オーストラリアでの進学を考えたきっかけ
オーストラリアのジェームスクック大学(以下JCU)を選んだ理由として主に3つあります。
1.なるべく多くの時間を勉強に費やしたかったから
2.論文を通じて専門性を磨くよりも、コースワークを通してインプットに時間を充てたかったから
3.熱帯地域で公衆衛生と国際開発学を学びたかったから
英語で学ぶことを条件としてイギリスと比較したとき、オーストラリアのJCUでは、2年という時間をしっかりと勉強に専念できそうでした。
私はキャリアアップとして大学院を目指していたのではなく、自身の人生のご褒美として好きな分野を学ぶことを目的に大学院へ進学をしました。そのため、より多くの時間を勉強に充てることができるオーストラリアを選択ししました。
オーストラリアの大学院では(例外もあるが)コースワーク、プレイスメント、リサーチの3つの方法で修了することができます。私は論文を通じて専門性を磨くよりも、優れた教授陣のもとで、授業を通してより多くの知識を得られるようにコースワークを選択したいと考えていました。
大学院入学前に国際ボランティアに参加し、アフリカの農村部での生活を通して国際開発に関わる問題に関心があり、大学院進学を決めました。
さらに、帰国後、熱帯医学のディプロマを取得したことで熱帯地域での公衆衛生に関心が高まりました。JCUでは、公衆衛生学と国際開発学の2つの修士号を取得できると知り非常に魅力を感じたため、進学を決めました。
Risaさんの経験はJCUのウェブサイト「
Volunteering in Madagascarに掲載されているので、ぜひご覧ください。」
JCUがあるケアンズ・タウンズビルはどのような町でしたか?
自然が多く、勉強するには最適な環境ででした。
学校内の寮と図書館を往復する生活だったものの、毎日のようにランニングや裏山でのトレーニングを行い、2週間に一度は寮でのBBQを楽しみました。
大きなショッピングモールもあり、買い物に不自由することはありませんでした。まとまった休みができた際には友人達とロードトリップや近くの島、谷に行き、大自然に触れ、良いリフレッシュすることもできました。
JCUはどのような大学でしたか?

ケアンズはキャンパスが小さい分、アットホームな環境で多くの友人ができました。
図書館や学校内の移動の際に、学校の至る所に友人がいるため立ち話をしたり、一緒にご飯を食べたり、落ち着く雰囲気でした。また、同じコースの同級生もこじんまりしているため、プライベートでも非常に仲良くなり、卒業後も頻繁に連絡を取り合う仲になりました。
一方タウンズビルはキャンパスが広く施設が充実しており、図書館だけではない自習スペースが多くあり学びやすい環境でした。
講師陣もタウンズビルに在籍している方が多く、対面の授業を多く取ることができました(当時、授業によってはオンラインで開講されているものもありました)。
しかし、学生が多いため自身のコミュニティー(寮や同じコースの同級生)以外の人との交流は少なかったです。私は寮に住んでいたため、学内にある程度友人がいましたが、一人暮らしや学外に住む場合は、友人を作るのが難しいかもしれないと感じました。
いずれのキャンパスでもアジア人学生が多くいたため、どの学生が日本人かわからないまま、日本人学生と友人になる機会も少なく日本語を話す機会はほとんどありませんでした。
大学のサポートは、キャリア相談や論文の添削等を利用し、論文の添削は図書館のサポートデスクやオンラインでも利用できます。
また、学校主催のズンバレッスンに参加したり、無料のフードデリバリー、そしてケアンズキャンパスでは近くのスーパーの見切り品の配布があったりもしたので、毎週利用していました。
大学のサポートについてはケアンズもタウンズビルも同様のサポートを受けることができ、非常に満足しています。
JCUで学んだ科目例

MPH-MGDでは様々な勉強をしましたが、4つ紹介します。
Critical Issues in Global Development
現代社会で起こる貧困問題や経済・政治問題を批判的に分析をしました。一つの国に課題を絞るのではなく、世界各国で起きている開発課題に大きく焦点を当て、論理的に考える思考力を養うことができました。クラスメイトもグローバルなため、各国の現状についての生の声も聞くことができました。
Navigate the Cultural Interface
オーストラリア先住民と現代のオーストラリア社会における文化的歴史的問題を研究しました。哲学的な内容の文献も多く、日本語でも理解に時間を要したため、エッセイを書く際に非常に苦労しました。
Global Health and Development
グローバルヘルスを開発学の文脈で学ぶ授業で、毎週いくつもの論文を読む必要があり、時間管理と速読の習得が大変でした。
勉強を乗り切るために工夫したこと
コロナの影響により多くの授業がオンラインで提供され、チュートリアルでディスカッションを行う形式になっていました。そのため、ほとんどの授業はスピードを調整したり、サブタイトルをつけて視聴できたり、何度も授業を視聴できたため授業内容についていけないということは少なかったです。
国際開発学では思考力といかに多くの論文を読んだかが問われるエッセイの課題が多い一方で、公衆衛生学では暗記と記憶に基づいた解答の速さが求められる試験が多くありました。
そのため、公衆衛生学の試験では、パソコンのタイピングに慣れていない学生が、テストの解答時間が足りずに単位を落としてしまうこともありました。その対策として、授業内容を声に出して暗記し、AIで自動生成した模擬試験を活用して、制限時間内に解答できるよう何度も練習をしました。また、読んだ論文は都度自身のノートにまとめていつでも内容を簡潔に振り返られるようにすることでエッセイ課題の対策をしていました。
現地生活で大変だったこと
3度寮が変わり、その都度ルームメイトが変わったため、部屋のルールや人間関係に戸惑うこともありました。
11人部屋に住んでいたときは、騒音や衛生観念の違いから衝突することもありました。しかし、慣れてくるとその家の雰囲気が分かり、住みやすくなりました
一般的に治安が良いとされている地域であったものの、寮全体が不良少年たちに襲われ、部屋に不法侵入されたり、窓ガラスを破壊されたりするなど、盗難事件が何度か発生しました。
そのため、ここは日本ではないという危機感を常に持つことが必要だと感じました。
幸い私自身に危害が加わることや何かを盗まれることはありませんでしたが、部屋の鍵が閉まらなくなってしまったので、その間部屋を変更してもらいました(その寮自体は今はありません)。
今後のキャリアについて

現在は就職活動中だが、オーストラリアで修士号を2つ取得したことは今後のキャリア形成において大きなメリットになると考えています。
大学の就職支援に関してはオーストラリア国籍の方優先の印象があり、卒業後もオーストラリアでの就職を希望する場合は、卒業前から就職に繋がるような取り組みや、プレイスメントをすることをおすすめします。
※その後、Risaさんは専門を活かしたお仕事に就きました。