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【体験談】クイーンズランド大学院へ社会人留学〜環境マネジメント修士課程〜

北村 哲朗さん | ブリスベン | The University of Queensland | Environmental Studies
日本で大学卒業後、エネルギー業界で約6年半ほど勤務し主に環境に関するCSR関連業務や燃料調達の業務などを経験。その後、一年半ほど大学職員を経験した後、2019年からクイーンズランド大学の修士課程へ進学。半年後に卒業を控える北村さんに、現在学んでいる環境マネジメントコースについて詳しくお話を伺いました。

環境も企業もサステナブルに

北村さんが勉強されているMaster of Environmental Managementコースについて教えて下さい

Environmental Management は、日本語では「環境管理」と訳される単語で、自然科学の知識や技術を、より持続性の高い企業活動や、より効果的な環境保全活動の実施に活用するための学問です。

自然科学の基礎から、具体的な自然災害・環境問題に関する知識、環境政策に関わる政治的観点、実際の環境管理業務に使用する問題解決のメソッドなどの授業がラインナップとして存在します。

名目上はScienceのコースに分類されますが、内容としては科学・政治学・経済学・社会学といった複数の分野に関係する学際的なコースであるという印象です。

一般的な科学関係の修士コースとは少し異なり、何か特定の分野を専門的に学ぶというよりも、むしろ環境問題のスペシャリストになるうえで基礎となる知識や技術を広く学ぶコースであるというのが私の認識です。

UQ(クイーンズランド大学)は、オーストラリアはもとより、国際的にも環境科学においてトップクラスの研究者が揃う大学です。したがって、科目の一つ一つがその道の第一線で活躍する研究者によって教鞭が振るわれるものであり、積極的な学びの姿勢を持っていれば、どこまでも知的好奇心を満たすことができる内容であると思います。

環境マネジメントコース修学後、将来のキャリアについて

環境マネジメントコースは将来どんなキャリアを目指す方におすすめだと思いますか?

上記の通り、環境管理あるいは環境という分野そのものをキャリアとして志す人には、キャリアの基礎を作るうえでとても良いコースであると思います。私はインフラ系企業において環境管理業務に携わる機会がありましたが、あらためて学問として同業務を学ぶことによって、これまで自分が持っていた知識や経験がより実感を伴って理解できるのを感じました。すでに環境関係の業務でキャリアをお持ちの方にも、学び直しの場としてとてもお勧めできます。

興味深かった授業「保全生物学」と「気候変動」

※写真左:衛星を使用した画像取得・解析に関する実習風景

北村さんが実際に履修して興味深かった科目を教えて下さい

受けてみて一番面白かったのは、Conservation Biology(保全生物学) の授業でした。生態系や品種の保全について、遺伝子多様性、個体数、人間と動物の軋轢(あつれき)など、様々な角度から議論するコースで、通常、受講生は授業の録画にアクセスできるが故に実際の授業に参加する学生が少なりがちな中で、学生の参加率が高い大変人気の高いコースであったと認識しています。

特にコーディネーターである先生が大変聡明な方で(当たり前ですが)、大変アカデミックな内容でありながら学生に寄り添った姿勢で説明してくださり、ジョークも混ぜながら飽きさせない授業内容を提供してくださりました。

グループワークや実習(統計の実技、個体数把握手法の実践、遺伝子多様性の計算など…)も充実しており、セメスターを通して最も楽しめた授業でした。

ただし、学位レベルの生物学の知識を前提としているため、そのバックグラウンドのない私は特に遺伝子関係で大変苦労し、成績を落としてしまったところがあります。※必須科目です。とはいえ、もしもUQに来られるなら大変おすすめです。
もうひとつ、私が印象に残っているのはClimate Change(気候変動) に関する科目です。その科目は、気候変動懐疑派に対して、気候変動を科学的にどのように説明ができるかということに焦点を当てたものであり、その授業内容自体非常に興味深かったことを覚えています。

また、その授業の講師は、長くプライベートセクターで温室効果ガス排出枠取引などに関わられていた方であり、数々の国際的なプロジェクトを担当されてきた、いわばその道のプロフェッショナルとしての経歴をお持ちの方でした。そうした方が、自らの知識や経験を踏まえて気候変動に関する説明をしてくださるというのは、環境科学においてトップクラスの研究者が揃うUQならではの贅沢ではないかと思います。

コロナ禍、留学生ならではの苦労も

入学して約半年後にコロナになりましたが、課題で苦労したことはありましたか?

個人的にとても苦労したと感じるのは、グループワークを伴う授業です。Environmental Management に関して言えば、マスターコースになるとクラスの大部分が留学生で占められることになり、またその大部分は英語を母国語として話さない学生となります。もちろん、入学前にはIELTSである程度のスコアを取ることが要求されるため、全員が一定以上のレベルに到達しているはずではありますが、やはり非ネイティブ同士が英語でコミュニケーションをしながら、一つの課題を仕上げていくというのはたくさんの苦労を伴う経験でした。

たとえば、Environmental Management in Mining という授業では、仮想の資源採掘プロジェクトの環境影響評価書を3~4名のチームで作成するという課題がありました。他の科目にも言えることですが、基本的にオーストラリアの大学(特に修士の場合)において、授業はあくまで最低限の情報を提供するものにすぎず、教授が手取り足取りお膳立てをしてくれるということはありません(もちろん、助けを求めればサポートは得られますが)。課題に取り組むうえでは、様々な情報ソースを自ら探し出し、その内容を分析し、適切に活用することが必要とされます。

私は資源採掘のバックグラウンドはほぼ無いに等しく、チームメンバーも全く予備知識を持たない面々でした。そんな中で、課題の要件である「適切な環境影響評価書の体裁」「当該プロジェクトから予想される環境影響の内容」および「2020年現在で先進的であるとみなされる対策・技術」を調査し、しかもコロナウイルスの影響でチームメンバーが対面して話せない状態で作業を進めるのは本当に本当に本当に大変でした・・・。

他の課題との兼ね合いもあり、完成した課題の完成度は決して高いとは言えず、半ばトラウマとなっているコースです。厳密には必修科目ではないので、あまりお勧めはしませんが(笑)、資源採掘はオーストラリアにおける大きな産業ですので、興味がある方はぜひご検討ください。

大事なのは「自主的かつ積極的に学問に取り組む」姿勢

授業を乗り切る秘訣、取り組み方をおしえてください

前述の通り、オーストラリアの大学は、助けを求めればサポートは得られますが、講師が手取り足取り導いてくれるということはありません。あくまで、学生は自主的かつ積極的に学問に取り組むものであるという前提ですべてが進みます。ですから、スケジュールのままに授業を受けているだけでは課題は全く進みませんし、試験もパスすることはできません。良い成績を修めようとすれば、公開されるカリキュラムを確認し、課題等の内容を踏まえた予習・復習が求められます。特に非英語ネイティブの留学生は、英語ネイティブの学生に比べて3倍も4倍もリーディング・ライティングに時間がかかるという前提で、余裕を持ったタイムマネジメントが必要だと思います。

・・・と偉そうなことを言っていますが、私はギリギリを常に攻めるタイプなので、課題を仕上げるために徹夜をしたことは一度や二度ではありません。(笑)

授業や実習ははほぼ必ず録画され、オンライン上で公開されるので、対面授業ではその授業のポイントを大まかに理解し、課題や試験に向けては、授業の動画を繰り返し視聴することで、内容の理解を深めていくというスタイルを取りました。ここは、個人の好みがあると思うので、できるだけ早く自分に合ったスタイルを確立することが大事だと思います。

UQで出会う留学生たちからの刺激

UQで出会った人の中で、刺激や影響を受けた方はいますか?

グループワークを一緒にした学生に、UQで今後博士号取得を目指しているというマダガスカル出身の女性がいました。彼女は同じく博士号を目指す夫とともにオーストラリアに渡り、子育てをしながら研究に励んでいます。彼女が非常に多忙であることは容易に想像できますが、それを理由に妥協することなく真摯に研究に取り組む姿には非常に励まされる部分が多く、課題の波にくじけそうなときは彼女の境遇を思い出し、もっとできるはずだと自分を奮い立たせました。

彼女に限らず、留学生には様々なバックグラウンドを持ち、さらにキャリアを飛躍させようとする志の高い学生が多くいます。UQでの生活を通じて、そうした人々に幾度となく刺激や影響を受けてきました。

UQで学ぶ意義「世界トップレベルの研究者たちからの教鞭」

環境マネジメントを学ぶうえでUQを選んで良かった点をおしえてください

UQはオーストラリアのトップ大学の一つであり、教鞭をふるう講師陣の多くは、その分野で世界トップレベルといえる優秀な研究者でもあります。そういった研究者による授業を受けられるということはもちろん、第一線の研究者に自分の疑問をぶつけることができるというのは、UQの学生という立場でなければなかなか叶わないことであると感じます。

特に、UQにおいて私が感じるのは、多忙であるはずのそういった講師陣が、学生の疑問・質問に非常に親身に対応してくれることです。これは、私が日本の大学に在学していた時には感じなかった、オーストラリアの大学で学ぶ上での大きなメリットであるといえるのではないかと思います。

また、すでに述べた通り、UQは環境科学において非常に高い評価を得ている大学であり、環境関係の学問に興味がある方にはとても良い選択になるのではないかと思います。また、ブリスベンという、利便性はあるが物価は高すぎないというバランスの取れた立地は、特に私のように自費での留学を決めたものにとっては、最良の選択であったと思います。

最優秀成績で表彰

これまでの学習を振り返って一番心に残っている出来事をおしえてください

自慢するつもりはないのですが、自慢させてください(笑)
コロナウィルスによるロックダウンにより、私の第二セメスターは、学期途中で完全にオンライン学習に移行しました。また、アルバイト先も一時閉店となり、勉強しかすることがなくなった私は、柄にもなくエッセイと試験対策に余りある時間をつぎこみました。結果、そのセメスターの成績は4科目すべて7(最優)を獲得し、表彰を受けることができました。もちろん、試験がオンラインだったなどの事情もあり、運に恵まれた部分が多分にありましたが、成功体験が得られたのは自身の英語力や能力に大きく自信をつけられた経験となりました。

社会人、修士課程留学のススメ

北村さんは社会人としてのキャリアもお持ちですが、その経験がUQでの学びにどのように影響しましたか?社会人の修士課程留学はおすすめですか?

わたしは、可能であるならば社会人だからこそ修士課程留学はお勧めしたいと思います。私は企業で環境管理の実務の経験が多少あるため、結果としてより理解が深まったということが多々ありました。おそらく、社会人経験のないままに入学していたら、実体験と座学を結びつけることはできなかったと思います。

もちろん、新しい分野について一から学びたいという動機もとても素晴らしいものですが、実務をある程度経験したうえで、それを一層深めたいという思いをもって修士課程留学に臨むこともとても意味のあることだと思います。

私はかねてから海外で高等教育を受けたいという思いがありましたが、就職して以降、なかなか踏ん切りがつかずにダラダラと決断を伸ばしていました。本人としては、なるべくしてなったタイミングと結果であるという思いがあるので後悔はないのですが、もっと早くに決断することもできたと思う部分があります。もちろん、離職するリスクはありますし、私自身これからの就職活動に不安を覚えている部分もなくはありません。

しかしながら、少なくともこの2年間で自身の英語力が明らかに向上したことを実感しましたし、自信も持てるようになりました。また、何より、自分の力で海外大学院の修士課程を乗り越えるという経験は、私にとって一生の財産になると思いますし、たとえ時間が巻き戻ることがあっても、きっと同じ決断をすると思います。

もしも、社会人留学を迷っておられる方がいらっしゃれば、やって後悔することはきっとないのではないかと思います。ただし、英語力、資金、選択する専攻は、くれぐれも抜かりないように準備・検討されることを強くお勧めします。私は、自分の貯金で学費・生活費などすべて賄う予定でいましたが、今回のコロナ禍で実家からの援助を少し受けることになりました。留学中は何があるか本当にわからないので、準備をしてしすぎることはないと思っています。

卒業後のキャリアについて

北村さんは今年7月にUQを卒業予定ですが、その後、どのようなキャリアを考えていますか?

現在は、卒業後に得られる「卒業生ビザ(Graduate Temporary Visa)」を利用して、オーストラリアで環境管理者・環境コンサルタントとしての就職を希望しております。とはいえ、外国人としてオーストラリアで就職することは決して簡単なことではないと認識していますので、あまり楽観的にはなりすぎず、でもベストを尽くして、なるがままに任せようと思っています。

これから留学する方たちへ「英語力と精神力」

最後に、今後UQの環境マネジメントコースを目指す方へのアドバイスをお願いします

とにかく英語力だけは絶対に必要になってくるので、留学前にできるだけたくさん英語を勉強してください。

でも、一度来てしまえば、自分の英語力は気にしないでください。非ネイティブなのだから、わからないことがあったり、うまく表現できなかったりするのは当然のことです。大切なのは「何を言うか」「何を書くか」なので、自信を持って自分の意見を発信する姿勢があれば、英語力は勝手についてくると思います。また、わからないことは絶対に放置せずにわかるまで質問しましょう。めんどくさそうな顔をされても動じない精神が重要です。

私はカナダでの長期留学経験があったので、オーストラリアに来てカルチャーショックなどはほとんどありませんでした。ただ、オーストラリア留学が初めての海外生活の場合は、ホームシックにかかったり、異文化にもまれて心身ともに疲れが来たりするときもあると思います。留学生活に理想や目標を持つことも大切ですが、時にはブレーキをかけて自分を甘やかすことも忘れないでください。心身の健康あっての留学生活です。

当たり前のことですが、オーストラリアでは私たちは外国人であるということを肝に銘じておくと、すんなりオーストラリアになじめるかもしれません。移民社会ですから、日本に比べて違いを受け入れる土壌はある程度しっかりと存在しているように思います。日本人の感覚では考えられないようなことをする人に出会うこともたくさんあると思いますし、それにいらだちを感じたりすることもあるかもしれません。それはそれとして「まぁ海外だし」と流していく余裕があれば理想的ではないでしょうか。

オーストラリアはとても暮らしやすくて、私はとても良い国だと思います。もちろん、日本ほど便利ではない部分もありますし(わたしは郵便局に荷物をなくされました)、外食は高いわりにあんまりおいしく感じないかもしれません。でも、それ以上に日本では得られない貴重な経験がたくさん待っていると思います。準備は周到に、でも不安にとらわれず、苦労も楽しんでいく前向きさが大切です!!是非よい留学生活を!!
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号H318)
13歳でのメルボルン短期留学をきっかけに「英語」と「海外」に目覚め、その後カナダ(語学留学)とアメリカ(大学留学)にも留学。卒業後、ワーキングホリデーでオーストラリアへ再渡豪し、オーストラリア留学センターでワーペリ。帰国と同時にオーストラリア留学センター日本窓口が開設され現職へ。留学生を現地オーストラリアで「迎え入れる立場」と日本から「送り出す立場」、両側での勤務経験を通して、双方の視点からアドバイスすることを心がけています。 このカウンセラーに質問する

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