島崎さんの経歴 2019年3月 高校卒業(日本)
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2019年4月〜2020年2月 フリンダース大学付属語学学校(10ヶ月間)
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2020年3月 フリンダース大学入学(看護学部)
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2023年12月 フリンダース大学卒業
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2024年 正看護師登録や就職活動など
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2025年〜 アデレードの病院で就職(現職)
オーストラリアで看護師を目指したきっかけ
なぜ日本ではなく、オーストラリアで看護師を目指したのですか?
オーストラリアで看護師を目指した一番の理由は、もっと自分らしく、のびのびと生きたいと思ったからです。正直に言うと、日本での生き方や環境に息苦しさを感じていて、一度すべてを変えてみたいという気持ちがありました。
そんな中で海外に目を向けたとき、英語で看護を学ぶことができれば、国籍や文化の違う人たちとも関われて、より多くの人を支えられるのではないかと考えるようになりました。
また、もともと精神科看護に強い関心があり、
多様性を尊重し、個人の価値観を大切にするオーストラリアの医療や教育の在り方は、自分の目指す看護に近いと感じました。
フリンダース大学を選んだ理由
オーストラリアには多くの大学がありますが、フリンダース大学を選んだ決め手は何でしたか?
大学選びについては、フリンダース大学は看護分野にとても強い大学だとオーストラリア留学センターを通じて教えてもらったことが大きなきっかけでした。
実際に調べてみると、臨床に直結したカリキュラムや実習の多さ、現場を重視した教育方針が魅力的で、ここなら実践的な力をしっかり身につけられると感じました。
海外で看護を学ぶなら、ただ学位を取るだけでなく、現地で看護師として働ける力を身につけたいと思っていたので、看護教育に定評のあるフリンダース大学を選びました。
困難を乗り越えたという経験
コロナ禍でのオンライン授業や英語力の壁で苦労を経験されましたが、そこからどのように気持ちを切り替え、現地の学生との交流を通じて英語力を伸ばしたのですか?
大学1年次はコロナ禍の影響で授業がすべてオンラインになり、英語力の不足も重なって思うように学業についていけず、単位を落とした経験がありました。
正直かなり落ち込みましたし気持ちを切り替えることもできていませんでしたが、日本に帰ったところで自分に何も残らないし、とりあえず“今”をここで生きようという精神でギリギリで生活してました。笑
当時は留学生が少なかったため、現地の学生と関わる機会が多く、授業や日常生活の中でなるべく質問をしたり自分から積極的に話しかけ、交流することを意識しました。
完璧な英語ではなくても伝えようとする姿勢と、みんなの話を聞き取ろうとする姿勢を大切にすることで、少しずつ英語で話すことへの抵抗がなくなり、実践的な英語力を伸ばすことができたと感じています。
その時にできた友人たちとは、今でも交流が続いており、この経験は語学力だけでなく、人との関わり方や自分の成長にも大きく影響しました。
IELTS4.5からの大躍進!看護師登録のための英語試験(PTE)対策
IELTS4.5から留学をスタートし、大学生活を経て、看護師登録に必要なPTE試験に向けて猛勉強されたとのことですが、特にスピーキングで高得点(IELTS 8.5相当)を獲得した秘訣や工夫を教えてください。
スピーキングに関しては、試験対策だけでなく大学でできた現地の友人の存在がとても大きかったと感じています。日常的に英語で会話する環境があったことで、試験のための英語ではなく、自然なイントネーションや話すリズムが身につきました。
友人との何気ない会話を重ねたことがスピーキングへの苦手意識を減らし、自信を持って話せるようになったことが高得点につながった一番の理由だと思っています。
ユニークな実習経験:刑務所での看護実習
実習先として「刑務所(プリズン・ナース)」を選んだ理由と、そこで得られた最も貴重な気づきは何でしたか?
刑務所という制限の多い環境の中で、看護師がどのように受刑者と向き合い、心身のケアを行っているのかを実際に見て学びたいと思ったことがきっかけです。もともと精神科看護に強い興味があり、疾患だけでなく、その人の背景や環境が心にどのような影響を与えるのかを学びたいと考えていました。
2か月間の刑務所実習では、精神的なアセスメントから採血などの身体的ケアまで、幅広い看護に関わることができました。限られた環境の中で受刑者一人ひとりの状態を丁寧に観察し、信頼関係を築きながら関わることの難しさと大切さを学びました。
特に印象に残っているのは、受刑者との会話を通して、彼らも同じ一人の人間であり、各々様々な背景や人生を抱えてここにいるのだと強く実感したことです。
行為や立場だけで人を判断するのではなく、その人全体を看る姿勢こそが看護にとって大切なのだと気づかされた非常に貴重な経験でした。
オーストラリアでの就職活動と実習の重要性
学生時代の実習経験が就職に直結する」とのことですが、現在の専門病棟(脊髄・脳損傷)でのポジションをどのようにして獲得したのですか?
オーストラリアでは、学生時代にどの診療科で実習を行ったかが採用に大きく影響し、実習経験のない分野への応募は難しいことも多いです。
大学時代の実習はランダムに割り当てられるのでほぼ運ですが、実際に「◯◯科で実習したいです」と言えば、100%保証はないけど割り当ててくれたりなどありました。
私の場合、大学2年次に整形外科での実習を偶然にも2回経験し、その中でリハビリテーション看護や、患者さんとより親身に関わる看護に強く惹かれるようになりました。
これらの実習経験があったことで、現在働いている脊髄損傷科へのアプライにつながり、学生時代の実習が現在のポジション獲得に直結したと感じています。
現在の仕事内容と職場の環境
現在看護師として勤務されている病院での具体的な業務内容や、同僚との人間関係、オーストラリアならではの職場の雰囲気について教えてください。
主な仕事内容は、日常生活動作のサポートや排泄管理、服薬管理、手術後の創部ケアや皮膚トラブルの予防・管理など、全身状態を見ながら行う包括的な看護をはじめ、リハビリチームと連携しながら患者さんの長期的な回復と生活再建を支える看護です。
急性期とは違い、患者さんと関わる期間が長いため、
患者さん一人ひとりの回復過程に寄り添い、身体面だけでなく精神面も含めて支えることに大きなやりがいを感じています。
職場環境については、多職種とのチームワークを強く感じられる点がとても印象的です。医師、理学療法士、作業療法士、薬剤師など、さまざまな専門職と日常的にコミュニケーションを取りながら、患者さんにとって最善のケアを一緒に考えています。
それぞれの専門的な視点を共有し合いながら意見交換をする時間はとても刺激的で、チームの一員として働いている実感があり、純粋に楽しいと感じる瞬間でもあります。
職種や立場に関係なくフラットに話し合える雰囲気があり、一人で抱え込むことなく協力し合える環境は、オーストラリアならではの働きやすさだと感じています。
オーストラリアの職場環境、気になる「働きやすさ」
オーストラリアの看護師の待遇や、ワークライフバランスなどについて、どう感じていますか?
オーストラリアでは、ワークライフバランスを大切にする文化が根付いていて、仕事とプライベートを分けて考えることが当たり前なのが印象的です。休みの日はきちんと休み、リフレッシュしてまた仕事に向かうというサイクルが作りやすく、長く看護師として働き続けられる環境だと思います。
また、待遇や労働条件が明確で、残業や休憩、休暇もしっかり管理されているため、心身のバランスを保ちながら働けていると感じています。
オーストラリアの職場環境は看護師としてのやりがいと、自分の人生を大切にすることの両立ができる点でとても働きやすいと感じています。
日本人看護師だからこその強み
オーストラリアの医療現場で「日本人であること」の強みや、文化の違いを感じることはありますか?
現場で働いていて、日本人であることが強みになる場面は多いと感じています。なにかと親日な人が多いのにも関わらず、特に私の住んでるアデレードは日本人が少ないので、人種を聞かれて日本人と答えるだけで珍しがられて喜ばれることがよくあります。笑
また、患者さんや同僚から「優しいね〜」「丁寧だね〜」と言われることがよくあり、日本人ならではのきめ細やかな対応が評価されていると感じ、海外の医療現場でも大きな強みだと感じてます。
ですが、一方で、文化の違いに戸惑うこともありました。例えば、患者さんからきつい言葉をかけられた際に、反射的に言い返さず「Sorry」と受け止めてしまうことがありました。
日本では相手との関係を円滑に保つための対応でしたが、オーストラリアの職場ではその対応が必ずしも良いとは受け取られませんでした。
同僚からは、患者さんが看護師に対して失礼な態度を取った場合は、「その対応は適切ではない」とはっきり伝えることも大切だと教えられました。場合によっては看護師が患者から精神的な被害を被ったとしてインシデントレポートも書くこともあります。
看護師自身の尊厳を守ることも、プロフェッショナルとして重要だという考え方に、最初は驚きましたが、今では大切な学びだったと感じています。
日本人としての丁寧さに加えて、オーストラリアの率直なコミュニケーションを身につけることで、よりバランスの取れた看護をできる様に日々心がけています。
大切なのは「できるかどうか」ではなく「やってみたいかどうか」
将来の修士号取得に向けた展望と、看護留学を迷っている日本の高校生たち、そして支える保護者の方へメッセージをお願いします
英語は最初からできなくても大丈夫です!英語に自信ないというだけで自分の人生の視野を狭めないで欲しいです。
英語は後からでも必ず伸ばせますし、
何より「人生変えてみたい」「海外で看護師やってみたい」という気持ちが一番大切だと実感しています。現に私もほぼ英語は話せず、海外で看護師なりたいという一心でここまできました。
「若いうちの苦労は買ってでもしろ」、とよく両親から言われていましたが、それを今痛感してます。
実際に現地に来て、人と関わり、失敗しながら学ぶ中で、少しずつ自信がついていきました。そして今、これまで大変だった事を掻き消すほどのやりがいを感じて毎日が楽しいです。
私もまだまだ看護師としては新人なので、これからより経験を重ねて技術を磨いて、将来は修士号を取り、自分をステップアップし続けていきたいと考えてます。
そしてオーストラリアには看護師が一つの専門職として尊重され、チームの一員として多職種と協力しながら働ける環境があります。自分の意見を言っていい、相談していい、無理をしすぎなくていい、そういう働き方ができることに私は何度も救われました。
もし今迷っているなら、「できるかどうか」ではなく「やってみたいかどうか」を大切にしてほしいです。不安があっても、その先には想像以上に広い世界が待ってます!
ここまで読んでくださった皆さん、オーストラリアに来て看護師を目指してみたいと思ってる皆さんを待ってる人がいます。将来皆さんを必要とする人、救われる人が絶対にいます。ぜひ将来そんな皆さんとオーストラリアで一緒に働けるのを楽しみにしております!!☺️
スタッフからのコメント
島崎さんからはじめて留学の相談を受けたのは、彼女がまだ高校生の頃でした。当時から看護師という夢を心に決めて臨んだ留学。単身アデレードへ渡った彼女の道のりは決して平坦なものではなく、コロナ禍よる慣れないオンライン授業と英語の壁にぶつかり、単位を落としてしまうという大きな挫折も経験されました。
しかし、彼女の素晴らしさはそこで立ち止まらなかったことです。「今をここで生きよう」と現地のコミュニティ飛び込んでいった勇気が、その後の驚異的な英語力の伸び(PTEでの高得点!)と、現在の自信に満ちた姿に繋がったのだと確信しています。
刑務所実習を経て、「その人全体を看る」という看護の本質を掴み、現在はアデレードの専門病棟で多職種チームの一員としてハツラツと働く彼女の姿は、まさに「自分らしい留学」の体現そのものです。
「英語は後からでも伸ばせる。大切なのはやってみたいという気持ち」という彼女の言葉は、かつての自分と同じように一歩を踏み出そうとしている高校生や、それを見守る保護者の皆様にとって、何よりの励ましになるはずです。
島崎さん、素敵な体験談をありがとうございました。これからもオーストラリアの地で、日本人の強みを活かしながら、理想の看護師像を追求し続けてください。これからもずっと応援しています!