オーストラリアのトップ8大学の1つ、クイーンズランド大学(The University of Queensland)。将来は沖縄の役に立ちたいと、クイーンズランドの大学院で通訳・翻訳コースで勉強をする、大城加奈江さん。
Master(マスター:修士号)を目指して出願をしましたが、非常に高い英語力を求められるクイーンズランド大学の通訳・翻訳コース。大学の英語適性テストで一歩届かず、Masterの手前、Graduate Diploma(グラデュエート・ディプロマ)の通訳・翻訳コースからスタートしました。そして、今年、見事、Graduate Diplomaで必要な成績を修め、Masterに入学をすることができました。
決して費用に余裕があったわけではありませんが、海外で学び将来につなげたいとの強い想いと、行動力で、日本で奨学金を獲得。Graduate Diplomaで勉強中も、色々な困難にぶつかりながらも、努力で乗り越えてきた大城さんに、留学体験を伺いました。
通訳・翻訳コースで学ぼうと思った理由を教えて下さい
幼少期からランゲージスクールなどを通して英語と接し、また実家が米軍飛行場近辺にあり、英語をよく耳にする環境にいました。そのため、就職を考えはじめた頃には、自然と大好きな英語を最大限に活かし、また英語力を日々向上させることのできる仕事に就きたいと思うようになりました。
安易な考えかもしれませんが、英語を使用する仕事の頂点に立つのは通訳・翻訳の仕事だと考え、本格的に通訳・翻訳の勉強を始めようと決意しました。しかし、その頃沖縄には県外にあるような充実した通訳・翻訳の専門学習機関がなく、それまで通訳・翻訳の仕事に従事した経験のない私には、どのような訓練を積めば通訳者・翻訳者になれるのかなど、わからないことばかりでした。このように悩んでいた頃、アメリカ交換留学から帰国した私は、まだ英語の研究を継続したいという気持ちから海外への大学院進学を検討していました。調べてみると、通訳・翻訳の学位が取れる実績のある大学が海外にいくつか存在することが分かり、大学院で通訳・翻訳の基礎から応用までを訓練・研究しようと決心しました。今考えると、通訳・翻訳の難しさを十分に理解していない、恐れ知らずの決断だったかもしれません。
クイーンズランド大学の通訳・翻訳コースを選択した理由は、沖縄同様の温暖な気候と質の高いカリキュラム、両方の条件を満たしていたからです。特に、本課程は少人数で編成され、NAATI(オーストラリアの通訳・翻訳資格)の資格を取得する教授陣から、きめ細かい指導が受けられるという点に魅力を感じました。教授陣が実際にプロの通訳者・翻訳者として活躍していた/している点からも、授業の質の高さを伺い知ることができました。こうした理由から、クイーンズランド大学大学院の通訳・翻訳コースを選びました。
日本で英語力をどのようにアップさせましたか?
コースの入学条件にIELTSもしくはTOEFL iBTが課されていたため、私の場合、TOEFL iBTの対策を中心に英語力を伸ばしていきました。海外留学を目指す学生たちで集まり、週1回勉強会を開いていたので、その勉強会を活用し、週ごとに自主課題を設定し英語力向上に努めました。
また、通訳・翻訳の仕事に従事している方の呼びかけで開かれていた勉強会にも参加し、通訳訓練を行いました。この他に、CNN Student Newsや、Anderson Cooper 360などのスクリプト付きのニュースを聞き、聴解力向上に努めました。就寝前などに単語の暗記も行いました。時にはYou Tubeや様々なオンラインサイトを通して好きな洋楽アーティストのトークショーを見たり、映画を鑑賞したりと、息抜きをしながら楽しんで勉強できるよう工夫していました。
クイーンズランド大学での授業の様子を教えて下さい
毎学期、4科目を受講しました。1学期は、パブリックスピーキング、速読訓練、翻訳(主に政治)、応用言語学(選択科目)といった授業を履修しました。2学期からは全て必修科目となり、翻訳(主に経済)、翻訳理論、英日逐次通訳、日英逐次通訳の4科目を履修しました。科目は4つでしたが、例えば、パブリックスピーキングや逐次通訳の授業は英日、日英の両方向で行われたため、週2コマの授業が開講されました。特に逐次通訳は英日・日英それぞれで講師が2人おり、週4コマありました。
クラスは少人数編成です。1年目、私のクラスはフルタイムの学生が計8人いました。国籍は、私を含め日本人6人(1名は後期編入学)、オーストラリア人1人、ニュージーランド人1人、科目等履修生のオーストラリア人の社会人が1人でした。過去の授業での英語ネイティブと日本語ネイティブの比率は一定してはいませんが、少なくとも1人は英語ネイティブがいるようでした。
実際に通訳・翻訳コースで学んでみていかがでしたか?
学期中は日々、課題に追われ、一息つく暇のない忙しさでした。私の場合、本格的に通訳・翻訳の訓練・研究を行うのは初めてということもあり、ノートテイキングといった基礎技術の習得にも時間がかかり、自分の実力不足を痛感する日々でした。そのため、学期中は少しでも弱点を克服しようと、教員のアドバイスを参考にしながら復習・予習(特に復習)に努めました。
授業の復習と予習、自主練習のバランスが上手くとれず、自分に適した学習方法を見つけることにも苦労しました。それでも、クラスメイトが優秀な方ばかりだったので、彼らと1年間を共に過ごすことで、知識や技能を向上させることができました。授業内でのパフォーマンスだけでなく、授業外での勉強会や、日常での意見交換などの様々な場面を通じ、多くの事柄を学ばせていただきました。大学院1年目を乗り切ることができたのは、こうした素晴らしい人材に囲まれ、互いに励まし、支え合うことができたからだと思います。クラスメイトに感謝したいです。
将来の夢をお教え下さい。
将来は、沖縄で通訳家・翻訳家として活躍できる人材になりたいです。沖縄県では近年、海外ビジネス展開を計画する県内企業が増加し、振興策の一環としてこうした企業を支援する制度も充実してきています。将来は通訳家・翻訳家として、県内企業と海外企業の商談成立の一助となりたいです。
また、米軍基地に関する問題も依然として存在し、交渉成立に向け、一人でも多くの高度な知識と技能を備えた通訳家・翻訳家が必要です。こうした政府間での重大な交渉時においても必要とされる通訳家・翻訳家を目指しています。通訳家・翻訳家として活躍できる場は様々ありますが、どのような場で働いても、沖縄県の今後さらなる発展に資する通訳家・翻訳家になりたいです。
これから通訳・翻訳コースで学ぶことを考えている方にアドバイスをお願致します。
入学前は色々と不安や心配事がありましたが、学期が始まると、できる/できないに関わらず、やるしかない!という状況の中、一日一日が過ぎていきます。こんな私に本当にできるのだろうか、何でこんなところまで来てしまったのだろう、と思いながら過ごしていた私でもなんとか乗り越えられたので、きっと大丈夫です!!どうにかなります(沖縄の方言で言うと「なんくるない」です)!!ブリスベンの燦々と輝く太陽と、地元の人たちの大らかな人間性に癒されながら、忙しさや苦しさの中にも楽しみを見つけながら、かけがえの無い1年間あるいは2年間を過ごしてください。
スタッフからのコメント
努力を続ける大城さん、これからも応援しています!!
クイーンズランド大学の通訳・翻訳コースは、NAATIのProfessional Interpreter and Professional Translator (both directions)資格の認定を受けています。
大城さんの入学した、クイーンズランド大学のGraduate Diploma in Arts in Japanese Interpreting and Translation及び、Master of Arts in Japanese Interpreting and Translationの詳細はこちら。
Graduate Diploma in Arts in Japanese Interpreting and Translation
期間 | 1年 |
予想年間学費 | 24,960ドル(約237万円) |
入学基準 | GPA4.5/7の成績で学士号を取得していること IELTS6.5(各セクション6.0以上)の英語力 クイーンズランド大学の英語適性試験に合格すること |
Master of Arts in Japanese Interpreting and Translation
期間 | 2年(Graduate Diploma卒業の場合は1年) |
予想年間学費 | 25,060ドル(約238万円) |
入学基準 | GPA4.5/7の成績で学士号を取得していること IELTS6.5(各セクション6.0以上)の英語力 クイーンズランド大学の英語適性試験に合格すること |
クイーンズランド大学の通訳・翻訳コースにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせ下さい。
**ご注意点**
・クイーンズランド大学の通訳・翻訳コースの入学条件や学費等は、2014年3月時点のものを記載しておりますが、今後変更されることもございますので、ご留意下さい。
・ご参考の日本円は1ドル=95円換算としております。