有の理論的な内容が直観的にはわからず、苦労しました。

高校から大学の学部レベルの数学だと、ツールとして計算力等が求められますが、この授業では数学の概念をどこまで深く理解できるか、という内容にシフトしました。中途半端な理解だと本当に何も解答ができない問題なんかもあり、とても難解でした。

初回の授業で数学的帰納法が取り上げられました。n=1が成り立ち、n=kも成立すると仮定すると、n=k+1も成り立つ、というもので、「やったことあるな」とぼんやりと聞いていました。ところが、「数学的帰納法という証明方法が、数学的に有効な証明方法であることを証明せよ」という例題が出てきて、「ん?何の話をしているんだ?これはのんびり聞いている場合じゃないぞ!」となりました。

また、経済学ではよく微分を使います。高校数学を思い出すと、接線の傾きを求める計算になりますが、曲線や関数に角や隙間があると微分ができなくなります。つまり、関数が連続していることが必要ですが、この授業では、「関数が連続しているとはどういうことか」みたいな問いになるんです。

修士で勉強しなければ、こういった世界に出会うことはなかったので、大変でしたけど「やってよかったな」という気持ちもあります。

一緒に学ぶクラスメート


アジアの学生がほとんどで、中でも中国出身の学生が7割近くいました。中国の学生は非常に優秀な方が多いです。在学中に中国企業に応募する人も多く、その他、政府の官僚を目指したり、卒業生ビザ申請を考える人もいます。ANUはインドネシア政府との連携が強く、インドネシアからは、中央銀行や官僚出身の留学生も学びに来ていました。

中国の学生は学部卒で、その他の国の学生は社会人からの留学が多いです。オーストラリアの大学院は社会人経験者も多くいますが、経済学は学部卒のほうが、数学や統計の記憶がフレッシュなので、強みになると思います。ただ、社会人留学生のほうが、全体的に勉強にコミットしている人が多い印象です。

クラスメートとは、テスト前に一緒に勉強したり、課題で協力したりもしていました。お互いに助け合う雰囲気は強く、学部生と同じ授業では日本人学生もいたので、私が教えることもありました。

ANUでの経験

ANUで学ぶことで、各国の官僚の方々と知り合い、どのような仕事をしているか知るきっかけになりました。

また、先生方に質問をすると、非常に明解、丁寧に解説していただいたことも印象的です。授業があまり面白くないと言われていた少々とっつきにくい先生であっても、個別に質問に行くととても話しやすく、丁寧に対応してくれることも多かったです。

課外活動に関わる機会も多く、積極的に動くことで活動の場を広げることもできます。1年目はフットサル部に入り、今年は縁があって、ANU Film Groupの運営メンバーになりました。

「ANU」という名前がついていますが、会員の多くは学生ではなくキャンベラ在住の一般の方々で、高齢者も多いです。年間250本近く映画を上映していて、年間パスはA$90とかなりお得です。

平日は夜1本、土曜日は子供向けの映画も上映します。運営メンバーは映画の選定、配給会社にコンタクトを取ったり、スポンサー交渉をしたりします。キャンベラという土地柄、各国大使館と協力して大使館がスポンサーになり、その国の映画を上映する、といったこともあります。もちろん、日本の映画上映では、日本大使館とも連携をしました。

映画を勉強しているわけではありませんが、映画は元々好きですし、こういった運営に関わることができるのは、いい経験になります。

就職活動について教えてください

スケジュールとエントリー

就職活動は、1月末に開始し、4月に終えました。

OBOG訪問もできず、日本でのインターンにも参加しておらず、周りで日本での就職活動をしている人もいないという状況でした。学部時代の友人で就職している人も多かったので、就職活動について色々と教えてもらいました。海外大生用の就活サービス等もありますが、基本的に自分で調べていました。

最初は興味のある30社くらいのリストをつくり、応募をしながら絞っていこうかと考えていましたが、最終的に受けたのは3社でした。

内定はメディア系の2社からいただきました。1つは、応募しようと思ったタイミングが応募締め切りすぐで、慌ててエントリーしました。2社ともメディア系ということもあり、かなり文章力を問われる内容でした。

締め切りは近かったものの、内容についてはかなりしっかりと精査して作り上げました。 1社は、対面で面接が行われ、もう1社はオンラインでの面接でした。メディア系といっても会社によって雰囲気はかなり変わり、1社はしっかりと時間をかけて、自分が取材されているような感じで、これまでの人生や人柄をしっかりとみられていた印象です。もう1社は15分と短時間で、自分自身の実力をみられるような内容でした。

評価ポイント

「オーストラリア国立大学」という大学名を、企業の方が知っていたかどうかはわかりません。

ただ、海外大学進学という決断そのものが、行動力や適応力の証明となる部分があると思います。自分にしか話せないエピソードが増えるという点でも、面接で話せる話題として便利です。経済学というテーマも、ジャーナリストとして担当したい分野を挙げる際の説得力に繋がりました。

不利に感じたこと

大きく不利に感じたことは特にありません。時差も小さいため、オンラインでの就職活動はしやすかったです。

ただ、対面での面接/試験しか受け付けない企業もあり、大手企業でも最終面接や試験は対面のみといった場合があります。総合商社をみても、最終面接は対面や、必要なテストを受けられる場所が決まっていたりで不利だと感じました。

気軽に何度も帰国することができないので、いつなら帰国できるのかは早めに計画を立てて、企業の人事にも連絡しておくとよいかと思います。

海外経験はネガティブに働くことはほとんどなく、ポジティブにとらえられることが多かったです。

オーストラリア国立大学進学を目指す方にアドバイス


ANUは、コースによっては非常に厳しい環境だと思います。特にテスト期間は、受験勉強かそれ以上に勉強する必要があり大変です。

その分、授業やチュートリアルに真摯に取り組み、セメスターを通して勉強を継続すれば確実に力が付きます。勉強できる環境は整っているので、自分次第で大きな経験・知識が得られます。

ぜひ頑張ってください!

スタッフからのコメント

リキさん、リアルで貴重な体験談をありがとうございました!

夜中の図書館での猛勉強や数学のエピソードなど、厳しい環境の中で試行錯誤しながら成長していく姿がとても印象的でした。一方で、地域の映画グループでの活動や寮でのイベントなど、キャンベラだからこそできた豊かな体験も魅力的です。

そして、リキさんの話し方は理路整然としていてわかりやすく、例えば、数学の数学的帰納法や微分について、文系人間である私にもわかりやすく説明してくれました。

2025年にANUを訪問した際に、一緒に写真を撮り、オーストラリア留学センターのインスタグラムにも出ていただきました。

ANUでの最終セメスター、がんばってください!

豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号H297)
留学カウンセラー歴15年。 AIやネットでいくらでも情報が手に入る時代だからこそ、「結局、自分にとっての正解はどれ?」という不安はつきまとうものです。 特にオーストラリアの大学・大学院進学は、一人ひとりのバックグラウンドや目標によって最適なルートが異なります。調べて考えすぎて立ち止まってしまうなら、まずは一歩動いてみませんか? どんな小さな疑問でも、まずはお気軽にご相談ください! このカウンセラーに質問する

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