留学しようと思ったきっかけと大学院進学までの道のり
大学留学を決めた一番のきっかけは、高校一年生の時に参加した、ゴールドコーストでの二週間の語学研修です。
私にとって初めての海外経験だったので、オーストラリアの澄み渡る青空やキラキラと輝く海など、普段、見ることのない景色に感動したことや、英語(母語でない他言語)で他の国の人とコミュニケーションを取ることができた体験を通じて「私もいつかここで暮らしてみたい!」と強く思いました。
高校時代から国際関係の仕事に憧れがあったこともあり、大学はオーストラリアへの進学を決断、国際関係について学びました。コースで貧困や差別などの社会問題について学ぶにつれ、「もっとこの分野について学びたい」という思いが強くなり、大学院進学を決めました。
ここで再度、大学院で学ぶ国や大学について検討をしたのですが、私自身、オーストラリアの大学を卒業したということもあって、すでに暮らし慣れているオーストラリアで続けて勉強した方が勉強以外のストレス(新たに違う国に行き、一から生活基盤を立て直す過程)が減らせると考え、国はオーストラリアに、そして、オープンキャンパスに参加し、シドニー大学の教授と直接話す機会があったことから、学科の雰囲気が掴めたこと、コース内容が私の学びたい興味分野と一致していたことから、シドニー大学進学に決定しました。
コースの中で、特に印象に残っている授業はありますか?
一番印象に残っている教科は、「Conflict and Media」という授業です。この授業は、紛争下におけるメディアの役割やメディアがもたらす影響など、既存のセオリーと時事を絡めながら学ぶクラスでした。
大学を卒業後、大学院進学までの半年間、広報のインターンとして働いていたこともあり、メディアに強い関心を持っていた私にとって、この授業は、広報インターンの経験やこれまで大学で学んできたことが線となってつながった感覚がありました。
そのため、その後の独立研究(日本でいう修論)でも、人権×メディアをテーマにオーストラリア国内で庇護希望者がどのように報道されているか、フレーミングされた報道は視聴者にどのような影響をもたらすのかということを研究しました。独立研究は、文字通り血汗涙の日々ではありましたが、納得のいくリポートが完成し、とても満足しています。
また、「Rethinking Poverty」という授業もとても興味深かったです。
産業革命から現在までの間でどのように富の不平等が広がったのか。世界の経済格差について学べたのは、既知の事実ではあったものの、再考するという点で、選択してよかったと思う授業の一つです。
実際、「食の安全保障」について学ぶ大学院のパイロットプログラムで南インドに二週間滞在したのですが、プログラム中は何度もこの授業で学んだことを思い出す事がありました。
プログラム中は、現地の大学や地元住民(女性たち)の所得向上を目指す「農業プロジェクト」を行うNGOや、南インドの寺や宮殿、公立小学校へ給食を提供するNGOの訪問などがありました。学公立小学校へ行った日は、給食工場を訪ね、生徒と同じ給食を食べ、その後、NGO事務所へと向かったのですが、職員の方が「給食があるから学校に来る子がいる。給食目的でもいいから、学校へ来て学ぶことで、その子の将来の可能性が少しでも広がるようになってほしい」と語っていたのが印象的でした。
本音を言うと、こうしたNGOが活動しなくても、子どもが何の心配もなくきちんと学校に通うことができ、満足いく食事ができる社会を「地域レベル・国レベル」で提供することが、本来あるべき姿なのかもしれません。ただ、こうした考えを持つことができた、築くことができたという意味でも、このパイロットプログラムに参加して良かったと思いましたし、前述した「Rethinking Poverty」のクラスを選択して良かったと思いました。
履修科目を選ぶ際に、意識していたポイントやコツがあれば教えてください。
各授業、シラバスが公開されているはずなので、「どんな内容の授業か」「それは自分が興味のある内容」かを確認することが、科目をうまく選ぶポイントだと思います。約四カ月間、選択した科目を学び続けなければならないので、必修科目は絶対に取得しなければいけませんが、選択科目に関しては、シラバスを確認して、自分の興味ある授業を選択することが、その授業の単位を無事に取得できるコツだと思います。
また、その授業の提出課題(単位を取得する為に必要な評価ポイント)を確認することも大切なポイントだと思います。課題を一つ仕上げることは本当に大変な作業なので、「他に選択した授業と課題提出期間の被りはないか」を確認することも重要です。
もし、グループ課題が特別に苦手だったり、プレゼンテーションや筆記テストが得意でないのだとしたら、必修科目を除いた選択授業に限り、課題ベースの授業を選択することも、単位取得に向け「不安を少しでも減らす」という意味で、一つのポイントになると思います。
膨大な課題や予習を乗り切るために、どんな工夫をしていましたか?
私は文系の学科だったので、主な課題は(グループ・個人)プレゼンテーションやエッセイ(1500~3500ワード程度)、グループディスカッションでした。
大学・大学院どちらとも計画(いつまでに初期調査を終えて、いつまでに下書きを完成させるなど)を立て、課題に取り組んでいました。もちろん、所属している学科によって課題の取り組み方の違いはあると思いますが、どの学科においても、「徹夜で一から完成させる」なんてことは通用しないと思います。課題の締切日から逆算して、最低限の計画をもって取組むことは、自分へのストレスを減らす意味でも大切だと思います。
また、英語が母語でない人にとって、英語で大学のレポートを書くことは容易ではありません。引用の仕方やレポートの構成など、特に初めての場合は、書き方に不安を覚えることもあると思います。大学によって多少の違いはあるかと思われますが、大学が提供する添削サービスの利用したり、授業の先生がレポートの下書きを見てくれる場合は、積極的にサポートを受けるなど、ひとりで悩みすぎず、友達や周りの助けを借りながら課題をこなしていくのも、一つの処世術だと思います。
クラスメイトはどのような人たちでしたか?
私の在籍していたコースでは、本当に様々な国籍・職歴と様々なバックグラウンドを持った人たちが集まっていました。私と同じように大学を卒業してすぐ入学したクラスメイトもいれば、弁護士や国際機関、国際協力の団体に長年勤めていた人などがいました。中国やフィリピン、インドネシアなど、オーストラリアから比較的近い国出身の留学生を始め、ノルウェーやエチオピアなど遠く離れた国のクラスメイトもいました。また、大学院ということもあり、年齢層は23歳から50歳以上と幅広かったです。
年齢や国籍、職歴は様々でしたが、「Social Justiceについて学びたい」という同じ志を持つ仲間だったので、こうしたクラスメイトと出会えたこと、一緒に学べたことは、勉強以外で得た一番大きなものだと強く思います。
学校以外では、どのように過ごしていましたか?
学校以外では、週に三日程度飲食店でアルバイトをしていました。また、私はオーストラリアの自然が大好きなので、休日は友達と海へ行ったり、コスタルウォーク(海岸沿いのウオーキング)など自然に触れながら過ごしていました。電車に乗ってブルーマウンテンやウーロンゴン、カヤマなど、都市部から離れた場所へもよく遊びに行っていました。
都市部を離れると個人で営む素敵な雑貨屋さんやカフェなど、お気に入りの場所を見つけることができ、勉強から離れリフレッシュするいい機会になっていました。
大学院を卒業された、今の気持ちを聞かせてください。
長いようで本当にあっという間の一年半だったと思います。幸い、クラスメイトにも恵まれ、のびのびとした環境で学ぶことができました。
勉強は本当に大変だったのですが、家族の支えはもちろん、卒業に向け一緒に頑張るクラスメイトがいたからこそ、無事に卒業できたと思います。課題に追われている時は本当に苦しく、図書館で徹夜で勉強した日々もありましたが、今となっては学生生活を語る上で欠かせない、いい思い出です。
この経験を、今後のキャリアにどう活かしていきたいですか?
せっかく大学・大学院とで国際関係学について、Social Justice について学んだので、学んだだけで終わらせずに、この知識を活用できるようにしたいと思います。
大学生の時から将来は国際協力の仕事に携わりたいと考えていますが、一重に国際協力と言っても多様な関わり方があると思うので、自分に合ったアプローチ方法を模索しながら、自分が目指すべき目標を達成できるように、倦まず弛まず行動し続けたいと思います。
最後に、これから留学する方へメッセージをお願いします。
基本的な点としては、しっかり準備をして渡航することは大切です。その点、オーストラリア留学センターのスタッフの皆さんは、渡航準備から留学中も定期的にサポートして下さるので、安心して留学生活を送ることができました。
留学中は「一日、一週間が長い」と感じる時もあるかもしれませんが、留学生活が終わって振り返ってみると留学期間は本当にあっという間に感じるのではないかと思います。留学中は楽しい事ばかりではなく、もちろん苦しい瞬間もたくさんあるかと思いますが、だからこそ、一瞬一瞬を大切に過ごしてほしいなと思います。
積極的に留学先の課外プログラムに参加して交流の輪を広げてみたり、休日に少し遠出をしてみる、現地の自然に触れてみるなど、せっかく留学に行くのであれば、勉強の他にも日本ではなかなか体験することのできない事を経験するのも、のちのいい思い出になると思います。これから留学をする皆さまの経験が実りあるものとなるよう応援しています。