【体験談】「Vet Tech(動物医療技術者)」で現地の動物病院に就職! アデレード大学での実習から就職へ!

田中 良磨さん | アデレード | Adelaide University | 3年9か月
アデレード大学の Bachelor of Veterinary Technology(動物医療技術)を卒業し、現地アデレードの動物病院でキャリアをスタートさせた田中 良磨さん の体験談インタビューです。

アデレード大学での現場に即した超実践的なカリキュラム、実習先と現地就職までの流れ、Vet Tech(動物医療技術者)について、動物好きの Roseworthy キャンパスライフ、そしてオーストラリアの動物医療業界が抱える現状など、お話を伺いました。

実際に現地就職された日本人留学生の非常に貴重な体験談となっていますので必見です!

良磨さんの留学と就職までの道のり

■2022年 3月 アデレード大学 Foundation 入学

■2022年12月 アデレード大学 Foundation 終了

■2023年 2月 アデレード大学 Bachelor of Veterinary Technology 入学

■2025年12月 アデレード大学 Bachelor of Veterinary Technology 卒業

■2026年 1月 アデレードの動物病院に就職

現在の仕事内容と職場環境について


2025年12月にアデレード大学のBachelor of Veterinary Technology (動物医療技術)を卒業して、現在は、2つの動物病院で働いています。



一つは、オーストラリアとニュージーランドに展開している大きな 企業グループ傘下の動物病院です。オーストラリア全体で200ほどのブランチ(分院)があるのですが、私が勤務しているのは、救急(エマージェンシー)のある動物病院です。一般診療(GP)と 救急 の両方で 予約なしのウォークインも受け付けています。救急(エマージェンシー) は 他のブランチに比べて非常にファストペースで忙しい環境なので、一般診療(GP)と救急動物 の2つを同時にシャッフルしながらの「対応力」を求められます。

この職場での ポジションは 動物看護(Veterinary Nurse)ですが、仕事内容は 日によって変わり、受付(レセプション)から、手術補助(サージェリー)、入院動物のケア(ホスピタル)まで、病院内のすべての業務をカバーする「フロートシフト」で働いています。

もう一つは 「ブリーダー(出産)と整形外科」に特化した動物病院で 動物医療技術(Veterinary Technician)のポジションで働いてます。 手術補助(サージェリー)と 入院動物のケア(ホスピタル)をしています。


大学のプレイスメント(実習)と就職活動について

実は・・・就活はしていないんです。とてもラッキーだと思うんですが、どちらの動物病院も大学で必修だった現場実習先なんです(笑)

まず 実習についてどういうシステムになっているかというと、アデレード大学の Bachelor of Veterinary Technology は 3年間で プレイスメント(実習)の機会は多くあります。

キャンパス外の実際の動物病院での現場実習は・・

・1年生で 2週間
・2年生で 2週間
・3年生で 5週間

をこなす必要があります。

上記のキャンパス外の現場実習以外にも、アデレード大学内にある大学付属動物病院での実習もあります。

・大型動物専門クリニック(2週間)
・小動物クリニック(2週間)
・動物病理学(パソロジー)ラボ(1週間)

などです。

キャンパス外の動物病院(実習先)はアデレード大学側から過去に実習のプレイスメントを受け入れたことのある動物病院のリストが渡されます。

リストには「300ほどの動物病院」があったと思うんですが、その中の動物病院へ 自分でメールと履歴書などを送ってプレイスメント(実習)を受け入れてもらいます。

私の場合は、その「現場実習先での働き」がそのまま就職に直結しました。

1つ目の職場は、3年生1学期(2月)に実習に行った救急の動物病院です。

実習に向けてしっかり用意して、全力でこなした結果、病院側から「実習後もカジュアルとして働かないか?」というオファーを頂きました。その動物病院の上司が グループ本部の人事宛へ 推薦状 も出して頂いて、トライアル期間を経て、面接なしでカジュアルとして働き出します。

もう一つも実習先(ブリーダーと整形外科)で、そちらは 3年生の後期(7月)でした。
そこでも 実習を終わったあとに「ココで働かないか?」とお声をかけて頂いたんです。

ただ 既に 2月から 救急の動物病院で カジュアルで働いていたので、大学の勉強と 2つの動物病院で働くのは「両立は難しい」と判断して「卒業後に声をかけさせていただく」という形で一度お断りました。

卒業するときには、1つ目の救急(エマージェンシー)の病院から正式採用のオファーがあって働き先の1つは決まってました。

ただ、2つ目のブリーダーと整形外科の病院では Veterinary Technician のポジションで 雇ってもらえる可能性がありました。その病院で長く勤務されている Vet Nurse の方が強く推薦してくれたこともあり、そこでも簡単な面接を終えたあと 採用となりました。

大学を卒業してまだ経験も少ないので「たくさんの現場を知りたかった」というのも本音で、救急の病院でも働きたいと正直にお伝えして、2つの病院で働いています。

今、2つの動物病院で様々な経験をさせてもらえるのはとてもありがたいです。そして、そのような働き方ができるのも、オーストラリアならではかもしれないです。


Vet Tech(動物医療技術者)とVet Nurse(動物看護師)の違い


現在のオーストラリアの法律上は「Vet Technician」という職業カテゴリーがまだ確立されておらず、あくまでも 法的な区分は「Vet Nurse」と同じです。

それなら Vet Nurse の方がいいのでは? と思う方もいらっしゃると思います。

でも、実際の動物病院によっては Vet Technician という職業でできる業務範囲(Vet Nurseより出来ることが多い)を理解した上で、そのポジションで雇ってくれる 病院側(雇用主)もあります。

その証拠に 自分の働いている 救急の動物病院は Vet Nurse のポジションですが、もう一つの病院では Vet Technician というポジションで働かせてもらっています。

何より、明確な違いは「アカデミックなバックボーン」の有無にあります。

Vet Nurse は専門学校で短期間で学ぶので、現場での表面スキルに特化しているのに対し、Vet Technician は 学術的なエビデンスに基づいて処置の理由を理解した上で ケアができるのが強みです。

そして Vet Technology の学士号ではコース中に 大型動物(馬、牛など)、野生動物(コアラ、カンガルーなど)のハンドリングやケアも学べますので 範囲が広いです。

また 卒業後のキャリアという点では、Vet Technician は「学部卒が条件」となるため、卒業生ビザを取得して私のように 現地でのキャリア・就職につなげることもできますし、オナーズやマスターといった研究の道に進むことも可能です。

本来であれば、X線撮影や超音波(エコー)なども Vet Technician の領域です。
現状はスーパーバイザー(獣医師)の指導下であればVet Nurseでも行えるため、現場ベースでは 明確な境界線が曖昧になっているところもあります。

Vet Technician という職業が確率されている イギリスやアメリカなどの歴史ある国では、Vet Technician がオス猫の去勢手術(お腹を開けない手術)を行えるなど明確な職域が確立されています。

オーストラリアでは Vet Technician の学士号ができてまだ 5〜6 年ほどと歴史が 浅いため、法整備やクリニック側の理解が追いついていない・・というのも本当のところですが、Vet Technician の学士号を開講する大学が増えてきていると聞いているので、まもなく法整備化がされることを願っています。


アデレード大学での3年間の学びは、現在の仕事に活きていますか?


間違いなく 今の動物病院での仕事に100%直結しています。無駄なことは一つもないと言っていいです。

Bachelor of Veterinary Technology (動物医療技術)のコースは獣医学部(6年)の半分の3年間なので 広く浅くですが、重要な部分はしっかりフォーカスして深堀りして学びます。

特に 1年生 から 動物医療技術の専門科目が開始し「すべての科目にハンズオンの プラクティカルトレーニング」があります。

対象となる動物は、「犬」「猫」「うさぎ」などの小動物だけでなく「馬」「牛」「羊」「豚」「アルパカ」などの大型動物、さらには「鶏などの鳥類」,「爬虫類(蛇やトカゲ)」,そして「魚類」, オーストラリア固有の野生動物(カンガルー、ワラビー、コアラ、ポッサム)に至るまで、オーストラリア国内で触れることがあるだろう全ての動物のハンドリングや生態を学びました。



教授陣は何十年も経験を積んだ現役の獣医師、現役の動物看護プロフェッショナルばかりなので、「現場でよく見るケース」をベースにした実践的なカリキュラムになっています。

実際に、実習先や働き出した後に気が付きますが大学で習ったケーススタディが現場でいくつも出てきます

授業の構成も私にとっては素晴らしいと思いました。
午前中に講義(レクチャー)を受けた後、その日の午後や翌日には必ず実技(プラクティカル)という構成で、学んだ知識をすぐに実践できる環境でした。

このプラクティカルトレーニングも希望を出して許可を得られれば、何度でもトレーニングをすることが認められています

この反復練習のおかげで、注射や点滴のライン取り、血液検査のやり方など、現場で求められる基礎スキルを1年次から徹底的に身につけることができました。

もちろん、3年間、勉強しました(笑)

めちゃくちゃ勉強したし、すべての実習に全力で用意し 全力で挑んだと自信を持って言えます。

こういうときに謙遜するのが日本人とは思うんですが、謙遜することが馬鹿らしく思えるほど「めちゃくちゃ勉強した」と言いきれるくらいです(笑)


アデレード大学 Roseworthy のキャンパスライフ


アデレード大学の動物分野(獣医学、動物科学、動物行動学、動物医療技術)の4つコースは Roseworthy(ローズワーシー) キャンパスで開講されています。


ただ、獣医学、動物科学、動物行動学の学生は、2年生から Roseworthy で学ぶはずです。(少なくても 自分の学年はそうでした)この 3つのコースの 1年生は 共通基礎科目なので、アデレードシティのノーステラスキャンパスだったと思います。

私の履修した 動物医療技術のコースは 1年生から Vet Technologyの専門科目が入ってくる(プラクティカルトレーニングあり)ので、最初から 実習に必要なトレーニング施設のある Roseworthy で学びます。

Roseworthy キャンパスについていうと、アデレード市内から北に車で40〜50分ほどの立地で、獣医学部がメインになります。

飼育動物(馬、牛、羊、豚、鶏など)もいますので、キャンパスに隣接する 広大な土地全体がキャンパスです。

住居ですが、私は、1年生から卒業まで Roseworthy オンキャンパスの学生寮に住んでました。

1年生は個室がたくさんあるキャンパス内の 寮棟の一部屋があてがわれるのが一般的で、2年生からキャンパス周辺の一軒家がたくさん並んでいる集合住宅の中の3〜4ベッドルームの一部屋に移動します。同じコースや獣医学の学生とシェアする形で入居できます。すべて大学管理の学生寮です。

キャンパスライフは充実してました!

少なくても私が在学中は同じコースに日本人留学生はいませんでしたが、 Roseworthy の学生の団結力は すごいです。そして 「フレンドリー」で「優秀な 同級生」に恵まれました。

キャンパス内では 学生向けに 様々なイベントが頻繁に開催されています。具体的には以下のようなイベントがありました。

・1〜2週間に1回のペースでキュンパス内で何かしらのイベントが開催されてます。フォーマルなイベントから クイズナイトなどのカジュアルに楽しめるイベントも多いです。

・1学期に1回 、食事会が開催されます。毎回異なるテーマが設定されており、学生たちはそのテーマに合わせた服装(ドレスコードですが、コスプレ的なのもあり)で参加して楽しみます。



・キャンパス対抗のスポーツ大会がかなり「熱い」です。特に Roseworthy チームは団結力が凄くて、City Campus チームへの対抗心でかなり盛り上がります(笑)

キャンパスの周りの環境ですが、商業施設は何もないです。自然しかありません(笑)。

それでも、キャンパスライフを満喫できる環境は 人にあると思います。

特にローズワーシーは「動物好き」の人が集まっているキャンパスです。
友達になる基本条件(動物好き)が 一緒なので、直ぐにみんなが知り合いになれると思います。

「内向的な人よりも、自分から積極的に参加していくコミュニケーション能力が高い人の方が、よりキャンパスライフを満喫できる」と思います。

将来、動物医療の現場に出れば、動物だけでなくその飼い主(オーナー)との対話も非常に重要になるため、こうした大学のイベントを通じて様々な人と交流し、コミュニケーション能力を磨いておくことも、将来に向けた良い経験になると思います。

ちなみに Roseworthy 近郊の商業施設のある街まで バスもでていますし、アデレード市内とキャンパスをつなぐシャトルバスもありますが、自家用車があると生活のクオリティは段違いになります。

私は思い切って車を 購入しましたが、そのおかげで 実習先の病院から カジュアル採用になったときも躊躇なく続けることができたので、結論「購入してよかった」です。(日本で免許を取ってきましょう!)


現地の動物医療業界の現状は人手不足?


仕事を通じてわかることも多いですが、業界全体として人手不足なのは確かです。ただ、基本的にどこの病院もクリニックも「新人に教える余裕や時間がない」んです。

そのため「即戦力となる経験者」ばかりが求められています。求人はたくさんありますが、一般的には「2年以上のオーストラリアの動物病院での 経験」が最低条件になっています。経験が1年未満の新卒だと、就職は 非常に厳しいという状況にあります。

私は アデレード大学の 卒業後にジョブオファーがもらえたのは、本当に出会う人に恵まれたことが1番にあります。もちろん、大学でも必死に勉強して、実習先で誰よりも真面目に取り組んだ自信はあり、それが結果にもつながっていると思っています。

また、人手不足の原因の一つとして 獣医師や動物看護師を含め、新卒から 就職できたとしても 5年以内で約30%の人が業界を離れてしまうという悲しい現実があり、それも 人手不足に繋がっているとも言われています。

その一番の理由は「メンタル面」です。

特に私が働く救急(エマージェンシー)だと「助からない命に向き合う」ことや「安楽死を選択せざるを得ない」オーナーがいるなど、日々、葛藤の連続です。

また、安楽死の処置をして悲しんでいる飼い主さん、その直後に 子犬のワクチン接種でこれからの未来を想像して喜んでいる飼い主さん、、、、

それぞれに話をし、ケアをしてなど「感情の切り替え」も大変です。

こうした精神的負担や、人手不足によるオーバーワークなど、バーンアウト(燃え尽き症候群)してしまう人が多いと言われています。

ただ、自分の場合は、日本の同級生などの話を聞く限り、日本の「残業が当たり前」といった労働環境に比べれば、今のところ 週40時間労働で週2日 きっちり休みが取れるオーストラリアの働き方は、個人的にはかなり恵まれていると感じています。

最後に、今後のキャリアの目標


まずは現在の職場で2年間働き、経験を積むことが直近の目標です。
オーストラリアでVet Technician が法整備化され、広く認知されることでより活躍できる領域を広げたいこと、 更にその先の将来には Vet Technician として より高度な医療行為ができるイギリスなどへ渡ることも視野に入れています。

おまけ: 他学部から獣医学部への編入事情について


獣医学部への編入(トランスファー)についてです!

ローズワーシーは 獣医学、動物学専門のキャンパスなので、実際に 他コースの学生とも仲良くなって情報交換の機会が多いです。

その中で1番 よく聞かれる「 獣医学部への編入」について、実際の学生のケースでお伝えします。

獣医学(Bachelor of Veterinary Science + Doctor of Vet Medicine)へのダイレクト入学が無理で、他コースを候補として考える場合は Animal Science(アニマルサイエンス)が選択肢になります。(アニマルサイエンスは、獣医学部の1年目と全く同じ科目を学びます)

Animal Science(アニマルサイエンス)の 1年生を終えた段階で成績がトップクラスに優秀だと、2年目から獣医学部へ編入する というパスウェイがあります。

実際に同学年で1人いました!が、もちろん成績はとても優秀な学生でした。オーストラリア人学生も含めて上位数名なので 「編入できない学生のほうが圧倒的に多い」のが事実なので、最終的に 編入できなくても しょうがないという「覚悟が必要」だと思います。

私が履修した Vet Technology(動物医療技術)のコースは 1年生から Vet Tech だけの専科を学ぶので、獣医学部の1年次とは履修科目も違います。
もしVet Technology の1年目を終えた段階で 獣医学部へ転入する場合は、獣医学の1年目からやり直す必要があります。(そういう学生も実際に一人いましたよ!)

スタッフからのコメント

アデレード大学の最後の学期を終えたらキャッチアップしよう!と約束し、当日にお勤め先のユニフォームを着た青年が現れたと思ったら良磨くん でした。



在学中から 動物看護師として カジュアルで働いていたことを伺い、こうして卒業後もジョブオファーを貰い、現地で就職されていること、自分のことのようにとても嬉しいです。Veterinary Technician として就職おめでとう!そしてたくさんの経験を積むことに貪欲な 良磨さん の今後が楽しみです。

しばらくアデレードでお勤めということですから、次回は社会人としてキャッチアップしましょう!

豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号I009)
オーストラリア、アデレード在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I009)。経済連を退社しニュージーランドへの留学を決意。留学を終え、今後は ワーキングホリデーでオーストラリアへ。現地の旅行会社勤務などを経て、2002年より現職。クイーンズランド州、ニューサウスウェルズ州、南オーストラリア州の主要都市を移り住み、現在に至る。語学留学、TAFE専門、大学・大学院留学への留学相談、アデレードオフィスの留学カウンセラーとして、全力で留学生の進学相談とサポートを行っています。 このカウンセラーに質問する

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