休学留学をするきっかけは?
2020年に大学に入学しましたが、コロナ禍で大学に全然通学できず、家からオンラインでずっと勉強していました。
3年生になってからは週に1-2回キャンパスに通い、あとは自宅からという状態が続きました。
人との関わりも少ない中で、思い返したときに大学生活として思い出に残るものが何もないな、と感じました。
ただ思い出になるだけでなく、自分の新しい部分を開拓したいという思いもあり、3年間の規制の中で自分の中にたまっていた想いみたいなものを発揮できる場所がないかなと考えた時に、大学を休学して留学することを考え始めました。
入学したときからいつか留学したいという思いはありましたが、具体的なタイミングははっきり決まっていませんでした。コロナ禍で英語を勉強していくうちに自信がつき、大学在学中に行くのもありかな、と思い決断しました。
コロナ禍で通学時間が減った分、アルバイトをしたり、英語の勉強に時間を費やせたので、余裕を持って留学の準備ができました。
なぜタスマニアを選びましたか?
タスマニアを選んだ理由は、環境を学びたかったからです。
環境を学べる大学は他にもある中で、世界でも類稀な豊かな自然の中に身を置きながら環境を学べる大学は他になく、島というユニークさも相まってタスマニア大学で学びたい気持ちが強くなりました。
ホバートはとても美しい町で、環境が保たれ、自然が残っていることで知られています。世界で一番空気がきれいといわれているのがタスマニアという点も魅力的でした。
おそらく、コロナ禍の3年間が関係していると思いますが、外に出られなかった分、「外に出たい、自然に触れたい!」という思いが強かったのだと思います。開放的で自然との触れ合いがあり、広大な環境を求めていました。
スタディー・アブロード開始前に受講した英語コースについて教えてください。
スタディー・アブロードの英語条件を満たしていたのに英語コースを受講した理由はありますか?
独学で英語を勉強していたので、スタディーアブロードに直接入れる英語力はありましたが、ライティングやプレゼンテーションに不安がありました。
日本の大学では日本文学を専攻しており、英語の授業や英文でのエッセー作成の経験がなかったため、ローカルの大学生と一緒に勉強するのは不安だなと感じ、20週間の英語コースを受講することに決めました。
私が受講したのはDirect Entry Programで、進学用の英語(EAP)を学びます。合計20週で5週ごとに分かれ、4段階になります。
最初はEAP1というクラスに入りましたが、一番英語力が低いクラスで文法中心だったので簡単に感じ、クラスを変更してもらいEAP4という1番上のクラスになりました(笑)。
EAP4⇒EAP3⇒EAP2⇒EAP3というちょっと変わった順番になりましたが、EAP3が特に実践的だったので2回(合計10週間)受講しました。
プレゼンテーションの練習やチュートリアルでのディスカッション練習などができたので、本科コースの前に自信をつけるのに良い経験になりました。
ライティングは特に丁寧に教えてもらい、レポートの書き方やプラジャリズム(Plagiarism)についても学びました。Plagiarismとは、他人の文章や語句を断りもなく自分の文章のようにして「引用」することです。著作権にひかからないアサインメントの書き方を学べました。
短いエッセイから20ページにわたる長いエッセイまで段階を踏んだ書き方を教えてもらったのは、本科コースで役立つスキルのひとつでした。
スタディーアブロードで知り合った日本人大学生がEAPコースを受講してなかったのですが、エッセイの書き方がわからないと言っていました。日本の大学では身につけることが難しいスキルなので、ライティングの基礎をしっかり身につけてから本科コースに進めたことは良かったと思います。
メンターサービスについて教えてください。
英語コースのタイムテーブルは10時から14時半までで、休憩30分を含み週5日で合計20時間の授業が行われます。英語コースの学生は、メンターサービスを利用することができます。このサービスは、語学学生1人に対してタスマニア大学の英語ネイティブの卒業生が1人紹介され、最初は先生を介して会い、その後はお互いのスケジュールを合わせて対面で会い、様々な相談にのってもらえます。
私の本科での専攻予定科目を考慮して、環境系の学科の卒業生を紹介してくれました。3ヶ月に一回は語学学校の先生にも進捗状況を報告しますが、基本的には2人で会い、語学コースの授業前や授業後に会話の練習や英語のアドバイスをもらったりして、気軽に相談できる存在でした。
その他にも大学入学後の相談や、どの教科を取るべきかについてのアドバイスもいただきました。大学に入ってからも交流が続き、テストの乗り越え方を相談したりプレゼンテーションの心がけなどのアドバイスももらいました。
会話クラスについて教えてください。
英語コース受講中は、毎週水曜日の朝9時から、通常の授業とは別に追加の会話中心のワークショップがありました。通常の授業ではリーディングやライティング、進学用のスピーキングが中心になりますが、ここでは気楽にカジュアルなスピーキングが学べます。参加は自由でしたが、私はほぼ毎週参加していました。
スタディー・アブロード・プログラムではどんなことを勉強しましたか?
私は環境と農業の教科を取りました。もともと環境自体にずっと興味がありました。日本の大学入学時に専攻を興味のある日本文学か環境か、で迷いましたが、日本文学を選んだので、オーストラリアでは環境を勉強したいと思っていました。
環境問題が農業によって引き起こされていることは実は多く、環境問題や社会問題は農業と密接に繋がっています。オーストラリアは農業大国なので、オーストラリアの農業を知ることで、日本の農業との違いや日本の農業をもっと深く知るいいきっかけになるのではないかと思い、農業に関連する教科も履修しました。
農薬が地面にしみて、そこから河川に流れ込み、土壌のコンデションが悪くなったり、殺虫剤が環境に悪影響を及ぼすということもこちらで勉強して知ることができました。
こういった問題は日本であまり話題にならないので調べないと出てこない事例ですが、表面的な環境問題だけではなく、知られていなくても実際に起きている問題にも着眼した上で、農業を通して環境問題にどのように取り組めるのかをもっと知りたいと思っています。
どの教科を履修されましたか?
下記3つの教科を取りました。
1. Environment Management【環境マネージメント】
環境の運営や管理について学ぶ授業で座学もあります。また、1つのテーマに対してのグループディスカッションやマネージメントプランの作成や実行などが含まれています。
2. Crop Production【作物生産】
農業の穀物生産に焦点を当てた授業で、穀物の生産から化学的な影響まで学びました。自らトマトとグリーンピースを育て、実践的な経験も積みました。
3. Food and Fiber Production【食品と繊維の生産】
座学ではオーストラリアの農業の概要を学び、現地調査(フィールドワーク)として農家を訪ねて、植物の育てかたから生産時の課題などを実際に目で見て深く知ります。北西地域に穀物生産で有名なエリアがあり、そこに4日間泊まりで一日4つくらいの農家を訪ねます。
お気に入りの科目や苦労したことなどはありますか?
Crop Productionは専門的ではありましたが、作物に関する概念が全くない状態で知識を英語で得ていくことは新鮮でした。違う教科のフィールドトリップで農家を訪れた時に、Crop productionでやっていたことが繋がったり、作物について深く理解出来、多くの気づきを得ました。
苦労したことは、Environment Managementのグループワークで最初発言ができなかったことです。グループでは海産業でのゴミの処理問題(貝など)を話し合っていたのですが、単語や知識の壁にもぶつかり、コミュニケーションもなかなか出来ず、みんなすごく発言する中で落ち込みました。
授業前に言いたい内容を先に考えておいたり、分からない単語をメモしてあとで調べたりと、知識での不備をなくす努力をして乗り越えることができました。
授業で大変なことがあっても、気持ちの切り替えはするようにしていました。天気がいい日は屋外でリラックスしながら課題に取り組むこともできます。日本ではなかなかできない経験だと思います。
キャンパスにヨギボーみたいなのが置いているエリアがあるのでそこで友達と課題をすることもありました(笑)
留学中に工夫したことはありますか?
英語学習では、寝る前と朝起きた後に30分ずつ英語のポッドキャストを聞くようにしていました。異なる年代やトピックのポッドキャストを選び、カジュアルから専門的なものまで色々な英語に触れるようにしています。
他にもポッドキャストやYoutubeで得た単語を書き出し、それをライティングで活用し、その後それを読んで録音して聞くということも繰り返していました。耳から入る学習法が自分に合っていたため、効果的でした。
留学を通して今感じること
タスマニアでは忙しさに追われつつも、自分に戻る時間があり、自然の中でリラックスできます。日本でも自分の時間を大切にし、本を読んだり自分との対話ができる時間を確保したいと思っています。
オーストラリアのアルバイトでは、お客さんとのコミュニケーションが奉仕ではなく対等なものであることを感じ、心からのコミュニケーションが重要であると学びました。
日本とオーストラリアの環境の違いで感じることはありますか?
オーストラリアでは学生の環境への関心がとても大きいと感じました。環境保護に関する団体に入ってそこで討論したりしている方も多くいました。
なるべく環境への配慮ができる選択肢も多いです。例えば、スーパーで売られている商品のラベルを見ると、環境配慮のラベルがついていたり、企業側もそういう取り組みをしていると見えるようにアピールしています。
驚いたのは、スーパーやその他の場所でも魚が個々に梱包されずに箱にそのまま入っていたりすることです。ナイロンを使用しない動きはオーストラリアの方が進んでいるなと感じました。
タスマニア留学のいいところを教えてください!
タスマニアのいいところは動物や自然に 恵まれていることだと思います。
テストとかで疲れたり頭を使ったときには、自然の中ですごくリフレッシュ出来ますし、 コミュニティ自体も非常に狭いので、街自体が知り合いだらけという感じなので(笑)、人間関係においても助け合い精神の田舎ならではの経験ができることは、個人的にはいいと思います。
空き時間は友達と寮で一緒に料理を作ったり、映画を一緒にみたり、バスで5分のところにあるロングビーチに行ったりと、シンプルな過ごし方を楽しめるのはタスマニアの良さかと思います。
アルバイトも週二回ほどタピオカドリンク屋さんで7ヶ月くらいしていますが、学業とバランスが取りやすい回数で働けています。
タスマニア大学はサポートが本当に充実していると思います。週に1回クッキングクラスなどのアクティビティーがあったりもします。特に食に関してのサポートが充実していて、日常の食材を学生に配っているようなサービスもありますし、毎週水曜日にはサンドイッチを配っています。留学生が食で困らないように大学がサポートしているのは素晴らしいと思います。
動画も是非チェックしてみてください!
スタッフからのコメント
タスマニア大学を11月に訪問した時に、キャンパスやお気に入りの場所、実際に作物を育てていたグリーンハウスを案内してくれた間仁田さん。
オーストラリアの環境への取り組みや問題など、様々な問題に興味を持ち、積極的に取り組んでいらっしゃいました。オンとオフをしっかり切り替え、1年間の留学を有意義に過ごしながら、タスマニア生活を楽しまれていましたよ。
これから日本の大学への復学と就職活動ありますが、これからも見守っていきたいと思います。今後の活躍、楽しみにしています。