オーストラリアでグラフィックデザイン留学を決めたきっかけと理由は?
私が生まれ育ったニセコはオーストラリア人の多く集まる場所であり、リトルオーストラリアとも呼ばれています。日本で生活していても英語と触れ合う機会も多く、通学していた学校の同級生も半分オーストラリアとのハーフだったりと、元々オーストラリア人と関わる機会が多かったこともあり、オーストラリアに留学することに決めました。
進路を考えていた時に東京で行われていた留学フェアに行ってみました。オーストラリア留学センターの関川さんと話し、当時留学していたニュージーランドからブリスベンにTAFE Queenslandの見学をしにいきました。
コースについては当初Event Managementを考えていたのですが、たまたま見学時に見たGraphic Designコースの教室をみて、楽しそうだなと思い、元々アートやものづくりが好きだったため、Graphic Designコースに進路を変更しました。
本科コース開始前、英語コースには通いましたか?
はい。TAFE Queenslandの付属語学学校で、3ヶ月間EAP(進学英語)コースで勉強しました。
EAPコースでは毎週、スピーキング以外の4技能を図るテストがあり、エッセイをかく機会も多かったです。このテストのおかげでいろんなトピックに触れることができました。英語力規定に達しないと本科進学はできないので、毎週あるテストをパスできるように図書館で勉強したりしていました。
リスニング力、リーディング力を高めることもできましたし、本科に入ってから必要となるフォーマルライティングのスキルもここで磨けました。
私が勉強していたときは私以外日本人の学生はいなく、完全に英語に囲まれた環境でした。先生方もとても良い方で、わからないところがあれば、すぐに教えてくれて助けてくれました。
面白いと思った授業、課題を振り返ってください
パッケージデザイン:CBDオイルパッケージ

どうやったらお客さんが買ってくれるのか、どういうデザインだったら手に取りやすいのか、手に取りたくなるか考えるのが楽しかったです。
課題ではSugar freeのお菓子、Vegan Meat、CBDオイルから各自商品を選んでパッケージデザインをしました。箱の形や色など全部自分で一から考えデザインを作成しました。この課題は作って終わりではなく、自分で最後まで組み立て、商品として形にし、撮影まで行ったことで他の課題よりもやりがいを感じ、思い出にも残っています。
ブランディング
・ロケーションブランディング

元々生まれ育った大好きなニセコのブランディングがしてみたいと思っていたので、この課題が渡された時、とてもワクワクしました。
このロゴはニセコの顔となるため、象徴となる山を使いデザインをしていきました。自分で街のイメージを作っているような感覚で楽しかったです。
・パーソナルブランディング

自分をデザインとして表現する課題で、自分がどんな性格で何が好きなのか、または嫌いなのかなどたくさん自分と向き合い制作していきました。またこの課題では、ロゴだけではなく、ビジネスカードやレターヘッドなど複数の制作物を作りました。
卒業して振り返ってみると、全ての課題は卒業すると同時にデザイナーとして活動して行けるように構成されていた気がします。まずはアプリの使い方や業界のことなどの基礎的な知識を学び、最終的に作成するポートフォリオのために着実に作品を増やしていき、その後、自分のロゴやビジネスカードを製作し、SNSでの自分の作品の見せ方やクライアントの見つけ方なども学びました。
だんだんステップアップしていく課題、それと同時に自分がステップアップしているのも実感できました。今では最初の頃作った作品を見返すとちょっと恥ずかしいと思ってしまいます。
苦労したことを教えてください
課題のストレス

膨大な課題の量なので、パソコンと向き合う毎日。科目ごとに課題があるため、一番多い時で9個の課題、制作物に追われていました。振り返るとこの1年は本当に課題、課題、課題の生活でした。
また、最初の頃と中盤、終盤とだとストレスの内容も少し変わってきたように思います。
【初期】
最初は課題がわからないことが一番辛かったです。課題がわからないから何を作ればいいかもわからない。なので2週間前になっても終わっていないこともありました。
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【
中期】
だんだん慣れてきた中盤、アイディアが浮かばないことにとても苦しい思いをしました。また自分の表現したいことがあるのに知識や技術がまだたりないことで、できなかったりするともどかしく感じることも多かったです。
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【後期】
後期になると自分の制作物のスタイルがわかってくるようになりそれは大きな進歩なのですが、作っている物に対して、これは自分のスタイルなのか?とかこれは自分らしくないなとか、感じるようになり、自分のスタイルと向き合うことがよくありました。
課題が多すぎて、アイディアも浮かばなくて、パソコンを見ると手が震えたり、寝れない日も続き、泣く日も多々ありました。何から始めたらいいんだろう、これもやらないと、あれもやらないとなど辛い毎日でした。でも最終的にわかったことはこの辛い時間も課題の一環であり、乗り越えなければいけない試練なんだということです。
乗り越えるためにどんなことをしましたか?
やるしかない、”Just Do It” 精神です。自分の課題は自分にしかできない。
泣きたい時には泣くことも大事ですし、一回課題から離れてリフレッシュをすることも大切です。
私は自然の中にいくのがストレス解消だったのでシティから離れ、海や山に現実逃避しに行っていました。
また、少しずつでも進めることが大事なので、とにかくひたすらコツコツ進めていきました。
そして、素直な気持ちを話せる人に話すのも大切だと思います。私は家族やオーストラリア留学センターの小林さんによく相談していました。小林さんはTAFE留学経験者なので、課題の多さの辛さなど理解しているのでとても話しやすかったです。
最優秀賞をとって感じたこと

クリエイティブ系コースの締めくくりは、作品展示会となることが多いです。TAFE Queenslandでは展示会発表前に業界の人たちもやってきて、作品の査定をしました。最終作品や、日頃の制作や学校での取り組みなど全て総合し、優秀な学生は表彰されます。
まさか!という気持ちで一瞬時が止まったような感覚になりました。全く実感がなく前に出た時も現実なのかわからないという感じで、表彰の後、それぞれの先生たちが声をかけてくれて、私の成果を認めてくれたり、クラスメイトや家族、展示会に実際に足を運んでくれた友達が一緒に喜んで祝ってくれたのがとても嬉しかったです。どこかにいくたびにおめでとうって言ってくれたり、今度一緒に仕事したいという声ももらいました。
この最優秀賞は私にとって、とても大きなものです。私はグラフィックデザインを本当に0から、何も知らないところからスタートし、たくさんの苦難を乗り越え、このような最高な形でこのコースを卒業できたことに意味を感じています。
教えてくれていた先生たちについて教えてください

私は担当だった先生たちが大好きです。先生たちはとても生徒思いで、分からないことがあったらしっかり説明してくれて、行き詰まっていたら親身に話を聞いてくれるし、ずっと味方でいてくれる、背中を押してくれる、そんな存在でした。
ある課題で提出期限はもうすぐそこ、アイディアが全然浮かばなくて行き詰まっていた時、先生と話している時に泣いてしまったことがあります。でもその先生は、「もう1日あげるからもう一度最初から考え直してごらん。あなたならもっと素晴らしい作品を作れることを私は知っているよ。」と私を信じてくれました。「もうこの作品でいいよ」「期限だから終わり」ではなくて、私の力を信じてくれたことが何よりも嬉しくてさらに泣いてしまいました。
先生たちは現役デザイナーとして活躍されていたり、スタジオを持っているプロの方々です。実際に街のギャラリーに展示をしている先生もいたりなど本当にかっこいい、尊敬する存在です。
グラフィックデザイン留学をする方へのアドバイス
英語と基本ソフトウェアの操作については事前に準備をすることをお勧めします。
特に英語力は大事だと思います。私は基本的には日常会話程度の英語は身についていたので言語ではあまり苦労はしなかったのですが、ソフトウェアの使い方や業界用語がわからなかったりしたのでとても苦労しました。
どちらもできることに越したことはないですが、英語とソフトウェア両方の基礎知識がない場合は授業についていくのがとても大変になってしまうと思います。
周りの学生さんは留学生もいたけれど、半分〜3/4くらいの学生さんはローカルだったので、もちろん授業はネイティブイングリッシュ。最初入学した時は正直不安で仕方がなかったです。
学校以外の時間はどのように過ごしていましたか?
基本的には図書館で課題をしていました。State Libraryやcity libraryに行って勉強、課題をしながら、そのほかの時間はアルバイトをすることが多かったです。
アルバイトはシティにあるカフェと、マーケットで働かせてもらっていました。
カフェの仕事ではホールスタッフだけではなく、バリスタやキッチンにもはいったり、まおはマルチタスクだね!といろいろなポジションを経験させてもらっていました。コーヒーや海外の接客など現場でたくさんの新しいことを学びました。
マーケットではイベントでいろいろな場所に連れてってもらい、たくさんの人と出会い、いろいろなことを経験させてもらいました。オーストラリアのカルチャーでもある大好きなマーケットに出店者側としてたくさん行けたことがとても幸せでした。
海外で仕事することによって、英語がさらに身につき、コミュニケーション力も上がったと思います。職場に馴染まなければいけないので最初は大変でしたが、諦めないでちゃんと学ぼうとする気持ちを忘れずに頑張っていました。ここで働きたいという気持ちや役に立ちたいという気持ちを持ち続けることが大切ですね。今では一緒に働いたスタッフ、ボスたちは私にとってかけがえのない存在です。
はい。ビーチやハイキング、ドライブに行ったり、ゴールドコーストやヌーサ、バイロンベイ、メルボルンなど、ホリデーや週末の時間を使ってオーストラリアを満喫する時間も作っていました!
留学して得たこと、成長したと感じたことは?
まずは知らない自分の一面を見つけたことです。デザインもその一つです。私は今まで自分に特技がないことがコンプレックスでした。しかしこの1年間でデザインというこれからの人生で私の武器となるものを見つけることが出来ました。また、この1年間でたくさんの自分の感情と向き合いました。感謝の気持ち、そしてもちろんたくさんのストレスも。これらの全ての感情はこれからの私にとってとても大切なものだと思います。
そして「自分を信じることの大切さ」にも気づくことができました。私の先生の口癖は”Believe in yourself”、デザインはひとつひとつそれぞれ違います。「みんな違ってみんないい」この言葉がぴったりな分野です。自分の「好き」を信じる、「自分自身」を信じるということが大事だということをこの1年間で学びました。
もちろん英語力も上がりました。もうほとんど日常会話には困らないようになりました。最近では日本語と英語をMIXして話すのが楽しく、このMIX言語が自分の言いたいことが一番相手に伝わるように感じます。
Graphic Design留学を考えている留学生へメッセージをお願いします。
私は自分自身を磨くため、自分の武器となるものを探しにオーストラリアへきました。私は小さい頃から英語が身近にある環境で育ち、海外留学も何度か経験してきました。私の住むニセコは英語力がなければ仕事がもらえないような世界です。英語はできて当たり前、私は母から英語以外に自分の武器になるものを見つけなさいと言われていました。その時はデザインが自分の武器になるとは全く思ってもいませんでしたし、自分がこんなにも成長できるとは思っていませんでした。
まずはやりたいと思ったことはなんでもやってみる。なんでも挑戦してみないと未来はわかりません。ただ海外での生活は簡単な道ではないのでそれなりの覚悟は必要です。できることは日本でやってくる、英語、自分がやりたい分野の知識、ソフトウェアの使い方など前もって勉強できることはたくさんあります。
諦めないことも大切です。何か新しいことを始める時は必ず苦難が待ち受けています。私も英語が伝わらなかったり、課題に苦戦したり、ホームシックになったりなどこの1年間たくさん泣きました。0から、なんならマイナスから始めたこのコース。私はただ戦い続けました。諦めなかったからこそもらえた最優秀賞です!諦めなかったことで得たものは数えきれないほどあります。
そして留学しにきた意味を忘れないことも大切です。英語を学びにきたのか、勉強しにきたのか、何が目的なのかを明確にし、それを心に常に置いておくことがあなたの留学生活のクオリティを変えると思います。
最後に感謝を忘れないことです。私は家族や友達、オーストラリア留学センターの小林さんなどみんなのサポートがなければこんなにも充実した留学生活は送れなかったと思います。本当にありがとうございました。
留学で私の人生は確実に変わりました。もし留学を迷っているなら絶対に挑戦するべきです。たくさんの人と出会い、たくさん経験し、たくさん感じ、学ぶことができるのが留学。日本にいては得られないものばかりです。もし留学ではなくても、何か挑戦してみたいことがあるなら一歩踏み出してみてください。その一歩は必ずあなたの人生においてかけがえのないものになるはずです。
スタッフからのコメント
真生さんはコロナウィルスが始まった時に、やむなく一度ご帰国され、満を持しての念願の留学再スタートでした。日本とオーストラリアで離れ離れになってもたくさんやりとりしていたので、改めてブリスベンにいらっしゃった時に本当に嬉しかったのを昨日のことのように覚えています。
留学中は課題のことや、学校のこと、生活について、他愛のない話もたくさんしましたね。
TAFE留学でスキルも技術もしっかり磨かれて、素晴らしい結果を残された真生さんのこと、とても誇りに思います。今後の夢についても教えてもらっているので、叶えるためにこれからも突き進んでいってくださいね。ずっと応援しています!