アデレード大学を選んだ理由を教えて下さい
将来は父が経営している会社を継ぐことになるため、就職をする前に英語や海外経験はもちろん、何か幅広い意味で経営に役立つ事を学びたいと、大学卒業後留学をすることを決めました。
様々な学部を検討しましたが、最終的にはMBAを学ぶことに決めアデレード大学を選びました。
決め手は、
・職務経験が無くてもMBAに出願できたから
・Emerging Leadersのコースを選択すると、専門性は低くなるが、1.5年で卒業できるから
・Group of Eight*の一つであり、質の高い教育を受けられると同時に、世界中の多様な人々と交流できるから
の3つです。
更に、「アメリカなどの他国のMBAに比べて、オーストラリアのMBAはアジアに着眼していること」「アデレードは世界でも有数の住みやすい都市であること」「アデレードは20-minutes Cityと言われるほど小規模で、日本人も少なく、勉強に専念できる」と思ったため、オーストラリアのアデレードを選びました。
*オーストラリアのトップ8大学のこと。
進学英語コースで学んだこと、コースの評価方法について教えて下さい
進学英語コースでは「英語を学んだ」というよりも、エッセイを書いたり、研究を発表したりする中で、大学生活で必要なスキルを「英語で身につけた」という印象です。特に、タイムマネジメントスキルは、忙しさから逃げられない状況に置かれないと培われなかったと思います。
最終評価の内訳は下記の4つのポイントでした。
・Reading and Writing:エッセイ、論文の批評など
・Speaking:プレゼンテーション、セミナーの司会、英会話など
・Listening:テスト、授業の理解度、ノートの取り方など
・Independent Learning Skills(ILS):リサーチ、ポートフォリオのまとめ方、問題解決能力、自主学習など
それぞれの評価割合としては、下記のような感じです。
〇授業の割合:ILS<<<リスニング<スピーキング<<<<<リーディング・ライティング
〇課題の割合:リスニング<<<<<スピーキング<<<ILS≦リーディング・ライティング
受講生たちについて教えて下さい
僕のクラスはMBA志望の学生だけでまとめられていて、クラスメートは10人、中国8:台湾1:日本1でした。日本人の学生は学年で僕1人、授業は全員オンラインで自宅からの受講でした。
ちなみに英語コース全体でも、日本人はその前の学期も1人だけだったそうです。
クラス分けですが、大学の一般的な学部は2学期制なのに対し、MBAは3学期制で入学時期が早いので、5週間分が圧縮されたカリキュラムでした。そのため、他の学部進学の方とクラスが分けられていたとのこと。MBA以外の11クラスは各クラス16人で構成されていたと聞きました。
ELC Social Clubという課外活動で、サウジアラビアやエクアドル出身の学生とも交流しましたが、中国人の方がほとんどだったと思います。
先生はどんな方でしたか?
各クラスを2人の先生で担当していました。
月・火の先生はイタリア生まれの方で、気さくでフレンドリーな先生でした。時間配分は大雑把で、休憩が無くなったり、授業が延長したりすることが多かったです笑 でも、質問をすると解決するまでずっと付き合ってくれました。
水・木・金の先生は、確か両親がイギリス出身の方で節度があり、細かい気配りをしてくれる先生でした。日本人が僕だけで、情報不足や孤独感で悩んでいたとき、前学期の日本人の卒業生を紹介してくれました。
オーストラリア人は、楽観的で仕事よりプライベートを優先するという固定観念をもっていましたが、休日に僕らの提出した課題を添削するなど、とても親身になって教えてくれました。
アデレード大学の学生サポートについて教えて下さい
学生を勉強で追い込む分、上手くいかないときのサポートも充実していました。
Counselling Supportには、緊急時なら24時間どんなことでも相談することができます。
形式的な組織ではなく、先生方やWellbeing Hubの方が、積極的に利用することを勧めていました。
今回は日本人の卒業生に相談できたので利用しませんでしたが、今後何か困ったときは迷わず利用しようと思います。
Wellbeing Hubは、学生が直面している悩みについて、様々な解決策を示唆してくれる組織です。
こちらのサポートは、学生が能動的にアクセスしなくても、毎週1つのテーマについてまとめたメールが送られてきます。例えば、運動習慣に関するメールでは、著者の柔術の経験談が書かれていたり、食生活についてはオーストラリアの伝統的な食べ物を教えてくれたりしました。
写真が多く、斜め読みでも理解しやすかったですし、実際にそれらを見直すきっかけにもなりました。
ELC Social Clubは、僕の所属した英語コースをはじめとする、アデレード大学と提携して英語を学んでいる学生(日本では関西外国語大学が提携している)が、アデレード大学の生徒や現地の人々と交流できる団体です。
週4日間/1時間の活動があり、数人のグループに分かれてフランクに話し合う「O Chat」から、決められたテーマに沿って文化の違いを理解し合う「Cross-cultural Conversations」、ゲーム形式の「Pictionary」や「Guess Who?」など、活動は多岐に渡ります。スピーキングが苦手な僕にとっては良い機会だったので、できる限り毎回参加しました。
受講中、楽しかったこと、大変だったことは何ですか?
楽しかったこと「授業のグループディスカッション」と「最終日に行った先生へのサプライズ」
オーストラリアの英語の授業は、日本の授業形態とは大きく違い、論文や講義、課題などについて、数人のグループで議論することが非常に多かったです。
机に向かって勉強するというよりも友達と喋るような感覚で、授業中でも肩の力を抜いて取り組めました。また、理解できなかった部分を教え合うだけでなく、各々の意見を言い合うことも多かったので、その度に自分には無い視点をもつことができました。
最終日には「クラスメイト全員が突然画面を消した後、先生への感謝のメッセージを持って一斉に登場する」という、オンラインならではサプライズを行いました。
10週間という短い期間で、かつ完全にオンライン授業ではありましたが、先生方にこれまでの感謝を伝えることができ、クラスに一体感が生まれました。
大変だったこと「課題の締め切りが続くこと」
僕のクラスは5週間分圧縮されたカリキュラムだったので、通常よりも更に忙しかったと思います。最後の1ヵ月くらいの間、毎日4~5時間しか寝られませんでした…
英語力を最大に上げるために、どんな努力をしましたか?
当たり前な回答ですが、授業と課題に全力で取り組みました。
これまでの英語学習というと、大学受験やTOEIC、TOEFLなどの試験の勉強がほとんどだったので、授業も課題も全てが新鮮で、伸びしろだらけだったからです笑
具体的な方法として、先生方から指摘されたことを次回までに全て改善しようとしました。驚いたことに、どの課題にも詳細なフィードバックをもらうことができました。理解できないところは分かるまで先生方に尋ねて、自分の問題点を明確化し、練り上げた解決策を片っ端から試していました。
これほど丁寧に、分別がつくように導いてもらえる機会はないと思い、解決策を広く深く試しては軌道修正することを繰り返していました。
他にも、活発に発言したり、グループディスカッションを先導したり、プレゼンテーションの司会に立候補したりするなど、なるべく積極的に授業へ参加しました。
オンラインで学ぶにあたっての心構えは?
実際に同じ場所にいてクラスメイトと教え合ったり、一緒に勉強しに行ったりできない分、主体性が必要不可欠です。
例えば、自然と友達が増えたり、クラブ活動に無理矢理連れていかれたりすることはありません。やろうと思えば不正行為も簡単にできてしまう環境です。しかし、逆に言えば、自分次第でよりオンライン期間も「有意義な留学」にすることができると思います!
オンライン授業だからこそ、僕は以下のことを意識して行いました。
・早起きして勉強するなどの自分なりの習慣を確立する。
・ELC Social Clubやキャリアワークショップ、課外授業などの自由参加の活動にも、特別な予定が無ければ参加する。
・WeChatなどで友達と連絡を取り合う。
・分からないことは先生方にメールする。
オンライン授業は避けたいと思う方もいるかも知れませんが、オンライン授業の場合、授業以外の時間は文字通りat homeなので、より多くの時間を自習に充てられ、慣れた環境で集中することができます。周りに邪魔されることもなく、ホームシックにもならずに済みます笑。その結果、対面授業よりも授業の理解度・吸収率は高かったことが、逆にオンラインで良かった点でもあります。
これまでは人に頼ってばかりでしたが、今回の英語コースは自分自身の力でやり切ることができたという強い自信に繋がりました!この成功体験は、MBAや今後新しいことに挑戦するときの助けなると思います。
(でも、やっぱり友達と買い物に行ったり、一緒に帰ったりしたかったです・・笑)
現在のボランティアについて教えて下さい!
これまで生徒として参加してきたELC Social Clubにボランティアとして携わっています。
大きくやることが変わったわけではありませんが、参加者にバランスよく話を振ったり、会話を先導したりすることが求められます。このボランティア活動の利点として、
・新しい友達が出来ること
・渡航延期中でも大学の情報が手に入りやすいこと
・ボランティアの立場である以上、少しでも流暢に話したいという気持ちが高まること
・英語力以外でも熱心に勉強している生徒や他のボランティアに感化されること
が挙げられます。
受講中の日本での生活はどんなでしたか?
平日のスケジュールは下記のようでした。
平日のスケジュール
午前6時30分 | 起床 |
〜 | 課題、入浴 |
午前9時30分 | ELC Social Club開始 |
午前10時30分 | ELC Social Club終了 |
〜 | 課題、ブランチ、昼寝 |
午後12時30分 | 授業開始 |
午後4時30分 | 授業終了 |
〜 | 散歩orサイクリング |
午前5時 | ファミレスなどに場所移動 |
〜 | 課題、夕食 |
午後11時30分 | 自宅に移動 |
〜 | 課題 |
午前1時30分 | 就寝 |
ずっと家で勉強をしていると飽きてしまうので、できるだけメリハリをつけられるよう、様々な方法で気分転換をしていました。
例えば、
・課題への集中力が切れてきたら、食事や入浴、移動を挟む
・家族や友人と食事をとるときは会話を楽しんで、一人のときはテレビやYouTubeなどを見て笑う
・授業前に約20分昼寝をする
・授業後に好きな音楽を聴きながら、散歩やサイクリングで体を動かす
などです。
週末、みんなとの勉強がないときは、友人と一緒にファミレスや健康ランドへ勉強しに行きました。週末でもグループワークや宿題があることが多いので、完全に羽を伸ばすわけにはいきませんが、次週に向けてリフレッシュしていました。
MBAスタートにあたっての意気込みを教えて下さい!
今回の英語コースでは「やれることはやり切った」と胸を張って言えます。そして、そのやり方がオーストラリアの文化でも通用すると分かりました。
英語コースで受賞した学年1位の名誉に恥じないよう、MBAにも全力で取り組むつもりです。目指せ、成績優秀者!
進学英語のオンライン受講を迷っている方へのメッセージをお願いします
◎対面授業に戻るまで延期するかどうかと悩んでいる方へ
留学の目的として現地での経験に重きを置いている場合、確かにその方がいいかもしれません。でも、自分自身が積極的に行動すれば、オンラインでも克服できる部分もあると思います。
また、オンライン授業は、「費用が抑えられること、慣れた環境で安心して臨めること、周りの影響を受けずに集中できること」などのメリットもあります。
◎TOEFL、IELTSなどの試験で入学するかどうかと悩んでいる方へ
もちろん、試験の方が圧倒的に安く済みますが、英語コースは試験の勉強とは全く異なり、入学後に必要なスキルを習得できると同時に、一歩先に大学生活に慣れることできます。
また、オンライン授業であっても、留学は留学なので、毎日新しい発見ばかりで楽しいです。
今後の見通しが立たないので、最善の選択をするのが本当に難しいと思います。僕もまさか2021年になっても渡航できないとは思わなかったので、今は4ヵ月間の予期せぬ休暇を楽しんでいます笑 ただ、どんな形であっても、留学はかけがいのない経験になると思います。国境が開いてオーストラリアに渡航ができるまで、一緒に頑張りましょう!